不正競争防止法

2017年6月20日 (火)

スーツケース等の特定の態様のリブからなる表面形状の周知商品等表示性(否定)

大阪地裁H28.5.24      
 
<事案>
スーツケース等を製造販売しているXが、その製造販売に係るスーツケースの表面形状はXの商品等表示として周知であり、これに類似した表面形状を使用したスーツケースのYによる販売はXの商品と混同を生じさせる不正競争防止法2条1項1号の不正競争に該当する行為⇒Yに対し、同法3条に基づき同行為の差止め及びYの販売に係るスーツケースの廃棄を求めるとともに、同法4条に基づいて損害賠償の支払いを求めた事案。
 
<主な争点>
Xの商品に共通する表面形状がXの商品等表示として周知か? 
 
<判断>
●特定の商品形態が他の業者の同種商品と識別しうる特別顕著性を有し、かつ、その商品形態が、長期間継続的かつ独占的に使用され、又は短期間でも強力な宣伝が行われたような場合には、結果として、商品の形態が、商品の出所表示の機能を有するに至り、商品表示としての形態が周知性を獲得する場合がある。

複数の商品からなる商品群であっても、その共通形態においてかかる要件を満たし得るのであれば、商品表示としての形態が周知性を獲得する場合がある。

Xの商品群に共通する、ある商品形態が周知商品等表示となったというためには、その商品群が原告製の商品のうちでも販売実績が多く、また宣伝広告の頻度の多いもの、すなわち、需要者が原告製の商品として認識する機会が多い商品群であるということを明らかにした上で、これらの商品群の商品全体を観察して需要者が認識し得る商品形態の特徴を把握して、商品形態の特徴が特別顕著性を有し、かつ、販売実績や宣伝広告の実態から出所表示機能を獲得して周知となったといえることが主張立証されるべき。 

●その上で、裁判所は、需要者に認識される機会の多いXのスーツケースに共通する形態と一般的なスーツケースの商品形態について検討し、需要者に認識される機会の多いXのスーツケースは、
①②③・・・という点に商品形態の特徴があり、これらの3つの商品形態の特徴が相俟って、他のスーツケースと識別しうる特別顕著性を有するものと認められるのであって、①のみで特別顕著性を有するというXの主張を採用することはできない。
 
<解説>
●商品形態が商品等表示に該当し得るか?
商品の形態が「商品等表示」(不正競争防止法2条1項1号)に該当するためには、実務上、
①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)かつ、
②その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され、又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により(周知性)
需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていることを要する(知財高裁H24.12.26)。
 
●どのような商品群に共通する形態が商品等表示に該当し得るか? 

一般的に、ある商品が広く世に知られたものである場合、その商品のどのような形態を商品等表示と特定して主張するかにより、裁判の帰趨は異なり得る。

裁判では、不正競争を主張する者が商品等表示に該当する形態を特定して主張することが必要であり、その形態を対象として相手方の不正競争行為の成否が審理されることになる(控訴審でなされた商品等表示に該当する形態を変更する原告の主張を時期に後れたものとして却下した事例(知財高裁H17.7.20))。

本判決は、商品群の特定の問題について、不正競争を主張する者において、その商品群が自己の商品のうちでも販売実績が多く、また宣伝広告の頻度の多いもの、すなわち、需要者が原告製の商品として認識する機会が多い商品群であることを明らかにすることが必要であることを述べた。

判例時報2327

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2017年4月26日 (水)

プログラム著作物の複製・翻案、ソースコードの「営業秘密」性(肯定)

知財高裁H28.4.27      
 
<事案>
一審原告(被控訴人)は、原告プログラム著作権等を有し、そのソースコードは原告の営業秘密であったところ、そのもと従業員であった一審被告(控訴人B)が、一審被告(控訴人A)に入社しで同様のプログラムを作成し、これを搭載した児童接触角計を製造、販売したことが、著作権侵害・不正競争行為等に当たるか否かが問題となった。

A事件およびB事件:
被控訴人が、
①控訴人の「接触角計算(液滴法)プログラム」は、控訴人Aが控訴人Bの担当の下に原告プログラムのうち「接触角計算(液滴法)プログラム」を複製又は翻案したものであって著作権違反に当たり、
②控訴人Bが、被控訴人の営業秘密である原告プログラムのソースコード(原告ソースコード)やアルゴリズム(原告アルゴリズム)を控訴人Aに不正に開示し、控訴人Aがこれを不正に取得したことは、不正競争防止法2条1項7号及び8号に該当する行為であり、
③控訴人らのこれらの行為は、被控訴人の法的利益を侵害する共同不法行為に該当する行為又は、
④控訴人Bの労働契約上の債務不履行に該当する行為

A事件では、控訴人A・Bに対し損害賠償を求め
B事件では、控訴人A・B・Cに対し、被告新バージョンの複製等の差止めを求め、廃棄、損害賠償等を求めた。

C事件は、
控訴人A・Cが、
①被控訴人のB事件の訴訟提起が不法行為に当たる、
②被控訴人がしたホームページにおける告知行為等は不正競争防止法2条1項15号に該当する
⇒被控訴人に損害賠償の支払を求めた。

<規定>
著作権法 第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

十五 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。
イ 脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。
ロ 建築の著作物 建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。

