商事

2017年10月19日 (木)

企業買収の業務を受託した会社のために作業を行った個人に商法512条により相当な報酬を認めた事案

東京地裁H28.5.13       
 
<事案>
企業買収を受託した事業者のために作業を行った場合における仲介報酬の請求の当否、根拠、報酬額が問題となった事案。 

Y1株式会社(代表者はY2)は、A株式会社から、Aが買い手となり、B投資事業有限責任組合らが売り手となるD株式会社の株式譲渡を行う方法による企業買収につき業務委託を受けた⇒Xは、Y2の指示等によって助言、打ち合わせへの出席、書面の作成等の作業を行った。
AとBらは、Dの株式譲渡契約を締結⇒本件案件が完了した後、Y1は、業務委託契約に基づきAから本件案件の報酬として5250万円を受領。

Xは、Y1、Y2に対し、いずれかから委託を受けて本件案件に関する事務を行ったと主張⇒契約に基づく約定の割合に従った報酬として、又は商法512条による相当な報酬として前記報酬の半額の支払を請求。
 
<争点>
①XがY1、Y2のいずれと業務委託契約を締結したか
②同契約上Y1の受け取る報酬の半額を報酬とする合意があったか
③合意がない場合における相当な報酬額はいくらか 
 
<規定>
商法 第512条(報酬請求権)
商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。
 
<判断>
①本件案件に関する取引の経過、②Y2とXのやり取り、③Xの作業等を認定し、本件案件がY1の業務であった

XがY1から本件案件の交渉、書面作成、検討、助言等の業務を委託したものと認め、Y1とXとの間の報酬に関する合意の成立を否定
but
商法512条を適用
Xの行った作業の内容を検討
Y1が取得した報酬金額の15%程度に当たる800万円が相当な報酬額であると認める等して、Y1に対する請求を一部認容

Y2に対する請求は棄却。

判例時報2340

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2017年10月12日 (木)

株式交換の効力発生日後に株式買取請求が撤回された場合

東京高裁H28.7.6       
 
<事案>
Y株式会社は、その親会社A株式会社との間で、Yを株式交換完全子会社とする株式交換を行った。
Yの株主であったX1ないしX3は、本件株式交換に反対して株式買取請求をしたが、買取価格の合意には至らず、本件株式交換の効力発生日から60日以内に価格決定の申立てもされなかった。
Xらは、その後、本件各株式買取請求を撤回

XらがYに対して、
①主位的に、Xらが株式交換完全親会社であるAの株式を取得していると主張⇒Aの株式をXらの指定する証券保管振替機構の口座へ振り返るよう指示すること及びAの配当金の支払を請求

予備的に
②XらがAの株式を取得していることが認められない場合、XらがYの株主であることの確認とYの株主名簿への記載及びYの配当金の支払(予備的請求1)
③主位的請求のうち口座振替指図が認められない場合、これに代わる金員の支払とAの配当金の支払(予備的請求2)
④予備的請求1のうちYの株式であることの確認・株主名簿への記載が認められない場合、これに代わる金員の返還とYの配当金の支払(予備的請求3)
を求めた。
 
<原審>
Xらによる株式買取請求の後、株式交換の効力発生日に買取の効力が生じ、Xらが有していたY株式は同効力発生日に完全子会社Yを経て完全親会社Aに移転
⇒Xらは完全子会社Yの株主にも完全親会社Aの株主にもなることはない。

Xらは完が株式買取請求を撤回したからといってYの株主の地位を回復するものではない

XらがA又はYの株主であることを前提とする上記①~③の各請求を棄却。

株式交換の効力発生日後に株式買取請求が撤回された場合には、完全子会社には原状回復義務として完全子会社の株式を返還する義務が生じる
but
②完全親会社が完全子会社の株式を取得している

当該義務は履行不能となり、結局、完全子会社は、株式買取請求に係る株式の価格相当額返還義務を負うことになる。

Xらの請求④のうちXらが有してたY株式の価格相当額の支払を求める請求の一部は理由がある。

その金額は、
株式買取請求を撤回した時点においてY株式の現物返還は履行不能であり、株主は金銭債権を取得することになる

撤回時を基準として、その時点におけるY株式の価格相当額を返還すべき。
 
<判断>
原判決のうち、
株式交換の効力発生日後に株式買取請求の撤回があった場合に完全子会社Yは買取請求に係るY株式の価格相当額の金銭を返還する義務を負うことについては支持。
but
YがXらに支払うべき金額は、株式の返還義務が履行不能となったとき、すなわち株式交換の効力発生日を基準として、その時点におけるY株式の価格相当額を返還すべきものと解するのが相当。

