刑事

2019年1月23日 (水)

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律4条)の事案

札幌高裁H29.1.26      
 
<事案>
自動車死傷法によって新設された、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪(4条)における「その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的」及び「その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させること」についての解釈を示した裁判例。 

被告人は、事故直後から約6時間半の間、事故現場から逃走し、知人方で過ごすなどして、飲んだ酒の影響の発覚を免れるべき行為をした。
 
<規定>
自動車死傷法 第四条(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱)
アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、十二年以下の懲役に処する。
 
<主張>
本件のような、事故現場から立ち去っただけの行為が問題となる事案で、本罪が成立するためには、逸脱目的として、更にアルコールを摂取するいわゆる追い飲み行為に匹敵する程度に、身体のアルコール濃度という重要な証拠収集を妨げる積極的な目的を要する。
but
被告人については、そのような逸脱目的を肯認できない。 
 
<解説>
アルコール等の影響による危険運転致死傷罪(本法2条1号及び3条1項)は、客観的にこれらの影響により「正常な運転に支障が生じるおそれたある状態」にあったことが構成要件となっている
⇒犯人がその場から逃走するなどすれば、アルコール等による影響の程度が立証できなくなる可能性が高い。

その場合、
自動車運転過失致死傷罪と同交法上の救護義務違反の罪(報告義務違反の罪は、これと科刑上1罪となる)との併合罪となり、処断刑の上限は懲役15年。

重い処罰を免れようとして、アルコール等の影響という点について証拠収集を妨げるといった、より悪質性の高い行為に対して、適切な処罰を欠くことになりかねない。

本罪が規定され、その法定刑は12年以下の懲役とされ、本罪が成立する場合でも、救護義務違反の罪は別罪として成立するので、併合罪加重すると、処断刑の上限は懲役18年。 
 
<判断>
客観的行為:
その場から立ち去れば直ちに本罪が成立するのではなく、一定程度の時間が経過し、その間に、摂取した物質の濃度に変化をもたらす(代謝によるものと考えられる。)など、運転時の当該物質の影響の有無又は程度の立証に支障を生じさせかねない程度のものであることが必要。 

逸脱の目的:
アルコール等の得協の発覚を免れる目的は、それが、積極的な原因や動機となっている必要はなく、むしろ、全く別の目的で、その場を離れたような場合を除外する趣旨
 
<解説>
除外される例:
自宅で飲酒していた際に、子どもが急病となったため、病院に連れて行くために自動車を運転して病院に向かう途中で事故を起こしたが、まずは、子供を病院に連れて行き、子供の無事が確認できた後に警察署に出頭 

判例時報2386

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2019年1月21日 (月)

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 3条(私事性的画像記録提供等)違反の罪及びわいせつ電磁的記録媒体陳列罪(刑法175条)の事案

大阪高裁H29.6.30      
 
<事案>
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 3条(私事性的画像記録提供等)違反の罪及びわいせつ電磁的記録媒体陳列罪(刑法175条)の成立が問題とされた事案。
 
<規定>
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 第三条(私事性的画像記録提供等)
第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。

刑法 第一七五条(わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
 
<判断>
ヤフーボックスでは、ユーザー以外の者はファイルを見ることはできないが「公開機能」を使えば、ヤフーボックス内の特定のファイル又はフォルダーを第三者に閲覧させることができる。
・・・
ヤフーユーザーがヤフーボックスに保存したデータを公開設定した時点では、そのユーザーに公開URLが発行されるにすぎず、同データを第三者が閲覧し得る状態にするには、公開設定に加え、公開URLを電子メールで送信するなどの外部に明らかにするヤフーユーザーによる別の行為が必要。 

①被告人が本件データを公開設定した時点では、いまだ同データの内容を不特定又は多数の者が認識することができる状態に置いたとは認められず、
被告人が公開URLを被害者に送信した点についても、特定の個人に対するものにすぎないから、同データの内容を不特定又は多数の者が認識しうる状態に置いたと認めることもできない

