2-2-2 戦略的ポジションの源泉
戦略的ポジションは、相互に排他的でない、しばしば部分的に重なる、3つの明確な源泉から生じる。
●第1に、ポジショニングは、ある種の産業の製品又はサービスを作り出すことに基づき得る・・・種類ベースのポジショニング(variety-based positioning)
~
顧客セグメントではなく製品又はサービスの種類に基づく。
特有の活動の組み合わせにより特定の製品又はサービスをより良く作り出せる場合、経済的意味を持つ。
ex.
Jiffy Lube International:
自動車オイルに特化(修理、メンテナンスサービスは行わない。)
その value chain は、より広範なラインの修理店よりも、低コストで素早いサービスを提供。
多くの顧客はその購入を分け、オイル交換は特化した競争者、Jiffy Lubeで行い、他のサービスについてライバルの店に行く。
Vanguard Group(mutual fund industry のリーダー):
成果が予測でき費用が最低の普通株、社債およびマネーマーケットファンドを提供。
特別な成果を犠牲にして継続的な相対的成果を求める投資アプローチ
そのインデックスファンドで知られている。
利率に掛けることはなく、狭い株式グループを避ける。
売買高を抑える⇒コストを抑える。
頻繁な売買はコストをあげ、償還のために資金を用意するためファンドマネジャーに取引を強いる。
⇒顧客にも頻繁な売買を抑えるようアドバイス。
distribution、顧客サービス及びマーケティングにおける一貫した低コストアプローチ
多くの投資家はポートフォリオに1又は複数のヴァンガードのファンドを含み、競争相手から積極的に特化したファンドを購入する。
VanguardやJiffy Lubeの利用者は特定の種類のサービスのための優越的バリューチェーンに応答する。
種類ベースのポジショニングは、幅広い顧客にサービスを提供するが、そのほとんどにとって、特定のセットのニーズのみを満たす。
●第2のポジショニングのベースは、特定のグループの顧客のほとんど又は全てのニーズに対応するもの・・ニーズベースのポジショニング(needs-based positioning)
~
顧客セグメントをターゲットとする伝統的な考えに近い。
ニーズを異にする顧客グループが存在し、あつらえられた一連の活動がそれらのニーズを最高に満たすことができる場合に生じる。
ある顧客グループは他のグループよりより価格に敏感であり、異なる製品特性を求め、異なる量の情報、サポート及びサービスを求める。
イケアは、ターゲット顧客の家具についての全て(一部でない)のニーズを満たすことを追及する。
ニーズベースのポジショニングの変形は、同じ顧客が異なる機会や異なる機会のタイプの取引のために異なるニーズをもつ場合に生じる。
ex.
同じ人でも、出張の場合と家族旅行の場合で異なるニーズを持ち得る。
缶の購入者・・例えば飲料会社・・はその主たる供給者に対するものと2番目の供給者に対するものでは、異なるニーズを持ちがち。
ほとんどのマネジャーにとって彼らが満たす顧客のニーズからその事業を認識することは直感的にわかるが、ニーズベースのポジショニングの決定的な要素は直感的にわかるものではなく、しばしば見過ごされる。
ニーズにおける違いは、それを満たす最善の活動の組合せが異ならない限り、意味のあるポジションに転換しない。
そうでなければ、全ての競合者は同じニーズを満たすことができ、ポジショニングについてユニークで価値のあるものは何もない。
ex.Bassemer Trust Company:
富の蓄積による資産の維持を求める、最低500万ドルの投資資産を有する顧客をターゲット。
洗練されたアカウントオフィサーに14家族を割り当てることで、個人に対応した活動を作る。
投資マネジメントや不動産管理、石油及びガス投資の監視、競走馬や航空機のための会計等、広範囲のカスタマイズされたサービスを提供。
ほとんどのプライベートバンクの重要商品であるローンは、Bassemerの顧客にとってほとんど必要ではなく、顧客の勘定や収入にとって小さなもの。
アカウントオフィサーの高額な報酬と営業費用に占める高い人件費にかかわらず、ターゲットとなる家族についての差別化はプライベートバンキングの競争相手の中で、最も高い自己資本利益率を生み出す。
ex.Citibank:
Citibankのプライベートバンクは、25万ドルの最低資産を有する顧客・・Bassemerの顧客とは対照的に、ローンへの便利なアクセスを求める・・にサービスする。
Citibankのアカウントマネジャーは主に貸し手。
顧客が他のサービスを必要とする時、彼らのアカウントマネジャーは彼らを他のCitibankの専門家・・彼らはパッケージ商品を取りつかう・・に紹介する。
