商標法

2017年4月 9日 (日)

商標権に基づく権利行使が権利濫用に当たるとされた事例

東京地裁H28.6.30       
 
<事案>
X1は、亡Aの相続人であり、X2はX1が代表取締役を務める会社。
Xらは、亡Aの死後、極真会館において従前使用されていた極真関連の標章について商標登録出願をし、その商標権者となった。 

Xらが、YによるY各標章の使用がXらそれぞれに有する商標権を侵害していると主張し、Yに対し、それぞれ、
①商標法36条1項に基づき、Y各標章の使用の差止めを求めるとともに、
②不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害賠償及び遅延損害金の支払を求めた。
 
<争点>
①Xらの請求が権利濫用に該当するか
②損害の有無及び額 
 
<判断>
①Xらの本件各商標と類似するY標章が、亡Aの死亡当時から現在に至るまで、空手愛好家の間において極真会館又はその活動を表すものとして広くしられている
②極真会館の支部長が、亡Aの生前において、Y各標章を含む極真関連の標章を基本的に自由に使用していた
③Bが、亡Aの生前において、各種の空手大会で実績を残し、極真会館の支部長として極真空手の教授等を行っていた
④B及びYが、亡Aの死後、国内外で大規模に極真空手の教授等を行っている

Y各標章の周知性及び著名性の形成、維持及び拡大に対し、亡Aの生前においては、亡A及び同人から認可を受けたBを含む極真会館の支部長らの寄与があり、亡Aの死後においては、B及び同人が代表取締役を務めるYの大きな寄与があった。

Xらについて、X1が極真会館の館長ないし総裁たる地位を亡Aから承継したとはいえず、極真会館を称して極真空手の教授等を行う複数の団体の1つにすぎない。
Xらが、国内外においてB及びYが各標章を使用して大規模に極真空手の教授等を行っていたことを認識していたにもかかわらず、Xらが合理的な理由もなく、早期に本件各商標に係る商標登録出願を行わなかった。
XらのYに対する本件請求は権利濫用に該当
 
<解説>
商標権侵害訴訟においては、商標権の行使が権利濫用に該当するとの抗弁が提出されることが少なくない。 

最高裁H2.7.20(ポパイ事件):
客観的な公正な競業秩序を維持することが商標法の法目的の1つ
商標権に基づく権利行使であっても、客観的に公正な競業秩序を乱すものと認められる場合には、権利濫用として許されない

下級審裁判例において、商標権の行使が権利濫用であると認められた裁判例:
A:登録商標に商標権者独自の信用が化体しておらず、正当に標章が帰属すべき第三者が存在する場合
A①:権利取得過程に濫用がある場合
A②:権利行使段階での濫用がある場合
B:商標登録自体に問題がある場合
C:相手方の行為が正当に評価される場合
C①:相手方が正当に標章が帰属すべき第三者から許諾を得ている場合
C②:商標法上の抗弁が成立しそうな場合
D:商標権に対する実質的な侵害が存在しない場合
に分類

権利濫用の抗弁は、個々の事案によって権利の取得経過や取得意図・権利行使の態様、相手方の使用の態様等の事情を総合的に利益衡量することによって、妥当な結論を導く道具として有用であるとの指摘。

判例時報2319

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2017年3月 2日 (木)

「フランク三浦」事件

知財高裁H28.4.12      
 
<事案>
Yが無効審判請求⇒特許庁が、本件商標は商標法4条1項10号、11号、15号及び19号に該当する商標であるとして無効審決⇒Xが審決取消訴訟を提起。 
 
<規定>
商標法 第4条(商標登録を受けることができない商標)
次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十一 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)

十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)
 
<判断>
●本件商標は、 商標法4条1項10号、11号、15号及び19号のいずれにも該当しない旨判断し、審決を取り消した。
 
●商標法4条1項11号該当性
最高裁昭和43.2.27(しょうざん事件)を引用し、
Yの使用する「フランク ミュラー」ないしは「フランク・ミュラー」の文字から成る商標(Y使用商標1)と、これの語源となった「FRANCK MULLER」の文字から成る商標(Y仕様商標2)は、本件商標の商標登録出願時及び登録査定時においては、外国の高級ブランドとしてのYの商品を表示するものとして、我が国においても、需要者の間に広く認識され、周知となっていた。

本件商標と引用商標1の類否を検討し、両者は
呼称において類似するものの、
②その外観において明確に区別し得る
③本件商標からは、「フランク三浦」との名ないしは名称を用いる日本人ないしは日本と関係を有する人物との観念が生じるのに対し、Y仕様商標1と同一の更正である引用商標1からは、外国の高級ブランドであるYの商品の観念が生じる⇒両者は観念において大きく相違
本件商標及び引用商標1の指定商品において、もっぱら商標の呼称のみによって商標を識別し、商品の出所が判別される実情があることを認めるに足りる証拠はない

本件商標及び引用商標1が同一又は類似の商品に使用されたとしても、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるとはいえない

本件商標は引用商標1に類似するものということはできない。

●類似性を否定⇒商標法4条1項10号及び19号該当性も否定
 
●商標法4条1項15号該当性 
最高裁H12.7.11(レールデュタン事件)を引用し、
①Y仕様商標は、外国ブランドであるY商品を使用するものとして周知であり、
②本件商標の指定商品はYの商品と、その性質、用途、目的において関連し、本件商標の取引者及び需要者は共通する
but
③本件商標とY仕様商標とは、生じる呼称は類似するものの、外観及び観念が相違し、かつ
④本件商標の使用商品において、呼称のみによって商標を識別し、商品の出所を判別するものとはいえないものであって、
⑤かえって、・・・商品の外観を示す写真を掲載して宣伝広告⇒本件商標の指定商品のうちの「時計」については、商品の出所を識別するに当たり、商標の概観及び観念も重視される
⑥その余の指定商品についても、時計と性質、用途、目的において関連するものであるから、これと異なるものではない
⑦Yがその業務において日本人の姓又は日本の地名を用いた商標を使用している事実はない