結局、被告人は、本件データの内容を不特定又は多数の者が認識することができる状態に置いたとは認められない。
 
<解説>
わいせつ物公然陳列罪のいの意義について、最高裁H13.7.16は、
「その物のわいせつな内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいい、その物のわいせつな内容を特段の行為を要することなく直ちに認識できる状態にするまでのことは必ずしも必要ないものと解される。」

判例時報2386

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2019年1月12日 (土)

湖東記念病院事件第二次再審即時抗告審決定

大阪高裁H29.12.20    
 
<事案>
平成15年、看護助手の請求人が、入院患者の人工呼吸器の管を引き抜いて殺害をしたとして起訴された事件。 
 
<特徴>
重大事件について高裁段階で再審開始が認められ、また、
本決定は、新証拠により、被害者の死因につき、酸素供給途絶でなく、致死性不整脈(による自然死)であった合理的疑いが生じたとして、「犯人性」以前の「事件性」のレベルで結論を導いている。
確定判決の証拠構造を整理した上で、原決定や即時抗告理由の項目立てや順序と離れ、死因に焦点を合わせて、旧証拠と新証拠などを比較検討して結論に至っている。 
 
<解説・判断>   
■死因についての判断
●確定判決の骨子 
①遺体を解剖したC医師の鑑定及び公判証言(C鑑定等)により、被害者Aは、人工呼吸器からの酸素供給が途絶したことにより、急性の心停止に至って死亡。
②酸素供給が途絶したのは、何者から故意により管を外し、途絶時に鳴るアラームに作為を加えたことによるものである。
③請求人には犯行が可能な知識、立場があることを前提に、「管を抜き、アラームが鳴らないような作為を加えた」旨の捜査段階の自白が信用できる。
 
●致死性不整脈が生じた可能性について 
①C鑑定の「本件事歴」、「説明」欄の文面をみると、解剖結果のみではなく、「本件事歴」中の「死亡前に人工呼吸器の管が外れた状態が生じていた」という事情を併せて死因を判断していると読める記載をしている。
but
②確定判決は、請求人の捜査段階の自白の信用性を認めて事実認定したことにより、「人工呼吸器の管が外れていたのを発見された」という事実は否定されている。

複数の医学的知見によれば、Aの死因が、酸素供給途絶による低酸素状態であるのか、致死性不整脈が生じたことにあるのかは、解剖所見のみから判定することはできず、これに反するCの供述は信用できない。
解剖時の血中カリウムイオン濃度は低く、これによる致死性不整脈が死因となった可能性があり、カリウムイオン濃度に関する検察官の主張はこれを左右せず、また、他の医学的知見によれば、低カリウム以外の原因による致死性不整脈が生じた可能性も残る
文献によれば、死因が致死的不整脈である可能性の程度は、無視できるほどに低いものではない

請求人の捜査段階の供述を除くと、確定判決①の死因を合理的疑いなく認定するには至らない
 
●請求人供述の信用性について 
①請求人の捜査段階の供述は、A死亡への関与の有無や程度、アラームが鳴り続けたのかどうか、人工呼吸器の管を外したのか外れたのかなど多数の点でめまぐるしく変遷している。
②アラーム無効期間の延長方法をいつ知ったのかという部分につき、請求人の供述は、供述録取者がL警察官から検察官に代わっただけで大きく変遷しているところ、この点は作為的に管を外したという自白の枢要部分であり、誘導に迎合して供述した可能性を示唆する。
③・・・・請求人がL警察官との関係を維持しようとして虚偽自白をしたとも考えられなくはない。
請求人の迎合的な性格、理解・表現能力という事情に照らせば、公判での殺害を自認するかのような供述も重視できない

請求人の供述は、それ単独でAが酸素供給途絶状態により死亡したと認め得るほどに信用性が高いものとはいえず、前記C鑑定等を併せてみても、Aが不整脈により死亡したのではなく、酸素供給途絶状態が生じたため死亡したことが、合理的疑いなく認められるとは評価できない。
 
