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2022年6月25日 (土)

タコの形状を模した公園の滑り台の著作物性(否定)

東京地裁R3.4.28

<事案>
XがYに対し、Xが製作したタコの形状を模した滑り台(本件原告滑り台)が美術の著作物又は建築の著作物に該当し、Yがタコの形状を模した講演の遊具である滑り台2基を制作した行為はXの本件原告滑り台に係る著作権(複製権又は翻案権)を侵害する

主位的に損害賠償を、予備的に不当利得の返還を求めた。

<争点>
本件原告滑り台が美術又は建築の著作物に該当するか

<規定>
著作権法 第一〇条(著作物の例示)
この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物

著作権法 第二条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

2この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。

<判断>
本件原告滑り台が遊具としての実用に供されることを目的とするもの。
応用美術のうち「美術工芸品」(著作権法2条2項)以外のものであっても、実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して、美術鑑賞の対象となる得る美的特性を備えている部分を把握できるものについては、「美術」「の範囲に属するもの」(同法2条1項1号)である「美術の著作物」(同法10条1項4号)として保護され得る。
①本件原告滑り台が前記の目的を有するもの⇒「美術工芸品」に該当すると認めることはできない。
②本件原告滑り台のタコの頭部を模した部分、足を模した部分及び空洞(トンネル)を模した部分の構造並びに全体の形状等をそれぞれ具体的に検討し、遊具としての利用と強く結びついているとか、遊具としての利用のために必要不可欠な構成であるなどと評価して、いずれの部分等についても美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えている部分を把握できるものとは認められない
⇒本件原告滑り台は「美術の著作物」として保護される応用美術とは認められない。

本件原告滑り台は「建築」(著作権法10条1項5号)に該当。
「建築の著作物」(同号)としての著作物性についても、応用美術に係る前記の同様の基準によるのが相当。
本件原告滑り台は「建築の著作物」に該当せず、同法2条1項1号所定の著作物としての保護は認められない。

<解説>
●美術工芸品以外の応用美術であっても、著作権法2条1項1号の保護要件を満たしたものは著作物として保護される。
具体的な保護の基準:
実用目的の応用美術であっても、実用目的に必要な構成と分離して、美術鑑賞の対象となる美的特性を備えている部分を把握できるものについては、当該部分を同号の美術の著作物として保護すべきであると解すべき。(分離可能説)

●建築の著作物(著作権法10条1項5号)
大阪高裁:
客観的、外形的に見て、それが一般住宅の建築において通常加味される程度の美的創作性を上回り、居住用建物としての実用性や機能性とは別に、独立して美的鑑賞の対象となり、建築家・設計者の思想又は感情といった文化的精神性を感得せしめるうな造形芸術としての美術性を備えた場合と解するのが相当である。

建築の著作物の著作物性を判断する上では応用美術における議論を参考し得ることを前提とした説示。

判例時報2514

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