Xらによる株式買取請求の撤回時でではなく本件株式交換の効力発生日に最も近く市場取引最終日のY株式の終値にXらの各持株数を乗じた金額の支払をYに命じた

株式買取請求権の撤回時を基準(原審)
vs.
①株式交換に反対して株式買取請求をした者において、株式交換の効力が発生して完全親子会社の関係が生じた後、価格決定の申立てが可能な60日間の様子を見た上で、親会社の株価が上昇傾向を示した場合には価格決定の申立てをしないで買取請求を撤回し、一方、親会社の株価が下落傾向となった場合には価格決定の申立てをして株式買取請求日の評価による買取価額を得ようとするといった対応が可能になる
②これは、会社法が株式買取請求をした者に対して合意によるかあるいは裁判所による適正買取価格の決定に従わせようとしている趣旨に反し、恣意的に利益獲得を認めることにつながり、
③株式交換に反対してこの会社から撤退しようとした者に対し、完全親子関係の創設によって生じた利益を得させることにもつながる
もので相当でない。

判例時報2338

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2017年10月 2日 (月)

株式譲渡契約の価格調整条項に基づく減額・表明保証違反に基づく損害賠償責任

東京地裁H28.6.3      
 
<事案>
一般乗用・貸切旅客自動車運送事業等を営むX株式会社が、税理士Yから株式会社Aの発行済株式の全部を譲り受ける旨の契約を締結⇒株式譲渡の実行後に、その実行前におけるAの純資産の変動及び簿外債務の存在が判明⇒Yに対し、株式譲渡契約上の価格調整条項に基づく譲渡価格の減額及びYの表明保証違反に基づく損害賠償を求めた。 

<判断・解説> 
●株式譲渡契約上の価格調整条項:
基準貸借対照表における純資産額に変動が生じた場合に、それに応じて譲渡価格を増減し、事後的に清算する旨の価格調整条項
X:当該条項に基づき純資産額の減少に伴う譲渡価格の減額を主張
Y:Aの所有不動産の評価額の増加分を考慮すべきとして、純資産額の増加を主張
価格調査条項は、譲渡価格決定の基礎となる財産状況が資産された日(基準日)から実際の株式譲渡日までの間に対象会社の流動資産自体又はその評価に変動が生じる可能性があることを考慮してのもの。

不動産については、基準日から株式譲渡日までの間という比較的短期間(本件では約1ヶ月半)に評価額の変動が生じる可能性は低い⇒譲渡価格の調整に際して考慮すべき資産とはならない。

①Aの所有不動産の評価額が譲渡価格の決定に当たって当事者間で合意されていた。
②基準貸借対照表において、現金化可能な資産など評価額の変動が生じる可能性のある資産・負債の項目に徴が付されていた。

東京地裁H20.12.17:
譲渡価格の調整の基礎とされる株式譲渡実行時点の貸借対照表の確定手続が争われたものであるが、
価格調整において買収対象事業の再評価をすることは想定されていなかったこと等、当事者間の合意内容に関する詳細な事実認定
⇒基準貸借対照表における会計処理の原則を変更することは許容されない。
 
●簿外債務の存否
Yによる表明保証の内容として、基準貸借対照表が適正な会計基準に基づいて作成されており、そこに記載されていない簿外債務及び偶発債務等は存在しない旨規定。

Xは、
①Aの積立てていた事故対策費が従業員への返還義務を伴う預り金であること
②Aが基準貸借対照表に記載されていない借入債務を負っていたこと
を主張し、表明保証違反に基づく損害賠償を請求。

判決は、Xの主張を認め、簿外債務に相当する金額について、Yに損害賠償を命じた

①価格調整条項に基づく譲渡価格の減額と②表明保証違反に基づく補償請求は、実質的に重複することも少なくないところ、本判決は、そのような場合に価格調整条項による処理を行った例。

判例時報2337

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2017年9月 3日 (日)

上場企業の巨額損失隠しに関与した経営コンサルティング会社の代表取締役らの責任(肯定)