■判断手法・内容の評価 
解剖所見自体から導かれる点と、
それ以外の事情を加味して導かれる点とを、
明確に区別することが重要。

請求人の義合的な性格
被疑者の中の少なからぬ者がコミュニケーション不全を抱えているといわれている現実
迎合による虚偽自白の危険性について、ますます留意することが必要

判例時報2385

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2019年1月 3日 (木)

児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」の意義等

最高裁H28.6.21      
 
<事案>
高校の常勤講師の被告人(当時28歳)が、同校生徒の被害児童(当時16歳)に対し、2度にわたり自己を相手に性交させたという児童福祉法違反の事案。 
 
<主張>
弁護人:
①被告人は同児童と交際していた⇒本件各性交は児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」に当たらない
②被告人が同児童に事実上の影響力を及ぼして働きかけていない⇒同号にいう「淫行させる行為」はしていない
③同号の構成要件が不明確であるから、同号は憲法31条に違反する 
 
<判断>
被告人に同号違反の成立を認めた原判決の判断を結論において是認して上告を棄却。 
 
<規定>
児童福祉法 第1条〔児童福祉の理念〕
すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
②すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。

児童福祉法 第34条〔禁止行為〕
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
六 児童に淫行をさせる行為

児童福祉法 第60条
第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 
<判断・解説> 
●「淫行」の意義
A:性道徳上非難に値する性交又はこれに準ずべき性交類似行為
vs.
「性道徳」として想起されるところには、かなりの広がりがある上、その判断は、それぞれの人が抱く価値感によって差が生じかねない。

本決定:
児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」とは、同法の趣旨(同条1条)に照らし、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいうと解するのが相当。

①児童福祉法の趣旨に照らし、端的に、「児童の心身の健全な育成を阻害するおそれ」があるかどうかによって、決せられるべき事柄。
児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあるかどうかは、一般人であれば共通のイメージを抱くことができき、明確な解釈基準になり得る。
 
●「させる行為」の解釈 
本決定:
同号にいう「させる行為」とは、直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいう。

昭和40年判例の、「させる行為」該当性について、
①「事実上の影響力」を児童に及ぼしているか
②児童が淫行をすrことを助長し促進する「行為であるか、
の2つの観点から判断する解釈を踏襲。

「させる行為」に該当するかどうかについては、
行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況も総合考慮して判断するのが相当」

「淫行させる行為」が、立法当初の解釈に比べて相当に広範囲なものを含む解釈が定着している中で、本号による重い処罰にふさわしい行為に限定されていなければならないとの要請も充たしつつ、
児童保護の観点からも適切な処罰範囲を画するために、本罪に該当するとされた裁判例の集積を踏まえ、「させる行為」を判断する際の具体的考慮要素を明示して判断方法を明らかにすることにより、
処罰範囲の明確化を図ろうとした。

本決定

「させる行為」に当たるかどうかを評価するに際しては、
当該児童に及んでいる「事実上の影響力」の程度を踏まえた上で、
「させる行為」と評価できるような「助長・促進行為」があるかどうかを、
当該児童が淫行に及んだ具体的状況に照らして個別に検討していくことになる。
 
●本決定:
本件各性交が、被害児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないようなものを相手とする性交であること、
②被告人と同児童との関係について、被告人が同児童(当時16歳)の通う高等学校の常勤講師であったこと、
被告人の具体的行為として、校内の場所を利用するなどして同児童との性的接触を開始し、ほどなく同児童と共にホテルに入室して性交に及んだこと

本件においては、協力といえるような助長・促進行為はないものの、高校講師である被告人が被害児童に及ぼした「事実上の影響力」を踏まえれば、本件各性交をした行為が、「児童に淫行をさせる行為」に当たると判断。 

判例時報2384

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2019年1月 1日 (火)

