賃貸借

2015年3月14日 (土)

建物内で1年数か月前に居住者が自殺したことを知りながら賃借人に告げずに賃貸借契約を締結したことと不法行為(肯定)

大阪高裁H26.9.18   

建物の賃貸人がその建物内で1年数か月前に居住者が自殺した事実があったことを知っていながら故意に賃借人に告げずに賃貸借契約を締結したことが不法行為を構成するとされた事例 
 
<事案>
もと訴外Aが所有⇒競売によりYが取得。
Yは、Xに、本件マンションを賃料1か月8万円で賃貸し、引渡した。
本件マンション内で賃貸契約の1年数か月前に居住者が自殺との事実が判明⇒平成24年9月20日、本件賃貸借契約を解除し、同年10月19日に本件マンションから退去。

Xは、Yに対し、Yは、本件マンション内で過去に居住者が自殺した事実があったことを知っていたのに、これを秘匿して本件マンションの賃貸借契約を締結し、これによりXの法律上保護される利益を侵害した⇒不法行為又は債務不履行に基づき、144万円余の損害賠償を請求。
 
<判断>
Yは、本件賃貸借契約当時、本件マンション内で1年数か月前に居住者が自殺した事実があることを知っていた。
信義則上、Xに対し、右の事実を告知すべき義務があった
Yは、右義務に違反し、故意に右事実を告知せず、賃貸借契約を締結した⇒不法行為を構成する。
 
<解説>
不法行為による行為には不作為も含まれるところ、不作為が違法となるためには作為義務が必要であるが、その義務の法源については、法令の規定、契約、慣習もしくは条理などがある(四宮)。 

物の瑕疵とは、目的物が通常有すべき品質・性能、又は、当事者が特に合意した場合にはその合意した場合にはその合意した品質・性能を欠くこと。
裁判例では、いわゆる「自殺物件」のような「心理的瑕疵」も含むとされている。

本件は、マンションの賃貸契約にあたり、貸主がその内で居住者が自殺したことの事実を知りながら賃借人に告知しなかったことが信義則上の義務に違反するとして不法行為の成立を認めたもの。

判例時報2245

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