我々が知っている弁護士は、その顧客と相手方との双方にとって有利な解決を編み出す能力のため成功する。
切る前にパイを広げる。
オプションの創造は交渉者にとって最も有益な能力である。
ex.みかんを2等分。最初の子供は実を食べて皮を捨てた。もう1人の子供は、実を捨てて皮をケーキに使った。
●診断
選択肢の創造を阻害する4つの主要な障害
1. 早すぎる判断
2. 単一の回答の模索
3. パイが決まっているという仮定
4. 「相手の問題を解決するのは相手の問題である」という考え
◎早すぎる判断
選択肢は自然に生まれるものではない(考え付かないのが普通)。
創造にとって最も有害なのは新たなアイデアに対する欠点の指摘。
判断はイマジネーションを妨げる。
◎単一の回答の模索
交渉は、オプションを広げることではなくポジション間のギャップを狭めること→自由な議論はプロセスを遅らせ混乱させるだけと考える。
but
創造的考えに対する第1の障害が「早すぎる判断」とすれば、第2の障害は「早すぎる打切り」である。
最初から唯一最高の回答を考えるため、多くの可能な回答から選択するという賢明なプロセスを飛び越してしまう。
◎パイが決まっているという仮定
交渉者はしばしば一定のパイを取り合う。
◎「相手の問題の解決は相手の問題である」という考え
自分の利益を満たす合意に達するためには、相手の利益も満たす解決を考えることが必要。
(心理的に自分の立場を離れ相手の見方に正当性を認めるのは難しい)
● 処方
選択肢を創造するためには
1. 選択肢の創造と選択肢に対する判断を分け、
2. 単一の答を探すのではなく選択肢を広げ、
3. 相互利益を探し、
4. 決断を容易にする方法を創造する。
◎創造と判断を分ける
「判断」は「想像力」の障害となる。
まず創造しその後に判断する(プロセスを分離する)。
ブレーンストーミング
問題解決のためできるだけ多くのアイデアを創造するためにデザインされたセッション。
キーとなるルールは、アイデアに対する批判と評価を後にする。
批判と評価による抑制が取り除かれ、1つのアイデアが他のアイデアを刺激する。
無謀なアイデアが明示的に奨励されるため、人は馬鹿にされることを恐れる必要がない。
ブレーンストーミングセッションに正しい方法はなく、そのニーズとリソースに合わせて作るべき。
ガイドラインの参考例。
<ブレーンストーミング前>
1. 目的を決める
2. 少数の参加者を選ぶ(通常5~8人)
相互に刺激的なやりとりをするのに十分な人数
相互の活動と自由な創造を促す小人数
3. 環境を変える
通常の会議と異なる時間と場所
4. 非公式な雰囲気をデザインする
飲みながら、別荘で、ネクタイをはずして、ファーストネームで呼び合って行う。
5. 進行者を選ぶ
ミーティングを進行し、全員に話す機会を与え、基本ルールを実行し、質問により刺激を与える。
<ブレーンストーミング中>
1. 参加者は並んで座る。(物理力は精神を補強する。)
並んで座ることは共通の問題に共に取り組んでいるという精神態度を強める。
対面する場合は、個人的に反応し討論となる傾向がある。
黒板に面する半円に並べられた椅子はそこであらわされる問題に対応する傾向がある。
2. 批判しないというルールを含め、ルールを明確にする。
参加者の紹介から始まり、ルールが明示される。
批判は禁止。
共同作業は新たなアイデアを創り出す。
無謀なアイデアも奨励されれば、不可能なアイデアから他のオプションが作り出される可能性。
セッションを公表せず、アイデアをいずれの参加者にも起因させない。
3. ブレーンストーム
ミーティングの目的が明らかになれば、想像力を働かせる。
問題を全ての角度からアプローチし、多くのアイデアリストを作る。
4. アイデアを見えるように記録する
黒板か大きなシートにアイデアを記録することで、グループに共同作業についての明確な意識を与える。
批判しないというルールを補強し、重複を減らし、他のアイデアを促進する。