CitibankのシステムはBassemerよりカスタマイズされていないため、より低いマネジャーークライアントレイシオ(1:125)を可能にする。
半年ごとのオフィスミーティングは、最大の顧客のためにのみ提供される。
BassemerとCitibankはその活動をプライベートバンキングの異なるグループの顧客のニーズに合わせるようあつらえた。
同じ価値連鎖は双方のグループのニーズを有益に満たすことはできない。
●第3:アクセスベースのポジショニング(access-based positioning)
~
異なる方法でアクセスできる顧客をセグメントするポジショニング。
彼らのニーズは他の顧客のニーズと同様であるが、彼らに到達する活動の最善の配置が異なる。
アクセスは、顧客地理(customer geography)又は顧客割合(customer scale)、あるいは顧客に最善の方法で到達するために異なるセットの活動を要求するものの機能であり得る。
アクセスによるセグメントは、他の2つのベースよりも、より一般的ではなく、より理解されていない。
ex.Carmike Cinemas:
20万人以下の都市でのみ映画館を運営。
いかにしてCarmikeは、小さいだけでなく大都市でのチケット価格をサポートしない市場で儲けるのか。それは、無駄のないコスト構造をもたらす一連の活動を通じて。
Carmikeの小都市の顧客は、大都市の劇場よりも少ないスクリーンと洗練されていない上映技術しか必要としない標準化された低コストシアターコンプレックスを通じてサービスされる。
会社が所有する情報システムとマネジメントプロセスは1人の劇場マネジャー以外に管理スタッフを必要としない。
Carmikeはまた、集権化された購入から優位さ・・(その立地故に)低い家賃と賃金コスト、最低の会社の2%の間接費(産業の平均は5%)・・を享受する。
小さな共同体での営業はまた、Carmikeをして、高度に個人化されたマーケティング(劇場マネジャーは支援者を知っており、個人的関係を通じて集客を増進する)を可能にする。
市場・・主な競争相手はしばしば高校のフットボールチーム・・での唯一の劇場ではなくても、主要であることで、フィルムを選ぶことができ、配給者とよりよい条件を交渉できる。
田舎vs都市ベースの顧客は、活動における違いを駆り立てるアクセスの例である。
巨大顧客ではなく小さい顧客、まばらに存在する顧客でなく密集した顧客は、
別個のグループの同じようなニーズに対応するための、マーケティング、注文処理、ロジスティクスそしてアフターサービス活動を行う最善の方法がしばしば異なる、他の例である。
ポジショニングはニッチを取り出すものとは限らない。
いずれかのソースから現れるポジショニングは広かったり、狭かったりする。
イケアのように焦点を絞った競争者は、一部の顧客の特別なニーズに狙いを定める、それに従って、その活動をデザインする。
焦点を絞った競争者は、より広範なターゲットを有する競争者に過剰にサービスされ(よって価格が高すぎる)、若しくは過少サービスしかされない(よって低価格となる)顧客グループで栄える。
広範囲のターゲットを有する競争者・・例えば、ヴァンガードやデルタエアライン・・は広汎な顧客にサービスし、その通常のニーズに対応するようデザインされた一連の活動を行う。
それは、無視するか、部分的にのみ特定の顧客グループの特徴的なニーズを満たす。
どれがベースであれ・・・バラエティ、ニーズ、アクセス又はそれらの3つの組み合わせ・・ポジショニングはあつらえられた活動を求める。なぜなら、それは常に、供給側の相違・・・それはつまり、活動での相違・・・の機能であるから。
しかしながら、ポジショニングは常に需要、顧客又は側の相違の機能というわけではない。
バラエティとアクセスポジショニングは、特に、顧客の相違に依拠しない。
しかし、実際には、バラエティ又はアクセスの相違は、しばしば、ニーズの相違を伴う。
Carmikeの小さな町の顧客の嗜好・・つまりニーズ・・は、例えば、よりコメディ、ウェスタン、アクションフィルム、そして家族の娯楽にむかう。
Carmikeは、NC-17指定のフィルムは上映しない。
ポジショニングを定義して、「戦略とは何か?」という質問に答え始めることができる。
戦略とは、異なるセットの活動に関係する、ユニークで価値あるポジションの創造である。
会社は単純な命令・・競争に勝ちそれを先取りしろ・・に直面する。
戦略的ポジショニングの本質は、ライバルと異なる活動を選択することである。
同じセットの活動が全ての多様性を作り出し、全てのニーズを満たし、全ての顧客にアクセスする、最善のものであれば、会社は容易にシフトでき、オペレーション効率が成果を決める。
大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))
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