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2022年4月17日 (日)

業務委託契約に基づき県から犬猫の譲渡事業を委託された団体の活動で犬に咬まれた⇒民法718条の責任が問題となった事例

宮崎地裁R3.2.13

<事案>
Z:犬猫の保護活動に関わる一般市民を支援する、権利能力なき社団
ZはY1(宮崎県)との間で締結した犬猫の譲渡推進事業委託契約(本件業務委託契約)に基づき、Y1が設置した譲渡保管施設(本件施設)において、引渡しを受けた犬猫の飼養や譲渡等の委託業務を行っていた。

Y2:本件団体の代表者

X:ボランティアとして本件団体の活動に参加

犬に咬まれて負傷したXが、
Y1に対しては、国賠法1条1項、2条1項又は民法718条1項に基づき
Y2に対しては、民法709条、715条2項又は民法718条2項に基づき、
後遺障害逸失利益等の損害賠償金784万4667円及び遅延損害金の連帯支払を求めた。

<規定>
民法 第七一八条(動物の占有者等の責任)
動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
2占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。

<判断>
Y1について、 本件団体と本件業務委託契約を締結することにより、自己に代わって本件柴犬を含む譲渡推進事業に係る犬猫を保管する者として本件団体を選任し、これを保管させていた占有者に当たる
⇒動物の占有者としての責任を認める。

Y2について、本件柴犬の管理者であるとし、本件柴犬の習性を知りながら、それに合った対策をとっていなかった⇒相当な注意をもって本件柴犬の管理をしていたとはいえない
⇒動物の管理者としての責任を認める。

<解説>
Y1が民法718条1項の占有者に当たる

①本件業務委託契約は、一定の飼養期間及び委託期間を定めて犬猫の飼養、譲渡等を委託するもの
②・・・譲渡動物である犬猫の所有権を本件団体に移転する旨の定めはなく、Y2は、本件団体に引き渡された譲渡動物の所有権移転を受けていないと認識
③本件事故後、本件施設を閉鎖する際にY1がとった対応⇒Y1に返還された場合の処遇は、Y1が決定することになっていたと認められる。

占有者と管理者の責任の関係:
最高裁昭和40.9.24:
動物の占有者と保管者が併存する場合には、両者の責任は重複して発生しうる
占有者が自己に代わって動物を保管する者を選任して、これを保管させた場合には、占有者は、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもって動物の保管者を選任・監督したことを立証すれば、その責任を負わない。
(本件では、Y1が動物の種類及び性質に従い相当の注意をもって本件柴犬の保管者を選任・監督したことを主張立証していない。)

判例時報2506・2507

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