<レーンストーミング後>
1. 有望なアイデアを選ぶ
最も有望なアイデアを選ぶため批判をしないルールを緩める。
発展させる価値あるアイデアを選ぶだけで、決断の段階ではない。
2. 有望なアイデアを改良する
有望なアイデアを選び、その実行方法とともに、改良しより現実的にする方法を創造する。
このステージの役割はアイデアをより魅力的にする。
建設的批判を始める「このアイデアについて最も好きなのは・・。・・であればもっと良くなる」
3. アイデアを評価し決断する時間を設ける
選択され改良されたアイデアリストを並べ、これらのアイデアのどれをいかにして進めるかを決断。
相手とのブレーンストーミングを考える
相手とのブレーンストーミングは極めて有益。
関係当事者全員の利益を考慮するアイデアを創造し、共同での問題解決の雰囲気を作り、相手の懸念を相互に理解するという大きな利点を有する。
約束とされないよう、ブレーンストーミングセッションを公式の交渉セッションから区別する。
提案ではなく単なる可能性であることを明示する。(人は合意に達するための会合に慣れているため、他の目的(ブレーンストーミング)は明確に述べられなくてはならない。)
一緒にブレーンストーミングをすることは、交渉における最良の時間の使い方である。
一緒にブレーンストーミングをするかどうかにかかわらず、「選択肢の創造」をその「決定」から分けることは有用である。
主張ではなく質問から成り立つ。
開かれており、閉じられていない。
◎選択肢を広げる
多くの異なるアイデアによってのみ選択の余地が生じる。
ex.ノーベル賞受賞者を決める場合、100名の候補者を列挙する方が、最初から1人を選ぶよりも良い決断ができる。
具体と抽象を行き来して選択肢を増やす:循環図
選択肢の創造は4つの考えに関係する。
1. 具体的問題・・解決すべき実際の状況・・を考える
ex.自分の土地の近くを流れる汚染された川
2. 記述的分析(抽象)・・抽象的に状況を診断する
ex.川は多様な化学物質を含み、酸素が少なすぎるかもしれない。上流の工場が原因かも知れない。
3. 抽象的処方・・抽象的にどうすべきか考える。
診断に対して理論的(抽象的)な処方を考える。
ex.化学物質の流出を減らす。他の川からきれいな水をひく。
4. 具体的(明確かつ実現可能な)活動を提案する
抽象的アプローチを実践するために、明日誰が何をするのか。
ex.州の環境庁が上流産業に化学物質の排出を制限するよう命令する。
1つの有用な実施案があれば、その実施案を内包する抽象的アプローチを考え、それを実現する他の実施案を考案する。
同様に、「この抽象的アプローチが有用であるとすれば、その背後にある診断は何か?」を問うてみる。明確に診断ができれば、問題に対するほかのアプローチを生み、そのアプローチを実行に移すことができる。
StepⅡ 分析
問題を診断する:
症状をカテゴリーに分類する。
原因を示唆する。
何が欠如しているか観察する。
問題解決への障害をあげる。
StepⅢ アプローチ
可能な戦略または処方箋は何か?
理論的な治療は何か?
何がされるべきかについて広範なアイデアを生み出す。
StepI 問題
何が悪いのか?
現在の症状は何か?
好ましい状況と対比して嫌悪される事実は何か?
StepⅣ 実施案
何がなされるべきか?
問題を処理するには、いかなる具体的ステップがとられるべきか?
異なる専門家の目を通して見る
多様な選択肢を生み出す他の方法は、異なる専門家の視点から検証する。
ex.
子供の監督について、教育者、銀行家、精神科医、弁護士、聖職者、栄養学者、医者、女権論者、フットボールのコーチ、その他の特別な視点を有する者からの視点で見る。
ビジネス契約の交渉において、銀行家、発明家、労働者の指導者、不動産投機家、株式ブローカー、経済学者、税務専門家又は社会主義者が考える選択肢を考案する。
レベルが異なる選択肢を創造する
第一案が合意できない場合のための第二案を考える。
ex.
