判例

2018年2月22日 (木)

勤務先会社が指定するウィークリー・マンションのテレビ受信機付き居室に入居し、NHKの受診料支払⇒不当利得を返還請求(否定)

東京高裁H29.5.31      
 
<事案>
Xは、不動産会社Aが賃貸する家具家電付き賃貸物件(いわゆるウイークリー・マンション)に入居し、Y(NHK)との間で放送の受信契約を締結して受信料を支払った。
 
<争点>
Xが「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」(放送法64条1項)に該当するか。 
 
<判断>
●放送法64条1項にいう「協会の放送を受診することのできる受信装置を設置した者」は放送法固有の概念

その意義を解釈するに当たっては、同項の文言だけでなく、その立法趣旨も併せて考慮することが可能であり、かつ適切。

その趣旨:
①Yが公共的言論報道機関であり、その使命を果たすためには財産的基礎を確保することが必要不可欠
②税収に委ねた場合には番組編集に国の影響が及ぶことが避けられず、他方、広告収入に委ねた場合には広告主の影響が及ぶことが避けられない

特殊な負担金である受信料制度を採用して国民に直接費用負担を求める趣旨に出たもの。
このような同項の文言及び趣旨

「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」とは、受信設備を物理的に設置した者だけでなく、その者から権利の譲渡を受けたり承諾を得たりして、受信設備を占有しようして放送を受信することができる状態にある者も含まれる。

●Xは、
放送法64条3項により総務大臣の認可を受けた放送受信規約2条3項の「独立して住居もしくは生計を維持する単身者」に該当し、
本件物件を住居として居住し、唯一の居住者であったもの。

Xは、
所有者又はAによって設置されたテレビジョン受信機付きの本件物件を、Aから借りたBの指定を受けて、これを占有使用して、Yの放送を受信し得る状況を享受する者

設置者の承諾を得て受信設備を占有使用して放送を受信することができる状態にある者であり、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」(放送法64条1項)に該当する。


不当利得は成立しない。 
 
<解説> 
放送法64条1項の効力について
A:NHKとの間で放送受信契約の強制的締結を否定する見解
B(裁判例):受信契約締結義務(強制的締結)を肯定
b1:申込み到達後2週間で契約が成立
b2:承諾の意思表示を命ずる判決により契約が成立

判例時報2354

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月19日 (月)

議会運営委員会の市議会議員に対する厳重注意処分とその公表と名誉毀損による国賠請求(肯定)

名古屋高裁H29.9.14      
 
<事案>
Y(名張市)の市議会議員で教育民生委員会に属するXが、同委員会において計画された視察旅行の必要性に疑問を感じてその実施に反対意見を述べ、欠席願を提出して、同視察旅行を欠席
⇒議会運営委員会がXに対して厳重注意処分をし、議長が同処分を公表

Xは、同処分とその公表によって名誉を毀損された⇒国賠法1条1項に基づき、Yに対して、慰謝料500万円の支払を求めた、。 
 
<規定>
裁判所法  第3条(裁判所の権限)
裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。
 
<判断>
●議会の議員に対する措置が、一般市民法秩序において保障されている権利利益を侵害する場合明白な法令違反がある場合は、議会の内部規律の問題にとどまるものとはいえない
⇒当該措置に関する紛争は、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」にあたると解するのが相当。 

Xの本件請求は、
外形的な請求内容だけでなく、紛争の実態に照らしても、一般市民法秩序において保障されている移動の自由や思想信条の自由と直接の関係を有するといえ、かつ、
その手続には明白な法令違反があると主張されている

本件請求は、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」にあたり、司法審査の対象となる。

●本件処分の通知書の記載内容全体
⇒XがY市議会議員として行うべき法的義務のある公務を怠ったものと断定し、厳重注意しなければXが議員としての責務を全うしえない人物と評価・判断し、懲罰類似の処分に出されたことを示すものといえる。
⇒Xの議員としての社会的評価の低下をもたらすものとみとめられる。 

議長の多数の新聞記者に対する前記処分の公表は、Xの社会的評価を低下させる事実を伝播する可能性があり、かつ、多数の新聞報道により実際に伝播した⇒Xの社会的評価が低下した。