著作権法 第114条(損害の額の推定等)
著作権者、出版権者又は著作隣接権者(以下この項において「著作権者等」という。)が故意又は過失により自己の著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為によつて作成された物を譲渡し、又はその侵害の行為を組成する公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行つたときは、その譲渡した物の数量又はその公衆送信が公衆によつて受信されることにより作成された著作物若しくは実演等の複製物(以下この項において「受信複製物」という。)の数量(以下この項において「譲渡等数量」という。)に、著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物(受信複製物を含む。)の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、著作権者等の当該物に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において、著作権者等が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡等数量の全部又は一部に相当する数量を著作権者等が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。

第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。

七 営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為

八 その営業秘密について不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為

<原審>
A事件を一部認容し、B事件、C事件を棄却。 
 
<判断>   
著作権侵害及び不正競争防止法違反等を肯定し原判決を変更。 
 
●複製又は翻案の成否 
旧バージョンについて、
①そのプログラム構造の大部分が同一
②ほぼ同様の機能を有するものとして1対1に対応する各プログラム内のブロック構造において、機能的にも順番的にもほぼ1対1の対応関係が見られる
③これらの構造に基づくソースコードは、被告旧接触角計算(液滴法)プログラムは、原告接触角計算(液滴法)プログラムのうち本件対象部分と創作的な表現部分において同一性を有し、これに接する者が本件対象部分の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる。
 
●原告ソースコードの営業秘密該当性 
肯定。
 
●その余の請求について 
旧バージョンについて、控訴人Bは、著作権侵害、不正競争防止法、不法行為、債務不履行に基づき、控訴人Aは、著作権侵害、不正競争防止法、不法行為に基づき、損害賠償責任を負う。
 
<解説>
●プログラムの著作物の著作権侵害 

「著作物の複製」:既存の著作物に依拠し、その創作的な表現部分の同一性を維持し、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作成する行為(著作権法2条1項15号)

「著作物の翻案」:既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう(最高裁H13.6.28)。

既存の著作物に依拠して創作された著作物が、創作的な表現部分において同一性を有し、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる場合には、複製又は翻案に該当する。

既存の著作物に依拠して創作された著作物が、思想、感情若しくはアイデア、事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において、既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には、複製にも翻案にも当たらない

◎ 
プログラムに著作物性があるといえるためには、指令の表現自体、その指令の表現の組合せ、その表現順序からなるプログラムの全体に選択の幅が十分にあり、かつ、それがありふれた表現ではなく、作成者の個性が表れているものであることを要する。

プログラムの表現に選択の余地がないか、あるいは、選択の幅が著しく狭い場合には、作成者の個性の表れる余地もなくなり、著作物性を有さない

プログラムの指令の手順自体~アイデアにすぎない
プログラムにおけるアルゴリズムは「解法」に当たり、
いずれもプログラムの著作権の対象として保護されない(知財高裁H18.12.26)。

プログラムは
①その性質上、表現する記号が制約され、
②言語体系が厳格であり、
③電子計算機を少しでも経済的、効率的に機能させようとすると、指令の組合せの選択が限定される
⇒プログラムにおける具体的記述が相互に類似することが少なくない。

プログラムの具体的記述が、表現上制約があるために誰が作成してもほぼ同一になるもの、ごく短いもの又はありふれたものである場合、作成者の個性が発揮されていないものとして、創作性なし。
指令の表現、指令の組合せ、指令の順序からなるプログラム全体に、他の表現を選択することができる余地があり、作成者の何らかの個性が表現された場合においては、創作性が認められる

●営業秘密に係る不正競争防止法に基づく請求 
不正競争防止法が保護の対象とする技術上又は営業上の情報は、不正競争防止法2条6項所定の要件を備える営業秘密であることを要する。
①秘密管理性、②有用性、③非公知性の3つが必要。

経済産業省の営業秘密管理指針:
平成27年1月改訂で、
秘密管理性は、営業秘密保有企業の秘密管理意思(特定の情報を秘密として管理しようとする意思)が、具体的状況に応じた経済合理的な秘密管理措置によって、従業員に明確に示され、結果として、従業員が当該秘密管理意思を容易に認識できる(=認識可能性が確保される)必要がある。

●その他 
共同不法行為の主張について、最高裁H23.12.8を引用し、
他人の著作物を翻案したものに該当しない著作物の利用行為は、同法が規律の対象とする著作物の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなど特段の事情がない限り、不法行為を構成するものではない

競合他社が存在するという著作権法114条1項ただし書の事情に係る主張について、主張立証責任を負うべき控訴人らが、競合他社の存在が控訴人の譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を被控訴人が販売することができないとする事情に当たることについて、具体的な主張立証をしていない⇒同項に基づく損害額を算定。

被控訴人が、著作権侵害を調査するために、被告製品を購入しプログラムの同一又は類似性を調査したこと等を認定し、調査費用を著作権侵害と相当因果関係のある損害と認定

判例時報2321

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2017年4月19日 (水)

商品(「エジソンのお箸」)の形態と不正競争防止法2条1項1号の「商品等表示」(否定)