①実体について合意→②手続きについて合意。
①最終的合意→②暫定的合意。
次の形容詞のペアは「強さ」を異にする潜在的合意を示唆する。
強い/弱い 実体/手続 永続的/暫定的 包括的/部分的
最終的/ 原則的 無条件/条件的 拘束的/非拘束的
合意の範囲を変える。
問題を分割し扱いやすい大きさにする。
内容、当事者、主題、地域、時間を限定。
ex.最初の章を300ドルで編集し、以後についてはその時点で相談する。
◎相互利益を追及する
ほとんど常に共通の利益が存在する。
〇共通利益を認識する
共通利益は合意を作る。
共通利益を満たすアイデアの創造は双方にとって好ましい。
相手の希望を詳細に観察→終局的な利益(複数であり得る)を把握→共通利益を考える
ex.企業と増税を考える市
① ビジネス誘致
←今回の入金ではなく、将来的な財源の確保が重要
② 良好な関係
←企業は市の慈善団体や学校への寄付を減らす可能性/市は規制を強化する可能性
相手も結果に満足することが重要
(一方的に勝つ解決は相手方を和らげる解決より悪い。)
←騙されたと思えば、顧客からの信頼を失い、その評判も傷つく。
共通利益についての3つの視点
① 全ての交渉において共通利益は存在する。
② 具体的かつ将来志向に積極的(ex.譲歩ではなく共通のゴールの追及)に考える。
③ 共通利益の強調は交渉をよりスムーズかつ友好的にさせる。
〇異なる利益を結び付ける(●評価の違いを結びつける)
双方の希望が異なる場合(ex.一方がみかんの実を望み、他方がみかんの皮を望む。)、双方が満足する合意が可能。
相違の例
形式/中身 経済的利益/政治的利益 内的配慮/外的配慮
象徴的配慮/実際的配慮 近い将来/遠い将来 当面の結果/関係
本体/観念 発展/伝統 先例/このケース 評判/結果
信念の相違
双方とも自分が正しいと確信→公平な仲裁者に委ねることに合意する。
(双方とも自分が勝つと思っている。)
時間に対する価値の相違
ex.支払が将来になることについての評価の違い
見通しの相違
ex.野球選手とチームとの交渉で、来季は活躍すると考える選手とそう考えないチーム
→出来高払いの比重。
リスクについての認識
ex.海底資源の採掘会社と国連機関との間の採掘権の対価につての交渉
採掘会社:リスクを減らしたい
国連機関:収入に関心
→リスクと収入を取引する。
→投資回収までは低率とし、その後は高率とする。
相手の嗜好を尋ねる
複数の案を作り、相手方にどれが好ましいか尋ねる。
→選択肢を改良して複数の案を作り、どれを好むかを再度尋ねる。
→相手の決断なく計画を改善することができる。
利益の結合は、こちらに低コストで相手に大きな利益をもたらすもの(及びその逆)を探すこと。「相違万歳」(相違とはある事実がもたらす利益の差)
◎相手の決断を容易にする
交渉が成功するかどうかは、こちらが望む決断を相手が行うかどうかによる。
→相手が決断し易くする。
通常、自分の利益には注意を向けるが、相手の利益にはほとんど注意を向けない。
but相手の利益が重要。
誰の立場?
抽象的な相手と交渉するわけではない。
「保険会社」ではなくそのエージェントに保険金の支払いを勧告させるよう努力を集中する。
相手の決断プロセスがどれだけ複雑に見えても、1人・・交渉している相手・・を取り上げ、その視点からどのように問題が見えるかを考える。
彼の力を強め、彼が他を説得できる議論を提供する。
彼の立場にたち、そのかかえる問題と、どのような選択肢がその問題を解決するかを理解する。
どのような決断?
相手に問題ではなく解決を与え、困難な決断ではなく容易な決断を与える。
決断の内容に注意を集中させる。
多くの交渉者は自分が言葉を求めているのか履行を求めているのか確かでない。
しかし、区別は重要である。
履行であれば「交渉余地」を加えるべきでない(馬に柵を飛ばせようとすれば、柵を上げないこと。)。
ドラフティングを始めるのに早すぎることはない。
最も単純なものから初めて、多くのバージョンを用意する。
・ 双方にとって魅力的な条件
・ 当事者の数を減らすことができるか
・ 実行しやすい合意を作ることができるか
(困難)行為を始める>行為を止める>行為をしない(容易)
多くの人は、正当性の概念に強く影響を受ける。
→正当(公平、適法、正しい)に見える解決にする。
先例は有効。
→先例を探し、類似の状況で相手が行った決断を探し、提案をそれに依拠させる。
脅しは十分ではない
脅しより提案が効果的。
相手方に、こちらの望む決断をした場合の結果を認識させる。
相手の返事が「イエス」ですむ形で提案する。
大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))
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