Xに対する名誉毀損の成立を認め、原判決を取り消し、Yに対して50万円の慰謝料の支払を求める限度で、請求認容
 
<解説>
裁判所法3条1項の「法律上jの争訟」とは、
法主体者間の具体的権利義務に関する争いであって、法令の適用により終局的に解決しうべきものをいう(最高裁昭和29.2.11)。

最高裁昭和52.3.15:
特殊な部分社会である大学における法律上の争訟のすべてが当然に裁判所の司法審査の対象になるものではなく、
一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題は、司法審査の対象から除かれるべきものである。

判例時報2354

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 9日 (金)

諫早湾干拓地潮受堤防排水門開放差止請求事件第1審判決

長崎地裁H29.4.17    

<事案>

国営諫早湾土地改良事業において、諫早湾干拓地潮受堤防が設置され、それにより締め切られた奥部を調整池とし、その内部に干拓地が形成された。
Y(国)は当該潮受堤防の北部及び南部に排水門を設置し、その開門権限を有している。
福岡高裁H22.12.6は、Yに対し、判決確定の日から3年を経過する日までに、防災上やむを得ない場合を除き、本件各排水門を開放し、以後5年間にわたって開放を継続することを命じ、同判決は同月21日に確定。

本件:
Xら(諫早湾付近の干拓地を所有又は賃借し農業を営むという者、諫早湾内に漁業権を有する漁業協同組合の組合員として漁業を営むという者及び諫早湾付近に居住する者など)が、Yは本件各排水門を開放し、以後5年間にわたってその開放を継続する義務を負っており、地元関係者の同意と協力なしに開門をする可能性があって、Xらは開門により被害を受けるおそれがあるなどと主張

所有権、賃借権、漁業行使権、人格権又は環境権・自然享有権に基づく妨害予防請求として、Yに対し、
・・・・開門の開門の各差止めを求めた。

 
<Yの主張>
事前対策を実施することによって、本件開門によるXらの被害は回避され、
本件開門によって漁業環境が改善する可能性があり、
開門調査を実施し、調査結果を公表することに公共性ないし公益上の必要性がある。 
 
<判断>
●Yが本件開門をする蓋然性 
ある者に対して一定の作為をしないことを求める給付訴訟においては、その者によって当該「一定の作為」がなされる蓋然性のあることが、訴えの利益として必要
Yがケース1~3開門をする蓋然性はあるが、その余の開門をする蓋然性はない。
 
●ケース3-2開門、ケース1開門およびケース3-1開門に差止請求を認容すべき違法性があるか

◎ 差止請求を認容すべき違法性があるかを判断するにあたっては、
侵害行為の態様と侵害の程度、
被侵害利益の性質と内容、
侵害行為の持つ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度
等を比較検討
するほか、
被害の防止に関する措置の有無及びその内容、効果等
の事情を考慮
してこれを決すべき。

前記被侵害利益の性質と内容については、個々のXの被侵害利益を考慮すべきであるが、
多数の当事者の権利について妨害のおそれがあることは、公共性ないし公益上の必要性の程度を減殺する事情として考慮することができる

◎ ケース3-2開門は、本件各排水門の管理水位を維持したまま5年間の比較的長期にわたり、調整値に海水を導入するもの

これにより各X農業者の所有又は賃借に係る農地には塩害、潮風害又は農業用水の一部喪失の発生する高度の蓋然性があり、これらにより農業被害の発生するおそれがある
これらの農業被害は、財産的権利に関するものであるが、各X農業者の生活等の基盤に直接関わるものであり、重大

他方で、ケース3-2開門がなされても、Yが主張する諫早湾及び有明海の漁業環境が改善する可能性及び改善の効果はいずれも高くない

ケース3-2開門による開門調査を実施し、本件事業と漁獲量減少との関連性等の調査結果を公表することには一定の公共性ないし公益上の必要性はあるが、解明の見込みは不明である上、ケース3-2開門がなされた場合に、多数のXが土地所有権ないし賃借権の行使として営む農業に前記被害を受けるおそれが生じる
ケース3-2開門の公共性ないし公益上の必要性は相当減殺される

Yの予定する事前対策は、その実効性に疑問があり、これによって、Xらの妨害のおそれは否定されない

ケース3-2開門によって侵害を受けるおそれのある各Xの被侵害利益ケース3-2開門の公共性ないし公益上の必要性とを比較し、各事情を総合的に考慮すれば、ケース3-2開門については、差止請求を認容すべき違法性がある
同様に、ケース1開門、ケース3-1開門についても、差止請求を認容すべき違法性がある。

