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2022年6月 1日 (水)

奈良県NHK受信料訴訟(放送法遵守義務確認等請求事件)の第1審

奈良地裁R2.11.12

<事案>
Y(NHK)との間で受信契約を締結しているXらは、Yに対し、
(ア)民事訴訟として、
主位的に
①YがXらに対し、ニュース放送番組において放送法4条を遵守して放送する義務があることの確認を求めるとともに、
②Yが前記義務に違反する放送をしたことによりXらが精神的苦痛を受けた
⇒受信契約上の債務不履行に基づく損害賠償請求として、Xらそれぞれにつき各5万5000円の支払を求め、
予備的に
③YがXらに対し、ニュース放送番組においてYが定めた国内番組基準を遵守して放送する義務があることの確認を求めるとともに、
④Yが前記義務に違反する放送をしたことによりXらが精神的苦痛を受けた
⇒受信契約上の債務不履行に基づく損害賠償請求として、Xらそれぞれにつき各5万5000円の支払を求め

(イ)行訴法4条後段所定の実質的当事者訴訟として、前記①の確認を求める訴え。
規定 放送法 第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

<判断>
●本件各訴えが裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」に当たるか
民事訴訟としての確認訴訟に係る訴えは、XらとYとの間の受信契約上の契約内容の確認の訴えと解することができ、
これは、法令を適用することにより判断することが可能な事項
⇒「法律上の争訟」に当たる。

●民事訴訟としての確認の利益が認められるか
否定

①法第4条1項各号に定める放送内容に関する義務は、放送に対して一般的抽象的に負担する義務にすぎない
②確認訴訟の内容が確認しても(Yに同条を遵守して放送する義務があることを確認する判決が確定しても)、XらはYによる任意の履行を期待するほかない
前記確定判決の効力は、前記放送義務に関する紛争の解決に資するものとはいえず、判決を求める法律上の利益はない。

●受信契約上、Yは法第4条1項各号ないし国内番組基準を遵守して放送する義務を負っているか
否定

同義務は、放送に対して一般的抽象的に負担する義務ないし基準であって、個々の受信契約者に対して同条又は国内番組基準を遵守して放送することを求める法律上の権利ないし利益を付与したものとはいえない

●Yが法4条1項各号ないし国内番組基準所定の基準に違反したか
Xらが指摘する事件ないし出来事に関し、法4条1項各号ないし国内番組基準に沿った放送がなされていたといえるかについて疑問の余地が全くないわけではない
but
・・・義務は、放送に対して一般的抽象的に負担する義務ないし基準に過ぎない⇒Xらの損害賠償請求を棄却。

●Xらの実質的当事者訴訟としての確認の訴えの適法性
民事訴訟と同様、確認の利益なし。

<解説>
「法律上の争訟」:
当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる。

確認の利益:
確認の対象が現在の法律関係であって、原告の有する権利又は法律的地位に危険又は不安が存在し、その危険又は不安を除去するために原告と被告との間で当該確認請求について判決をすることが必要かつ適切である場合に認められる。

判例時報2512

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