本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準としても、本件商標を前記指定商品に使用したときに、
当該商品がY又はYと一定の緊密な営業上の関係若しくはYと同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信させるおそれがあるとはいえない


本件商標が「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当するものとは認められない
 
<解説>
パロディ的商標を扱った各裁判例においては、当該商標がパロディに当たるかどうかを判断するのではなく、あくまで、当該事案において問題となった商標が商標法4条1項各号に該当するか否かという観点から判断。 

判例時報2315

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2017年2月11日 (土)

標章の使用差止等請求の権利濫用(肯定)、不正競争防止法2条1項1号、2号の類似性

東京地裁H27.11.13      
 
<事案>
化粧品の製造販売業等を営むXが、通信機器等の輸入・販売業を営むYに対し、
①Yの使用する「DHC-DS」等の標章はXの商標「DHC-DS」と同一又は類似であるなどと主張して、商標法36条1項及び2項に基づき、前記標章の使用差止等を求めるとともに
②Yの使用する「DHC-DS」等の商標表示はXの著名ないし周知な商標等表示である「DHC」等に類似するなどと主張して、不正競争防止法2条1項1号及び2号、同法3条1項及び2項に基づき、「DHC-DS」等の表示の使用差止等を求めた事案。

Yは、
前記①の請求に対しては権利の濫用の抗弁を主張し、
前記②の請求に対しては不正競争防止法2条1項1号及び2号の類似性をいずれも否認。
 
<規定>
商標法 第36条(差止請求権)
商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 商標権者又は専用使用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

不正競争防止法 第3条(差止請求権)
不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

不正競争防止法 第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二 自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
 
<判断>
●商標権
①台湾DHCはその設立から30年近くを経た会社であり、諸外国で「DHC」の商標権を取得している上、バッテリーテスター等について相当な販売実績を有している。
②Yは従前、台湾DHCから輸入したバッテリーテスター等に「DHC JAPAN」との標章を付していたが、Xから当該標章の使用中止要請を受けて交渉する中で、Xの利益に一定程度の配慮をして「DHC-DS」という標章に変更した。
③XはYの使用する標章をめぐって交渉を積み重ねている中で、Yが譲歩を示して、当初Xから商標権の侵害であるとして使用の中止を求められた「DHC-JAPAN」を「DHC-DS」という標章に変更してこれを使用していることを十分認識しながら、Yとの交渉が条件が折り合わずに暗礁に乗り上げたとみるや、自らの標章につき不使用取消審判を受けているにもかかわらず、あえてYの使用していた「DHC-DS」の文字につき、指定役務にわざわざバッテリーテスターを含めた上で、商標として出願し、その登録を得ると、直ちにこれをYに対して行使した。
④Xは化粧品、健康食品、アパレル等の商品を販売する会社であって、バッテリーテスター等の製造・販売を行ったことはなく、ましてやバッテリーテスター等の製造・販売に当たって「DHC-DS」との商標を使用する具体的な意思があったともうかがわれない

Xが「DHC-DSの商標権に基づいてYの「DHC-DS」の使用を差し止めることは、権利の濫用に当たり許されない
 
●不正競争防止法
◎不正競争防止法2条1項1号の類似性判断
取引きの実情のもとにおいて、取引者又は需要者が両表示の外観、呼称又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両表示を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するのが相当である(最高裁昭和58.10.7)の基準を引用。
①Xの「DHC」との表示とYの「DHC-DS」との表示を比較すると、外観及び呼称においては共通する部分もあるものの、全体として異なるものと言わざるを得ない。
②観念についてみても、前記各表示はいずれも造語であると認められ、何らの観念も生じない
③Xの宣伝活動は化粧品、健康食品、アパレル等の分野に限られていて、バッテリーテスター等の製造・販売事業を行っていない
④他方で、台湾DHCはその設立から30年近くを経た会社であり、諸外国で「DHC」の商標権を取得している上、バッテリーテスター等について相当な販売実績を有している。
⑤他にも「DHC」の商標につき商標権を取得している会社は複数あって、少なくとも「DHC-DS」等から観念される営業主体はXだけに限られない

不正競争防止法2条1項1号にいう類似性があるとまではいえない
 
◎不正競争防止法2条1項2号の類似性判断 
同項1号におけるそれとは基本的には同様であるが、両規定の趣旨に鑑み、同項1号においては、混同が発生する可能性があるか否かが重視されるべきであるのに対し、同項2号にあっては、著名な商品等表示とそれを有する著名な事業主と1対1の対応関係を崩し、希釈化を引き起こすような程度に類似しているような表示か否か、すなわち、容易に著名な商品等表示を早期させるほど類似しているような表示か否かを検討すべきものと解するのが相当である。

仮にXの「DHC」との表示に著名性が認められるとしても、Yの「DHC-DS」において、容易にXの「DHC」との表示を想起させるほどこれに類似しているとまでいうことは困難
Xの請求をいずれも棄却
 