知財高裁H28.7.27      
 
<事案>
控訴人が、被控訴人に対し、
①控訴人が販売する「エジソンのお箸」という商品名の練習用箸(原告商品)の形態は、控訴人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているもの
②被控訴人が製造・販売する「デラックストレーニング箸」という商品名の箸(被告商品)は、前記原告商品の形態と同一の形態を備えている
⇒被控訴人による被告商品の販売は、原告商品と混同を生じさせる行為であり、不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当
⇒被告商品の製造・販売の差止め及び廃棄を求めるとともに、損害賠償の一部としての100万円及び遅延損害金の支払を求めたもの。 
 
<規定>
不正競争防止法 第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
 
<判断>
商品の形態は、商標等とは異なり、本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではないが、商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有するに至る場合がある

商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有し「商品等表示」に該当するためには
①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、
②その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され、又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により、需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)
を要する。

商品の形態が商品の技術的な機能及び効果を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来⇒「商品等表示」に該当しない。
商品の形態が商品の技術的な機能及び効用に由来するものであっても、他の形態を選択する余地がある場合は、当該商品の形態につき、前記の特別顕著性及び周知性が認められれば、「商品等表示」に該当し得る。

●本件の原告商品:
原告商品形態が、前記機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来するものということはできない。
but
同種商品の中でありふれたものというべき⇒特別顕著性を認めることはできない。 
法2条1項1号所定の「商品等表示」に該当しない。 

判例時報2320

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2017年4月 9日 (日)

美容用フェイスマスクの形態と不正競争行為(否定)。

東京地裁H28.7.19      
 
<事案>
美容用フェイスマスク(X商品)を販売するXが、美容用フェイスマスクであるY商品を販売するYに対し、
①Y商品の形態が、周知の商品等表示であるX商品の形態と類似し、X商品と混同を生じさせる⇒その販売は不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たる
②Y商品がX商品を形態を模倣⇒その販売は同条1項3号の不正競争行為に当たる

法3条1項及び2項に基づきY商品の販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに、法4条に基づく損害賠償金の支払を求めた。 
 
<規定>
不正競争防止法 第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
・・・
三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為

4 この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。

不正競争防止法 第3条(差止請求権)
不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

不正競争防止法 第4条(損害賠償)
故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。
 
<判断>
●請求①について 
商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有し、法2条1項1号にいう「商品等表示」に該当するためには、
①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有して(特別顕著性)、かつ、
②その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用されるなどしたことにより、
③需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)
を要する。
X商品の形態はごくありふれたもので、客観的に他の同種商品と異なる顕著な特徴を有しているとはいえない

法2条1項1号の不正競争行為の成立を否定。
 
●請求②について 
当該商品の形態と他人の商品形態との相違がわずかで、全体からみれば些細な相違にとどまる場合には、実質的に同一の形態と評価される得るが、
他方で、相違の内容・程度、共通点と相違点のバランスが商品全体の形態に与える影響等に鑑み、相違が些細なものといえない場合には、実質的に同一の形態とはいえない。

同種の商品にしばしばみられるありふれた形態は、特段の資力や労働力を等価することなく作り出すことができる⇒法2条1項3号の保護対象となる「商品の形態」には当たらない

①X商品とY商品とに共通又は近似する形態がいずれもありふれた形態である一方、②X商品とY商品の特徴的な形態が大きく相違
⇒全体として、Y商品の形態がX商品の形態と実質的に同一とはいえないから「模倣」に当たらない。

需要者が通常の用法に従って使用するに際して内容器の形態を認識することはできない⇒内容器の形状は、「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の・・・内部の形状」(法2条4項)に当たらない⇒Xの主張を排斥。
 
<解説>
法2条1項3号が、「商品の形態」を保護する趣旨については、
模倣者が先行者において資金や労力を投下して商品化した商品について、その形態を殊更模倣した商品を自らの商品として市場に提供し、同じ市場において先行者と競争する行為事業者間の競争上不正な行為として位置づけるべきものとしたことにあるという理解が一般的。

判例時報2319

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2016年3月22日 (火)

不正競争防止法7条1項による侵害立証のための書類提出命令の申立てが認められた事例

東京地裁H27.7.27   

<事案>
基本事件は、申立人(基本事件原告)が、相手方(基本事件被告)に対し、相手方が申立人のもと従業員等を通じて申立人が開発した良好な磁気特性を有する方向性電磁鋼板(「HGO」)の製造プロセス等に関する技術情報である営業秘密(「本件技術情報」)を不正に取得し使用したなどと主張する事案。
申立人は、本件申立対象文書(「本件文書」)は、いずれも不正競争による営業上の利益の侵害行為を立証するために必要な書類であり、かつ相手方においてその提出を拒むことについて正当な理由はないと主張。
 
<規定>
不正競争防止秘法  第7条(書類の提出等)
裁判所は、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
2 裁判所は、前項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書類の開示を求めることができない。
3 裁判所は、前項の場合において、第一項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあっては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。以下同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類を開示することができる。
4 前三項の規定は、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟における当該侵害行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。
 
<判断>
①当事者間の衡平の観点から模索的な文書提出命令の申立ては許されるべきではない
②当事者が文書提出命令に従わない場合の制裁の存在等

不正競争防止法7条1項における証拠調べの必要性があるというためには、その前提として、侵害行為があったことについての合理的疑いが一応認められることが必要であると解すべき。 