東京地裁H28.3.31      
 
<事案>
光学機器の製造販売等を業とする上場企業Xが、以前証券会社でXの営業担当を務め、その後経営コンサルティング等を主たる業務とするD社を設立してその代表取締役となったY1及びY1の元部下であり、Y1と共にD社を設立してその取締役に就任したY2が、Xの経理・財務部門等に所属していたZ1らと共謀の上、Xの金融資産に発生していた巨額のの運用損失を連結決算の対象とならない海外の投資ファンド(「簿外ファンド」)に移して当該損失を隠匿し、その後当該簿外損失を解消するため、Yらが設立するなどしたいわゆるベンチャー企業3社(「新事業3社」)の株式を不当に高い価格でXに買い取らせるなどし、Xにおいて架空ののれんの計上とその償却などを内容とする違法な会計処理を行わせた⇒Yらに対し不法行為に基づく損害賠償を請求

主位的に、新事業3社の株式の取得原価と購入価格の差額約572億円並びにXが有価証券報告書虚偽記載の罪により有罪判決を受けて支払った罰金7億円相当額及び虚偽記載のある四半期報告書を提出したことにより納付した課徴金1986万円相当額の合計額の一部請求として5億円の支払いを求め、

予備的に、右簿外ファンド管理手数料として支払われた費用等合計額約117億円並びに右罰金及び課徴金相当額の合計額の一部請求として5億円の支払いを求めた。
 
<事実関係>
X社においては、平成8年頃までに、金融資産の運用による含み損が約900億円にまで拡大。
Z1らは、海外に簿外ファンドを組成し、Xやその子会社が保有する特金等の資産の中から国債等を貸し付け、簿外ファンドにおいてこれを売却し、その資金をもってXの含み損を抱える金融資産を簿価で買い取らせた
その後、企業会計原則の見直しによる時価評価主義採用の動き⇒特金等の計画的解消が求められる状況に。
but
国債等を簿外ファンドに貸し付けたままの状態では特金等の残高を減らすことができず、また多額の含み損を抱えた金融資産の存在が露見してしまうおそれ。
Z1は、簿外ファンドに新たな資金を供給して国債等を買い戻す方法を模索

Z1らは、国債等買戻しのため
①平成10年3月、X及び子会社名義で外国銀行に口座を開き、口座内の資産に簿外ファンドを債務者とする根担保権を設定して、同口座内資産を担保に簿外ファンドが外国銀行から融資を受けるようにし、
②平成12年3月、新たにケイマン諸島に事業投資ファンドを組成してX等が出資し、同出資金の一部を債券購入代金として簿外ファンドに送金し、
③右外国銀行に新たなファンドを組成してもらってX及び子会社がこれに出資し、同月、同出資金の一部を、Z1らがケイマン諸島に新たに組成した複数のファンドを経由して、簿外ファンドに債券購入代金として送金するという、一連の操作を行った。

これらの操作を通じて簿外ファンドに流れた資金によって、簿外ファンドは特金等から借りていた国債等を買い戻してX及び子会社に返還し、これによってZ1らは特金等を解消して、Xの巨額の簿外損失の発覚を免れた。
右含み損を抱えたXの金融資産が簿外ファンドに付け替えられたままでは、簿外ファインドが債務超過の状態となり、将来Xの損失隠しが発覚しかねなかった上、簿外ファンドの維持費用もかさむ一方

平成16年4月から平成20年3月にかけて、簿外ファンドの新事業3社の株式を取得させ、X及びZ1らが組成した別のファンドがそれらの株式を本来の価値より高い金額で買い取り(ファンドが買い取った株式は、その後どうファンドの解散に伴いXが現物で取得した。)この売買によって簿外ファンドが代金として受領した多額の金を用いて簿外ファンドがXの金融資産を購入した際に行った借入を等を返済して債務超過状態を解消。

Xは、本来の価値に比べて極めて高い金額で購入した新事業3社の株式について、平成20年3月期の連結貸借対照表に約545億円ののれんを計上(これによりXの簿外損失が計数上解消されたことから、簿外ファンドは全て解散した)。
 
<判断>
以上の事実を認定した上で、
Z1らによる右一連の行為はXに対する不法行為に当たるところ

Yらは、前記①ないし③の一連の資金移動等の目的がXの損失隠匿することにあることを認識しながら、平成10年3月頃、前記外国銀行の東京駐在所長をZ1らに紹介したほか、ファンドの組成・運営や資金移動に関与し、また、新事業3社に対する投資の目的がXの簿外損失を解消することにあることを認識して、平成17年頃、Z1らに新事業3社を紹介し、新事業3社の株式取得等に関与


