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2022年12月15日 (木)

自動車事故⇒道路管理者である県の国賠法2条1項の責任(肯定事例)

神戸地裁R3.8.24

<事案>
Xは、本件事故について、Aとの間で締結していた人身傷害保障特約付きの自動車共済契約に基づき、Aの相続人に対して共済金を支払った。
Xは、本件事故は、本件水たまりの存在が原因で生じたものであり、本件水たまりが発生したのは、Yが設置管理する本件道路の排水設備の排水機能に不足があり、また、その排水設備に堆積した落ち葉等の除去をしていなかったことに原因がある
⇒AはY(兵庫県)に対し国賠法2条1項による損害賠償請求権を有するところ、XがAの相続人に前記共済金を支払ったことにより、Aの有する前記損害賠償請求権を共済金支払額の限度で代位取得した⇒Yに対し、損害金2419万5545円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた。

<Y主張>
争点1(本件道路の設置管理の瑕疵)について
ア:本件事故は、本件道路の制限速度である時速40キロを大幅に超える時速約65キロから約70キロで走行するというAの異常な用法により発生したもので、本件水たまりが存在していたことがその発生原因ではない
イ:本件水たまりの存在が事故原因としても、本件道路に設置されている排水設備の排水能力に問題はなく、また、Yは、本件道路について、道路管理パトロール要綱に基づき、1日1回巡回パトロールを行う等し、側溝や集水桝の落ち葉等の除去も行っていた⇒本件道路の設置又は管理に瑕疵はない。

争点2(過失相殺)
仮に、前記瑕疵があるとしても、Aには制限速度超過及びシートベルト不装着の過失があり、過失相殺がなされるべき。

<判断>
●本件道路の設置管理の瑕疵(争点1)
本件事故はA車両が本件水たまりを避けるように中央線寄りを進行し、左側タイヤのみが本件水たまり内に進む態様で走行したことによって不規旋転運動が生じる等して発生⇒A車両が制限速度を大きく超える高速で走行したことにより事故が発生したとのYの主張を排斥。
本件道路の排水設備の設置管理の状況:
本件水たまりの発生原因は、同排水設備に落ち葉等が堆積して、その排水機能が阻害されていたことにあるところ、同排水設備には周囲から落ち葉等が流入しやすい状況にあった
Yが、本件道路の排水設備を設置及び管理するに当たっては、本件道路の車線上に水たまりを商事させて車両の安全な運行を妨害しないようにするため、設置される排水設備が十分な排水能力を有するだけでなく、これに落ち葉等が堆積することによりその排水機能が阻害されないようにすることも求められ、特に、その排水構造に照らして、附近の川に接続される排水管の入り口部分の通水機能が阻害されないように留意する必要。

本件道路の排水設備の設計上の能力には問題がなく、その構造自体に不備があったとはいえないが、Yは、有蓋側溝の内部や前記排水管の入り口となる桝内に堆積している落ち葉等については、これらを定期的に除去してたとは認められず、また、前記排水管の入口部分に落ち葉等が流入して通水が阻害されることを防止する措置も講じていなかったところ、これらの措置が行われていれば、本件水たまりが発生することはなかった。

Yの本件道路の設置又は管理に瑕疵があると認めた。

● 過失相殺(争点2)
Aのシートベルト不装着について、過失割合を2割。

<解説>
国賠法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵:
営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、
瑕疵の有無は、当該営造物の構造、用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して個別具体的に判断される。
(判例)

本件:
・・具体的事情を考慮して、同設備に要求される設備及び管理の内容を示し、
本件においては、本件道路に設置される排水設備内の落ち葉等の除去や同設備への落ち葉等の流入防止措置が不十分⇒責任を肯定。

判例時報2532

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP

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