●ケース2開門について 
ケース2開門は、5年間の開門をするものであり、
第1段階としてケース3-2開門を行い、
第2段階としてケース3-1開門を行い、
第3段階としてケース1開門を行うという開門方法。

ケース2開門の差止めを求める訴えは、訴えの利益を欠き、不適法⇒却下。

判例時報2353

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 8日 (木)

強盗の犯意の認定、殺人の中止未遂の認定、強盗殺人での死刑選択の基準

名古屋高裁H27.10.14      
 
<事案>
被告人が、金品窃取の目的で民家に侵入し、家人に発見された
⇒居直り強盗を決意して、家人2名を殺害し、1名に重傷を負わせ、現金等を奪った住居侵入、強盗殺人及び強盗殺人未遂。

被告人が以前に在籍していた大学の更衣室で携帯電話機1台を盗み、民家の駐車場に駐車していあった普通乗用自動車1台及びその積載品2点を盗んだ各窃盗。 
 
<原審>
死刑 
 
<判断・解説>
●強盗の犯意の認定
◎原審:
検察官による被告人の取調状況を録音・録画した記録媒体や被告人との接見時の供述内容を取りまとめた弁護人作成の供述録取書を取調べ

検察官の取調べ時の被告人の供述態度や供述内容から、被告人の検察官調書の信用性は高く、弁護人作成の供述録取書やこれに沿う被告人の公判供述のうち、被告人の検察官調書と整合しない部分は信用できない
⇒強盗の犯意を認定。

◎判断:
検察官調書のうち、最初に遭遇した家人に暴行を加えた際に強盗の犯意を有していた旨述べる部分は、被告人が進んで心理状態を振り返った上、自発的に不利な内容を述べたものとは評価できず、むしろ、反省していないと受け取られるのを恐れるなどした結果、検察官の推測内容をもって自己の供述内容とすることを受け入れたものである可能性を否定できない
それ自体に十分な証拠価値を認め得る性質のものとはいえないとして、被告人の検察官調書の信用性に関する原判決の判断を否定

本件の事実関係

被告人は、侵入前の時点で、家人と遭遇して騒がれたり抵抗にあったりする事態を予想し、その場合にあらかじめ用意していたモンキーレンチやクラフトナイフを用いて暴行を加え、反抗を抑圧して金品を奪い取ることになるかもしれないことを考えていたと推認でき、このような事前の不確定な意思内容が、家人との遭遇時に確定的な強盗の犯意となって現れ、ここにおいて金品を強奪することを決意し、家人に暴行を加えたと推認できる。
強盗の犯意を認定
 
◎解説 
本判決は、自白の信用性の判断手法に対して消極的な評価。

録音・録画は、
自白の任意性の効果的な立証という観点のほか、
氷見事件、志布志事件、足利事件など冤罪問題の顕在化によって活性化した取調べの可視化の議論、特に、無罪となった障害者郵便割引制度不正利用事件の捜査の在り方を契機として、平成22年に法務省が設置した「検察の在り方検討会議」の提言の中で、「取調べや供述調書に過度に依存した捜査・公判からの脱却」という提言等を受けて導入されたもの。
but
その後、録音・録画が補助証拠として自白の信用性判断のために利用されるようになっただけでなく、
さらに、検察官の側から、録音・録画を、実質証拠として活用する方法が積極的に主張されるようになった。

弁護人の側からは、
従前、録音・録画を補助証拠として利用できることは前提にした上で実質証拠としての利用の可否が議論されることが多かったが、
自白の任意性・信用性判断として取り調べた録音・録画が実質証拠として機能したといわれる今市事件を契機として、
録音・録画の実質証拠化に反対する主張が多くみられるようになった

学説:
録音・録画の実質証拠としての利用に積極的な見解もみられるが、
多くの学説は消極的な見解に立っている。

録音・録画を実質証拠として用いることには慎重な検討が必要である旨判示した裁判例として東京高裁H28.8.10があり、同判決においても、捜査機関の管理下で行われた取調べにおける被告人の供述から、供述態度による信用性の判断は困難である旨指摘。
本件は、その具体例の1つ。
 