YらはZ1らの不法行為を幇助したというべきであるから、民法719条2項に基づき、共同行為者とみなし、Xに生じた損害を賠償すべき責任がある。

Yらは、共同行為者として、Xが支払った罰金7億円及び課徴金1986万円の全額について、Z1らと連帯して賠償責任を負う⇒Xの主位的請求(一部請求5億円)を認容。

主位的請求のうち新事業3社の株式の取得原価と購入価格の差額の賠償請求については、含み損を抱えていたXの金融資産を簿価で簿外ファンドに購入させて損失を移転していたものを、新事業3社の株式を実際の価値よりも高い代金で購入することによってふたたび含み損をXに戻した

実質的にはX内部の資金移動にすぎず、Xの損害には当たらない

判例時報2335

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2017年8月14日 (月)

取締役会設置会社である非公開会社における株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の効力(有効)

最高裁H29.2.21      
 
<事案>
取締役会設置会社である非公開会社において、取締役会の決議によるほか、株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めが有効かどうかが争われた事案。 

Y1(非公開会社で、取締役会を設置する旨の定款の定めを有する取締役会設置会社)の定款には、
代表取締役は取締役会の決議によって定めるものとするが、必要に応じ、株主総会の決議によって定めることができる旨の定めがされていた。

Xは、Y1の代表取締役であった者。
Y2は、平成27年9月30日に開催されたY1の株主総会において取締役に選任する旨の決議及び代表取締役に定める旨の決議がされた者。
Xは、Y1及びY2に対し、本件株主総会の前記各決議には法令違反があるとして、Y2の取締役兼代表取締役の職務執行及び職務代行者選任の仮処分命令の申立て。
 

<規定>
会社法 第二九五条(株主総会の権限)
株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
2前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
3この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。
 
<原決定>
代表取締役の選任・解任権限を株主総会に認めたからといって、取締役会の監督権能が失われるものではなく、本件定めが無効であるとはいえない。
⇒Xの申立を却下。 
   
Xからの許可抗告の申立てを原審(東京高裁)は許可
 
<判断>
①会社法295条2項によれば、取締役会設置会社において、株主総会は、会社法に規定する事項及び定款定めた事項に限り、決議をすることができるところ、この定款で定める事項の内容を制限する明文の規定はない
取締役会設置会社である非公開会社において、取締役会決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができるとしても代表取締役の選定及び解職に関する取締役会の権限が否定されるものではなく、取締役会の監督権限の実効性を失わせるものではない

本件定めを有効として、本件許可抗告を棄却すべき。
 
<解説>
会社法295条は、株主総会が決議することができる事項を、
1項で「この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項」とし、
2項で取締役会設置会社においては、「この法律に規定する事項及び定款で定めた事項」に株主総会の決議事項を限定。

本決定は、
取締役会設置会社である非公開会社において、
取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款を有効であるとの法理を示したもの。

①公開会社について、株主総会にも代表取締役の選定権限を認める定款が有効かどうか
②取締役会設置会社において、株主総会のみに代表取締役の選定権限を認める定款が有効かどうか
などについては、判示するものではない。

判例時報2333

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2017年7月29日 (土)

不正な金融支援について代表取締役及び担当取締役の任務懈怠が認められた事例

名古屋地裁岡崎支部H28.3.25      
 
<事案>
X㈱の経理部担当取締役A及び経理部参与Bが適正な手続を経ずに取引先で資本関係もあるC社に対する不正な金融支援を行ったのは、Xの代表取締役であったY1及び取締役(Cと取引を所管する部門の担当取締役)でCの非常勤取締役を兼務していたY2の監視義務違反等によるもの

X及びXの株主として訴訟参加(会社法849条1項)をしたZが、Y1及びY2に対し、会社法423条1項に基づき、回収不能になった融資金相当額等の賠償を求めた事案。
 
<事実関係>
平成17年8月、A及びBは、Cの代表取締役の融資方の要請を受け、Xの取締役会の承認を経ることなく1憶5000万円をCに送金(本件無断融資)。
その後、AないしBによるCに対する無断融資ないし保証が繰り返され、平成19年9月、Cが銀行から7億円を借入れるに当たり、BがX取締役会の承認を得ずにXをしてこれを保証(本件無断保証)。

