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2022年6月29日 (水)

破裂脳動脈瘤に対する血管内治療であるコイル塞栓術⇒術内の本件動脈瘤の再破裂により死亡の医療過誤(肯定)

広島高裁R3.2.24

<事案>
破裂脳動脈瘤に対する血管内治療であるコイル塞栓術⇒術内の本件動脈瘤の再破裂により死亡。
女性の遺族らが、
主治医の説明義務違反又は本件手術に当たった医師ら(執刀医ら。B医師及びC医師)の手技上の注意義務違反を主張し、
使用者責任又は診療契約上の債務不履行責任に基づく損害賠償請求権に基づき、
病院を経営する法人に対し、損害賠償を請求した事案。

<原審>
請求棄却

<判断>
・・・本件動脈瘤は、2つの葉状の構成部分を有するハート型の形状のもの
⇒執刀医らは、2本のカテーテルを2つの構成部分にそれぞれに挿入して塞栓しようとした。
but
最初にフレーミングコイルで左側構成部分内に外枠を形成していたところ、コイルの一部が右側構成部分に逸出⇒やむなく同じコイルで右側構成部分のフレームも形成⇒当初の左側構成部分をフレーミングするコイルが不足し、左側構成部分のネック部分までカバーするフレームを形成することができなかった。
それにもかかわらず、執刀医らがフィリングコイルを続けて充填⇒フィリングコイルが前記左側構成部分のネック部分を穿孔し、本件動脈瘤が破裂。

B医師は、本件左側構成部分のネック部分までカバーする立体的なフレームを形成することができなかったところ、これは本件手術当時の医療水準にもとり、B医師にフレーミングについての注意義務違反があった。
女性の死亡との間に因果関係も肯定。
⇒遺族らの請求を一部認容。
尚、本件手術に先立って行われた主治医(A医師)の女性及び家族に対する説明について、具体的に説明義務違反も認めている。

<解説>
女性の死後まもなくその父親が病院宛てに質問状を出すなど、医事紛争に発展する可能性が高かったにもかかわらず、その後、ほとんどの画像が放射線技師により消去。
⇒本件動脈瘤の破裂の瞬間や、破裂後に執刀医らがコイルをどように操作したかなどの裏付けとなる画像が残されていない。
そのような中で、本判決は、手術記録などのカルテの記録やコイル塞栓術に関する医療文献などを詳細に分析し、義務違反の基準となるコイル塞栓術の医療水準を確定した上で、本件出術におけるB医師の不手際をち密に認定していった。

判例時報2515

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