<解説>
●商標権の行使と権利の濫用
最高裁H2.7.20(POPEYE商標事件):
漫画の主人公の観念、呼称を生じさせる登録商標の商標登録出願当時、既にその主人公の名称が漫画から想起される人物像と不可分一体のものとして世人に親しまれていた場合において、右主人公の名称の文字のみから成る標章が右漫画の著作権者の許諾に基づいて商品に付されているなど判示の事情の下においては、右登録商標の商標権者が右標章につき登録商標の商標権の侵害を主張することは、権利の濫用として許されない。

●不正競争防止法2条1項1号、2号の類似性判断
不正競争防止法2条1項1号の類似性判断につき、最高裁昭和58.10.7は、
取引きの実情のもとにおいて、取引者又は需要者が両表示の外観、呼称又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両表示を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準とする旨を判示。

不正競争防止法2条1項2号の類似性判断について、
学説上
基本的には同項1号における判断基準と同様としつつも、
同項2号の保護目的がただ乗り(フリーライド)、希釈化(ダイリューション)、汚染(ポリューション)等の防止にある

その類似性については、著名な商品等表示とそれを有する著名な事業主との1対1の対応関係を崩し、希釈化を引き起こすような程度に類似しているような表示か否か、すなわち、容易に著名な商品等表示を想起させるほど類似しているような表示か否かで判断すべきものとの説が有力。

判例時報2313

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2016年9月 4日 (日)

入浴施設についての商標権侵害主張事案(否定)

知財高裁H27.11.5      
 
<事案>
「入浴施設の提供」を指定役務とする原告商標に係る商標権を有する被控訴人が、控訴人が運営する入浴施設において被告標章を使用することについて、原告商標権を侵害すると主張して、控訴人に対して
①商標法36条1項に基づき、被告施設の外壁・掲示物、送迎用車両、ウェブサイト及び広告物等への被告標章の使用の差止め
②同条2項に基づき、外壁・掲示物等からの被告標章の抹消並びに被告標章を付した広告物の廃棄を求めるとともに
③商標権侵害の不法行為による損害賠償請求権(同法38条3項)に基づき、原告商標の使用料相当損害金1億1149万697円のうち、一部請求として、8000万円及び弁護士費用400万円の支払を求めた事案。
 
<規定>
商標法 第37条(侵害とみなす行為)
次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
 
<原判決>
被告標章は、原告商標に類似する⇒被控訴人が被告施設について被告標章をを使用する行為は、原告商標権を侵害するものとみなされる(商標法37条1号)。

被控訴人の請求を
①差止め
②抹消及び廃棄
③損害賠償のうち1234万9069円の支払を求める限度で認容 
 
<判断>
原判決中控訴人敗訴部分を取り消し、同部分について被控訴人の請求をいずれも棄却。 

原告商標上段部分の「ラドン健康パレス」及び下段部分の「湯~とぴあ」の各部分は、指定役務との関係では、いずれも出所識別力が弱い。
原告商標における「ラドン健康パレス」と「湯~とぴあ」は不可分一体として理解されるべき
⇒原告商標については、上段部分の「ラドン健康パレス」と下段部分の「湯~とぴあ」の部分を分離観察せずに、全体として一体的に観察して、被告標章との類否を判断するのが相当。

被告標章における「湯~トピア」と「かんなみ」は不可分一体として理解されるべき。

被告標章の上段部分の「湯~トピア」と「かんなみ」の部分を分離観察せずに一体的に観察して、原告商標との類否を判断するのが相当。

③原告商標と、被告標章のうち強く支配的な印象を与える部分である「湯~トピアかんなみ」・・・とは、称呼及び観念を異にするものであり、また、外観においても著しく異なることが明らか。
全国の入浴施設については、同一の経営主体が各地において同様の名称を用いて複数の施設を運営することがあり、原告商標及び被告標章にはいずれも「ユートピア」と称呼される「湯~とぴあ」又は「湯~トピア」の文字部分が含まれていることを考慮しても、原告商標と被告標章との外観上の相違点、原告施設及び被告施設以外で、「湯ーとぴあ」又はこれに類する名称を用いた施設が全国に相当数存在すること、被告施設の所在地、施設の性格及び利用者の層などの事情をも考慮すれば、原告商標と被告標章とが、入浴施設の提供という同一の役務に使用されたとしても、取引者及び需要者において、その役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認めることはできない
 
<解説>
●結合商標と分離可能性

最高裁:
結合商標各構成部分についてそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものと認められる場合には、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。
but
商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許される場合
①商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合
それ以外の部分から出所識別標識としての呼称、観念が生じないと認められる場合。
商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められない場合には、一部のみ抽出して比較できる。

本件では、「入浴施設の提供」という役務との関係で、「湯ーとぴあ」又はこれに類する名称を用いた施設が全国に相当数ある
この部分が識別力との関係で弱いものと認定され、これを分離して商標そのものの類否を判断することは許されない
 
●商標の類否判断 
商標権侵害訴訟における商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであり、そのためには、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべき。
かつ、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべき。

商標の外観、観念又は呼称の類似は、その商標を使用した商品につき出所を誤認混同するおそれを推測させる一応の基準に過ぎず、三点のうち類似する点があるとしても、他の点において著しく相違するか、又は取引の実情等によって、何ら商品の出所を誤認混同するおそれが認められないものについては、これを類似商標と解することはできない
以上、最高裁。

判例時報2298

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2016年8月10日 (水)

商標法50条所定の「使用」の意味

知財高裁H27.11.26      
 
<事案>
原告が、商標法50条に基づいて本件商標の商標登録の取消を求める審判⇒取消しを否定する審決⇒審決取消訴訟 

  <規定>
商標法 第50条(商標登録の取消しの審判)
継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。
・・・
 