本件無断保証が発覚⇒A及びBは、本件無断保証を解消すべくCに資金を調達させることとし、Cは金融機関から14億5000万円を借り受けることになった。

その際、Bは、同借受金の返済のため、平成19年11月に、X取締役会の承認を得ずに、同金融機関に対してXの約束手形(額面3億円の手形5枚)を振り出した。
同約束手形の最初の決済日までにCが返済資金を準備することができななかった⇒Bは、同約束手形が決済されるのを防ぐためCに資金を送ることにしたが、Cに対する送金であることを隠すため、平成20年3月及び4月に、X取締役会の承認を経ることなく、別会社Dに対し立替金名目または金型代金名目で合計14億9700万円を送金し、Dを経由してCに送金されるようにした。

A及びBは、C代表者の申出に応じ、Xの子会社(香港法人)Eの董事長であったY2に7億円を融通することを依頼し、Y2はこれを了承し、平成19年12月、EからAないしBに指定された口座に7億円が送金された。
同7億円の一部が返済されなかった⇒Y2はこれを回収するため、平成20年11月、EからXに対し、通常の金型代金緒請求に未返済額に相当する187万4999・40米ドルを上乗せして請求し、その支払を受けた。
 
<判断>
●Xの代表取締役であるY1について
遅くとも平成19年11月頃の認識内容を前提としても、
①不正行為に関わったA及びBを直ちにCの担当から外し、自ら指揮するか、A及びB以外の者に指示して、速やかにXとCとの取引関係を監視下において、Cに対してこれ以上の不正な金融支援が行われることを阻止することを周知徹底し、Xのリスク拡大を防止するとともに、
②早急にXのCに対する本件無断保証を含む債権債務関係の全容とCの現在の経営状態を調査させ、Xがどのようなリスクを負っているかを明らかにした上で、
③なし得る限りの対応を迅速に尽くさせるなどの措置を講ずべき義務
があった。
but
Y1は、本件無断保証が発覚してから、再発防止のための措置を取らず、事実関係の調査もリスク状況の確認もせず、損害の回避又は軽減のための措置も何ら講じなかった

前記調査義務及び再発防止措置を講ずる義務を全く果たしておらず、Y1が代表取締役としての任務を懈怠したことは明らか。
 
●Y2について
前記EからCへの7億円を有ずる件について、
Cにそうした資金を送金するについては取締役会決議が得られていない以上応じられないとするとともに、

本件無断保証の事後承認が議案となったX取締役会(平成19年11月)においても、
①XとCとの取引関係の実態について最もよく知る立場から、本件無断保証はそのままXの損失につながる危険性の大きい行為であり、Cが金融機関から15億円を独力で借り入れることは困難であることから、Xの金融支援なしに買入れを行うことができるのかどうかを含め、借入れ条件を確認する必要があることなどを指摘するとともに、
②A及びBがCに送るための資金としてEから7億円を融通することを求めてきていることを報告した上、
③X取締役会として本件無断保証を事後承認するかどうかについては、XのCに対する本件無断保証を含む債権債務関係の全容とCの現在の経営状態を調査し、Xが現在どのよゆうなリスクを負っているかを明らかにした上で判断する必要があること、
④Xの損害を回避又は軽減するために緊急対応が必要になっていないかどうかを確認し、必要な場合には迅速に適切な対応をすべきこと、
⑤Cの経営状態にかんがみ、経理部門の独断によるCに対する金融支援を即刻やめさせる必要があり、そのためにはXとCとの取引関係を監視下においた上、Cに対するこれ以上の不正な金融支援が行われることを阻止することを周知徹底し、Xのリスクが拡大することを防止する必要があることなどについて、適切な意見を具申し、また、
⑥本件無断保証の経緯や原因のほか、本件無断保証によるXのリスクについて、Cの非常勤取締役で内情を知り得る立場から、Cの現在の経営状態等の実情についての調査に取り掛かり、判明次第、報告すべき義務
があった。
but
Y2は、右いずれの義務も果たしておらず、かえって、A及びBの依頼に応じて、Cに送金されることを知りながらEから7億円を送金して資金を融通し、平成19年11月のX取締役会においても、A及びBが独断で不正な金融支援を金融支援を継続していること等、自己が認識している事情について黙っていた

取締役としての善管注意義務及び忠実義務に違反する行動をとっていたことは明らか。


Y1及びY2は、Xに対し、連帯して、これら送金額及び未返済額相当額から口頭弁論終結時までに損害填補された金額を控除した額並びに弁護士費用1500万円を賠償する義務がある。 

判例時報2331

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2017年7月 9日 (日)

