経済

2016年10月30日 (日)

外国法人であるXが、他の事業者と共同して、日本法人である5社が日本国外に所在する当該事業者の現地製造子会社等に購入させるテレビ用ブラウン管の現地製造子会社等向け販売価格の各社が遵守すべき最低目標価格等を設定する旨を合意⇒独禁法違反(肯定)。

東京高裁H28.1.29      

<事案>
公正取引委員会は、外国法人であるXが、他の10社と共同して、日本法人である5社が日本国外に所在する当該事業者の現地製造子会社等に購入させるテレビ用ブラウン管(「本件ブラウン管」)の現地製造子会社等向け販売価格の各社が遵守すべき最低目標価格等を設定する旨を合意すること(「本件合意」)により、、公共の利益に反して、本件ブラウン管の販売分野における競争を実質的に制限⇒独禁法2条6項に規定する不当な取引制限に該当し、同法3条の規定に違反するもので、かつ、同法7条の2第1項1号に規定する商品の対価に係るもの⇒Xに対して、13億7362万円の課徴金の納付を命じた(「本件課徴金納付命令」)

Xは、本件課徴金納付命令に関する手続が違法である上、本件については我が国の独禁法が適用されないなどと主張⇒本件課徴金納付命令の取消しを求めて審判請求⇒公正取引委員会は、これを棄却する旨の審決(「本件審決」)
⇒Xが、①本件課徴金納付命令に関する手続が違法であるし、②本件合意は日本国外で行われたものであり、本件ブラウン管の取引も日本国外でされたのであるから、独禁法が適用されるべきではないとして、本件審決の取消しを求めた。
 
<規定>
独禁法 第3条〔私的独占又は不当な取引制限の禁止〕 
事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。

独禁法 第7条の2〔私的独占・不当な取引制限に係る課徴金〕
事業者が、不当な取引制限又は不当な取引制限に該当する事項を内容とする国際的協定若しくは国際的契約で次の各号のいずれかに該当するものをしたときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に従い、当該事業者に対し、当該行為の実行としての事業活動を行つた日から当該行為の実行としての事業活動がなくなる日までの期間(当該期間が三年を超えるときは、当該行為の実行としての事業活動がなくなる日からさかのぼつて三年間とする。以下「実行期間」という。)における当該商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額(当該行為が商品又は役務の供給を受けることに係るものである場合は、当該商品又は役務の政令で定める方法により算定した購入額)に百分の十(小売業については百分の三、卸売業については百分の二とする。)を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。ただし、その額が百万円未満であるときは、その納付を命ずることができない。
 
<争点>
①本件課徴金納付命令に関する手続の適法性
②本件に独占禁止法3条後段を適用することができるか否か
③本件ブラウン管の売上額は独禁法7条の2第1項の「当該商品の売上額」に該当し、課徴金の計算の基礎となるか 
 
<判断>
課徴金納付命令に関する手続は適法。
本件合意は、本件ブラウン管の購入先及び本件ブラウン管の購入価格、購入数量等の重要な取引条件について実質的決定をする我が国ブラウン管テレビ製造販売業者を対象にするものであり、本件合意に基づいて、我が国に所在する我が国ブラウン管テレビ製造販売業者との間で行われる本件交渉における自由競争を制限するという実行行為が行われた

これに対して我が国の独禁法を適用することができることは明らか
本件ブラウン管は独禁法7条の2第1項にいう「当該商品」に当たる
⇒独禁法施行令5条に基づき算定された本件ブラウン管の売上額が課徴金の計算の基礎となる。
 
<解説>
本件は、公正取引委員会が、日本法人の海外子会社が購入する部品について、日本国外において独禁法2条6項に規定する行為(本件合意)がされたケースについて、日本の独禁法を適用して摘発した初めてのケース。 

判例時報2303

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2016年8月19日 (金)

傘下組合員が支払った取引手数料の一部について協同組合連合会が割戻しを受ける旨の合意の効力(有効)

