« 特許権の共有と特許法102条での覆滅 | トップページ | 覚せい剤輸入で、間接事実を推認しての故意の認定等が否定された事案 »

2022年4月22日 (金)

懲戒解雇による退職金全額不支給が争われた事案

東京高裁R3.2.24

<事案>
懲戒解雇された者(X、みずほ銀行の行員)について、退職金規程(懲戒処分を受けた者に対する退職金は減額または不支給となることがある)に基づき退職金の全額を支給しないとしたYの措置の当否が問題。
請求 Xが原告となり、Yを被告として、
主位的に懲戒解雇の無効を主張⇒地位確認並びに賃金及び慰謝料の支払を求め
予備的に解雇が有効であるとしても、退職金の全額が支払われるべき⇒退職金の支払を求めた。

反訴:
Yが原告となり、Xを被告として、社宅の明渡しと賃料相当損害金の支払を求めた

<1審>
Xの懲戒解雇事由(秘密情報の雑誌社に対する漏洩行為)は、Yやその顧客に具体的な経済的損失を生じさせておらず、Xの30年の勤続の功を完全に抹消または減殺するものではない⇒全額不支給は違法⇒3割の限度で支給すべき(7割不支給)

<判断>
①雑誌社に対する秘密(Yの社外秘である通達や資料等)情報漏洩行為が数年間にわたり反復継続された
②秘密情報が現実にSNSに掲載された
③秘密保持は銀行の信用状の最重要事項の1つ
⇒悪質性の程度が高い
⇒全額不支給措置は適法

<解説>
1審、控訴審とも、懲戒解雇は有効と判断し、Xの本件情報漏洩行為が懲戒解雇相当の悪質なものであると判断。

退職金については、
1審:金銭に換算できるような具体的な損害がYにもYの顧客にも生じていないことを重視
本判決:銀行から外部に流出しないと一般人が考えるような情報が反復継続して雑誌やSNSに掲載されたことによる無形の損害(Yの信用棄損)を重視。

秘密情報が雑誌やSNSに繰り返し掲載されることが金融業の信用をどれほど毀損するかという点についての評価の相違

判例時報2508

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 特許権の共有と特許法102条での覆滅 | トップページ | 覚せい剤輸入で、間接事実を推認しての故意の認定等が否定された事案 »

判例」カテゴリの記事

労働」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 特許権の共有と特許法102条での覆滅 | トップページ | 覚せい剤輸入で、間接事実を推認しての故意の認定等が否定された事案 »