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2022年4月27日 (水)

行政書士の請求が暴利行為とされた事案

神戸地裁須本支部R3.3.11

<事案>
普通自動車同士の衝突事故(本件事故)により死亡したAの配偶者であるXは、行政書士Yとの間で、本件事故に関する自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の請求事務をYに委任。

Yは、委任契約に基づき、保険会社に対し、本件事故に係る自賠責保険の被害者請求を行い、保険会社はXに3000万7790円を支払、Yは報酬として300万円の支払を請求し、受領。


Xは、Yに対し、440万円(報酬金相当額300万円、慰謝料100万円、弁護士費用40万円)の支払を求める本件訴訟を提起し、
Yが本件報酬条項に基づいてXから300万円を受領したことは暴利行為であり、
仮にそうでないとしても
②Yが報酬を得るために行った業務は弁護士法72条が禁止する非弁行為に当たるから
⇒Yは、Xに対し、不法行為に基づく損害賠償責任を負うと主張。

<判断>
Yが本件報酬条項に基づいてXから300万円を受領したことは暴利行為であり、不法行為が成立する。
Xに生じた経済的損害は、290万円と認めるのが相当

Yに対し、319万円(弁護士費用29万円)の支払を命じた。

<解説>

最高裁H22.7.20:
ビルの所有者から委託を受けてビルの賃借人らと交渉して各室を明け渡させる業務について、
解決しなければならない法的紛争が生ずることがほぼ不可避である案件に関するものであったことは明らか⇒弁護士法72条にいう「その他一般の法律事件」に関するものであったというべき。

東京地裁:
行政書士が、共同相続人の1人から遺産分割に関する事件を受任し、将来法的紛議が発生することが予測され状況の下で書類を作成氏、相談に応じて助言指導し、交渉を行った行為は、弁護士法72条により禁止される一般の法律事件に関する法律業務に当たる
⇒行政書士に対し、依頼者が支払った報酬のほか、依頼者が被った不利益の賠償を命じている。

東京地裁:
遺産分割について紛争が生じ争訟性を帯びてきた後に行政書士が他の共同相続人と折衝することは、弁護士法72条の「法律事務」に該当する。
but
相続財産、相続人の調査、相続分なきことの証明書や遺産分割協議書等の書類の作成については、行政書士法1条(現1条の2)に規定する「権利義務又は事実証明に関する書類」の作成に当たり、行政書士の業務の範囲内であるということができる
⇒行政書士からの報酬請求の一部を認容。

● 一般論として、
行政書士が自賠法15条の規定による保険金の請求に係る書類を被保険者等の依頼を受けて作成する限りにおいては、弁護士法72条の規定に抵触するものではないと解されている。
but
大阪高裁H26.6.12:
行政書士である原告が、交通事故の被害者のために整形外科医宛ての上申書や保険会社宛ての保険金の請求に関する書類等を作成し提出したことに関し、
これらの書類には、被害者に有利な等級認定を得させるために必要な事実や法的判断を含む意見が記載されていたものと認められる⇒行政書士法2条1項の「権利義務又は実証明に関する書類」とはいえないとして、原告の報酬請求を棄却した原審の判断を支持。

裁判所は不可分である契約の一部についてのみ報酬請求権の発生を認めることは相当ではない⇒書類の作成等行政書士が行うことのできる業務の部分についての請求も否定。

大阪地裁R2.6.26:
交通事故により受傷した被告から自賠責保険の被害者賠償等を委任された行政書士(原告)が、自賠責保険金75万円の支払を受けた被告に対し、委任契約に基づき24万円の支払を請求。
原告は、後遺障害の程度等をめぐって法的紛議が生じる蓋然性が高い事案であることを認識しつつ、自賠責保険金の額に影響する後遺障害等級が被告に不利に認定されないように申述書を作成し、その結果に基づいて成功報酬を請求⇒前記委任契約は、被害者請求について、法律上の権利義務に関する紛争に発展する可能性のある事項を含めて原告に一般的かつ包括的に権限を委任するものであると認めるのが相当⇒弁護士法72条に抵触する契約であることが合理的に推認される。
公序良俗に反して無効であることを理由に原告の請求を棄却。

判例時報2509

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