仙台地裁石巻支部H25.9.26      
 
<事案>
宮城県内のかき仲買人を会員とする組合の協同組合連合会であるXが、宮城県内の生かきのほぼすべての販売する県漁業組合連合会がかき仲買人から取引手数料の徴収を開始した際、Xの会員組合に所属する仲買人が県漁連に支払った手数料の一部をXに交付金として割り戻すことで県漁連と合意し、その後は手数料率や割戻率の改訂、訴訟上の和解等を経て、Yが県漁連の権利義務を包括承継した後も、毎年交付金の支給を受けていた。
but
Yが、前記合意を解除したとして交付金を支給せず
⇒Xが、Yに対し、合意に基づく交付金の支払を求めた。
 
<Yの主張>
①前記合意は中小企業等協同組合法にいう団体協約にあたところ、Xはその締結にあたり総会の事前承認を得ていないし、団体協約である旨が文言上明記されていない⇒無効
②前記合意が団体協約にあたらないとすると、これは同法により協同組合連合会が行い得る事業の範囲に含まれない⇒Xの権利能力を欠くもので無効。
③前記合意はYがXの傘下の仲買人と他の仲買人との不当に差別的な取扱いをするもの⇒公序良俗(独禁法等)に違反し無効
④Yによる前記合意の解除は有効。 
 
<判断>
Yの主張を退け、Xの請求を認容。 

主張①について、前記合意はYがXに対し交付金を支給するというもので、X傘下の組合員らの取引条件等を直接定めたものとは認められない⇒団体協約に当たらない。 

主張②について、Xが所属員の事業に関する共同事業を行えることや団体協約を締結できること⇒これらの附帯事業としてXの事業の範囲内に含まれる

主張③について、独禁法上差別的対価が違法となるのは、自己の競争者又は相手方に対し、不当な利益若しくは不利益を与え、又は不当な目的を実現させるために行われる場合⇒こうしたいとのない本件とは事案が異なる。

本件で問題となりうるのは、Xがも自らの地位を利用して自ら(の傘下の仲買人)を優遇するようYに強制すること(優越的地位の利用)。
but
本件においては、Yが対象商品のほぼ全てを供給していることなどに照らせば、Xの取引シェアを踏まえてもXが検討対象市場において優越的な地位にあるとは認め難く、独禁法上の問題は生じない
 
<控訴審>
前記合意は前記手数料が支払われる取引が続く限り当然に継続すると解される旨の判断⇒Yの控訴を棄却。
 
<解説>
独占禁止法は、公正かつ自由な競争の促進を目的として、事業者等に対し競争を制限、阻害する行為等を規制するもので、主に行政措置によりその実現を図るものであるが、私人間においても、独禁法に違反する契約又は契約解除が私法上無効であると主張することも可能(最高裁昭和52.6.20)。

判例時報2297

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2016年1月20日 (水)

◆驚くべき類似:税(クルーグマン、マクロ経済学)

◆驚くべき類似:税 
割当てを理解するためにここまで用いてきた分析は、ほとんど修正することなく、税の予備的な分析をするのにも用いることができる。

■なぜ税は割当てに似ているのか 
物品税は財やサービスの売上に課される税。

均衡価格は5ドルで1000万回。うち2ドルは税。
(同じ手取りを望むため)税額の分だけ供給曲線を上にシフトさせる。
⇒市場均衡は、1回の乗車の価格が5ドルで1000万回が提供・利用されるE点から、1回の乗車の均衡が6ドルで800万回が提供・利用される点Aへの移動。

乗車への2ドルの課税があるときの均衡は提供・利用される乗車数を800万回に減少させるが、それは2ドルの割当てレントを生じさせる、800万回の割当てを課したときの均衡と同じように見える。
割当てと同じように、税も需要価格と課税前の供給価格の間にウェッジを打ち込む。
唯一の違いは、運転手が2ドルのレントを許可証の所有者に支払うのではなく、2ドルの税を市に支払う。

物品税と割当てを完全に同じものにする方法:
市が、許可証を1回につき2ドルで販売~2ドルの許可証代金は、事実上2ドルの物品税となる。
市が特定の価格で許可証を販売する代わりに800万枚の許可証を発行してオークション⇒許可証の価格は2ドルとなる(もともと800万枚の供給は(需要より)2ドル低い4ドル)。

■誰が物品税を支払うのか 
これまで税を売り手が払うという前提
but
それを買い手が払うとしたら?