①相手方が本件技術情報の少なくとも一部を取得したことが認められ、
②本件技術情報がHGOの製造プロセス及びその仕上焼純設備に関する技術情報であること、
③相手方は、申立人のもと従業員ないしその関連会社と技術協力契約等を締結した上、本件技術情報の少なくとも一部の取得に先立ち合計数億円を支払っていることなどからすれば、現段階においては、本件技術情報の不正取得及び不正使用があったことの合理的疑いが一応認められる

基本事件の争点との関連性が認められる本件文書については、証拠調べの必要性が認められる

同項ただし書の正当な理由の有無につき、
①営業秘密の保護に関しては、民訴法及び不正競争防止法上の手当てがされていること、
②申立人と相手方との間には、秘密保持契約が締結されていることなどからすれば、本件文書に相手方の営業秘密を含むものがあってもそれだけでは原則として上記正当な理由には当たらない。

前記認定に係る証拠調べの必要性に照らして、単に本件文書が相手方の営業秘密を含むと抽象的に主張するのみでは、相手方においてその提出を拒むことについて正当な理由があるとは到底認められない
本件文書の提出を命じた

判例時報2280

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2015年12月10日 (木)

実用新案技術評価書を提示せずに取引先等に実用新案権侵害の通知をした行為が、不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に該当するとされた事例

大阪地裁H27.3.26   

実用新案技術評価書を提示せずに取引先等に実用新案権侵害の通知をした行為が、不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に該当するとされた事例 
 
<事案>
安定高座椅子の考案について実用新案権を有するYが、高座椅子の製造、販売等を行うX及びその取引先等に対し、X商品は本件実用新案権に抵触するものと認識していることなどを通知したことから、Xが、本件実用新案権の無効を主張し、差止請求権等の不存在確認を求めるとともに、前期取引先への通知が、不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為(競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知、流布)にあたるとして、Yに対し、同法3条1項による差止め及び同法4条による損害賠償を請求した事案
 
<規定>
不正競争防止法第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
.十四 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為

不正競争防止法 第3条(差止請求権)
不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

不正競争防止法 第4条(損害賠償)
故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。
 
<争点> 
①本件実用新案権の有効性
②不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為の該当性及び差止請求の成否
③損害賠償請求の成否及び損害額 
 
<判断>
●本件実用新案権の有効性 
本件考案について、本件実用新案登録出願前に販売されていたXの別製品に基づいて、当業者がきわめて容易に考案することができたものと認められる。
⇒本件考案は進歩性を欠き、Yは、Xに対し、本件実用新案権に基づく権利行使をすることができない(実用新案法3条2項、37条1項2号、30条、特許法104条の3)。
⇒Xの不存在確認請求を認容
 
●不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為の該当性及び差止請求の成否について 
①Yが本件実用新案登録出願前に販売されていた前記Xの別製品について認識していたと認められる
②本件技術評価書において本件考案には進歩性がない旨の評価を受けていた

Yは、本件実用新案権が無効とされ、これに基づく権利行使が否定される蓋然性が高いことを認識しながら、あえて本件警告及び本件通知に至ったものと推認できる。

このような状態で、Yは、本件技術評価書を提示することなく、換言すれば、有効性に特段の問題もない権利であるかのようにして、本件通知先に前記内容の本件通知を送付

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に該当すると言わざるを得ない(不正競争防止法2条1項14号)。

さらに、Yが今後も同様の行為をするおそれはある

Xの不正競争防止法3条に基づく差止請求を認容
 
●損害賠償請求の成否及び損害額
技術評価書の提示は、極めて重要。

本件技術評価書を提示することなく本件通知を送付したYの行為は、法の趣旨に反する違法な行為で、故意の不正競争行為と評価すべきものであり、その違法性の程度は大きい
本件取引先等の半数がX商品の販売を停止⇒毀損されたXの信用を回復するための損害賠償としては金80万円が相当。
 
<解説>
●実用新案技術評価書の法的性質 
実用新案法は無審査主義⇒無効理由を含む実用新案権が多く存在している可能性がある。

実用新案権者は、その請求により特許庁の審査官が作成する実用新案技術評価書(実用新案法12条)を提示して警告をした後でなければ、権利を行使することができない(法29条の2)。

実用新案技術評価書は、先行技術文献及びその先行技術文献からみた考案の有効性に関する評価を行うものであるが、権利の効力を左右するものではなく、その法的性格は鑑定に近い。

実用新案登録が無効審判で無効になった場合、権利者は、相手方に対して、相当の注意をもって権利行使したことを立証しない限り、損害賠償の責任を負うところ(実用新案法29条の3)、否定的な評価書に基づいて権利行使をした場合に「相当の注意」を尽くしたことを立証するのは困難

評価書の誤りが他の証拠で明確に立証できる場合でなければ、侵害訴訟を提起しない方が安全であるとされている。
 
●営業誹謗行為(不正競争防止法2条1項14号) 
競争者の製造販売する製品等に対し、自己の特許権、実用新案権等の知財を侵害している旨を競争者の取引先等に警告ないし宣伝することは、その製品がその権利の範囲に属しないとか、権利が無効に帰する等の理由により権利侵害を構成しなときは、虚偽事実の告知・流布
⇒不正競争防止法2条1項14号に該当

