マンション管理

2016年3月 5日 (土)

マンションの共有部分での手すり壁のガラスに汚れ⇒管理組合の修補拒否等による不法行為責任(否定)

東京地裁H27.7.17   

マンションの共有部分での手すり壁のガラスに汚れ⇒管理組合の修補拒否等による不法行為責任(否定)
 
<争点>
①Y(管理組合)の修補義務の有無
②Yの不法行為の成否等 
 
<判断>
YにおいてA(接する専有部分を有する会社)に対して修補請求等をする義務違反等のXの主張を排斥。

Yが各区分所有者に対し、共用部分を適正に管理する義務を負っているものと解されるとしても、共用部分をに存在する不具合の全てにつき、その程度等にかかわらず、修補をする義務があるとはいえず不具合の程度、修補のために生ずる費用負担の程度等に照らし、合理的な範囲で修補等の対応をする義務がある。

本件不具合がバルコニーの通常の使用に支障を生じさせる性質のものではなく、修補を行うことがYに過分の経済的負担を強いる
Yに上記義務があるとはいえない
⇒Yの不法行為を否定し、請求を棄却。
 
<解説>
共用部分の不具合の修補、修繕は、共用部分の使用者(専有使用権の有無・内容)、管理規約の内容、不具合の発生原因、不具合の程度、修補等に要する費用額等によって、その義務を負う者、修補等の内容が異なる。

判例時報2279

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2015年6月13日 (土)

マンション建替組合による建替えに参加する回答をしなかった区分所有者に対する売渡請求が有効とされた事例

東京地裁H27.1.26   

マンション建替組合による建替えに参加する回答をしなかった区分所有者に対する売渡請求が有効であるとして、区分所有権等の時価を算定した事例 
 
<事案>
マンション建替えの円滑化等に関する法律(円滑化法)9条1項に基づき設立認可されたマンション建替組合が、建替えに参加しない区分所有者に対して円滑化法15条に基づき売渡請求をし、専有部分の明渡し等を請求した事件。 

本件マンションのA管理組合法人は、平成24年3月12日、区分所有者集会を開催し、建物の区分所有者等に関する法律62条1項に基づく建替え決議が成立したが、Yは、決議に賛成しなかった。Aは、平成24年3月、区分所有法63条1項に基づき、Yに建替えに参加するか否かの回答を催告したが、Yは、記載欄中の「参加」に丸を付けたものの、前記決議無効の確定判決を解除条件とする旨を付記する回答する等した。

Yは、その後、Aに対して前記決議無効の確認請求訴訟を提起⇒請求棄却が確定。

Xは、本件マンションの建替えに当たり、平成25年8月1日に設立が認可されたマンション建替組合であるが、同年9月、Yが建替えに参加する旨の回答をしなかったとして、円滑化法15条1項に基づき、Yの区分所有権等の売渡しを請求した上、売買契約又は所有権に基づき、Yに対し、区分所有権等の時価相当額の支払と引換えに、専有部分の明渡し、所有権移転登記手続等を請求
 
<規定>
区分所有法 第62条(建替え決議)
集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。

区分所有法 第63条(区分所有権等の売渡し請求等)
建替え決議があつたときは、集会を招集した者は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかつた区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。
2 前項に規定する区分所有者は、同項の規定による催告を受けた日から二月以内に回答しなければならない。
3 前項の期間内に回答しなかつた第一項に規定する区分所有者は、建替えに参加しない旨を回答したものとみなす
4 第二項の期間が経過したときは、建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又はこれらの者の全員の合意により区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者(以下「買受指定者」という。)は、同項の期間の満了の日から二月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議があつた後にこの区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含む。)の敷地利用権についても、同様とする。

円滑化法 第15条(区分所有権及び敷地利用権の売渡し請求)
組合は、前条第一項の公告の日(その日が区分所有法第六十三条第二項(区分所有法第七十条第四項において準用する場合を含む。)の期間の満了の日前であるときは、当該期間の満了の日)から二月以内に、区分所有法第六十三条第四項(区分所有法第七十条第四項において準用する場合を含む。)に規定する建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含み、その後に建替え合意者等となったものを除く。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議等があった後に当該区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含み、その後に建替え合意者等となったものを除く。)の敷地利用権についても、同様とする。
 