乗客が2ドルの税を支払う⇒課税前と課税後でタクシー乗車の需要量を同じにするには、乗客が支払う運賃は課税後の方が2ドル低くなくてはならない。
⇒需要曲線は税額の分だけ下にシフト⇒均衡点はEからBに移動し、Bでは市場価格は乗車1回当たり4ドルで、800万回が提供・利用される。
800万回の供給価格は4ドル、もともとの需要価格は6ドル。
but乗客は税金を含めて6ドルを支払っている。
どちらの場合も、買い手は実効価格6ドルを支払い、売り手は4ドルを受け取り、800万回の乗車が提供され、利用される。

税の帰着・・・本当に税を負担するのは誰か・・・は、政府に対して実際にお金を支払うのは誰かということ答えられる問題ではない。
ここでの例では、タクシー乗車に課される2ドルの税は、買い手(乗客)の支払い価格の1ドル増加と、売り手(運転手)の受け取る価格の1ドル減少に反映されている⇒税の帰着は売り手と買い手で半々。
but
供給曲線と需要曲線の形状に応じて、物品税の帰着は異なる分けられ方をする。

■物品税からの収入 
買い手と売り手の双方が物品税で損失を被るが、政府は収入を得る。
収入=2ドル×800万回の乗車=1600万ドル
物品税で集められた収入は、高さが供給曲線と需要曲線の間に税が打ち込んだウェッジで、幅は税が課されたときの売買量である四角形の面積に等しい。

■税の費用 
税は割当てと同じく、相互に利益のある取引が生じるのを妨げる。
乗客は6ドルを払うが、運転手は4ドルしか受け取らない。
税がなければ実現していた200万回の潜在的なタクシー乗車があって、それは実現すれば乗客と運転手の双方に便益をもたらすが、税のために実現されない。

税は、過剰負担あるいは死荷重という追加的な費用をもたらす。それは相互に利益のある取引を阻害するという非効率性。
悪く設計された税は、よく考えられた税よりも大きな死荷重を課す。

人々は税を逃れるために行動を変える。
ex.タクシーに乗る代わりに歩くことで、相互に利益を得る機会が失われる。
 
ニューヨーク州ではタバコ税は州レベルと地方レベルの両方で引き上げられ、1箱3ドルに。
butタバコを栽培するバージニア州では1箱2.5セント。
⇒タバコ栽培州からニューヨークのような税の高い地域への、大規模なタバコの違法取引。
 
■FICA(連邦保険寄与法)を支払うのは誰?
労働者から7.65%、雇用者も同額支払う。

自分の分担する額だけを支払うのではなく、雇用者が分担する額はすでに低い賃金に反映されているので、実質的に雇用者の分まで支払っていることになる。
雇用者は税金を支払ってはいるが、それは賃金の減少によって全額補償されている。
⇒雇用者ではなく、労働者が税の全額を負担している。


労働の供給(その仕事を進んでしようとする労働者の数)が労働の需要(雇用者が進んで提供しようとする仕事の数)よりも賃金率に対してはるかに感応的ではない。
労働者は賃金率の低下に対して相対的に非感応的⇒雇用者は税の負担を低い賃金を通じて簡単に労働者へ転嫁できる。

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2016年1月19日 (火)

数量統制(クルーグマン、マクロ経済学)

◆数量統制 

数量規制あるいは割当ては、ある財の購入可能量や販売可能量の上限
合法的に取引されうる財の数量の総計は割当て制限。
許可制は、その所有者に財を供給する権利を与える。
ex.
ニューヨークのタクシーの許認可システム(タクシーの大メダル)
ニューヨークでタクシー業を営みたいなら、大メダルを借りるか、あるいは現行価格の25万ドルでそれを買わなくてはいけない。

人々の外国為替の購入限度額
ニュージャージーの漁船のハマグリの漁獲限度量

■数量統制の構造 
全てのタクシー乗車は同一だと想定・・・あるタクシー乗車の区間は別の乗車区間よりも長く、そのためにより高額になるというような現実世界の複雑さを無視。

供給表と需要表⇒均衡は1回の乗車の運賃5ドルと1000万回の乗車回数。

ある所与の数量の需要価格とは、消費者がその数量を需要する価格のこと。
(1回の乗車運賃が5ドルのとき、人々は何回タクシーに乗りたいと思うか?
人々が年間1000万回タクシーに乗りたいと思うのは、1回の乗車運賃がいくらのときか?)