非公開会社における新株発行の効力発生日から1年を経過した後に提起された新株発行無効の訴えと信義則

名古屋地裁H28.9.30       
 
<事案>
非公開会社であるY1会社の株主Xが、
①Y1に対し新株発行を無効とすることおよびその不存在の確認を求め
②Y1およびY1の取締役Y2・Y3に対し、民法709条または会社法429条1項(Y2・Y3に)もしくは同法305条(Y1)に基づき、連帯して、本件新株発行に至る一連の違法行為によりXが被った損害の一部の賠償等を求めた甲事件と
新株発行後に開催された定時株主総会決議の取消し等を求めた乙事件からなる事案。 
 
<規定>
会社法 第八二八条(会社の組織に関する行為の無効の訴え)

次の各号に掲げる行為の無効は、当該各号に定める期間に、訴えをもってのみ主張することができる。

二 株式会社の成立後における株式の発行 株式の発行の効力が生じた日から六箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては、株式の発行の効力が生じた日から一年以内)
 
<判断>   
甲事件:
本件新株発行は無効。
損害賠償請求は棄却。

乙事件:
各決議の時点では本件新株発行が有効に行われたことを前提とすることになり、Y2の保有株式数を620株として各議案を可決したことは、総会決議不存在事由とならない

定款変更の議案に関しては、招集通知に議案の概要の記載として定款規定をどのように変更するか了解可能な程度の記載があることを要するがそれを欠いている⇒決議取消事由に当たる。 
 
●新株発行無効の訴えの提訴期間徒過の有無
最高裁昭和53.3.28を参照し、提訴期間は株式の効力が生じた日から1年以内(会社法828条1項2号括弧書)、払込期日である平成24年6月4日にY2が払込みをした本件では株式の効力が生じた日は、当該払込期日であるから、同日から1年以内
but
①Y1の代表者であるY2は、XをY1会社の株主から排除する意図の下、Xに知られることなく本件新株発行を行うべく、Xがこれを察知する機会を失わせるための隠蔽工作を繰り返した
②Xが本件新株発行の事実を予想し、または想定することは容易ではなかった
③Y1が株式譲渡制限会社で、Y2だけが株式の発行を受けた者であり、本件新株発行につき取引の安全を考慮する必要性がさほど高いとは言えない
④Xは、本件新株発行の存在を知った平成25年10月3日から1年以内に本件新株発行の訴えを提起していて訴訟提起が不当に遅延したとはいえない

信義則上、Xが本件新株発行の無効の訴えを所定の提訴期間を徒過して提起したとすることはできず、当該訴えは適法
 
●同訴えの無効事由の有無 
最高裁H24.4.24を引用し、
非公開会社であるY1において株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされたもの
この瑕疵は新株発行の無効原因となる。
 
●不存在確認の訴えの不存在事由の有無
新株発行が物理的には存在するような外観を呈する場合には、その手続的、実体的瑕疵が著しいからといって不存在事由となるものではない
 
<解説>
会社(その代表者)がことさらに瑕疵ある新株発行について株主に秘匿し、株主による提訴を妨げた事情がある場合、信義則上、会社は提訴期間の徒過を主張することができないとの見解(田中亘、会社法)。 

判例時報2329

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2017年7月 3日 (月)

分割型新設分割に伴って実施された剰余金配当に対する否認権行使(否定)

東京地裁H28.5.26       
 
<事案>
会社法(平成26年法律第90号による改正前のもの)763条の12号ロに定める形態による新設分割(いわゆる分割型新設分割)に伴う剰余金配当に対する、否認権行使の可否が問題となったもの。 
 
<事実>
A社は、以下の内容で、B社を新設設立する会社分割を行った。
①A社は、その保有するP事業に属する資産・負債をB社に承継させる。
②B社は本件会社分割に際して普通株式200株を発行し、A社に交付。
③A社は、会社分割効力発生日に、B社から割当交付された株式の全てを、会社法736条12号ロの規定に基づく剰余金の配当として、Xに交付。
④A社は、会社分割に当たり、会社法所定の債権者異議手続を履践したが、所定の期間内に異議を述べたA社の債権者はいなかった。 

その後、A社は再生手続開始の申立て
⇒裁判所は、Yを監督委員に選任し、A社につき再生手続開始の決定。
Yは、前記会社分割に際して行われた会社法763条12号ロの規定に基づく剰余金配当について、民事再生法127条1項1号又は同条3項に該当すると主張して否認の請求⇒裁判所はそれを認容する旨の決定(原決定)。

