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2022年6月24日 (金)

暴対法31条の2の威力利用資金獲得行為

東京地裁R3.2.26

<事案>
指定暴力団W会の下部組織に所属していたY9ないしY11(「被告行為者ら」)が関与して行われた特殊詐欺の被害に遭い、損害を被った⇒被告行為者らに対し、共同不法行為に基づき、Xらが交付した金員相当額及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求めるとともに、
被告行為者らがXらから金員を詐取した行為は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律31条の2にいう「威力利用資金獲得行為」に当たり、又は民法715条にいう「事業の執行」について行われたものであり、亡P1、Y7及びY8はW会の「代表者等」又は使用者等に当たる⇒Y7、Y8及び亡P1の相続人であるY1ないしY6に対し、暴対法31条の2又は民法714条に基づき、前同額の連帯支払を求めた事案。

<争点>
本件各詐欺行為の威力利用資金獲得行為(暴対法31条の2本文)該当性

<規定>
暴対法 第三一条の二(威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任)
 
指定暴力団の代表者等は、当該指定暴力団の指定暴力団員が威力利用資金獲得行為(当該指定暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得、又は当該資金を得るために必要な地位を得る行為をいう。以下この条において同じ。)を行うについて他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 当該代表者等が当該代表者等以外の当該指定暴力団の指定暴力団員が行う威力利用資金獲得行為により直接又は間接にその生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得、又は当該資金を得るために必要な地位を得ることがないとき。
二 当該威力利用資金獲得行為が、当該指定暴力団の指定暴力団員以外の者が専ら自己の利益を図る目的で当該指定暴力団員に対し強要したことによって行われたものであり、かつ、当該威力利用資金獲得行為が行われたことにつき当該代表者等に過失がないとき。

<判断>
暴対法31条の2本文の威力利用資金獲得行為について、
①指定暴力団の代表者等に配下の指定暴力団員の威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任を負わせ、民法715条の規定を適用して代表者等の損害賠償責任を追及する場合において生じる被害者側の主張立証の負担の軽減を図ることとした暴対法31条の2の立法趣旨
②同条の文言

同条のいう「威力を利用」する行為とは、資金の獲得のために何らかの形で威力が利用されるものであれば足り、被害者に対して威力が示されることは必要ない
本件各詐欺行為のような特殊詐欺は、暴力団の資金源とすべく、その遂行に関与する人員の確保や統制等につき暴力団の威力の利用を背景としてこれを敢行しているという実態があり、また、W会においては、上納金制度が採られており、本件各詐欺行為により詐取した金員がその原資の一部になっていたものと推認できる。

被告行為者らの本件各詐欺行為の遂行における指揮命令等の具体的態様や共犯者らの被告行為者らに対する認識等

①被告行為者らは、共犯者のうち、W会の下位者に対しては、W会における階層構造における絶対的服従関係を認識した上でこれを利用したもの
②W会の構成員でない者に対しては、これらの者における被告行為者らが暴力団員であるとの認識を了知したり同認識をされ得る言動をしたりした上で、本件各詐欺行為に従事させていた

本件各詐欺行為が、W会の威力を利用して実行された資金獲得行為に当たる

<解説>
暴力的要求行為の禁止に関して定める暴対法9条の「威力を示して」
暴対法31条の2:「威力を利用して」

判例時報2514

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