« ソリリス投与⇒髄膜炎菌感染症⇒死亡 の医療過誤(肯定事例) | トップページ | あおり運転で被害者死亡⇒殺人罪で懲役16年とされた事例 »

2022年3月 2日 (水)

民法上の配偶者が中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たらない場合

最高裁R3.3.25

<事案>
Xが、母であるAの死亡に関し、
Y1(独立行政法人勤労者退職金共済機構)に対し中小企業退職金共済法所定の退職金共済契約(Aの勤務先であった株式会社Bが締結していたもの)に基づく退職金の、
Y2(確定給付企業年金法所定の企業年金基金)に対しその規約に基づく遺族給付金の、出版厚生年金基金の権利義務を承継したY3に対し出版厚生年金基金の規約に基づく依存一時金の
各支払を求めた。

<主張>
中小企業退職金共済法及び前記の各規約(「法及び各規約」)において、本件退職金等の最先順位の受給権者はいずれも「配偶者」と定められているところ、
Xは、Aとその民法上の配偶者であるCとが事実上の離婚状態⇒Cは本件退職金等の支給を受けるべき配偶者に該当せず、Xが次順位の受給権者として受給権を有すると主張。

<判断>
民法上の配偶者は、その婚姻関係が実体を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みのない場合、すなわち、事実上の離婚状態にある場合には、中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たらない。

<解説>
●社会保障給付に関する法令における遺族給付の受給権者となる「配偶者」については、
最高裁昭和58.4.14以後、
死亡した被保険者等がいわゆる重婚的内縁関係にある場合において、民法上の配偶者と内縁関係にある者のいずれが受給権者となるかが争われる事案で、
民法上の配偶者であっても、その婚姻関係が事実上の離婚状態にある場合には、前記受給権者となる配偶者に当たらないとの見解を基にした裁判例が積み重ねられてきた。

国家公務員の死亡による退職手当等
についても、その受給権者の範囲及び順位の定めが、職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とするもの(遺族の範囲及び順位について国家公務員と同様の定めを置く特殊法人の死亡退職金に関する最高裁昭和55.11.27等)その受給権者となる配偶者の意義についても、社会保障給付に関する法令における配偶者と同様に解すべき

本件では、
①法及び各規約における配偶者の意義についても、社会保障給付に関する法令等における配偶者と同様に解すべきか
②重婚的内縁関係の有無に関わらず、前記のように民法上の配偶者の一部を遺族給付の受給権者となる「配偶者」から除外すべきか

●①について
中小企業退職金共済法での遺族の範囲と順位は、給付の性格の最も似通っている国家公務員の退職手当に関する定めにならったものとされている。
確定給付企業年金法に基づく確定給付企業年金制度は、いずれも我が国の年金制度のうちいわゆる3階部分に当たる企業年金の制度であり・・・法令に支給要件やこれを受けることができる遺族の範囲等の定め置かれている。
本件退職金等の支給の根拠となるこれらの法令や規約の定めの内容
本件退職金等は、いずれも、遺族に対する社会保障給付等と同様に、遺族の生活保障を主な目的として、その受給権者が定められているものと解される。

本件退職金等は、民事上の契約関係等に基礎を置くものではあるものの、その受給権者となる法及び各規約における配偶者の意義については、社会保障給付に関する法令等における配偶者と同様に解するのが相当。

●②について
・・・重婚的内縁関係の有無に関わらず、民法上の配偶者は、その婚姻関係が事実上の離婚状態にあるときは、遺族給付の受給権者となる「配偶者」には当たらないと解するのが相当。

判例時報2503

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« ソリリス投与⇒髄膜炎菌感染症⇒死亡 の医療過誤(肯定事例) | トップページ | あおり運転で被害者死亡⇒殺人罪で懲役16年とされた事例 »

判例」カテゴリの記事

労働」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ソリリス投与⇒髄膜炎菌感染症⇒死亡 の医療過誤(肯定事例) | トップページ | あおり運転で被害者死亡⇒殺人罪で懲役16年とされた事例 »