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2022年5月21日 (土)

組立保険契約の保険金の対象となる復旧費

福岡高裁宮崎支部R2.7.8

<事案>
太陽光発電事業を営むXが、 工事業者に発注した太陽光発電所設置工事(本件工事)について、Yとの間で組立保険契約(本件保険契約)を締結⇒河川の氾濫により本件工事の材料である太陽電池モジュール(本件太陽光モジュール)等が損傷する事故(本件事故)が発生⇒Yに対し、本件保険契約に基づき、保険金2億2335万9836円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた。

<損害>
本件事故により発生した損害:
本件太陽光モジュールの損傷の他、
ブロック積復旧費用等の損害8400万2385円
産業廃棄物63万4520円
問題は、コネクタのみ水没した本件太陽光モジュールの損害を幾らとみるのが相当かという点。

<原判決>
コネクタのみが水没した本件太陽光モジュールに生じた損害についての社会通念上損害発生直前の状態に復旧したということのできる程度の修理とは、「本件出力保証(本件太陽光モジュールの製造元が25年間で80%の出力を保証するもの)を維持することが可能な程度の修理等」であることを要する。
コネクタの交換による修理等を行った場合には本件出力保証が維持されない
⇒本件太陽光モジュールを全部交換する方法によるほかないとして1枚あたり3万3500円を認容。

<判断>
損害の生じた保険の対象を損害発生直前の状態に復旧するために直接要する修理費等(復旧費)について、
本件保険契約を含む組立保険契約は、基本的には、個々の動産についての各種損害保険を集合したもの⇒その損害額の算定に当たっては、動産損害保険における損害額の算定と異ならない。

コネクタのみ水没した本件太陽光モジュールの損害額は、保険の対象物である当該動産を保険事故発生前の正常な状態と物理的、機能的に同一の状態に復旧するための合理的費用をいい、
新品と交換する費用を損害額と認めることはできない。
本件では、電気工事専門業者が水没したコネクタを交換することにより、本件太陽光モジュールを保険事故発生前の正常な状態と物理的、機能的に同一の状態に復旧することができ、その費用は1枚あたり2000円と認めるのが相当。

<解説>
組立保険:
各種の工事を対象として、工事現場における材料等の搬入から工事完成後引渡しまでの過程において、免責事由に該当しない限り、あらゆる不測の事故等により工事物件に生じた損害をてん補することを目的とする保険であり、
工事現場に所在する工事の目的物や材料、工事の遂行に必要な仮設物や什器備品等を保険の対象物とするもの。

本件保険約款第5条では、保険金として支払うべき損害額について、
損害の生じた保険の対象を損害発生直前の状態に復旧するために直接要する修理費等(復旧費)と規定
組立保険の裁判例。

判例時報2511

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