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2023年3月21日 (火)

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)で死亡の医療過誤の事案(肯定)

東京地裁R3.8.27

<事案>
Yが開設する病院で、内視鏡的粘膜下層剥離術を受けたAが、出血性ショックにより手術の翌日死亡⇒Aの相続人であるXらが、執刀医であるD医師には、適応外のESDを実施した注意義務違反がある⇒Yに対し、使用者責任による損害賠償請求権に基づく請求。

<争点>
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の適応があったのか否か

<判断>
ESDに係る各ガイドラインによれば、病変が一括切除できる大きさと部位にあることがESDの適応の基本的な考えとされており、潰瘍所見の有無に応じて2ないし3㎝が1つの指標。
but
①Aの病変は9~10㎝大の腫瘍
②術前の造影CTにおいて、以上に太い腫瘍内血管が認められていた
⇒本件ESDにおいては、処置に長時間を要し、多量の出血が見込まれることが事前に予測された。
③Aが手術当時84歳
⇒そのような長時間の施術や出血に耐えうる状況であったとは認め難く、術後の穿孔や出血のリスクもあった。

Aが回復手術よりも内視鏡治療の実施を希望していたことを踏まえても、本件ESDは適応を欠く⇒本件ESDを行ったD医師には、適応を欠く手術を実施したことにつき注意義務違反がある。

<解説>
裁判例

判例時報2542

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP

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