●中止未遂の成否と中止行為 
   
刑法 第43条(未遂減免) 
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
 
◎原審:
刑法43条ただし書の「犯罪を中止したとき」に当たるかどうかの判断において、
「客観的に人を死亡させる危険性の高い行為、すなわち、殺人罪に該当する行為を行うことにより、そのまま放置すれば犯罪の結果が生じかねない状況を作出した場合は、この結果の発生を防止する措置を行ったかどうかを検討すべきである」旨の解釈を示し、
「本件は結果が生じかねない状況を作出した場合に当たるのに、被告人は結果の発生を防止する措置を行わなかった」と判示。
 
◎判断:
原判決の解釈を前提としつつも、
「本件は、被告人が被害者に暴行を加え、これにより殺人罪に該当する行為を行ったものの、そのまま放置すれば犯罪の結果が生じかねない状況を作出した場合には当たらない」旨判示。 
 
◎現在は、実行行為の終了時期の議論を経ることなく、端的に中止行為に該当するためには何が必要かを考えれば足りるとするのが通説。
この場合、因果関係を遮断しなければ結果が発生してしまう状態が生じたかどうかによって、中止行為に作為が必要か、不作為で足りるかを区別する見解が多い。 
 
●強盗殺人罪を含む事案における死刑の選択の基準 
   
刑法 第240条(強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
 
◎原審:
強盗殺人罪の法定刑は死刑又は無期懲役
⇒2名を殺害していながら無期懲役が選択されるのは、死刑を回避する特別な事情がある場合だえると認められる。 
 
◎判断
刑法240条後段の法定刑の内容から直ちに、殺害の被害者が2名であれば原則として死刑を選択すべきである旨の解釈を導くことができるとは考えられない。

殺害された被害者が2名の事案の場合に、死刑を選択するのが原則的であるとか、無期懲役を選択するのは特別な事情が存在する例外的な場合であるなどといえるような量刑傾向ないし量刑状況があるとは考えられない。

むしろ、2名が殺害されるという重大な結果が生じていることを念頭に置きつつも、改めて、当該事案の内容を踏まえながらそのような結果が生じた経緯等について吟味し、罪を犯した者に最大限の非難を向けることが疑問なくできるかどうか、できるとすればその合理的な根拠は何かについて、可能な限り慎重に検討を進めるべきである。

結論としては、原審の死刑の選択を維持したが、強盗殺人における死刑選択の基準については原判決と異なる基準を示した。
 
◎解説 
氷山事件判決(最高裁昭和58.7.8):
犯行の罪質、動機、態様ことに殺害手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せて考慮し、と判示。

統計的に最も大きな要素となっているのは死亡した被疑者の数であり、
死亡被害者が2名の強盗殺人事件では、約66%について死刑が宣告され、無期懲役が宣告されたのは34%。

裁判員裁判の評議に当たっては、これまでのおおまかな量刑の傾向を裁判体の共通認識とした上で、これを出発点として当該事案にふさわしい評議を深めていくことが求められ、この傾向を踏み出す量刑をすることについては、具体的、説得的論拠が示される必要がある(最高裁H26.7.24)。

判例時報2352

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 7日 (水)

対象会社による公告後の譲受者による売買価格の決定の申立ての可否

最高裁H29.8.30      
 
<事案>
Aは、振替株式を発行しているB(「本件対象会社」)の株式を公開買付けにより取得⇒会社法179条1項の特別支配株主となり、
平成27年12月、
本件対象会社に対し、
同項の規定による株式売渡請求をしようとする旨、
株式売渡請求によりその有する株式を売り渡す株主(「売渡株主」)に対して、その株式(「売渡株式」)の対価として交付する金銭の額(「対価の額」)等、
法179条の2第1項各号に掲げる事項を通知。 

本件対象会社は、上記の通知に係る株式売渡請求を承認し、法179条の4第1項1号及び社債、株式等の振替に関する法律161条2項に基づき、上記の承認をした旨、対価の額等、法179条の4第1項1号に定める事項について公告をした。

抗告人は、本件公告後に、本件対象会社の売渡株式のうち3000株(「本件株式」)を譲り受けた。

Xが本件株式について法179条の8第1項に基づく売買価格の決定の申立てをすることができるか否かが争われた。
 
<判断>
法179条の4第1項1号の通知又は同号及び社債振替法161条2項の公告がされた後に法179条の2第1項2号に規定する売渡株式を譲り受けた者は、
法179条の8第1項の売買価格の決定の申立てをすることができない
。 
 
<解説> 
●問題の所在 
特別支配株主による株式等売渡請求の制度:
特別支配株主において、株式等売渡請求に係る株式を発行している対象会社の株主総会の決議を要することなくキャッシュ・アウトを行うことを可能とする制度。

株式等売渡請求⇒売渡株主等は、裁判所に対し、その有する売渡株式等について売買価格決定の申立てをすることができる(法179条の8第1項)。
but
本件のXように対象会社による売渡株主への通知又は公告後に売渡株式を譲り受けた者が上記の申立てをすることができるか?
 
