親子関係不存在確認の訴えについての確認の利益
最高裁R4.6.24
<判断>
・・・・本件各親子関係が不存在であるとすれば、亡Dの相続において、亡Cの子らは法的相続人とならないことになり、本件各親子関係の存否によりXの法定相続分に差異が生ずることになるなどの判時の事情の下においては、Xは、本件訴えにつき法律上の利益を有するというべきである。
<解説>
●親子関係不存在確認の訴え:
特定人間の法律上の親子関係が存在しないことを確認する人事訴訟(人訴法2条2号)
人事訴訟の判決は対世効を有し(人訴法24条1項)、身分関係を変動させ、戸籍を訂正させる(戸籍法116条1項)。
人訴法には人事訴訟の原告適格に関する一般的な定めはなく、第三者であっても確認の利益を有する限り訴えを提起することができる⇒どのような場合に確認の利益があると認められるかが問題。
●養子縁組無効確認の訴えにおける確認の利益:
最高裁昭和63.3.1:
養子縁組無効の訴えは縁組当事者以外の者もこれを提起することができるが、当該養子縁組が無効であることにより自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けることのない者は右訴えにつき法律上の利益を有しない。
~
親子関係不存在確認の訴えにおける確認の利益についても及ぶ
●Xは亡Dの法定相続人の地位にあるところ、「相続人の地位」が単なる「財産上の権利義務」ではななく「身分関係に関する地位」であることは明らか。
本件各親子関係が不存在であることにより、Xの「相続人の地位」は、法定相続分が増えるという直接の「影響」を受けることになる。
~身分関係に関する地位への影響。
判例時報2547
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