A:従来の裁判例:警告の目的を問わず、警告が事実に反するときは、それだけで本人に対する関係において営業誹謗が成立。
B:東京地裁H13.9.20以後、営業誹謗が行われたといえるのは、取引先に対する権利侵害の警告が本人から取引先を奪取するなどの目的で行われた場合であって、警告が正当な権利行使の一環としてなされた場合には、本人に対する営業誹謗が成立しないと解釈したり、その違法性が阻却されると解釈する裁判例。

本判決:
Yが実用新案技術評価書において否定的な評価を受けている等、本件実用新案権が無効とされる蓋然性が高いことを認識しながら、あえて当該評価書を提示することなく本件警告及び本件通知を送付したことを理由に、営業誹謗行為該当性を認めている

東京地裁H14.4.24:
警告書の送付を代理した弁理士も、警告書を送付するに当たり、実用新案権を侵害していたか否かについて、十分な調査、検討をすべき義務があったのにそれを怠った過失があるとして、共同不法行為を認定。
 
●不正競争行為者の故意か室と無形損害の額 
不正競争防止法4条に基づく損害賠償義務が認められるには、「故意又は過失」が要件。
故意の立証よりも過失の立証の方が通常容易
but
慰謝料の算定にあたっては、加害行為の態様が斟酌されうるのが判例理論であり、故意の場合には過失の場合に比べて慰謝料が多額になることがある
⇒営業誹謗行為による無形損害の算定にあたっても、不正競争行為者の故意過失の別は斟酌されうる。
 
本判決は、Yの行為について「故意の不正競争行為と評価すべきものであり、その違法性の程度は大きい」⇒無形損害の額を80万円と認定。

判例時報2271

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2015年6月14日 (日)

特許権の侵害及び原告らが誹謗中傷行為をしている旨を記載した文書を被告らが取引先へ送付したことが不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為に該当する旨の主張が認容された事例

東京地裁H26.12.18   

発明の名称を「流量制御弁」とする特許権の侵害及び原告らが誹謗中傷行為をしている旨を記載した文書を被告らが取引先へ送付したことが不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為に該当する旨の主張が認容された事例
 
<事案>
発明の名称を「流量制御弁」とする特許権の設定登録又は専用実施権の設定登録を受けたXらが、Y1(会社)、Y2(会社)、Y3(Y1代表者)、Y4(Y2代表者)に対し、
①Y1及びY2による節水装置の製造販売が本件特許権の侵害に当たるとしてその製造販売差し止め、廃棄及び損害賠償金の支払等を②同2社による節水装置の製造販売が本件特許権の侵害に当たる旨を原告らが取引先に対して警告、通知した行為を捉えて誹謗中傷行為であると第三者に告知した行為不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に該当するとして損害賠償金の支払等を求めた訴訟。 

 
<規定>
第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
十四 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
 
<判断>

Yが被告製品1,2及び4を製造販売したと認めるに足りる証拠はなく、
Yが製造販売した被告製品3に相当する節水装置は、構成要件Dのように節水駒を接合金具に内嵌するブッシュを介して通水室に内接する構成ではなく、ブッシュを設けることなく節水駒を接合金具に形成されたV型のテーパに圧入することによって通水室に内接する構成を採用⇒同構成要件を文言上充足するものではない
but
これを上記被告製品3の構成に置換することは当業者にとって容易に想到できたと考えられる⇒本件発明と均等であると判断
本件特許権等の侵害に基づく差止め、廃棄及び損害賠償責任を肯定


BやX2の従業員がした告知行為はY2社による節水装置の製造販売が本件特許権の侵害行為となる旨を告知するもの
これを誹謗中傷であるとするY2社による上記告知は虚偽であり、Xらの営業上の信用を害することは明らか
損害賠償責任を肯定
 
<解説>
対象製品が特許権を文言上侵害しない場合であっても、対象製品が特許発明の構成と実質的同一と評価される場合に特許権の効力を及ぼせるべきとする理論(均等論)。 

均等論の要件(最高裁H10.2.24):
①置換された要件が発明の本質的部分でないこと
②置換によって発明の目的を達成でき、同一の作用効果を有すること
侵害時においてその置換が当業者にとって容易想到であること
④対象製品が発明の出願時において公知技術と同一又は当業者に容易に推敲できたものでないこと
⑤対象製品が出願手続において意識的に除外されたといった特段の事情もないこと

判例時報2253

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2014年10月19日 (日)

Xが製造・販売するディスクパブリッシャー制御用のプログラムについて、Yの有するプログラム著作権の侵害に該当せず、Yの営業秘密の不正使用にも該当しないとされた事例

知財高裁H26.3.12   

Xが製造・販売するディスクパブリッシャー制御用のプログラムについて、Yの有するプログラム著作権の侵害に該当せず、Yの営業秘密の不正使用にも該当しないとして、著作権法112条1項及び不正競争防止法3条1項に基づくXプログラムの製造、販売に対する差止請求権の不存在確認請求が認容された事例