参考人としての虚偽の供述が刑法103条の「隠避させた」に該当するとされた事例

最高裁H29.3.27      
 
<事案>
不良集団を率いていた被告人が、同集団構成員(A)が起こしたひき逃げ事件に関し、共犯者らと共謀して、警察官に対し、参考人として、犯人は別人であるとする旨の虚偽の供述⇒刑法103条(平成28年改正前のもの)の「隠避させたに当たる⇒犯人隠匿罪に問われた」 

<規定>
刑法第103条(犯人蔵匿等) 
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
 
<判断>
被告人は、、前記同労交通法違反及び自動車運転過失致死の各罪の犯人がAであると知りながら、同人との間で、A車が盗まれたことにするという、Aを前記各罪の犯人として身柄の拘束を継続することに疑念を生じさせる内容の口裏合わせをした上、参考人として警察官に対して前記口裏合わせに基づいた虚偽の供述をした

このような被告人の行為は、刑法103条にいう「罪を犯した者」をして現にされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為と認められるのであって、同条にいう「隠避させた」に当たるとするのが相当である。

被告人について、犯人隠避罪の成立を認めた原判断は是認できる。 

判例時報2384

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2018年12月20日 (木)

郵便物の輸出入の簡易手続として税関職員が無令状で行った関税法上の検査と憲法35条

最高裁H28.12.9    
 
<事案> 
ルーマニア国籍の被告人がイラン国内から、営利目的で覚せい剤約2kgを航空小包郵便に隠し入れて、東京都内に居住する外国人宛に発送したが、税関検査で覚せい剤の在中が発覚して検挙された覚せい剤密輸の事案。 
 
本件郵便物検査では、外装箱解放、外装箱の内部の目視確認、内容物の外視検査、TDS検査(ワイプ材と呼ばれる紙を使用した検査)のほか、極微量の内容物を取り出して、これを仮鑑定・鑑定することも行われていた

弁護人から、発送人・名宛人の承諾も令状もなく行われた本件急便物検査は、令状主義の精神に反する重大な違法があり、本件郵便物検査により発見された本件覚せい剤及びその派生証拠に証拠能力がないと主張

①当時(平成24年8月21日)の関税法上、どのような検査が許容されており、本件郵便物検査が関税法上許容されていると解されるか
②本件郵便物検査が憲法35条に反するか
などが問題。
 
<判断>
2件の大法廷判例(最高裁昭和47.11.22、H4.7.1)の趣旨に徴し、本件郵便物検査が関税法76条、105条1項1号、3号によって許容されていると解することが憲法35条に違反しないとの判断を示し、上告を棄却。
 
<解説>   
● 本判決:
本件各規定の目的・性質について、
「関税の公平確実な賦課徴収及び税関事務の適正円滑な処理という行政上の目的を、大量の郵便物について簡易、迅速に実現するための規定である」とした上で、
令状、承諾の要否に関し、
税関職員ににおいて、郵便物を開披し、その内容物を特定するためなどに必要とされる検査を適時に行うことが不可欠であって、本件各規定に基づく検査等の権限を税関職員が行使するに際して、裁判官の発する令状を要するものとはされておらず、また、郵便物の発送人又は名宛人の承諾も必要とされていないことは、関税法の文言上明らかである」と判示し、

さらに、その検査の範囲に関し、
発送人又は名宛人の承諾を得なくとも、具体的な状況の下で、上記目的の実効性の確保のために必要かつ相当と認められる限度での検査方法が許容されることは不合理といえない」と判示。

本件事案における事実関係に即して、
「本件郵便物検査は、前記のような行政上の目的を達成するために必要かつ相当な限度での検査であった」として、「本件郵便物検査を行うことは、本件各規定により許容されていると解される」との事例判断を示している。
 
●行政手続として行われた本件郵便物検査が、令状も承諾もなく許容されていると解することと憲法35条の関係 

◎ 憲法 第35条〔住居侵入・捜索・押収に対する保障〕
何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
②捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