ある所与の数量の供給価格とは、生産者がその数量を供給する価格のこと。
(1回の乗車運賃が5ドルのとき、タクシー運転手は何回のh乗車を供給したいと思うか?
供給者が年間1000万回の乗車を供給したいと思うのは、1回の乗車運賃がいくらのときか?)

大メダルシステム⇒乗車回数年間800万回を提供。
自分でタクシーを運転してもよいり、料金をとってそれを他人に貸してもよい。
800万回の乗車の需要価格は6ドル。
800万回の乗車の供給価格は4ドル。

タクシー乗車の対価として支払われる価格が6ドルなのに、タクシー運転手が受け取る価格が4ドルになるのはどうして?
①タクシーの乗車の取引と価格
②大メダルの取引と価格
という2組の取引と価格を考慮する必要がある。

サニルは彼の大メダルをハリエットに1日貸すと仮定。
ハリエットは大メダルを持てば1回6ドル得られることを知っているが、彼女は少なくとも1回4ドルを得られるときのみ大メダルを借りたいと思う。
ハリエットはレントとして2ドルを提供する必要(1.5ドルだと、それより少し上で大メダルを借りようとする熱心な運転手がでてくる)。

数量統制や割当ては、財の需要価格と供給価格の間にウェッジ(くさび)を打ち込む。
買手が支払う価格>売り手が受け取る価格
割当て制限を課された数量の需要価格と供給価格の差が割当てレント
それは、許可証の保有者が財を売る権利を所有することから得られる収入で、割当てレントは、許可証が取引されるときの許可証の市場価格に等しい。

■数量統制の費用 
①失われた機会による非効率性の問題:
市場が自由市場の均衡数量である1000万回に達したときにのみ「失われた乗車機会」がなくなる。
800万回の割当て制限は200万回の「失われた乗車機会」の原因となる。

一般に、所与の数量での需要価格が供給価格を上回る限り、失われた機会が存在する
買い手は売り手が受け取ってもよいと思う価格を支払って財を買おうとするが、割当てで禁止されているので、そのような取引は起こらない。

②非合法活動へのインセンティブ
人々が行いたくとも許されていない取引⇒法律を潜り抜けたり、法律を破ろうとするインセンティブ。

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2016年1月16日 (土)

上限価格規制と下限価格規制(クルーグマン、マクロ経済学)

◆上限価格規制 

需要曲線と供給曲線⇒統制のない市場での均衡点Eでは、200万戸のアパートが付き1000ドルで賃貸。
政府が家賃を800ドルでの上限価格規制
800ドル⇒
供給は自由な市場に比べて20万戸少ない180万戸。
需要は自由な市場に比べて20万戸多い220万戸。
持続的な賃貸アパートの不足

■上限価格規制による非効率 
市場経済は、ほうっておけば通常は効率的(=他の人々の状態を悪化させることなく誰かの状態を良くすることができない状況)に働く。
価格統制が引き起こす他のすべての供給不足と同様、非効率性をもたらし深刻な害悪となり得る。
失われた機会があるとき、つまり他の人々の状態を悪化させることなくある人の状態を良くできるとき、市場あるいは経済は非効率

家賃統制⇒3つの非効率(①借家人への非効率なアパートの配分、②アパート探しに要する時間の浪費、③家主がアパートを非効率的に低い質や状態にしておく)

●消費者への非効率的な配分:
アパートの効率的な配分⇒本当にアパートを欲している人(=より高い価格を支払っても良いと思っている)がアパートを得て、そうでない人は見つけることができない。
but
家賃統制⇒人々は通常偶然や個人的コネのおかげでアパートを得る⇒数少ない利用可能なアパートの消費者への非効率的な配分。

