« 組立保険契約の保険金の対象となる復旧費 | トップページ | キャバクラ店の従業員の私的交際違反の違約金が無効とされた事案 »

2022年5月23日 (月)

婚姻無効確認請求訴訟(肯定事例)

札幌高裁R3.3.10

<事案>
亡Aと妻の亡Bとの間の子であるXらが、Yに対し、平成30年1月22日に届けられたAとYとの間の婚姻について、Aの婚姻意思がないことを理由に、無効であることの確認を求めた。

<原審>
Yの供述、すなわち、平成29年12月24日に、Aの入居している介護付き老人ホームにおいて、本件施設の看護師であるCの同席の下、AとYとの間で本件婚姻に係る婚姻届を作成したとの供述及びこれに沿うCの陳述書
⇒本件婚姻は、Aの意思に基づくものであるとして、Xらの請求を棄却。

<判断>
①Aは、本件婚姻届けを提出した平成30年1月22日当時、入院生活が前提とされ、婚姻生活を送りうる健康状態ではなかった
②Cは陳述書を作成しているが、平成30年2月に、A、X1、Y、Cの4者での話し合いの席で、Aが「籍は入れていない」旨述べたのに対し、Cは「目の前でやってないから、わからないから。目の前で・・・」と述べ、これに対して、Yは「やりました、病院で」と述べている⇒Cの陳述書の記載内容には信用性に疑問がある。
③Yは、平成29年12月15日以降、Aの死後である平成30年8月15日まで、Aの年金口座から年金を振込当日にほぼ全額引き出していた。
④Yは、Aが危篤状態でICUに入った、翌日に車いすを使用するAが車いすのままでは乗車できない仕様の新車を570万円で注文しているなど不自然な行動。

Yには本件婚姻届を偽造する動機があり、
本件婚姻届にはAの印章によって顕出された印影はあっても、Aの意思に基づいて顕出されたとの推定は覆され、YがAの印章を冒用して押印したものと認めるのが相当

原判決を取り消し、本件婚姻は無効。

<解説>
家裁:Yの主張、供述に沿う本件施設の看護師Cの陳述書に記載された内容を重視
but
Cは平成30年10月に死亡⇒反対尋問に曝されていない。
Cは平成30年2月には陳述書に反する言動。

高裁は、Cの陳述書に依拠して事実を認定することはできないと判断。

婚姻の意思:
その時代の社会観念に従って婚姻とみられる関係を形成しようとする意思
いわゆる実質的意思説が通説、判例とされている。

裁判例:
婚姻無効を認めた事例
無断で提出した婚姻届についてその後追認があったとして婚姻無効を認めなかった事例

判例時報2511

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 組立保険契約の保険金の対象となる復旧費 | トップページ | キャバクラ店の従業員の私的交際違反の違約金が無効とされた事案 »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 組立保険契約の保険金の対象となる復旧費 | トップページ | キャバクラ店の従業員の私的交際違反の違約金が無効とされた事案 »