<判断>
本件行為(被告が、本件商標が付された個装箱で包装したメタルハライドランプ水中灯を納品した行為)を認定し、本件行為は、商標法50条所定の「使用」の事実に該当する。

商標法50条所定の「使用」は、当該商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではない
 
<解説>

商標法50条に規定される不使用取消審判制度は、不使用の登録商標に対して排他独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつその存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭める
⇒請求によりこのような商標登録を取り消す趣旨。

商標法50条2項本文は、商標登録の不使用取消審判の請求があった場合において、被請求人である商標権者が登録商標の使用の事実を証明しなければ、商標登録は取消しを免れない旨規定。

これは、登録商標の使用の事実をもって商標登録の取消しを免れるための要件とし、その存否の判断資料の収集につき商標権者にも責任の一端を分担させ、もって前記審判における審判官の職権による証拠調べの負担を軽減させたものであり、商標権者が審決時において前記使用の事実を証明したことをもって、前記の取消しを免れるための要件としたものではない(最高裁H3.4.23)。

商標登録不使用取消審判の取消訴訟の訴訟物は、当該行政処分たる同審決の違法性一般
商標登録の不使用取消審判で審理の対象となるのは、その審判請求の登録前3年以内における登録商標の使用の事実の存否

商標の使用の事実の立証責任は、商標権者にある(商標法50条2項)。
but
商標登録の不使用取消審判の審決の取消訴訟における当該登録商標の使用の事実の立証は、事実審の口頭弁論終結時に至るまで許される(最高裁H3.4.23)。⇒訴訟に至って使用の有無が争われ、新たな立証がされることも少なくない。
 

商標権侵害訴訟においては、商標法36条、25条の「登録商標の使用をする権利」、37条の「登録商標に類似する商標の使用」とし、「商標の使用」が問題となり、商標法2条3項に使用の定義がされているところ、商標権侵害訴訟においては、出所表示機能を発揮するような使用(商標的使用)でなければならないと解釈され、商標の26条1項6号にその趣旨が明文化。

登録商標取消審判においても、商標法50条の「登録商標・・・の使用」、51条の「登録商標に類似する商標の使用」など、「商標の使用」が問題となるところ、
A:商標的使用でなければならない
B:商標法2条3項の文言どおりに使用されていれば足りる
との見解が対立しているところ、
本判決はB説の見解を明確に示したもの。

判例時報2296

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2016年5月28日 (土)

被告標章の商標的使用の否定、類似性の否定⇒差止め・損害賠償請求否定。

大阪地裁H26.6.26      
 
<事案>
Yによるウェブサイト上でのY標章及びドメイン名の使用が、X商標権の侵害に当たるとして、X商標の商標権者であるXが、Yによる使用行為の差止め・損害賠償を請求した事案 

X商標:
片仮名文字「ライサポ」
指定役務:
第39類:車両による輸送・車椅子の貸与など
第42類:高齢者や身障者への介護又は監護・福祉機器の貸与など
Yは、ウェブサイト上で「ライサポいけだ」などY標章が使用
平成26年2月3日に、Yによりこれらは解約され又は閲覧不可となった。

Y標章:「ライサポいけだ」
ドメイン名:lispo-ikeda
 
<争点>
①Y標章がX商標に類似するか
②Y標章が商標として使用されているか
③Y使用のドメイン名が、X商標に類似するか
④Xの被った損害額
 
<判断>
●争点②について 
ウェブサイト1につき、
①Yによる障害者のための居宅介護事業等の実施の旨が記載されていものの、事業の具体的内容、料金、利用を促す勧誘の文言や申込みの手順や方法等が開示されていない。
特定非営利法人であるYの事業内容等を啓発活動等を含め、社会全般に広く紹介することを目的としたもの。
②同サイト内におけるY標章の使用態様も「特定非営利活動法人 ライフサポートネットワークいけだ」と最も目立つ場所に大きく記載された上で、バナー、リンクテキスト、イラストなしい記述的文書中で、略語として「ライサポいけだ」と記載しているにすぎない
ウェブサイト2についても、Yの職員等が日記風に出来事を記載しているのみで、役務の広告とはいえず、「ライフサポートネットワークいけだのブログ」とのタイトルの下、記述的文書中で略語として使用

ウェブサイト1及び2上におけるY標章の使用は商標としての使用ではない
 
●争点①について
類似の判断につき、Yの「標章の現実的な使用を前提に、誤認混同のおそれを判断すべき」。
①ウェブサイトの閲覧者は、・・・Y標章がYの正式名称の略語であることが容易に認識される。
②Y標章事態についても池田市に本拠を置く生活を支援する目的の団体であるとの観念を抱く。

Y標章は一体として認識され、「ライサポ」のみを抽出されることはなく、前記のような観念を抱かせるもの⇒X商標との間の誤認混同のおそれはなく類似しない。
 
●争点③について
Yのドメイン名につき、要部を「lisapo-ikeda」とした上で、X商標との間で、外観、呼称、観念について対比を行ったうえで、いずれについても類似する要素がない
 
<解説>

商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有(商標法25条)、
商標権を侵害するおそれのある者に対し差止め(商標法36条)及び損害賠償(民法709条)を請求できる。
また、商標法37条では、侵害とみなされる行為が列挙されている。

「使用」の要件を定義することで、具体の混同のおそれを問うことなく形式的に侵害の判断を行われることとなり、これにより保護範囲の明確化が図られることとなる。
商標法2条3項各号における「使用」の定義に形式上該当したとしてしても、出所識別機能を果たさない態様で使用されている場合には商標としての使用に当たらないことから、商標権侵害とならないとする判例理論が確立。
 