上限価格規制はしばしば消費者への非効率な配分という非効率性をもたらす。これは、その財を非常に欲していて高い価格を支払う意欲のある人がそれを得られず、その財に比較的低い関心しかなく、低い価格を支払う意欲しかない人がそれを得る、というもの。

●資源の浪費: 
家賃統制⇒リー一家は何か月もの間をすべてアパート探しのために使う⇒失われた機会を作り出す。
アパートの市場が自由に機能⇒均衡家賃1000ドルですぐにアパートを見つけることができる。
一般的に、上限価格規制は資源の浪費という非効率性をもたらす。これは、上限規制で生じる供給不足に対処するため、お金と労力が費やされるというもの。

●非効率に低い品質: 
上限価格規制が非効率に低い品質という非効率性をもたらすことがよくある。
これは、たとえ買い手が高価格で高品質の財を好んだとしても、売り手は低価格で低品質の財を提供する。

●ブラック・マーケット: 
ブラック・マーケットは、財やサービスが非合法に売買される市場。
その財を売ること自体が非合法な場合もあるし、付けられた価格が上限価格規制で法的に禁じられている場合もある。
この場合、違法な行為が、正直たらんとしている人の立場をより悪くしてしまう

■価格統制がニューヨークで続いている理由。
①一部の人には便益をもたらす(=ごく少数の借家人は統制のない市場で同じ住居を得るときの価格に比べるとはるかに安く住居の提供を受けている。)
②買い手は統制がない場合に何が起きるかがわからない。
政府の役人が供給と需要の分析を理解しないことが多い

◆下限価格規制 
ex.最低賃金。
最低賃金が均衡賃金率の上にあるとき、働きたいと思う人々、すなわち売り手である労働者のなかに、買い手すなわち彼らに仕事を与えたいと思う雇用を見つけることができない人が出る

■下限価格規制による非効率 

●売り手間での販売機会の非効率的な配分:
下限価格規制は売り手間での販売機会の非効率な配分をもたらす。
つまり、最も低い価格で財を売ろうとしている人が、実際にそれを売る人になるとは限らない。

●資源の浪費: 
最低賃金の下で長期間にわたり職を探したり、職を得るための行列に並んだりする人々は、上限価格規制の下でアパートを探す不運な家族と同じような役割を演じている。

●非効率に高い品質: 
下限価格規制が、非効率的に高い品質という非効率性をもたらすことがよくある。

たとえ買い手が低価格で低品質の財を好んだとしても、売り手は高価格で高品質の財を提供

大西洋路線の航空運賃が国際協定により人為的に高く設定⇒航空会社は乗客に低い価格を提供して競争することを禁止された⇒ほとんど食べ残される無駄な機内食といった豪華なサービスを提供。
1970年代のアメリカ航空会社の規制緩和⇒小さな座席と低い食事といった機内サービスの質の低下を伴う航空券価格の大幅な下落⇒航空会社の利用者数は規制緩和以来、数百パーセントに増加。

●非合法活動: 
高い最低賃金⇒就業に絶望的な労働者は、雇用主との間で帳簿外の労働に同意するか、政府の検査官に賄賂を送る。

■なぜ下限価格規制があるのか 
下限価格規制を課す理由:
役人がモデルを理解していない
上限価格規制が影響力を持つ一部の買い手に便益をもたらすという理由で課されるように、下限価格規制はしばしば影響力を持つ一部の売り手に便益をもたらすという理由で課される
 
南ヨーロッパの「やみ市場」:
ヨーロッパの下限価格規制⇒高い失業率

スペインでは、国が報告する失業者の約3分の1はやみ労働市場にいると推計。
イタリアの労働規制は、15人以上の労働者を抱える企業のみに適用される⇒高い賃金と各種の給付の支払い義務を避けるため、小企業のままとどまっている⇒イタリアのいくつかの産業では、零細企業が驚くほど急激に増加。
イタリアで最も成功している産業の1つである毛織物の加工業はプラント地区に集中しているが、その地区の平均的な織物企業は4人しか労働者を雇っていない。

