3名の共謀による強制わいせつ致傷で無罪の事案
千葉地裁R3.7.15
<事案>
3名の共謀による強制わいせつ致傷の事案
直接立証する証拠はQ(被害者)証言のみ。
<判断>
Q証言及びこれと対応する被告人ら3名の供述の概要を述べた上で、Q証言の信用性について詳細な検討。
Q証言の外部的事情:
①Qの属性が事実と異なる話をすることに心理的抵抗が少ない人物
②虚偽供述をする動機となり得る事情が複数想定される
⇒その信用性判断は慎重にしなければならない。
Q証言自体に関する点:
①証言内容の具体性・一貫性につき、被害態様・被害場所・出来事の順序があいまいであり合理的に説明できない変遷がある
②客観的事実との整合性につき、説明できない不整合がある。
⇒その信用性に疑問が残る。
被告人ら3名の公判供述の信用性:
事件当時の被告人らのメールのやり取りや捜査段階の供述からの変遷を考慮しても、概ねそれらは信用できる。
⇒
Q証言の信用性に疑問があり、被告人ら3名の弁解は概ね信用できる⇒無罪。
判例時報2523
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