「商標」は標章のうち、業として使用されるものとされ(商標法2条1項)、「使用」は商標法2条3項各号に定義されている。
商標の定義のうち、「業として」とは、営利目的であることを要さず、一定の目的の下で反復継続して行うことと理解されている。
 
不正競争防止法2条1項1号における「営業」概念については、商工業のみならず、医療、文化事業や慈善事業なども該当するとされ、
裁判例(東京地裁H24.6.29)でも、「不正競争防止法2条1項1号にいう「営業」とは、営利を直接の目的として行われる事業に限らず、役務又は商品を提供してこれと対価関係に立つ給付を受け、これらを収入源とする経済収支の計算に基づいて行われる非営利事業も含むものと解される」とし、当該権利能力なき社団の「事業活動は、経済上の収支計算の上に立って経済秩序の一環として行われる事業活動としての性格を有するもの」として営業に該当する。 

「業として」の意義やこれら不正競争防止法に関する判示に照らせば、事業の具体的内容、料金、利用を促す勧誘の具体的内容、料金、利用を促す勧誘の文言や申込みの手順や方法等が開示されていないことから、特定非営利法人たるYの活動を社会に広く紹介することを目的であるとしても、必ずしも商標的使用を否定する要素ととらえることとはならず、Yによる障碍者のための居宅介護事業等が実施されていることが記載されていることを踏まえれば、試用が肯定された可能性も否定できない

判例時報2285

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2016年5月14日 (土)

「養命茶」との登録商標が、商標法4条1項1号に該当するとされた事例

知財高裁H27.10.29    

<事案>
Yは、商標法4条1項11号、15号及び19号違反を理由として、Xの本件商標の無効審判請求⇒特許庁は、同15号に基づき無効と判断⇒Xが当該審判取消しを求めて本件訴訟を提起。
 
<Xの主張>
①引用商標及び本件商標から「養命」部分を分離抽出した審決の認定は誤り
②Yの義務との混同を生ずるおそれはない 
 
<規定>
第4条(商標登録を受けることができない商標)
次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)
 
<判断>
商標法4条1項15号該当性を認めた審決の判断を維持。

同15号の「混同を生ずるおそれ」の判断にあたり、レールデュタン事件判決(最高裁H12.7.11)を引用。

Y商品が「養命酒」との名称の薬用酒として、一般需要者の間に極めて高い著名性を獲得していることを認定。

引用商標の「酒」部分は、普通称としての酒(薬用のものを含む。)を示すものとして、本件商標の「茶」は、指定商品である茶飲料そのものか、その加工品等の品質、性状を示すものとして、それぞれ自他識別力は乏しい一方、「養命酒」が薬用酒の中でも極めて著名なブランドとして通用していた⇒「養命」部分は、「基幹部分」として認識される。
本件商標と引用商標を対比して、両商標は、類似する。

本件商標とY商品は、健康志向の飲料である点で共通し、茶を原料とする加工品についても、健康維持に関心のある者を需要者層とし、薬局やドラッグストアにおいて取り扱われ、取引者層を共通
本件商標の指定商品とY商品とは密接な関係を有する。

Xが取引者及び需要者をY商品と共通する本件商標を指定商品に使用した場合、これに接した取引者、需要者は、極めて高い著名性を有する「養命酒」の表示を連想し、「茶」という飲料を合わせて用いられる「養命茶」とは、養命酒の姉妹商品として、Yの出所に係るものと誤認するか、あるいは、当該商品がYとの間にいわゆる親子関係や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信され、商品の出所につき誤認を生じさせる
 
<解説>

商標法4条1項15号は、商標の不登録事由として、同10号ないし14号以外で混同を生ずるおそれのある商標を一般的抽象的に定めた規定。

同15号が必要となる場面は、出願商標と他人の商標との関係で、
①商標が同一又は類似で、商品・役務が非類似である場合、
②商標が非類似であるが、商品・役務が同一又は類似である場合、
③商標が非類似で商品・役務が非類似である場合
等広く考えられる。

「混同の生ずるおそれ」には、商品・役務の出所の同一性の誤認(狭義の混同)のほか、出願人の商品・役務が、他人との間に親子関係や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品・役務と誤認すること(広義の混同)が含まれる。

15号該当性の判断に当たっては、様々な事情を総合考慮する必要。

レールデュタン事件判決(最高裁H12.7.11):
「当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知・著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである」旨述べ、この判断基準が実務に定着。
 

本件の判断対象は、あくまで、商標法4条1項15号の「混同を生ずるおそれ」の有無であり、同11号の判断に当たっては、必ずしも類似性が明白でない商標であっても、同項15号に該当することが十分あり得る。 
 

本判決は、極めて著名な引用商標の一部を共通に含む本件商標に係る「混同を生ずるおそれ」の判断に際し、その一要素としての商標の類似性の程度の判断において「基幹部分」を観念し、「姉妹品」であるなどとして出所を誤認するとして、商標法4条1項15号に該当すると認めたもの。 

判例時報2284

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2016年1月25日 (月)

商標の類否判断につき、非類似の主張が訴訟上の信義則に反し、許されないものとされた事例等

知財高裁H26.12.17 
   
1.商標の類否判断につき、非類似の主張が訴訟上の信義則に反し、許されないものとされた事例
2.商標の類似を認めた事例
3.不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為を認めた事例
 
