いじめで教諭らと市教育委員会の対応が国賠法上違法とされた事案
さいたま地裁R3.12.15
<事案>
所属するサッカー部の生徒からいじめ⇒不登校⇒同中学校の教諭ら及び市教育委員会の対応が不適切であり、これが後続のいじめの発生や不登校の長期化を招いた⇒国賠法1条1項に基づき、被告(埼玉県川口市)に対し慰謝料等の支払を求めた。
<判断>
●自宅学習について指導する際に教諭が原告の頭をたたくなどしたことについて、原告に対し少なからぬ程度の有形力を行使したもの⇒指導方法として必要・相当といえない⇒違法性を肯定。
教諭らが他の保護者らに対し原告のいじめの訴えが事実でないかのように伝えたことについて、原告に対する周囲の反感を強め、原告の登校を更に困難にする行為⇒違法性を肯定。
①教諭ら及び市教育委員会がいじめ防止対策推進法28条1項の重大事態に関する調査を怠った
②教諭らの同調査につき市教育委員会の指導義務違反も認められる
被告:教諭ら及び市教育委員会が重大事態は発生していないと判断したことの合理性を主張
vs.
その判断を合理的に基礎づけ得る事情はない。
重大事態を認知すべきときに重大事態を認知しない裁量が教諭ら及び市教育委員会にあるとは解されない。
●慰謝料50万円、弁護士費用5万円を認定。
<解説>
裁判例・文献
判例時報2549
大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
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