●株式売渡請求の制度について
◎ 従前の実務:
キャッシュ・アウトの手法として全部取得条項付種類株式の取得(法171条1項)の方法
vs.
これによる場合は、常に対象会社の株主総会の特別決議を要する
⇒キャッシュ・アウトの完了までに長時間を要し、時間的・手続的コストが大きい。

機動的なキャッシュ・アウトを可能とするため、
平成26年改正において、
対象会社の総株主の議決権の10分の9以上を有する特別支配株主が、対象会社の株主総会決議を要することなく少数株主に対してその保有する対象会社の株式を売り渡すよう請求することができる、株式売渡請求の制度
 
◎株式売渡請求は、一種の形成権の行使。
対象会社の承認(法179条の3第1項)を経て、対象会社から少数株主(売渡株主)に対し、株式売渡請求に関する所定事項についての通知又は公告(法179条の4第1項1号、社債振替法161条2項)
特別支配株主から売渡株主に対して株式売渡請求がされたものとみなされ(法179条の4第3項)、これにより、売渡株主の個別の承諾を要することなく、特別支配株主と売渡株主との間に売渡株式についての売買契約が成立したと同様の法律関係が生じる。

特別支配株主が定めた取得日(法179条の2第1項5号)に、法律上当然に、売渡株主から特別支配株主への売渡株式の譲渡の効力が生じ、特別支配株主が売渡株式の全部を取得(法179条の9第1項)。 

株式売渡請求がされることにより、対象会社の少数株主は、その意思にかかわらず自らの有する対象会社の株式を売り渡すことになる。

売渡株主の利益を保護するため、
(1)株式売渡請求には対象会社の承認を要すること(法179条の3)等とされ、
(2)売渡株主がその利益を確保する方法として、
①売渡株式の取得の差止請求(法179条の7)
②売買価格決定の申立て及び
③売渡株式の取得の無効の訴え(法846条の2)
が規定。
 
対象会社による売渡株主への通知又は公告後に売渡株式を譲り受けた者が売買価格決定の申立てをすることの可否 

株式売渡請求の手続において基本的に保護の対象として想定されている株主は、対象会社の通知又は公告によって、自らの意思にかかわらず特別支配株主に株式を売り渡す立場に置かれることになる株主(=対象会社の通知又は公告の時点における株主)
②裁判所による価格決定の効力は申立てに係る売渡株式についてのみ生ずると解されている⇒売渡株式の売買価格の適正を一般的に図るために申立権をより広く認めるべきとの要請があるとは考え難い
③対象会社の通知又は公告によって株式売渡請求の事実や具体的な対価の額等が対外的にも明らかになった後にあえて売渡株式を譲り受けた者に、当該対価の額に関して不服をいう機会を与える必要はない。

売買価格決定の申立てをすることができる株主は、通知又は公告の時点における株主であるとするのが相当であり、通知又は公告後に売渡株式を譲り受けた者は、売買価格決定の申立てによる保護の対象として想定されておらず、同申立てをすることができないと解するのが相当。

判例時報2352

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 5日 (月)

保険金等請求訴訟で火災事故が保険契約者の故意によるもので免責されるとされた事例

福島地裁いわき支部H28.10.27      
 
<事案>
XとY1の間の火災共済契約等並びにXとY2との間の火災保険契約の目的物である建物及びその内部の家財が火災により焼失
⇒XがYらに対し、これらの契約に基づく共済金及び保険金を請求。 
 
<争点>
各契約に係る約款のいわゆる故意免責条項が、本件火災に適用されるか? 
 