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2016年1月11日 (月)

供給・需要・均衡(クルーグマン・マクロ経済学)

■供給・需要・均衡
供給と需要のモデルは、市場の価格が均衡価格、あるいは市場清算価格、すなわち需要量が供給量に等しくなる価格に向かって動くという原理に基づく。
この時の需給量は均衡数量と呼ばれる。

価格が市場清算水準よりも上⇒供給過剰⇒価格を押し下げる。
価格が市場清算水準よりも下⇒供給不足⇒価格を押し上げる。

■需要と供給の変化
需要の増加⇒均衡価格と均衡数量を上昇させる。
(需要の減少は逆)
供給の増加⇒均衡価格を引き下げ、均衡数量を増やす。
(供給の減少は逆)
 
両曲線が反対方向にシフト⇒価格の変化は予測できるが、数量の変化は予測できない。
両曲線が同方向にシフト⇒数量の変化は予測できるが、価格の変化は予測できない。

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需要曲線・供給曲線のシフト(クルーグマン・マクロ経済学)

■需要曲線(値段が低いと需要大⇒右下がりのグラフ)のシフト 
「需要の増加」⇒需要曲線の右へのシフト
「需要の減少」⇒需要曲線の左へのシフト。

需要曲線をシフトさせる4つの要因(①関連財の価格変化、②所得増加、③嗜好の変化、④予想の変化)):

●関連する財の価格変化
一方の財(コンサート)の価格が下がると、もう一方の財(アイスホッケーゲーム)を買いたいという消費者の気持ちが弱くなる場合、2つの財は代替財
ex.コンサートとアイスホッケー、マフィンとドーナツ、電車とバス

1つの財の価格が下がると、もう1つの財を買いたいという消費者の気持ちをより強くなる場合、2つの財は補完財
ex.スポーツ観戦のチケットとスタジアムの駐車券、車とガソリン、
アイスホッケー場が無料駐車券を提供⇒チケットの価格がどうあっても「パック」(=ゲーム+駐車)の料金が下がる⇒人数が増える。

●所得の増加 
所得の増加が、ある財の需要を増やす場合、その財は正常財
所得の増加が、ある財の需要を減らす場合、その財は下級財
~高所得者が低所得者に比べて買いそうにない財。

●嗜好の変化 
帽子に対する需要の減少⇒帽子の需要曲線は左にシフト。
ある財を好むように嗜好が変化⇒需要曲線は右にシフト。
ある財を好まないように思考が変化⇒需要曲線は左にシフト。

●予想の変化 
将来の値下がり予想⇒現在の需要減少。
将来の値上がり予想⇒現在の需要増。
将来の所得増予想⇒今お金を借りてある種の財に対する需要を増やす。
将来の所得減予想⇒今貯蓄をして何かの財に対する需要を減らす。

■供給曲線(値段が低いと供給減⇒右上がりのグラフ)のシフト 
「供給の増加」~供給曲線の右へのシフト(=どの価格水準でも人々が以前より多くの数量を供給)
「供給の減少」~供給曲線の左へのシフト

供給曲線のシフトの3つの要因(①投入物価格の変化、②技術の変化、③予想(期待)の変化)

●投入物価格の変化:
投入物:他の財の生産に用られる財のこと。
投入物の価格上昇⇒コスト高⇒供給曲線は左にシフト。
投入物の価格の低下⇒供給曲線は右にシフト。

●技術の変化:
生産コストを下げる(=以前とじ生産量を以前より少ない投入量で生産できる)改良技術⇒供給増加⇒供給曲線は右にシフト。

●予想の変化:
ある財の価格が将来上がるという予想⇒現在の供給を減らす
ある財の価格が将来下がるという予想⇒現在の供給を増やす

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2016年1月 8日 (金)

数値グラフの誤謬(クルーグマン・マクロ経済学)

グラフは、因果関係を想定せずにデータを要約し図示するための便利な方法としても用いることができる(=数値グラフ)。
①時系列グラフ、②散布図、③円グラフ、④棒グラフ

