« 都市計画決定から相当期間経過で、事業認可の違法性判断の枠組み基準を示した事案 | トップページ | 組立保険契約の保険金の対象となる復旧費 »

2022年5月21日 (土)

ベーコンビッツの骨片の残存可能性についての警告表示がないことと製造物責任法の欠陥(否定)

東京高裁R2.1.15

<事案>
Yは、乙からベーコンビッツを仕入れて、それにレタス、トマト等を加えてハイローラーブレッドで巻いたものを輪切りにした惣菜を販売⇒Xが本件商品を購入して食べたところ、本件商品内に残存していた骨片により、歯冠破折の傷害

XはYに対し、
①本件商品に骨片が混入していたこと又は
②本件商品に骨片の残存可能性についての警告表示がなかったことにつき、
製造物責任法2条2項の「欠陥」にあたるなどと主張⇒治療費等の損害賠償を求めた。

<争点>
本件商品に指示・警告状の欠陥が認められるか

<判断>
①本件商品は目視によりベーコンビッツの分量や性状まで認識可能
②本件商品は、全体として比較的柔らかく、そしゃくしやすい食品として認識され、特に強い力で噛み切ろうとしたり嚙み砕こうとしたりすることが一般に想定されないもの
③食肉加工食品一般に骨片が残存する可能性があることは、一般消費者にもある程度知らされている
④比較的柔らかい食品をそれに即した通常の強さでそやくする限りにおいては、被害発生の蓋然性は低い
⑤カリエス(虫歯)等があって歯を傷つけやすい者にあってはそしゃくの強度を調整する自助努力も必要
⑥ベーコンビッツに残存する骨片により歯を傷める可能性があることは、食品の安全性に関する情報の中では、相対的に重要性はそれほど高くない
⑦警告表示を行うべき必要性は、それほど高くなく、その情報を必要とする購入者に対して適切に情報を伝える効果は限定的

本件商品にベーコンビッツの骨片の残存可能性についての警告表示がなかったことをもって、本件商品が通常有すべき安全性を欠いていたということはできない。

<解説>
製造物責任法2条について
「欠陥」当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること
学説:「欠陥」には、
(1)製造上の欠陥、
(2)設計上の欠陥、
(3)指示・警告状の欠陥
の3類型が存在。
(3)は、使用法や危険性の表示に不備があること・

欠陥の判断基準:
A:消費者の期待を基準とするもの
B:製品の有する危険性と効用を比較衡量するもの
があるが、実務上、いずれかの基準に則っているわけではない。

最高裁H25.4.12(イレッサ薬害訴訟上告審):
医薬用医薬品の添付文書の記載について、
添付文書の記載が適切かどうかは、上記副作用の内容ないし程度(その発現頻度を含む。)当該医療用医薬品の効能又は効果から通常想定される処方者ないし使用者の知識及び能力、当該添付文書における副作用に係る記載の形式ないし体裁等の諸般の事情を総合考慮して判断する。

本判決:
微細な骨片を除去しきれないベーコンビッツの特性に言及するとともに、一般の消費者が当該事実を認識していることを前提として判示。

判例時報2511

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 都市計画決定から相当期間経過で、事業認可の違法性判断の枠組み基準を示した事案 | トップページ | 組立保険契約の保険金の対象となる復旧費 »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 都市計画決定から相当期間経過で、事業認可の違法性判断の枠組み基準を示した事案 | トップページ | 組立保険契約の保険金の対象となる復旧費 »