<判断>
●消防署の判定結果(仏壇から出火)と私的鑑定(仏壇に隣接する押入れ内部からの出火)を詳細に検討し
前者については火災現場の客観的状況につき誤認があるため、出火場所の判定が誤っている疑いがある
⇒後者の信用性が前者にそれに上回る
⇒通常火のない押入れ内部からの出火である可能性が高く、本件火災が放火によるものであることが強く疑われる客観的状況にある。


経済的に困窮していたXが合理的必要性のない保険契約を締結した翌日に、いずれの主張を前提としても通常は火の気のない部屋にたまたま発生した火気が原因で本件火災が生じ
Xが建物所有者でないのに建物が係る火災保険金を請求したという一連の事実経過

本件火災がXの保険金目的の放火によるものであることに対する相応に強い推認力

同時期にXが保険金取得目的で入院⇒Xの保険金の不正取得の意図を認めた。

Xが保険金詐取の目的で本件火災を故意に惹起したことが強く推認できるとして、消極方向の間接事実を排斥して、故意免責を認めた。
 
<解説>
火災保険契約に基づく保険金請求事件におけるいわゆる故意免責の立証責任は、保険者が負う。 

保険者が直接証拠を入手することは困難⇒複数の間接事実を組み合わせた立証によるほかない場合が多い。
(1)火災原因が放火であることを推認させる間接事実:
①出火場所
②出火態様
③出火時刻
④失火等の原因となる他の火源の有無
⑤助燃剤の有無


(2)放火に対する保健金請求者の関与を推認させる間接事実:
①第三者の出火場所への侵入可能性
②被保険者等の動機・属性を示す事情
③被保険者等の火災発生前後の言動
④保険契約締結に関する事情等

判例時報2352

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 4日 (日)

部活中の負傷による後遺症障害⇒顧問の安全配慮義務違反(肯定)

大阪地裁H29.2.15      
 
<事案>
Yの設置運営するB高校(「本件高校」)の日本拳法部の新入部員であったX1が、同部の練習中に、後頭蓋窩急性硬膜下血腫等を負った
⇒X1及びその両親が、同部の顧問であり、Yの被用者であったAには本件事故を未然に防止すべき指導上の注意義務があったのにこれを怠ったと主張し損害賠償請求 
 
<判断>
●本件事故の態様(争点①)
本件事故当時、一緒に活動していた部員の供述や対戦相手の供述
⇒対戦相手が、X1が蹴り上げた左足をつかみ、X1の右足を払ったことから、X1が点灯し、本件事故に至った。
 
●顧問Aの安全配慮義務違反の有無(争点②) 
初心者と上級者と対戦させるに当たっては、上級者に対し、蹴り足をつかみ、他方の足を払うなどといった危険な技をかけないように指導するとともに、X1とその対戦相手との動向に注視し、できる限りそばに付き添って指導し、X1が対戦相手から危険な技をかけられそうになった場合には、対戦相手に対し、当該技をかけるのを止めるように指導する安全配慮義務があったのにこれを怠った。
   
Yは、X1に対し、158万円余、
父親であるX2に対し30万円
母親であるX3に対し61万円余
を支払うよう命じた。
 
<解説>
顧問(教師)の安全配慮義務について、
担当教諭(顧問)は、練習によって生ずるおそれのある危険から生徒を保護するために常に安全面に十分な配慮をし、できる限り生徒の安全に関わる事故の危険性を具体的に予見し、その予見に基づいて事故の発生を未然に防止する措置を執り、クラブ活動(部活動)中の生徒を保護すべき注意義務を負っている。 

判例時報2352

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 3日 (土)

公正証書遺言の方式違背等(肯定)

東京高裁H27.8.27      
 
<事案>
共同相続人であるXらが、共同相続人であるYらに対して、被相続人Aによる公正証書遺言には方式違背がある等として、公正証書遺言の無効の確認を求めるともに、
公正証書遺言に基づきされた被相続人A所有の不動産に係る登記の更正又は抹消の登記や手続を求め、
あわせて公正証書遺言の前に作成された自筆証書遺言についても、遺言意思がなかったとして無効確認を求めた事案。 
 
<判断>
●公正証書遺言
①被相続人Aは、公証役場訪問前には高度の意識障害によりコミュニケーションが困難な状態になることがあり、公証役場訪問後には救急外来を受診し意識障害を生じ、肝性昏睡と診断されるなど、被相続人Aの意識状態や身体状態には一定の変動があり、具体的な応答をし得る程度の意識状態や身体状態にあったとみるには相当の疑義が存する
②被相続人Aは公証人に対し、「Y1に全部。」、「Y2にも。」と述べる以外は何も言わず、証人Bらもこれらの発言以外は見聞きしていなかった
but公証人の作成した遺言案には、Y1に10分の5、Y2及びXらに各10分の1とするもので、公証人が被相続人Aの意思を忖度、整理し、内容を補充して作成したと考えられる。
公証人が遺言案を読み上げて内容の確認をしたところ、被相続人Aは頷くのみで何ら具体的発言をすることはなかった