さまざまな経済変数に関する現実の経験データを図示するために広く用いられている。
←経済学者や政策担当者が経済に見られるパターンやトレンドを認識する助けになる。

グラフは(意図するかしないかにかかわらず)まぎらわしく作成され、不正確な結論に導く可能性がある。

作図の特性
軸の目盛あるいは増分の大きさに注意を払う必要がある。
グラフの作成に用いられる目盛は変貝の意味の解釈に、不当な影響を及ぼすおそれがある。

グラフの作成にトランケーション(切り詰め)が使われることがある。その場合、トランケートされず小さな目盛り幅を使ったグラフの変数に比べて大きく見えることになる。

グラフが正確に何を示しているかも周到に注意する必要がある。

除外された変数:他の諸変数への影響を通じてそれらの間に直接的な因果関係があるかのような強い見かけ上の効果を作り出す観察されない変数のこと。

ex.1週間の降雪量がいつもより多いと、人々はその週にいつもより多い①雪かきシャベルを買うし、いつもよりたくさんの②解凍液も買う。⇒①②をグラフ化したら、上向きの点パターンを示す散布図ができる。butこれら2つの変数の間に因果関係があるというのは誤って導かれた結論。

散布図のパターンから因果関係があると決めつける前に、そのパターンが除外された変数の結果ではないかと考えてみることが重要

因果関係の逆転:2つの変数の間の因果関係の真の方向を逆転して解釈するとき、因果関係の逆転という誤りをおかすことになる。

ex.クラスメート20名の①GPAと、それぞれが②勉強に使った時間をとった散布図
⇒正の傾き⇒勉強に使った時間が独立変数でGPAが従属変数。
but高いGPAが学生に勉強する気を起させ、低いGPAが勉強する気をなくさせると推論することもできる。

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2016年1月 6日 (水)

機会費用と比較優位

●機会費用

機会費用:何かの本当の費用は、それを手に入れるためにあなたがあきらめなければならないもののこと。

ある品目の本当の費用はその機会費用すなわちそれを手に入れるためにあなたがあきらめなければならないもののこと。
究極のところ、あらゆる費用は機会費用

ex.大学に行くこの機会費用:授業料と住宅費に、仕事について稼いだはずの所得を加算したもの。
多額の所得を稼ぐことができる者にとっては、特に高くつく。

●比較優位

ある個人にとって、ある財の機会費用が他の人々より低い時、その人はその財に比較優位を持つ。
ある個人があることを他の人々よりもうまくやれるとき、その人はその活動に絶対優位を持つ。
比較優位≠絶対優位

誰でも何かに比較優位を持っている⇒その人が他の誰よりも低い機会費用で作り出せる財かサービスがある。

バングラデシュはアメリカに比べてほとんどの産業で絶対劣位にあるが、衣料産業に比較優位をもっている⇒バングラデシュがアメリカに衣類を供給し、アメリカがバングラデシュにもっと高度な財を供給することで、アメリカもバングラデシュもより豊かな消費生活を送れる。

以上、クルーグマンのマクロ経済学から

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2016年1月 2日 (土)

マクロ経済学(クルーグマン)第1部(経済学ってどんな学問?)

■個人の選択についての4原則
①資源の希少性⇒選択が必要
②全ての費用は機会費用(=それを手に入れるためにあきらめなければならないもの)
「どれだけか」の決定は、限界でのトレードオフ(=もう少しするか、もう少ししないかの費用と便益の比較)によりなされる。限界的決定と限界分析。
④人々は、自分の暮らしを良くする機会を見逃さず活用する。機会が変われば、人々の行動も変わる。みんなインセンティブ(誘因)に反応。

■相互作用についての5原則
取引利益の存在⇒特化による取引⇒相互作用。
②経済は均衡(=誰も従来と違った行動をとることによって自分の暮らしをさらに良くすることができなくなるような状態)に向かう。
効率的(他の誰の暮らしも悪くすることなく、誰かの暮らしを良くする機会が利用尽くされているとき)と公平性。両者にはトレードオフがある。
④通常市場は効率を実現するが、例外も存在。
⑤市場が失敗し効率を実現しない場合、政府の介入で社会の厚生を高める。

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