<事案>
X1は、被控訴人商標1及び2の商標権を有する自然人であり、X2社は、これらの商標の独占的通常使用権を有する者。
X1及びX2社が、Y社は、被控訴人商標1及び2に類似する控訴人標章1から6を付した洋服等を使用し、その行為によって、X1の前記商標権を侵害し(商標法37条1号、2条3項1号、2号、8号)、また、X2の前記独占通常使用権を侵害する不正競争行為に及んでいる(不競法2条1項1号)として、Y社に対し、
①X1において、商標法36条1項及び2項に基づき、上記侵害行為の差止め及び控訴人標章1から6を付した洋服等の廃棄など侵害の予防に必要な行為を求め、
②X2社にいおいて、不競法4条、5条2項、民法709条に基づき、損害賠償金1億6500万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案。

Y社は原審に不出頭⇒擬制自白が成立⇒X1及びX2の請求を全て認容する内容の欠席判決。

<規定>
商標法 第37条(侵害とみなす行為)
次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用

不正競争防止法 第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

<主な争点>
Ⅰ商標の類否判断につき、非類似の主張が訴訟上の信義則に反し、許されないものか否か
Ⅱ商標類否
Ⅲ不競法2条1項1号所定の不正競争行為の存否
 
<判断>
●争点Ⅰについて 
争点:
①X1において平成24年に被控訴人商標1を引用商標として控訴人標章1の指定商品の一部についての登録無効審判請求をし、特許庁は、同請求のとおりの無効審決をしたこと、②Y社は、控訴人標章1についての別件審決の取消しを求めて審決取消訴訟を提起したが、請求棄却の判決を受けたこと、③Y社は、上告及び上告受理申立てをしたが、上告棄却及び上告不受理の決定を受け、控訴人標章1についての別件判決が確定したことから、控訴人標章1と被控訴人標章1とが非類似であるというYの本件における主張が、控訴人標章1についての別件審決取消訴訟を蒸し返すものとして、訴訟上の信義則に反し、許されないか?

判断:
①本件訴訟は、いわゆる侵害訴訟であり、民事訴訟であるから、特許庁による審決の取消しを求める行政訴訟である控訴人標章1についての別件審決取消訴訟とは、訴訟物が異なる
②訴訟の当事者も、控訴人標章1についての別件審決取消訴訟がX1とY社との間の訴訟であったのに対し、本件訴訟は、X1及びX2社とY社との間の訴訟
but
①の点に関しては、本件訴訟及び控訴人標章1についての別件審決取消訴訟は、控訴人標章1と被控訴人商標1との類否という争点を共通にしている、
②の点について、本件訴訟も、実質においては、X1とY社との間の訴訟と同視できるというべき。

控訴人標章1と被控訴人商標1とが非類似であるというY社の本件における主張は、実質において、控訴人標章1と被控訴人商標1との類否判断につき、既に判決確定に至った控訴人標章1についての別件審決取消訴訟を蒸し返すもの
訴訟上の信義則に反し、許されない
 
●争点Ⅱについて
控訴人標章2から6と被控訴人商標1との類否について、外観に関し
図形と文字から成る結合商標である控訴人標章4から6につき、図形部分を要部と認め、
控訴人標章2及び3並びに控訴人標章4から6の各要部である図形部分と、被控訴人商標1とが外観において類似している旨を認定。

呼称及び観念に関し、①控訴人標章2及び3と、被控訴人商標1とは、いずれも特定の呼称を生じない点及び「頭蓋骨と骨」との観念を生じる点において共通している、②控訴人標章4から6と、被控訴人商標1とは、いずれも「頭蓋骨と骨」との観念を生じる点において共通しており、呼称については、控訴人標章4から6は、「アールオーイーエヌ」及び「ロエン」の称呼を生じる点において、特定の呼称を生じない被控訴人商標1と相違するが、同相違は、外観上の共通点及び観念の同一性を凌駕するものとはいえない
⇒控訴人標章2から6は、被控訴人商標1に類似する。
 
●争点Ⅲについて
称呼として提出された多数のファッション雑誌において、被控訴人商標1及び2と同一又は類似の標章を付したX2社の商品が掲載されている状況を詳細に認定し、被控訴人商標1及び2は、遅くとも平成20年8月1日の時点において、既にX2の商品を表示する商品等表示として、消費者やファッション関係者である需要者に周知されていたものと認められる。

Y社が控訴人標章1から6又はこれに類似する標章を付した商品を販売し、また、販売のために展示したことなどを認定し、これらをもって、不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当する旨認めた。
 
<解説>
結合商標の類否判断についての最高裁の基準
複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であるとと思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において、その構成部分の一部を抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない
他方、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対して商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての呼称、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許される

判例時報2275

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2016年1月 4日 (月)

地域団体商標の効力についての裁判例

福岡高裁H26.1.29    

1.地域団体商標と被控訴人標章との類似性が否定された事例
2.地域団体商標の効力と、商品の普通名称等に商標権の効力が及ばない旨を規定した商標法26条1項2号等との関係について判断し、地域内アウトサイダーが当該地域団体商標を使用する場合であっても、当該使用態様が自他商品の出所識別機能を害するものである場合は、同号に該当するということはできないとした事例
3.地域団体商標に係る商標について、不正競争防止法における周知商品等表示および著名商品等表示該当性が否定された事例
4.地域団体商標に係る商標権に基づく権利行使が権利の濫用に当たるとされ認められなかった事例 
 
<事案>
Xが、Yらに対して、Yらの行為は、本件商標と類似しているため本件商標権を侵害すること、また、Xの組合員の商品とYらの商品の商品等表示が類似しているため市場に混同を生じさせている
⇒Yらに対し、商標法及び不正競争防止法に基づいて、Y標章の使用等の差止め等を求めた事案。 
 