◎ 最高裁昭和47.11.22(川崎民商事件):
「憲法35条1項の規定は、本来、主として刑事責任追及の手続における強制について、それが司法権による事前の抑制の下におかれるべきことを保障した趣旨であるが、当該手続が刑事責任追及を目的とするものではないとの理由のみで、その手続における一切の強制が当然に右規定による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。」とした上で、
旧所得税法所定の質問検査権が憲法35条1項の法意に反しないとした理由について、
①国家財政の基本となる徴収権の適正な運用を確保し、所得税の公平確実な賦課徴収を図るという公益上の目的(=目的の内容・公益性)、
②刑事事件の追及を目的とする手段ではなく、実質上も、刑事資料収集に直接結びつく作用を一般に有しないこと(=手続の一般的性質・機能・刑事手続との関係)、
③強制態様が、罰則による間接的なものであって、直接的物理的な強制ど同視すべき程度にまで達していないこと(=強制の態様・程度)、
④収税官吏による実効性ある検査制度が必要不可欠であり、目的、必要性に鑑みて、強制の程度が不均衡、不合理ではないこと(=目的・必要性との比較衡量による強制程度の合理性
を指摘。

最高裁H4.7.1(成田新法事件判決)も同様の枠組みに基づき、強制的な行政手続の憲法35条の適合性の判断が示された。

◎ 本判決は、このような川崎民商事件判決・成田新法事件判決の判断枠組みに基づき、本件具体的事実関係の下で、本件郵便物検査を行うことが本件各規定により許容されていると解するという関税法の解釈が、憲法35条の法意に反しないとの事例判断を示した。

◎本件各規定に基づく郵便物検査の目的・性質
関税の公平確実な賦課徴収及び税関事務の適正円滑な処理という行政上の目的を、大量の郵便物について簡易、迅速に実現するための手続で、刑事責任の追及を直接の目的とする手段ではなく、そのための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものではない。

国際郵便物に対する税関検査であることに伴う、本件郵便物検査の特質を踏まえて判示。 
 
◎強制の態様・程度に関する事情 
①国際郵便物に対する税関検査は国際社会で広く行われており、国内郵便物の場合とは異なり、発送人及び名宛人の有する国際郵便物の内容物に対するプライバシー等への期待がもともと低い
②郵便物の提示を直接義務付けられているのは、検査を行う時点で郵便物を占有している郵便事業株式会社であって、発送人又は名宛人の占有状態を直接的物理的に排斥するものではない⇒その権利が制約される程度は相対的に低い。
 
◎目的・必要性との比較衡量による強制程度の合憲性 
税関検査の目的には高い公益性が認められ、大量の国際郵便物につき適正迅速に検査を行って輸出又は輸入の可否を審査する必要があるところ、
その内容物の検査において、発送人又は名宛人の承諾を得なくとも、具体的な状況の下で、上記目的の実効性の確保のために必要かつ相当と認められる限度での検査方法が許容されることは不合理とはいえない。
⇒本件郵便物検査が本件各規定によって許容されていると解することが、憲法35条の法意に反しない。
 
●本件においては、通関行政目的に基づいて必要性・相当性の認められる限度で適法に本件郵便物検査が行われた上で、反則調査手続に移行した後に、改めて裁判官の発する許可状を得て本件覚せい剤が差し押さえられ、犯罪調査手続として適法な鑑定などが行われている。

「本件郵便物検査が、犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行われたものでないことも明らかである」 

判例時報2383

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2018年12月19日 (水)

強制わいせつ罪と性的意図の要否(否定)

最高裁H29.11.29       
 
<事案>
被告人が、児童ポルノを製造、送信する対価として融資を得る目的で、当時7歳の被害女子に対し、被告人の陰茎を口にくわえさせるなどのわいせつな行為をし、その様子を撮影するなどして児童ポルノを製造し、それらを提供したとして強制わいせつ、児童ポルノ製造、児童ポルノ提供等により起訴された事案。 
 
<一審・原審>
被告人に自己の性欲を満たす性的意図があったとは認定できないとした上で、
強制わいせつ罪の成立には「その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させる性的意図」を要するとした最高裁判例(最高裁昭和45年1月29日)は相当でないとの判断⇒強制わいせつ罪の成立を肯定。
 