遺言者の遺言の趣旨を理解できるように口授したものとは認められない

●自筆証書遺言 
①被相続人Aは、自筆証書遺言の作成を試みて、何枚か作成したものの、いずれもうまく書けず、Y1が4か所に訂正印を押さなければならないような不出来なものであった。
②被相続人Aは、作成したものを持ち帰らず、また作成に立ち会ったAの兄嫁であるBに保管等を託すこともしなかった
Bから遺言書として通らないと言われて公正証書遺言を作成することを勧められ公証役場を訪問して本件公正証書遺言を作成している。

公正証書遺言の作成を勧められた時点で本件自筆証書遺言をもって遺言書とする意思を失っていた本件自筆証書遺言は遺言意思がなく無効
 
<規定> 
民法 第969条(公正証書遺言)
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

民法 第969条の2(公正証書遺言の方式の特則)
口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2 前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
3 公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。
 
<解説> 
民法969条2号の趣旨について、遺言書の財産を誰に対してどのように処分するかといった遺言の具体的な内容を遺言の趣旨として、公証人に対して自らの言葉で語ることを必要とするということ。

言葉によらない表示は口授とはいえない

首を振る程度の返事をした場合や肯定又は否定の挙動を示したにすぎない場合に口授があったとはいえない(最高裁)。

自筆証書遺言のために複数書き直しがされ、結局持ち帰りも保管等を託すこともしていないのは、このとき作成されたものを最終意思とすることをしなかったということができる。⇒遺言意思を認めなかった判断は相当

判例時報2352

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年2月 1日 (木)

分担金を定めた条例の規定の適法性(適法)

津地裁H29.6.22      
 
<事案>
地方公共団体の実施する下水道整備事業に伴う分担金の負担について、その適法性が争われた事案。

Y(三重県名張市)においては、市全域下水道化基本構想の下に、住宅団地の下水道整備を進め、住宅団地の合併浄化槽及び汚水処理施設をYが公共管理することが構想。
Yは、同構想のもと、Xらの居住する区域においては、新設する汚水処理施設に接続することを前提に、既存の汚水処理施設(「本件処理施設」)を公共管理に移管し、本件処理施設を耐用年数が過ぎた後に撤去するという事業(「本件事業」)を実施することにし、地自法224条、228条1項に基づき名張市住宅地汚水処理施設分担金条例(「本件条例」)を定め、同条例に基づき、同事業の分担金を同区域の住民に賦課。

Xらは、同分担金の賦課決定を受けたため、本件各処分が違法であると主張して、その取消しを求めた。
 
<争点>
本件各処分が分担金(=地方公共団体が行う特定の事件に要する経費に充てるため、その事件に特別の関係のある者に対して課する金銭)について定めた地自法224条に違反するか否か。 
 
<規定>
地自法 第224条(分担金)
普通地方公共団体は、政令で定める場合を除くほか、数人又は普通地方公共団体の一部に対し利益のある事件に関し、その必要な費用に充てるため、当該事件により特に利益を受ける者から、その受益の限度において、分担金を徴収することができる。
 
<判断>
●地自法224条に反して違法であるとは認められない⇒請求棄却。

●地自法224条の解釈 
同条の「利益」とは、必ずしも金銭に見積もり得る経済的利益に限らず、当該事業により生じる利便性や快適性といった生活上の利益を含む

分担金が同条の「受益の限度」を越えないものか否かは、事業の性質、必要性、事業費、受益の性質及び程度等を考慮して衡平の観点から社会通念に基づき判断されるべきであり、
受益の限度を越えない範囲について、どのような算定方法を採るかは、普通地方公共団体の合理的な裁量に委ねられている


①本件事業は、Xらが居住する区域の住民が、安定的に下水道サービスを受ける上で、重要な施策であって、合理性を有するもので、Xらは、本件事業により、他の住民ないし土地所有者には利益のない本件処理施設による汚水処理の利便性の向上及び資産価値の増加といった「利益」を受ける
②本件事業に係る分担金も事業費総額の約5.8%に止まるものであり、その割合がXら住民にとって課題な負担とまではいえず分担金の算定方法に関しても、Yに認められた合理的裁量の範囲を逸脱するものではない