XがYに対し、原決定の取消しと否認の請求の棄却を求めた。
 
<判断>
分割型新設分割が会社法所定債権者異議手続を経て行われた場合には、特段の事情がない限り、分割型新設分割に伴って行われる剰余金の配当に対して否認権を行使することはできない。
but
債権者異議手続において備置された事前開示書面の記載内容に、債権者が会社分割に対して異議を申し立てるか否かの判断を誤らせるような虚偽の記載がある場合は、前記特段の事情があるものとして、否認権行使が可能である場合がある
 
<解説> 

会社分割が濫用的に用いられる場合の債権者保護の方途として、
会社法上は、会社分割無効の訴えが規定。
but
出訴期間や原告適格に制限

会社分割に対する否認権や詐害行為取消権の行使など、会社法以外の法令に基づく権利行使による債権者保護が求められる事案がある。 

新設分割に対する詐害行為取消権の行使を認めた最高裁H24.10.12:
新設分割は、新たな会社の設立を内容に含む会社の組織に関する行為

このような性質からすれば、当然に詐害行為取消権行使の対象になると解することはできず、その可否については、「新設分割に関する会社法その他の法令における諸規定の内容を更に検討して判断することを要する

本判決:
①分割型新設分割が物的分割とは異なる効果(分割会社と設立会社を親会社の下に対等な関係で分社化する)を実現するもの
②通常の新設分割とは異なり債権者異議手続の対象が全ての債権者に拡大されている
③剰余金配当につて財源規制が課されない

剰余金配当に対する否認権行使の可否は、「会社分割と密接に関連する法律行為」であって、「これに対する否認権行使の可否については、『会社の組織に関する行為』である会社分割に準じ、新設分割に関する会社法その他の法令における諸規定の内容を更に検討して判断することを要する」。

分割型新設分割に伴う剰余金配当について、新設分割と一体となって独自の経済的効果を実現するスキームの一部であると位置づけ、従って組織再編の法的安定の要請が働き、当然に否認権の対象となるものではなく、新設分割の否認に準じた慎重な判断を要する。
 
●本件の会社分割は、分割型新設分割⇒全ての債権者が債権者異議手続の対象となっていたところ(会社法810条1項2号)、所定の期間内に本件新設分割に対して異議を述べた債権者がいなかった。
⇒全ての債権者に承認擬制(会社法810条4項)の効果が及んでいた。
 
新設分割当時既に存在した債権者については、債権者異議手続による権利保護の機会を与えられていた
②分割型新設分割の後に分割会社に対して債権を取得した債権者については、そのような新設分割が実施されたことや、当時の分割会社の財産状態を前提として再建を有するに至ったこと

新設分割に求められる法的安定性の要請に反してまで否認権の行使を認めることにより保護すべき利益があるとは言い難い

判例時報2328

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2017年6月22日 (木)

匿名組合契約の営業者の匿名組合員に対する善管注意義務違反が認められた事例

最高裁H28.9.6      
 
<事案>
XはY1社との間で、Y1社の営業のために出資をする旨の匿名組合契約を締結。
Y2はY1社の代表取締役であり、Y3はその弟。 
Xが、Y1社への出資金がY2及びY3とXとの利益が相反する取引に充てられて損害を被ったなどと主張して、Y1社、Y2及びY3各自に対し、不法行為に基づき、1億6500万円の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めるとともに、
選択的に、
Y1社に対しては債務不履行に基づき
Y2社に対しては会社法429条1項に基づき、
前記と同額の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めるなどした事案。
 
<規定>
商法 第535条(匿名組合契約)
匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。
 
<原審>
匿名組合員と営業者又はその利害関係人との利益が相反する取引をすることは、営業者がその営業の遂行に当たりその地位を利用して匿名組合員の犠牲において自己または第三者の利益を図るものと認められるとき限り、営業者が匿名組合員に違反すると解すべき。

本件におけるY1社の行為は、Xの犠牲において自己または第三者の利益を図る行為であったと認めることができない⇒営業者の善管注意義務に違反するとは認められず、Y1社はXに対し債務不履行に基づく損害賠償義務を負わない。