<判断>
故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく、昭和45年判例の解釈は変更されるべきである。 

判例時報2383

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2018年12月 3日 (月)

大崎事件の第三次請求即時抗告審決定

福岡高裁宮崎支部H30.3.12   
 
<事案>
原審の再審開始決定⇒検察官の即時抗告⇒即時抗告を棄却

第一次再審第一審:再審開始の決定⇒即時抗告審:再審請求棄却⇒特別抗告審:即時抗告審を維持「なお、記録によれば、申立人提出に係る新証拠の明白性を否定して本件再審請求を棄却すべきものとして原判断は、正当として是認することができる
第二次再審:第一審、即時抗告、特別抗告も棄却
第三次再審請求
 
<原審>
「法医学鑑定」(A鑑定)⇒死因を頚部圧迫による窒息死と推定した①旧鑑定の証明力を減殺、

供述心理学鑑定(捜査官が録取したDの供述調書を鑑定資料として実施したB・C新鑑定)⇒Dの目撃供述の信用性判断においては慎重な判断をする必要があることを明らかに⇒D供述によって補強されていたF、Gらの供述の信用性評価に影響を与える可能性

新旧全証拠を用いて(FGHの各供述の信用性判断を改めて行うことを含めて)事実認定全体の再評価を行うもの。
 
<判断>
●検察官の即時抗告を棄却 
B・C新鑑定(供述心理学鑑定)の明白性を肯定した原決定の判断は、何ら合理的根拠を示さない不合理な判断。
B・C新鑑定は、その鑑定手法及び鑑定内容も不合理⇒B・C新鑑定の明白性を否定。

A鑑定(法医学鑑定)につき、「頚部圧迫による窒息死であることを積極的に認定できる所見がない」という限度で肯定した原決定につき
A鑑定は①旧鑑定をいささかも左右しないのに、①旧鑑定の証明力を減殺したものと評価している点において不合理な判断。

●A鑑定の証明力につき、「『Kの死因につき窒息死と推定し、頚項部に作用した外力により窒息死したと想像した』とする①旧鑑定が誤りであり、『タオルで頚部を力いっぱい絞めて殺した』とする確定判決の認定事実とKの解剖所見は矛盾しており、Kの死因は転落事故等による出血性ショック死の可能性が高い」としたA鑑定の結論部分は、十分な信用性を有している
A鑑定が旧証拠に及ぼす影響につき詳細に検討し、さらに、確定一審判決の心証形成の過程も具体的に検討して、
A鑑定が確定審において取り調べられた場合には、確定審におけるF、G、Hらの供述は、信用性を基礎付ける客観的根拠が喪われることにより、その信用性には重大な疑義が生じる。
⇒A鑑定の明白性を認める判断。

 
<解説>
本決定:
「新証拠の証明力評価」を先行させ、「新証拠が旧証拠に及ぼす影響」を検討し、「確定審の心証形成の過程」を確認した上で、新証拠が旧証拠に及ぼす影響が確定判決の事実認定にどのような影響を及ぼしたのかを検討。

第一次再審即時抗告審と同様「限定的再評価説」の流れに属する。

判例時報2382

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2018年11月14日 (水)

恵庭OL殺人事件第二次再審第一審決定

札幌地裁H30.3.20      
 
<事案>
著名再審請求事件の1つである恵庭OL殺人事件の第二次再審請求に対する地裁の棄却決定。 
弁護人が提出した科学的証拠を中心とする新証拠が、いずれも確定判決の根拠となった間接事実等の認定や評価に影響を及ぼすものではない⇒新旧全証拠の総合評価段階に至ることなく、請求を退けた
 
<判断等>
●確定判決等が請求人を犯人と認定した判断構造 
本件の犯人として想定可能な人物を絞り込んでいく間接事実が少なからず存在し、これらを総合的に検討して、犯人を請求人と推認、特定。
その旨の推認を妨げる事情の有無等を弁護人の主張等に即する形で検討してこれを否定、排斥。
⇒有罪の判断。
 