<事案>
Xが、Yに対し、Xが製造・販売するXプログラムについて、Yが有する本件プログラムの著作権(複製権又は翻案権及び譲渡権)侵害に該当せず、Yの営業秘密である本件プログラム等の不正使用にも該当しないとして、著作権法112条1項及び不正競争防止法3条1項に基づくXプログラムの製造、販売の差止請求権の不存在確認を求めた事案。 
 
<規定>
著作権法 第112条(差止請求権) 
著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。

著作権法 第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
十の二 プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。

著作権法 第10条(著作物の例示) 
この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
九 プログラムの著作物

3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。

不正競争防止法 第3条(差止請求権)
不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

不正競争防止法 第2条(定義)
この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
 
<原審>
Xの請求を認容。 

<判断>   
控訴棄却。 

●著作権法112条1項に基づく差止請求権について 
プログラムに著作物性があるというためには、指令の表現自体、その指令の表現の組み合わせ、その表現順序からなるプログラムの全体に選択の幅があり、かつ、それがありふれた表現ではなく、作成者の個性、すなわち、表現上の創作性が表れていることを要する
複製又は翻案に該当するためには、既存の著作物とこれに依拠して創作された著作物との同一性を有する部分が著作権法による保護の対象となる思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要

「創作的」に表現されたというためには、厳密な意味で独創性が発揮されたものであることは必要ではなく、筆者の何らかの個性が表現されたもので足りるというべきであるが、他方、プログラムの具体的記述自体がごく短く又は表現上制約があるため他の表現が想定できない場合や、表現が平凡かつありふれたものである場合には、作成者の個性が表現されたものとはいえないから、創作的な表現であるということはできない

Yの指摘する本件プログラムとXプログラムとの共通部分において、本件プログラムの表現上の創作性を認めることができない⇒仮にXプログラムが本件プログラムに依拠して製作されたものであるとしても、Xプログラムが本件プログラムを複製又は翻案したものということはできない。

●不正競争防止法3条1項に基づく差止請求権について 
Xプログラムが本件プログラムを複製又は翻案したものと認めることはできず、Xが本件プログラムの表現上の創作性を有する部分を使用してXプログラムを製造、販売したものとはいえない。⇒その余の点について検討するまでもなく、本件プログラム自体が不正競争防止法2条1項7号により保護される営業秘密であるということはできない
 
<解説>
●著作権法112条1項に基づく差止請求権について 
プログラムとは「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの」(著作権法2条1項10号の2)。

コンピュータを機能させる特性から、当該機能を発揮させるためには当該表現しか有り得ない場合もある。著作権法はアイデアを保護するものではない。
⇒プログラムの著作物性をいかなる場合に認めるかについては、慎重な検討が必要。

プログラムに対する著作権法の保護は、「その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない」(同法10条3項柱書1文)

所定のプログラム言語、規約及び解法による制約を受けつつ、コンピュータに対する指令をどのように表現するかその指令の表現をどのように組み合せ、どのような表現順序とするかなどについて、著作権法により保護されるべき作成者の個性があらわされる

プログラムの具体的記述自体がごく短く又は表現上制約があるため他の表現が想定できない場合や、表現が平凡かつありふれたものである場合には、作成者の個性が表現されたものとはいえない⇒プログラムの著作権性を認めることはできない。

著作権侵害に関するYの主張の多くが予め用意された関数を共通して用いていることや、アイデア又は機能面での同一性や類似性の指摘の程度にとどまっている
⇒著作権侵害を認めることは困難。

プログラムを実行した画面の類似性をもって、直ちにプログラム著作権の侵害を認めることはできない。

●不正競争防止法3条1項に基づく差止請求権について
営業秘密の要件としては、不正競争防止法2条6項が、①秘密管理性、②非公知性、③有用性を要求。
不正競争防止法は、「営業秘密」の侵害行為に対し、損害の額の推定等(5条)や差止請求権(3条)という強力な効果を定めている⇒(営業秘密の)各要件は厳格に判断されている。

●その他
証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てが却下された場合には、必要性があることを理由とする独立の不服申立ては許されない(最高裁H12.3.10)。

本件は、YによるXプログラムの別のソースコードに対する文書提出命令の申立てが却下されている。

判例時報2229

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2014年4月 1日 (火)

顧客情報の不正取得による不正競争と営業の差止め・損害の算定

大阪地裁H25.4.11      

不正の手段により中古車販売業に係る顧客情報を取得するなどしたとして、当該顧客情報に含まれる顧客らとの契約締結、契約勧誘、営業行為等の差止請求顧客情報を記載した媒体の廃棄請求、及び損害賠償請求が認容された事例 

<事案>
日本国内の中古車オークションで中古車を購入し、海外の顧客に輸出しているXが、Yらに対して不正の手段によりXの営業秘密である顧客情報を取得し、または、当該不正取得行為及び不正開示行為を知って本件顧客情報を取得するなどしたとして、Yらに対し、本件顧客情報に含まれる顧客らとの契約締結、締結勧誘、営業行為等の差止め、顧客情報を記載した媒体の廃棄、及び損害賠償を求めた事案。 

<規定>
不正競争防止法 第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。

四 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「不正取得行為」という。)又は不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。以下同じ。)

五 その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為

七 営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為

八 その営業秘密について不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為

6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

不正競争防止法 第3条(差止請求権)
不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項において同じ。)の廃棄侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

