« 特殊詐欺の受け子から報告を受け、詐欺グループの上位者と思われる人物に報告するなどした被告人につき、正犯意思を否定し、共同正犯の成立を認めず、無罪とした事例 | トップページ | 特許権の共有と特許法102条での覆滅 »

2022年4月21日 (木)

捜索差押許可状の請求行為が違法とされた事例

大阪高裁R3.2.4

<事案>
(1)労働組合たる法人であるX1が、Y(大阪府)の公務員である警察官が①X1組合事務所を捜索すべき場所とする捜索差押許可状を請求したこと、②捜索差押えの執行の際にX1の組合員の容ぼうを写真撮影したり、名誉・信用を毀損する発言をしたりしたことが違法な公権力の行使に当たる等と主張し、
(2)X1の組合員であるX2が、前記捜索差押えの際に、X2の容ぼうを写真撮影したこと及びX2の請願を受理しなかったことが違法な公権力の行使に当たる
⇒Yに対して国賠法1条1項に基づく損害賠償請求。

・・・・Yの公務員である大阪府警の警察官らは、W2(市民団体)の本件バスによる運送行為が道路運送法4条1項所定の一般旅客自動車運送事業を経営したものに当たると判断し、これを被疑事実として、X1の組合事務所等を捜索すべき場所とする捜索差押許可状を請求し、発付された。

<原審>
Xらの請求をいずれも棄却。

<判断>
本件捜索差押許可状の請求行為は違法⇒原判決中、X1に関する部分をX1の請求を11万円及び遅延損害金の支払を求める限度で認めた。

X2の控訴は棄却。
捜索差押許可状の請求時において、捜査機関が現に収集した証拠資料及び通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により請求の要件があるといえるものであれば、国賠法1条1項の違法はない。
道路運送法4条1項にいう一般旅客自動車運送事業の「経営」に当たるというためには、常時他人の需要に応じて反復継続し、又は反復継続する目的をもって運送行為をなすことを要し、一時的運送にすぎない場合は含まれない。
・・・年にわずか1,2回開催する集会の参加者の便宜のために本件バスを含む道路運送法4条1項所定の一般旅客自動車運送事業の許可を得ていないバスを運行しているのにすぎない⇒W2の本件バスによる運送行為は、一時的な運送にすぎず、常時他人の需要に応じて反復継続し、又は反復継続する目的をもって運走行をなすものとはいえないことが明らか。

W2の事務局責任者らに道路運送法4条1項違反の具体的な嫌疑が存在するとした警察官の判断は、捜索差押許可状の請求時において、捜査機関が現に収集した証拠資料及び通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により導き出されたものとはいえない

本件捜索差押許可状の請求は、違法であり、警察官には過失がある。

<解説>
本件:
本件捜索差押許可状の執行の際の写真撮影:
当該捜索差押えが適法に執行されたことを証明する目的でされたもの⇒違法性を否定。

捜索差押えの際の写真撮影については、捜索差押手続の適法性の証明のために執行状況を撮影することや差押物の証拠価値の保全のために発見された場所や状態において差押物を写真撮影することは捜索差押えに付随するものとして許される(裁判例)。

本件捜索差押許可状の執行の際の警察官の発言について、
第三者への伝播可能性を否定する等して、名誉毀損による不法行為の成立を否定

判例時報2508

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 特殊詐欺の受け子から報告を受け、詐欺グループの上位者と思われる人物に報告するなどした被告人につき、正犯意思を否定し、共同正犯の成立を認めず、無罪とした事例 | トップページ | 特許権の共有と特許法102条での覆滅 »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 特殊詐欺の受け子から報告を受け、詐欺グループの上位者と思われる人物に報告するなどした被告人につき、正犯意思を否定し、共同正犯の成立を認めず、無罪とした事例 | トップページ | 特許権の共有と特許法102条での覆滅 »