<争点>
①Yが円滑化法15条1項の「建替えに参加しない旨を回答した区分所有者」に当たるか
②Yの区分所有権等の時価がいくらか
 
<判断>
区分所有法63条の趣旨は、建替え決議に賛成しなかった区分所有者のうち、催告期間内に参加の回答をした者が建替えに参加し、それ以外の者は建替えに参加しないことを2か月の催告期間満了の時点で確定して、建替えに参加する者と建替えに参加しない者とを峻別し、建替えに参加しない者に対する売渡請求の手続を勧めることを可能にすることになる。
 
Yの回答は催告期間満了の時点では建替えに参加するのか否かが判明しないのであり、催告期間内に参加する旨を回答したということはできない
Yが「建替えに参加しない旨を回答した区分所有者」に当たる
売渡請求が有効。 

円滑化法15条1項の時価は、建替え決議の内容が予定されていることを前提とし、売渡請求の時点における区分所有権等の取引価格を客観的に評価した額であるとし、具体的に3360万円を算定し、Xの請求を認容。
 
<解説>
本件のYのような回答によって売渡請求の効果が左右されるとすれば、建替え決議の実効が著しく遅延するおそれがある。 

判例時報2253

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2015年3月17日 (火)

マンション1階の駐車場として使用されている建物部分が専有部分でなく、法定共用部分であるとされた事例

東京地裁H26.10.28   

マンション1階の駐車場として使用されている建物部分が専有部分でなく、法定共用部分であるとされた事例 
 
<事案>
マンションの1階部分の一部が専有部分が、法定共用部分かが争点になった事案。 
都内の10階建ての建物で、昭和46年に敷地の元所有者Aが建築。
1階部分(101号室)はAが区分所有し、その後、Aが代表者であるB株式会社に売却される等し、Aの死亡等の後、分割審判により、X1ないしX4が共有取得。
Y管理組合は、法人格のない社団であり、本件マンションの区分所有者らによって構成。
Yは、101号室に隣接する建物部分(本件建物部分)につきC株式会社に駐車場として賃貸。

X1らは、Yに対し、本件建物部分が専有部分であると主張し、主位的に所有権に基づき、予備的に共有持分権に基づく保存行為として、本件建物の部分の明渡し、賃料相当損害金の支払等を請求
 
<主張>
X1ら:構造上の独立性、利用上の独立性が認められると主張
Y:ピロティであると主張 
 
<判断>
マンションの建築等契約、マンションの設計図書、マンションの竣工、本件建物部分の現況、固定資産税等の課税関係、本件建物部分の利用関係を認定。 

構造上の独立性:
本件建物部分の北・東側部分に壁面がなく、完全に解放された状態であったこと(後に東側は、簡易な壁が設置された)等から、独立した物的支配に属する程度に他の部分と遮断されているものとはいい難い

利用上の独立性:
区分所有者らが自由に通行することが可能なピロティ兼通路であり、利用上の独立性があるということはできない

本件建物部分が専有部分ではなく、法定共用部分である等とし、X1らの請求を棄却。
 
<解説>
専有部分は、構造上の独立性利用上の独立性が要件であるとされ、最高裁も同様の立場に立つものと解される。 
本判決は、1階部分の構造等を認定した上、ピロティ兼通路であるとし、構造上の独立性、利用上の独立性を否定し、本件建物部分が専有部分でなく、法定共用部分と解したもの。

判例時報2245

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2014年9月20日 (土)

マンション管理規約における違約金としての弁護士費用の解釈

東京高裁H26.4.16   

マンション管理規約における「区分所有者が管理組合にに支払うべき費用を所定の支払期日までに支払わないときは、管理組合は当該区分所有者に対し、違約金としての弁護士費用を加算して請求することができる」旨の定めは合理的であり、違約金としての弁護士費用は、管理組合が弁護士に支払義務を負う一切の費用と解されるとされた事例 

<事案>
Xは、本件建物の区分所有者の全員をもって本件建物等の管理を行うために構成された団体(建物の区分所有者等に関する法律3条)であり、Yは、本件建物の居室の区分所有者。 
Xは、Yに対し、本件建物の管理規約に基づき、未払管理費(修繕積立金等を含む)、確定遅延損害金、弁護士費用、遅延損害金の支払を請求。