●弁護人の主張 
①法医学の専門家の意見書等
⇒被害者の死因は頚部圧迫による窒息とはいえず、確定判決等が依拠した司法解剖医作成の鑑定書が、死因をそのようにいうのは根拠不十分。
被害者は、性犯罪の被害にあって薬物投与により急死した疑い⇒そのような薬物を所持していなかった請求人は犯人ではない。

②燃焼学者等の専門家らの意見書等
⇒被害者の死体は、まずうつ伏せの状態で燃焼され、しばらく後に仰向けに反転させられ、再び燃料を掛けられて燃損されたと認められるが、そうであれば、請求人にはアリバイが成立する。

③確定判決控訴審判決では、灯油10リットルを掛ければ被害者の死体のように相当部分が炭化状態となるまで燃焼することが不可能とはいえないと判断。
but
燃焼学の専門家の意見書等⇒灯油10リットルを掛けて燃焼しても、被害者の死体のように体重が9キロも減少することはなく、第一次再審請求審における即時抗告棄却決定が指摘するように、灯油の燃焼終了後脂肪が独立燃焼を継続することもない。
⇒灯油10リットル以外に燃料を所持していなかった請求人は犯人ではない。
 
●判断
弁護人提出証拠の証拠価値を否定し、ひいては、いずれも刑訴法435条6号にいう明白性を否定。
①・・・・頸部圧迫による窒息の所見が少なからず認められる⇒死因をそのように認定した確定判決等の判断は左右されない
当時科捜研において所要の薬物検査が実施され、被害者の死体からは薬毒物が検出されなかった⇒薬物を使用した性犯罪に伴う急死等の可能性は除外される。

②死体の焼損状況⇒当初から仰向けの状態で焼損されたものとみても説明がつく
まずうつ伏せの状態で焼損され、次いで仰向けの状態にされて焼損されたとすると、臀部など焼損を免れた部位や現場の痕跡など客観的状況の説明がつかない。

燃焼学の専門家等の意見書等は、被害者の死体に掛けられた灯油の燃焼の仕方、死体への熱の伝わり方、燃焼した灯油の分量といった燃焼の条件が実際より過度に単純化され、過小なものとなっている
 
<規定> 
刑訴法 第435条〔再審請求の理由〕 
再審の請求は、左の場合において、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。
六 有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。
 
<解説> 
刑訴法435条6号の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」(明白性)とは、
確定判決における事実認定につき合理的な疑いを抱かせるものであり、
その判断方法としては、新証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたら、その確定判決においてなされたような事実認定に到達したかどうかという観点から、新旧証拠を総合的に評価して行うべきものとされている(総合評価説)。

この総合評価:
一般論として、
確定判決が有罪認定の根拠とした旧証拠の構造等を分析した上、新証拠の立証命題や旧証拠の構造の中での位置付けを踏まえ、新証拠がいかなる旧証拠にいかなる影響を及ぼすのかを、そのために必要な範囲の旧証拠に分析を加えながら検討

新証拠が旧証拠に与える影響の度合いを検討するには、その前提として、新証拠それ自体に十分な証拠価値のあることが前提
but
本決定は、弁護人提出証拠の証拠価値をいずれも否定
⇒新証拠への影響の度合いを論じる前提を欠いている。

判例時報2280

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2018年10月25日 (木)

一審:心神耗弱(弁護人争わず)⇒控訴審:心神喪失で無罪

東京高裁H28.5.11    
 
<事案>
被告人(当時31歳)が、弟(当時28歳)及び祖母(当時89歳)に対し、それぞれ、頚部、腹部等を果物ナイフで多数回突き刺すなどして殺害したという殺人2件の事案。 

