兵庫県迷惑防止条例にいう「卑わいな言動」該当性(否定事例)
神戸地裁R3.11.30
<事案>
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例3上の2第1項1号の「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」に当たるとして起訴
<判断・解説>
●「卑わいな言動」の意義・判断方法
①社会通念上、性的道義的観念に反する下品でみだらな言語または動作をいい、
②その該当性は行為態様や犯行当時の状況、被害者及び被告人の関係等の客観的事情に照らして判断すべきものであって、性的な動機や目的があることを要しない
③卑わいな言動該当性は、当該事案の具体的状況を前提として、被害者の立場に置かれた一般通常人を基準に判断すべき。
●「卑わいな言動」該当性
①大多数の男性の性的対象は女性であると認識されている⇒男性の男性に対する身体的接触が性的意味を有すると認識される度合いは小さい。
②臀部の性的意味の程度は、性的部位の中では比較的低く、また、女性よりも男性の方が低い
③臀部を叩くという行為は、特に男性に対しては、冗談、励まし、注意、体罰など、様々な意味でなされる⇒臀部が性的部位であることから臀部への接触が原則的に性的意味を有するということはできない。
本件各行為は、
①男性である被告人が②男子③小学生の④臀部を⑤1回軽く叩くという行為態様
⇒卑わいな言動に当たると解することは困難。
判例時報2537
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