建築

2012年10月17日 (水)

設計者、施工者及び工事管理者の不法行為責任

第一次上告審(最高裁H19.7.6)

建物の建築に携わる設計者、施工者及び工事監理者は、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者等(建物利用者、隣人、通行人等)に対する関係でも、当該建物に建物としての基本的な安全性(居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすことがないような安全性)が欠けることがないよう配慮すべき注意義務を負う。

設計・施行者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体又は財産が侵害された場合には、設計・施工者等は、不法行為の成立を主張する者が瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り、これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負うというべきである。

第二次上告審(最高裁H23.7.21)

第1次上告審判決にいう、「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは、居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい、建物の瑕疵が居住者の生命、身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当すると解するのが相当である。

建物の構造耐力に関わる瑕疵はもとより、建物の構造耐力に関わらない瑕疵であっても、これを放置した場合に、たとえば、外壁が剥落して通行人の上に落下したり、開口部、ベランダ、階段等の瑕疵により建物の利用者が転落したりするなどして人身被害につながる危険があるときや、漏水、有害物質の発生等により建物の利用者の健康や財産が損なわれる危険があるときは、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当。
建物の美観や居住者の居住環境の快適さを損なうにとどまる瑕疵は、これに該当しない。

建物の所有者は、自らが取得した建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には、第一次上告審判決にいう特段の事情がない限り、設計・施行者等に対し、当該瑕疵の修補費用相当額の損害賠償を請求することができるものと解され、所有者が当該建物を第三者に売却するなどして、その所有権を失った場合でも、その際、修補費用相当額の補填を受けたなど特段の事情がないかぎり、一旦取得した損害賠償請求権を当然に失うものではない。

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