<規定>
商標法 第26条(商標権の効力が及ばない範囲)
商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない
二 当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。次号において同じ。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標
三 当該指定役務若しくはこれに類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期又は当該指定役務に類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標

商標法 第32条の2
他人の地域団体商標の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。

不正競争防止法 第19条(適用除外等)
第三条から第十五条まで、第二十一条(第二項第七号に係る部分を除く。)及び第二十二条の規定は、次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為については、適用しない
一 第二条第一項第一号、第二号、第十三号及び第十五号に掲げる不正競争 商品若しくは営業の普通名称(ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称であって、普通名称となったものを除く。)若しくは同一若しくは類似の商品若しくは営業について慣用されている商品等表示(以下「普通名称等」と総称する。)を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をし、又は普通名称等を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同項第十三号及び第十五号に掲げる不正競争の場合にあっては、普通名称等を普通に用いられる方法で表示をし、又は使用して役務を提供する行為を含む。)
 
<原審>
X商標とY標章の類似性について言及せずに、Y標章に対する商標法26条1項2号の適用を肯定⇒商標法による請求を棄却。

不正競争防止法に基づく請求も、商品の普通名称を普通に用いられる方法で使用⇒法19条1項1号に該当するとして否定。

Xの請求に対するYらによる権利の濫用の主張を認め、請求を棄却。

①本来であれば、Y1は、商標法32条の2第1項に基づいてX商標を使用する権利(先使用権)を有したはずであったが、Yらは、現在それを使用せずに、Y標章を使用している⇒Y1において、法32条の2第1項が主張できるとは限らない。
②そういう事態になったのは、Yらは、XからX商標使用につき警告を受けたため、次善の策としてY標章を使用したもの。
③そうした経緯に照らすと、Xが、Y1によるY標章の使用又は他のYらによるY商品の販売仲介やYらの商品に貼付する証紙の作成等の行為に対して損害賠償等の法的措置を求めることは権利の濫用。
 
<判断・解説>
●Xの商標法に基づく請求について、X商標とY標章①及びY標章②の類似性を否定。
仮に類似性を肯定した場合に言及し、権利濫用(民法1条3項)に該当し理由がいない。

●X商標とY標章の類否性について: 
商標の類否に関する最高裁の判断枠組みを引用しつつ(最高裁)、本件については、「少なくとも外観と呼称が類似せず、その取引の実情を考慮しても、両社は需要者又は取引者において区別することができ、両者は類似しないものというべきである」と述べる。
地域団体商標についての商標の類否も同様の手法で判断すべきであると付言。

●地域団体商標
地域団体商標は、地域名と商品等の普通名称を組み合わせた構成をとる。こうした構成の商標は、原則として登録することができないが(法3条1項3号)、法は一定の要件の下、地域団体商標としての登録と認める(7条の2)。

商標法 第3条(商標登録の要件)
自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
三 その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
2 前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。

商標法 第7条の2(地域団体商標)
事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除き、当該特別の法律において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)又はこれに相当する外国の法人(以下「組合等」という。)は、その構成員に使用をさせる商標であつて、次の各号のいずれかに該当するものについて、その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、第三条の規定(同条第一項第一号又は第二号に係る場合を除く。)にかかわらず、地域団体商標の商標登録を受けることができる。
一 地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標

●地域団体商標への商標法26条1項2号の適否 
原審:地域団体商標として登録された商標についても、商標法26条1項2号又は3号が適用される
⇒地域内アウトサイダーが、自身の製造・販売する商品等の産地及びその一般名称からなる当該地域団体商標又はその類似の標章を上記商品等に付して使用する限りは、それは主として取引に必要な産地や商品等の種類の表示であると評価することができる。
⇒同使用は商標法26条1項2号又は3号に該当するものとして許される。

判断:
地域団体商標の制度趣旨について、地域産業の振興の観点から、商標法3条2項が規定する特別顕著性を獲得する以前の地域ブランドについて、所定の要件の下で特別の商標登録ができるようにしたものと理解した上で(産業政策説)、地域内アウトサイダーが当該地域団体商標を使用する場合にも、当該使用態様が自他商品の出所識別機能を害するものである場合は、法26条1項2号に該当するということはできない

Y標章①については、自他商品識別機能を発揮⇒「普通に用いられる方法」で使用されているとはいえず、法26条1項2号に該当しない。

Y標章②については、「博多帯」の文字をを短文の一部に用いたもので自体商品識別機能を害する態様で使用されているものではない⇒YらによるY標章②の仕様は、商標としての使用に該当せず、かつ商標法26条1項2号にいう「普通名称を普通に用いる方法」により使用するものというべき。

●不正競争防止法 
X商標について、周知商品等表示(法2条1項1号)該当性、著名商品等表示(法2条1項2号)該当性を否定。
Y標章の使用について、「普通名称を普通に用いる方法」による表示を適用除外とする不正競争防止法19条1項の適用について検討⇒
Y標章①については、「普通名称を普通に用いられる方法」によるい使用したとは認められない⇒法19条1項の適用を否定。
Y標章②については、その適用を認め、適用除外を認める。

不正競争防止法 第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二 自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為