<一審>
裁判員裁判で、被告人の責任能力に対し、心身耗弱であったことについて検察官と弁護人との間に争いがなく、量刑のみが争点。

検察官:懲役10年を求刑
弁護人:刑の執行猶予の意見
弁護人の主張に対する判断を示すことなく、被告人の精神症状を簡潔に説示した上、被告人は、本件当時、「広汎性発達障害と妄想型統合失調症が複雑に絡みつつ発展した精神障害により心神耗弱の状態にあった」と判示して、法律上の軽減を行った上で、懲役8年。
   
被告人が控訴。

控訴人の弁護人:
被告人は本件当時心神喪失であったから原判決には事実誤認がある。
量刑不当。
を主張。
 
<判断>
第1審判決について
悪魔に関する妄想の圧倒的な影響をうかがわせる、犯行態様の執拗性、過剰性、異常性に関する事情及び犯行に至る経緯における事情が多数認められるにもかかわらず、これらを適切に考慮することなく、また、・・合理的とはいえない起訴前の精神鑑定に依拠して心神耗弱の認定

論理則、経験則等に照らして不合理な認定をしたものと言わざるを得ず、事実誤認がある。

第1審判決を破棄し、心神喪失であることについて合理的な疑いがある⇒無罪。
 
<解説>
●心神喪失・心神耗弱の認定
◎ 心神喪失と心神耗弱とは、いずれも精神障害の態様に属するものであるが、その程度を異にする。

心神喪失:
精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力がなく又はこの弁識に従って行動する能力がないことを指称

心神耗弱:
精神の障害がいまだ前記の能力を欠如する程度に達していないが、その能力が著しく減退した状態を指称。

(大判昭和6.12.3)
心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは、法律判断
⇒専ら裁判所にゆだねられるべき問題。

その前提となる生物学的、心理学的要素についても、法律判断との関係で究極的には裁判所の評価に委ねられるべき問題。(最高裁昭和58.9.13)

生物学的要素である精神障害の有無及び程度並びにこれが心理学的要素に与えた影響の有無及び程度:
その診断が臨床精神医学の本分
⇒専門家たる精神医学者の意見が鑑定等として証拠となっている場合には、鑑定人の公正さや能力に疑いが生じたり、鑑定の前提条件に問題があったりするなど、これを採用し得ない合理的な事情が認められるのでない限り、その意見を十分に尊重して認定すべき。(最高裁H20.4.25)
but
鑑定の前提条件に問題があるなど、合理的な事情が認められれば、裁判所はその意見を採用せずに、責任能力の有無・程度について、被告人の犯行当時の病状、犯行前の生活状態、犯行の動機・態様等を総合して判断することができ、
特定の精神鑑定の一部を採用した場合においても、当該意見の他の部分に事実上拘束されることなく、前記事情を総合して判定することができる。(最高裁H21.12.8)

文献。
 
●本判決の位置付け 
①犯行に至る経緯や犯行状況は、悪魔に関する妄想の圧倒的な影響が強く疑われることを指摘。
②D1意思やD2医師の証人尋問等の事実調べを行い、
③被告人の成育歴、家庭環境等を検討。

本件犯行の態様や犯行動機の異常性について妄想型統合失調症に起因する「一時的妄想」の影響を重視し、
本件犯行が広汎性発達障害によるもので、妄想も「二次的妄想」による影響が大きいとしたD1医師の鑑定の推論過程等を合理的でないとした。

検察官の主張(動機は了解可能である、犯行態様は合目的的である、被告人の統合失調症の症状は重症化していない、犯行当時の妄想の確信度は低く、事後的に妄想追想によって体系化されて確信度が高まった)を踏まえて検討しても、被告人は、保険当時、心神喪失であった合理的な疑いがある。

心神喪失・心神耗弱の認定は、究極的には、裁判所に委ねられるべき問題

裁判所は、たとえ、心神耗弱であることについて、検察官と弁護人の間に争いはなく、公判前整理手続において心神喪失や心神耗弱の問題が積極的に争点とされなかったとしても、後半審理における証拠調べに基づき、鑑定に対する評価を含め、慎重に判断することが求められる

判例時報2377

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