不正競争防止法  第4条(損害賠償)
故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。

不正競争防止法  第5条(損害の額の推定等)
第二条第一項第一号から第九号まで又は第十五号に掲げる不正競争(同項第四号から第九号までに掲げるものにあっては、技術上の秘密(秘密として管理されている生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報であって公然と知られていないものをいう。)に関するものに限る。)によって営業上の利益を侵害された者(以下この項において「被侵害者」という。)が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、その譲渡した物の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、被侵害者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、被侵害者の当該物に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において、被侵害者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を被侵害者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。

2 不正競争によって営業上の利益を侵害された者が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、その営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定する。

不正競争防止法 第9条(相当な損害額の認定)
不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。

<争点>
①本件顧客情報の営業秘密該当性
②Yらは、不正の手段により本件顧客情報を取得するなどしたか
③差止め及び廃棄請求の可否
④損害額 

<判断>
●争点①について
本件顧客情報にアクセスできる者が制限されており、本件顧客情報にアクセスする権限を有する者は、本件顧客情報の管理状況からして、本件顧客情報が秘密であることを認識していた。⇒秘密管理性を肯定。

有用性も肯定

本件顧客情報が公知であるとするYらの主張についても理由がない。

本件顧客情報はXの営業秘密に当たる。

●争点②について 
Yらは、Xとの合意や就業規則に違反し、本件顧客情報を不正に取得したと認めるのが相当。
⇒Yらが不正の手段により本件顧客情報を取得するなどした。

●争点③について 
平成24年2月15日の時点でもYらがインターネット上で、中古車販売に関する広告宣伝をしていた等の事実が認められ、これらのことからすると、Yらが本件顧客情報を用いる危険がある
本件顧客情報の使用差止め及び廃棄の請求を認容

「本件顧客情報がXの営業秘密であって高い有用性が認められること、本件におけるYらの不正競争の態様の悪質性、結果の重大性からすれば、Yらによる不正競争を差止める必要性は高い。そして、本件顧客情報の取得経緯や、開示、使用の状況に照らすと、本件顧客情報を記録した磁気媒体、紙媒体の使用のみを禁止したのでは、その差止めの目的を達することは困難である。」
営業行為の差止めの必要性を肯定

●争点④について 
Yらの計算によれば、本件顧客情報に含まれる顧客らに対する販売利益は赤字であるというが、Xの粗利益率に比べ、あまりに低額であり、にわかに信用しがたい。

Yらの不正競争による売上げが急増する一方、本件顧客情報に含まれる顧客らに対するXの売上げは激減していること、そして、その営業形態からして、Yらにとって、本件顧客情報を使用しない限り、本件の規模での販売を行うことは極めて困難であったことが推認
Xの車両販売減少数とYらの不正競争との間には相当因果関係がある

このような場合に、Yらの利益がなかったり、僅かであたりすることを理由に、不正競争防止法5条2項の適用の当たり、損害額を0円として算定したり、僅かな金額しか算定できなかったりすることは不合理。

Yらの販売数量に相当するXの車両販売減少数に基づく損害額について、相当程度の割合で、Yらの不正競争との間に相当因果関係を認めるべき(そうでなければ、不正競争防止法9条の適用が考慮されるべきである。)。

本件顧客情報に含まれる顧客らに対するXの平均利益率は13%であったと認めることができる⇒Yらの売上高に限界利益率13%と寄与率を乗じた額をもってXの逸失利益を算定するのが相当。

中古車を販売するに当たっては、顧客が購入を希望する中古車を適正な価格で調達することが重要⇒本件顧客情報の寄与度は3割と認めるのが相当。

<解説>
●営業自体の差止め:
不正に取得した情報をもとに営業が行われている場合、この営業自体を差し止めることができるか?
営業秘密の不正行為と通常の営業行為を区別することが困難な場合がある。
but
営業秘密を利用することなくたまたま同じ顧客と取引を開始することはありうる。
⇒そのような行為までも差し止めることが可能であるとすれば、営業秘密の不正使用行為を超えて過大に侵害者の行為を禁止することになる(田村)。

大阪地裁H8.4.16(男性用かつら顧客名簿事件):
「被告は、別紙顧客目録記載の者に対し、面会を求め、電話をし又は郵便物を送付するなどして、男性用かつらの請負若しくは売買契約の締結、締結方の勧誘又は理髪等同契約に付随する営業行為をしてはならない。」

「被告は、男性用かつらの請負若しくは売買契約の締結をしようとし又は理髪等同契約に付随するサービスの提供を求めて被告宛来店あるいは電話連絡をしてくる別紙顧客目録記載の者に対し、男性用かつらの請負若しくは売買契約の締結、締結方の勧誘又は理髪等同契約に付随する営業行為をしてはならない。」
として営業行為の差止めを認めた。

田村:一般論としては営業秘密不正利用以外の部分を含んだ競業行為を差し止めることには慎重であるべきであるが、「営業秘密の不正利用行為と競業行為の重複度合が高い反面、侵害行為が繰り返される危険性が高いために、侵害抑止の必要性が高く、しかも、・・・・侵害態様に鑑みて被害者と利益衡量の下で過剰に差し止められる部分があってもやむをえないと思料される場合には、例外的に過剰差止めを認めてもよい場合がある」
⇒上記男性用かつら顧客名簿事件での裁判所の判断は妥当。