Y1社に善管注意義務違反は認められない⇒Y1社らは不法行為に基づく損害賠償義務を負わず、Y2は会社法429条1項に基づく損害賠償義務を負わない。

請求棄却。
 
<判断>
匿名組合契約の営業者であるY1社が、その営業として、新たに設立される株式会社D社の資本金の8割を出資し、D社の発行する新株予約権付社債を引き受け、D社がY1社の代表取締役であるY2及びその弟であるY3から売買によりC社株式を取得した場合において、次の(1)及び(2)など判示の事情の下では、前記の出資、引受け及び売買に係る匿名組合員であるXの承諾の有無について審理判断することなく、Y1社に善管注意義務違反はないとした原審の判断には、違法がある
(1) 
①前記売買は、Y1社らがD社設立時に予定し、D社の代表取締役であるY3において実行したものであり、前記の出資、引受及び売買はY1社による一連の行為といえるところ、
②前記一連の行為は、これによりY1社に生ずる損益が匿名組合契約に基づき全部Xに分配されるもの
Y2及びY3とXとの間に実質的な利益相反関係が生じるものであった。
(2) 
①前記売買の売主であるY2及びY3が買主であるD社の取締役や代表取締役であること、
②C社株式に市場価格はなくXが売買代金額の決定に関与する機会もないこと
③前記の出資及び引受けの合計額は1億8000万円であり、前記売買の代金額は1億5000万円であって、いずれも匿名組合契約に基づくXの出資額である3億円の2分の1以上に及ぶもの
前記一連の行為はXの利益を害する危険性の高いものであった。
 
<解説>
●本件の争点:匿名組合契約の営業者の関係者(営業者の代表取締役とその弟)と匿名組合員との間に実質的利益相反関係が生ずる行為を行うことが、匿名組合契約における営業者の善管注意義務に違反するか? 

匿名組合契約:
当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益の分配を約する契約(商法535条)
商法上、匿名組合契約の営業者の善管注意義務や利益相反行為の避止義務を定めた明文の規定はない。
匿名組合の内部関係には民法の組合の規定が類推適用される⇒善管注意義務を負う(民法671条、644条)。

●利益相反行為の避止義務 
A:匿名組合については、会社法356条の利益相反取引の制限や信託法31条の利益相反行為の制限のような規定なし⇒営業者の利益相反行為は善管注意義務違反とはならないという解釈。
B:匿名組合契約の営業者が負う善管注意義務の内容に、利益相反行為の避止義務が含まれるという解釈。

本判決:
①匿名組合契約の営業者であるY1社が行った一連の行為はY2及びY3とXとの間に実質的な利益相反関係が生ずるものであったこと
②前記一連の行為はXの利益を害する危険性の高いものであったこと

このような事実関係の下で、Y1社が前記一連の行為を行うことは、Xの承諾を得ない限り、営業者の善管注意義務に違反する。

Xの承諾の有無について審理判断することなくY1の善管注意義務違反を否定した原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

判例時報2327

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2017年6月20日 (火)

有価証券報告書の虚偽記載等に係る課徴金を課された⇒創業者取締役に対する損害賠償請求(肯定)

東京地裁H28.3.28      
 
<事案>
有価証券報告書の虚偽記載等に係る課徴金を課された会社の創業者取締役に対する損害賠償請求の事案。 
平成24年3月に上場廃止。

Yは、Xの創業者であり、Xの代表取締役や取締役会長をしていた者。

Xの取締役会決議により設置された第三者調査委員会は、平成23年12月、平成18年5月から同21年4月までに行われた11の取引(「本件取引」)におけるXの会計処理は不適切又は適切性に疑問が残ると報告。

Xは前記第三者調査委員会の報告に基づき、本件取引に係る過去の会計処理等を訂正し、K財務局長に対し、有価証券報告書等の訂正報告書を提出。
⇒金融庁長官は、Xに対し、重要な事項について虚偽記載のある開示書類の提出及び同開示書類に基づく募集があったとして、課徴金4996万円の納付命令の決定。

Xは、Yらの有価証券報告書の虚偽記載等により損害を被ったとして、納付した課徴金や第三者調査委員会に支払った費用等合計1億1366万円余の支払を求めた。
 
<判断>
本件取引のうち7つの取引については、有価証券報告書記載の各計算書類について虚偽の記載があったと認定(「本件粉飾取引」)。 
Yは、他の取締役と共謀して、Xの財務状況を良好に見せかけるため、又は、転換社債に関する損失補てんに充てるため、取締役の善管注意義務に反し、あえて架空、水増し又は循環取引を行い、有価証券報告書の虚偽の記載をした。
⇒Yの責任を肯定。

Yが負担すべき損害額について、第三者調査委員会に対する報酬の11分の7である1416万円余、課徴金4996万円等の合計額から和解金として支払われた額を控除した、6002万円を、Yの違法行為と相当因果関係のある損害として認容し、その余の請求を棄却。

判例時報2327

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