事業の必要性、受益の重要性及び分担金が合理的に算定されていることを総合すると、本件条例による分担金の定めは、地自法224条に反して違法であるとは認められない。 
 
<解説>
①特定の事件に関し特に利益を受けるものから徴収される者である点、
②報償的性格を有する点
③一般収入ではなく当該事件の費用に充てるため徴収される点
等で分担金と税は異なる。 

公共下水道事業のように、市町村が、都道府県知事の認可を受けて施行する事業(都市計画法59条1項)においては、同法75条1項が、都市計画事業によって著しく利益を受ける者がある場合における受益者負担金について規定。
but
本件事業は、都道府県知事の認可を受けて施行された事業ではなかった⇒地自法224条に基づいて実施。

判例時報2352

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年1月31日 (水)

教員採用処分の取消処分の有効性が問題となった事案

①福岡高裁H29.6.5
②福岡高裁H28.9.5         
 
①事件
<事案>
Xが、平成20年度大分県公立学校教員採用選考試験に合格し、同年4月1日付けで県教委から小学校教員に任命(本件採用処分)⇒前記試験のXの成績に不正な加点操作があったとして本件採用処分の取消処分

Xが、大分県に対し、
本件取消処分の取消しを求めるとともに、
国賠法1条1項に基づき、違法な本件取消処分ないし本件採用処分により精神的苦痛を受けた⇒慰謝料700万円及び弁護士費用70万円の合計770万円の損害賠償を求める。 
 
<一審>
本件採用処分は裁量権を逸脱し又は濫用したものとして違法であり、
本件採用処分を維持する公益上の不利益は、本件取消処分によってXが被る不利益よりさらに重大で公共の福祉の観点に照らし著しく相当性を欠く

本件取消処分の取消請求を棄却。 

本件採用処分は違法な行政処分
国賠法に基づいて、大分県に慰謝料350万円、弁護士費用50万円の合計400万円の損害賠償をXに支払うよう命じた
 
<判断>
一審を維持。 
 
<解説> 
●行政処分の職権取消しの可否及び要件 
行政処分の職権取消しについての総則的規定は存在しない。
but
法律による行政の原理等を理由にこれを認めるのが一般。

要件について、特に授益的行政処分では、
A:違法又は不当を要件とするもの
B:違法に限定するもの
C:取消制限の利益衡量とともに判断するもの

最高裁H28.12.20:
行政処分の職権取消しの適否についての審理判断は、原処分が違法又は不当(違法等)があると認められるか否かの観点から行われるべきである。

判断:
本件採用処分は大幅に改ざんされた点数に基づくもので、改ざんがなければXについての本件採用処分はなかった本件採用処分は事実の基礎を欠く違法なもの
 
授益的行政処分の取消制限 
授益的行政処分については、当該行政処分の相手方の既得の利益や処分の存続及び適法性への信頼の保護等
職権による取消しが制限される場合がある

当該処分の取消しによって生ずる不利益と、
取消しをしないことによって当該行政処分に基づき既に生じた効果をそのまま維持することの不利益
とを比較考量した上、
当該行政処分を放置することが公共の福祉に照らして著しく不当であると認められるときに限り、当該行政処分を取り消すことができる
(最高裁)

判断:
Xの正教員採用への信頼と期待の侵害等は軽視し難い(ただし、Xが正教員の地位を保持する正当な利益は認められない。)ものの、
大幅な点数の改ざん(特にX所属の勉強会の指導官の口利きが原因)による合格は、公平な教員採用試験の実施についての信頼、教員あるいは公教育自体に対する県民の信頼を失わせる等本件採用処分の維持による公益上の不利益はより重大であって、本件採用処分を維持することは公共の福祉の観点に照らし著しく相当性を欠く

本件取消処分は適法。
 
<②事件>
①事件とほぼ同様の枠組みを採った上で、
採用処分に瑕疵はあるものの、
教員としての地位を失うなどZの社会的・経済的不利益は大きく、
Zが加点操作に何ら関与していないこと

教員採用処分を取り消すことはできない。 
   
①事件②事件とも、いずれも上告 

判例時報2352

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