不正競争防止法 第19条(適用除外等)
第三条から第十五条まで、第二十一条(第二項第七号に係る部分を除く。)及び第二十二条の規定は、次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為については、適用しない。
一 第二条第一項第一号、第二号、第十三号及び第十五号に掲げる不正競争 商品若しくは営業の普通名称(ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称であって、普通名称となったものを除く。)若しくは同一若しくは類似の商品若しくは営業について慣用されている商品等表示(以下「普通名称等」と総称する。)を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をし、又は普通名称等を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同項第十三号及び第十五号に掲げる不正競争の場合にあっては、普通名称等を普通に用いられる方法で表示をし、又は使用して役務を提供する行為を含む。)

●権利濫用 
判断:
①Y1が承継した訴外株式会社において本件商標登録以前から本件商標を使用していたこと
②XのY1に対する警告は理由がないこと
③Xは、本来Xへの自由加入が保障されていることを前提として地域団体商標登録されたにもかかわらず、Y2の組合加入の申出に対して正当な理由なくその加入を認めなかったことを理由として、XがY1に対して、本件商標権に基づいて又は本件商標が周知著名商品等表示に該当するとして権利行使をすることは権利濫用に該当し許されないというべきであって、同社の製造販売に加担しているその余のYらに対する関係でも同様に権利濫用に当たる。

Xの請求をすべて棄却。

判例時報2273

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2015年5月 5日 (火)

製品写真の著作物性、メタタグ・タイトルタグの記載の商標侵害・不正競争該当(肯定)

東京地裁H27.1.29   

1.製品写真の著作物性が認められた事例
2.メタタグ及びタイトルタグの記載が商標権侵害及び不正競争に該当するとされた事例
3.商標法38条2項、不正競争防止法5条2項にいう損害の額が認められなかった事例 
 
<事例>
Xは、Yが運営するX製品の通信販売サイトにおける、X製品の写真等の転載がXの著作権を侵害し、また、被告各標章のタイトルタグ、メタタグとしての使用がXの商標権を侵害し、不正競争に当たると主張して、Yに対して、これらの使用差止等及び損害賠償を求めた。
 
<規定>
商標法 第38条(損害の額の推定等)
2 商標権者又は専用使用権者が故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額と推定する。

不正競争防止法 第5条(損害の額の推定等)
2 不正競争によって営業上の利益を侵害された者が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、その営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定する。
 
<争点>
①被告サイト事業を譲渡したためYはその後のサイト運営に関する責任を負わない
②X製品写真の著作物性
③「イケア」をメタタグ等として使用することが違法だとの認識は一般社会にない
④Xには被告サイト事業による損害が発生していない 
 
<判断> 
争点①について:
Yは、被告サイトについてXと交渉するなかで、商標権侵害及び著作権侵害を中止して今後繰り返さない旨の念書を作成した後に、事業譲渡契約を締結したとしてXに対し以後譲受人と交渉するよう通知したが、その後も被告サイトのドメイン名移転に係る手続等においては被告サイトに係る対応を自ら全て行ってきた

少なくとも、Yは、Xに対し、信義則上、事業譲渡契約を主張することができず、本件サイトに関する法的責任を免れることはできない。 
 
争点②について:
著作物性を肯定。

争点③について:
被告各標章は、htmlファイルにメタタグないしタイトルタグとして記載
検索エンジンの検索結果において被告サイトの内容の説明文なしい概要やホームページタイトルとして表示され、これらが被告サイトにおける家具等の小売業務の出所等を表示し、インターネットユーザーの目に触れることにより、顧客が被告サイトにアクセスるよう誘引
メタタグないしタイトルタグとしての使用は、商標的使用に当たる
 
争点④について:
Xは、X製品のインターネット販売を行っていない⇒Yによる侵害行為がなければ、被告サイト経由でX製品を購入した顧客が原告サイトで原告製品を購入したということにはならない。
被告サイト事業は、X製品の注文を受けるとイケアストアでX製品を仕入れてこれを梱包し発送するというものであり、被告サイトに誘引された顧客の購入したX製品は、イケアストアで購入されることによりXの利益となっている。

Xについては、被告サイトによる侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情があると認めることはできない

Xの主張する商標法38条2項、不正競争防止法5条2項にいう損害の額は認められない。

Xは損害についてほかに主張も立証もない⇒商標権侵害又は不正競争による損害は認められない。
 
<解説>
●製品写真の著作物性
Yが原告サイトから原告製品の写真等を無断転載⇒Xの写真等に著作物性が認められるかが問題。

A:限定説(通説):
写真の製作意図、被写体の選択・設定、シャッター・チャンスの捕捉、光量の調節等につき、独自の創意工夫がなされているか否かを基準にする説

本判決:
証明による光の陰影に工夫がjこらされていることなどから全ての写真について統一的な撮影技法により一定の創作性が表現されている
著作物性を肯定し、差止請求等を認めた
but
損害額の算定に当たって創作性の程度が比較的低いことを考慮。
広告写真の著作物性を認めた裁判例(知財高裁H18.3.29)

●メタタグ等の記載による商標権侵害等 
本判決:メタタグないしタイトルタグとして記載された被告各標章が出所表示機能を果たしていると認めた上で、被告サイトにおける被告各標章の使用態様が違法性を欠くとは認めがたい
商標権侵害及び不正競争該当性を肯定

メタタグによる商標権侵害を肯定した裁判例(大阪地裁H17.12.8)
 
●商標法38条2項、不正競合防止法5条2項の適用: 
本判決は、Xが通信販売をしていない以上、被告サイト事業のビジネスモデルに鑑み、被告サイトによる侵害行為がなかったならばXが利益を得られたであろうという事情等損害の発生の基礎となる事情があると認めることはできない
⇒Xの主張する損害の額は認められない。

尚、特許法102条2項の規定の適用について判断した知財高裁H25.2.1。

判例時報2249

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