第一種少年院送致の事案
東京高裁R3・9・6
<事案>
少年(当時16歳)が、被害者(当時16歳)に対し、その首に腕を回して引き倒し、腹部等を踏みつけるなどの暴行⇒加療約10日間の要する全身打撲、腹部座礁等の傷害。
<解説>
犯情は悪いものではなかったが、
本件非行当時、少年は、家庭や施設に寄り付かず、暴力団関係者のもとに出入りするなど生活環境が芳しくない⇒要保護性が高い。
but
非行歴も家裁継続歴もないこと等
⇒身柄付補導委託の方法による試験観察(原審)
試験観察:
調査官によるそれまでの調査をさらに補強、修正し、要保護性に関する判断をより確かなものにするという機能(調査機能)を持つが、
それと同時に、終局決定を留保することにより、少年に対し、心理的強制効果を利用しつつ指導援護を行い、それによって改善教育の効果を上げるという機能(処遇機能)を有している。
本件:
親権観察中の遵守事項:
①家庭裁判所調査官及び受託者の指導に従うこと
②再非行しないこと
③委託先から退去・逃亡しないこと等
but
少年は、試験観察開始後10日余りで補導委託先を無断退去し、以後、居所を転々として、家庭裁判所調査官に事前に相談することもなくほとんど独断で行動・・・。
⇒
少年を第一種少年院に送致。
判例時報2519
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