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2022年6月24日 (金)

産廃処理についての事務管理に基づく有益費償還請求権が認められた事例

福井地裁R3.3.29

<事案>
X(敦賀市)は、福井県内の市であり、Yらは、栃木県等の市町村を構成団体とする一部事務組合及び長野県内の町。
A社:福井県知事から産業廃棄物処分業等の許可を受けた株式会社であり、Xの管轄する地域内に廃棄物処理施設を設置。本件訴訟提起前に破産手続開始決定を受けており、福井県は、本件処分場に係る設置許可を取り消している。
Yら:A社に委託して本件処分場に一般廃棄物を搬入。
本件処分場では届出要領を超える廃棄物が処分され、周辺河川の水質調査では複数の項目について環境省令に定める排出等基準を超えることが確認された

福井県とXは、A社に対し、本件処分場の漏水防止対策や浸出益浄化対策等を命じる措置命令を発し、同措置命令に係る行政代執行として、水処理施設の維持管理や水質モニタリング等の措置(「本件措置」)を実施。
福井県とXは、本件措置について協定を取り交わし、本件措置に要する経費の負担割合につき福井県が8割、Xが2割⇒Xは、福井県に対し、前記協定に基づく分担金を支払った。
Xは、Yらに対し、本件措置に係る費用の一部について、
①事務管理に基づく有益費償還請求権
②不当利得返還請求権
③国賠法1条1項、民法715条1項及び709条に基づく損害賠償請求権
により、金銭の支払を求めた。

<争点>
Yらが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(「法」)に定める生活環境の保全上必要な措置を講ずる義務を負うか

<判断>
XとYらとの間で事務管理が成立する⇒XとYらとは不真正連帯債務に準ずる関係にあり、Xの負担部分を超える部分について、各Yらの負担部分に相当する限度で事務管理に基づく有益費償還請求権が認められる。
⇒Xの請求を一部認容。

<解説>
●法は、廃棄物を一般廃棄物と産業廃棄物に区分した上で、一般廃棄物については、市町村がその適正な処理に必要な措置を講ずるべき責務を負い、市町村をその処理責任の主体と定めて一般廃棄物の処理についての統轄的な責任を負わせている。
市町村は、一般廃棄物の処理を他人に委託することもできるところ、この委託に関しては、政令で定める基準に従わなければならない等の各種規定があり、これらの規定に照らし、市町村は、一般廃棄物の処理を委託した場合であっても、その統括的な責任を免れることはないと解されている。

本判決:
以上の理解を前提に、一般廃棄物の排出自治体は、一般廃棄物の不適切な処分を行って生活環境の保全上の支障又はそのおそれを生じさせた場合には、支障除去又は防止のために必要な措置を講ずる義務を負う⇒Yらは本件措置を行う義務を負う。

廃棄物処理施設の所在地を管轄する市町村は、廃棄物処理施設の設置者に対してその維持管理等に関して報告を求めること、廃棄物処理施設に立ち入って検査をすること、廃棄物処理基準に適合しない処理が行われた場合に当該処理を行った者に対して改善命令を発すること及び措置命令を発することといった権限を有する。
これらの権限が認められているのは、廃棄物処理施設の所在地を管轄する市町村が市民らに対してその生活環境を健全に保つ義務を負っていることに基づく
Xは、本件処分場の立地自治体として、本件措置を行う義務を負う。

●XとYらは、いずれも本件措置を行う義務を負い、その義務相互の関係は不真正連帯債務に準ずるものと解した上で、
Xは本件処分場の設置者(A社)に対して立入検査や改善命令等をなし得る立場にあるが、排出自治体であるYらはそのような立場になく、一般廃棄物処理の状況の正確な確認は困難。

法は、1次的にはXが前記権限を行使することにより、生活環境保全上の支障又はそのおそれの発生の防止に関して必要な措置を講ずることを予定しており、Xの負担割合は全体の7割をくだらない。
Xが自己の負担部分を超えて義務を履行した場合には、その超える部分については他人の事務を管理したもの⇒Yらに対して、各Yらが排出した一般廃棄物の量に応じて、有益費償還請求ができる。

判例時報2514

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