本判決は、本件顧客情報を記録した磁気媒体、紙媒体の使用のみを禁止したのでは、その差止めの目的を達することは困難

(本件顧客情報に含まれる顧客に対して)面会を求め、電話をし、郵便物を送付し又は電子メールを送信するなどして、自動車、自動車部品その他自動車に関する商品の売買契約を締結し、同契約の締結を勧誘し又は同契約に付随する営業行為をしてはならない」という主文の差止めを認めたもの。

●不正競争防止法5条2項
「不正競争」によって営業上の利益を侵害された者が、侵害者に損害賠償請求を行う場合、侵害者が侵害行為によって受けた利益を損害の額と推定することを規定。

「不正競争」によって営業上の利益を侵害された者の立証責任を軽減するために設けられた規定であり、侵害者の利益が被害者の逸失利益と観念されうる場合にのみその適用が図られるべき
本件では、Yらが本件顧客情報に含まれる顧客らに対する販売利益は赤字であると主張。
vs.
Xの車両販売減少数とYらの不正競争との間に相当因果関係がある場合において、Yらの利益がなかったり、僅かであったりすることを理由に、不正競争防止法5条2項の適用に当たり、損害額を0円として算定したり、僅かな金額しか算定できなかったりすることは不合理

Yらの主張する利益率ではなく、Xの平均利益率をYらの売上高に乗じ、寄与率を考慮して損害額を認定。

不正競争防止法5条1項は、侵害者が譲渡した物の数量に、被侵害者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じたもので、被侵害者の実施能力に応じた額を超えない額を損害額とする旨規定。
but
同法2条1項4号ないし9号に該当する不正競争行為については、「技術上の秘密・・・に関するものに限る。」とする。
⇒顧客情報等の営業上の秘密には適用がない。

顧客情報等の営業上の秘密が化体した商品が譲渡されたわけではなく、顧客名簿の情報を使用することにより本来成立するはずであった契約の受注を逸失したという事案においては、必ずしも、経験則上、同法5条1項の算定方式が妥当するとはいえない。

不正競争防止法5条2項は、侵害者が利益を上げていない場合や侵害者の利益額が小さい場合には、逸失利益に見合った賠償がなされず、十分に救済されない可能性があるため、そのようなケースには同法5条1項が適しているとされているが本件では、同法5条1項の適用がないため、同条2項を用いて、裁判所が逸失利益に見合うと考える損害額を認定したもの。

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2013年10月 4日 (金)

コイル状ストラップ付きタッチペンと不正競争防止法

東京地裁H24.12.25    

コイル状ストラップ付きタッチペンについて、不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為が成立するとされた事例 

<事案>
コイル状ストラップ付きペンである原告商品1ないし3を販売する原告が、コイル状ストラップ付きタッチペンである被告商品を販売する被告に対し、被告商品は原告各商品の形態を模倣した商品であるから、被告による被告商品の販売は、不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に当たる旨主張して、同法4条に基づき、損害賠償を求めた事案。

<規定>
不正競争防止法 第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。

三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為 

<争点>
被告による被告商品の販売が不競法2条1項3号の不正競争行為に該当するか
特に
(1)原告各商品の形態が不競法2条1項3号の規定による保護が及ばない「ありふれた形態」又は同号括弧書きの「当該商品の機能を確保すために不可欠な形態」に該当するか否か
(2)被告商品は原告各商品に依拠して製作されたものであるか否か

<判断>
(1)

「ありふれた形態」について
商品全体の形態が同種の商品と比べて何の特徴もないありふれた形態である場合には、特段の資力や労力をかけることなく作り出すことができるものであるから、このようなありふれた形態は、同号により保護される「商品の形態」に該当しないと解すべき。

商品の形態が、不競法2条1項3号による保護の及ばないありふれた形態であるか否かは、商品を全体として観察して判断すべきであり、全体としての形態を構成する個々の部分的形状を取り出してそれぞれがありふれたものとされた各形状を組み合わせることが容易かどうかによって判断することは相当ではない。」

原告商品2及び3の形態と被告が同種の商品として主張する商品の形態とを全体として対比すると、原告商品2及び3の形態が同種の商品と比べて何の特徴もないありふれた形態であるとはいえないと判断。


「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態」については、被告が原告各商品のうち機能を確保するため不可欠とする部分は、具体的な形態として、原告各商品の形態を必然的に採用せざるを得ないものと認めることはできない
⇒「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態」にあたらないと判断。

(2)
形態が実質的に同一であること、 ②原告各商品は任天堂のライセンス商品であること、③原告各商品の販売数量、④被告の業務内容等の事情
⇒被告は、原告商品2及び3の形態に依拠して被告商品を作り出した

被告の行為は不正競争行為に該当⇒同法5条1項に基づき損害額を算定し、原告の損害賠償請求を一部認容。 

<解説> 
機能確保のため不可欠な形態が保護されないとする趣旨は、同種の商品が機能及び効用を発揮するために不可避的に採らざるを得ない形態までも特定の者に専用させることは、機能や効用事態を特定の者に専用させることとなり、かえって同種の商品間における発展的な競争を阻害するため(大阪地裁H10.11.26)。

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