管理規約は、弁護士費用につき、「区分所有者が管理組合に支払うべき費用を所定の支払期日までに支払わないときは、管理組合は当該区分所有者に対し、違約金としての弁護士費用を加算して請求することができる」旨定める。

<原審>
弁護士費用については、管理規約に基づく実費相当額ではなく裁判所が相当と認める額に限定して認容。 

<判断>
本件管理規約の定める「違約金としての弁護士費用」の違約金とは、一般に契約を締結する場合において、契約に違反したときに、債務者が一定の金員を債権者に支払う旨を約束し、それにより支払われるもの。

債務不履行に基づく損害賠償を請求する際の弁護士費用については、その性質上、相手方に請求できない。・・・・衡平の観点から問題であり、管理規約により弁護士費用を違約金として請求することができるように定めている。

この定めは合理的なものであり、違約金の性格は違約罰(制裁金)と解するのが相当である。

違約金としての弁護士費用は、上記の趣旨からして、管理組合が弁護士に支払義務を負う一切の費用と解される。

<解説>

マンション管理規約における「区分所有者が管理組合に支払うべき費用を所定の支払期日までに支払わないときは、管理組合は当該区分所有者に対し、違約金としての弁護士費用を加算して請求することができる」旨の定めは合理的であり、違約金としての弁護士費用は、管理組合が弁護士に支払義務を負う一切の費用と解されると判示。


原判決:違約金としての性格を論じることなく、弁護士費用が確定金額ではないことから、実費相当額ではなく、当該事案につき請求等に要する裁判所の認定する相当額⇒本件訴訟で請求されている管理費等学、被告の対応、その他本件における諸般の事情を総合考慮して50万円。


本判決:違約金の性格は違約罰(制裁金)と解した上、弁護士費用は管理組合が弁護士に支払義務を負う一切の費用であり、実費相当額の102万円余とした。

違約者に過度な負担を強いることになり不合理である旨主張に対しては、そのような事態は、自らの不払い等に起因するものであり、自ら回避することができるものであるから、各別不合理なものではないと応答。

違約罰(制裁j金)と性格決定をしたとしても、過大請求が制裁されるべきことは一般法理であり、本判決は、102万円余りという額が不合理ではないと判断。


学説:標準管理規約にいう違約金としての弁護士費用の性格は、規定の定め方から、債務不履行による損害賠償(遅延損害金)とは別途に請求することのできる制裁金と解する見解。

判例時報2226

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2013年5月 6日 (月)

マンション管理費とインターネット利用料

広島地裁H24.11.14   

マンション管理組合が区分所有者に対し、管理費としてインターネット利用費をその利用の有無にかかわらず請求できると規定した同組合の規約が適法とされた事例

<事案>
管理組合(X)がマンションの区分所有者であるYに対し、本件管理規約に基づき、管理費等合計18万9442円(インターネット利用料金10万2060円を含む)の支払を求めた。
Yは、インターネット利用料金の支払義務を争った。

<判断>
本件インターネットサービスを利用しなくても、そのことによって本件マンションの資産価値が増し、これらに要する費用についても、本件マンションの資産価値の維持ないし増大に資するものといえ、区分所有者は、本件インターネットサービスの利用の有無にかかわらず、その費用支出による利益を受けているなど判示の事情を総合すれば、本件インターネットサービス利用の有無を考慮することなく一律にインターネット利用料金の支払を負担すべき旨規定する本件管理規約は、建物区分所有法30条3項の趣旨に照らしてみても、区分所有者間の利害の衡平が図られていない故に無効とまでは言えない
⇒Yの主張を排斥。

<解説> 
マンションの管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、規約で定めることができるとされているところ、マンションの管理業務によって発生する管理費の負担等については、規約によって定められている。 
管理費に含まれるか否かで問題となるものに、修繕積立金、火災保険料、地代、固定資産税、自治会費、町会費などがある。

http://www.simpral.com/hanreijihou2013zenhan.html

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2012年10月 4日 (木)

マンション管理

①本件修繕工事については、総会が実施することを議決したが、理事会は、すべてにおいてその執行が義務付けられているものではなく、執行する権限が授与されたものというべき。

理事会が本件修繕工事を実施するにあたっては、理事会に一定の裁量が認められているというべき。

東京地裁H24.3.28

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