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2022年1月

2022年1月29日 (土)

破産手続開始の申立てが不当な目的でされたものと認められた事例

仙台高裁R2.11.17

<事案>
● 債務者Yは砂利採取事業(「本件事業」)を営み、本件事業が唯一の資産といえる会社であり、破産手続開始申立てをした債権者Xからの貸付債務が6000万円⇒Xとの間で協定書(「本件協定書」)を作成し、XがYの新規借り入れ分の融資に応じる一方、Yは、砂利等の販売先につき事前にXの承認を受け、砂利の販売量に応じ、Xに対し100円/㎥の割合による顧問料を支払い、顧問料の総額が1億1150万円になり次第協定が終了するという合意。
その後、本件協定書作成後の貸付を合わせた貸付残高が8000万円に上った時点で、XとYは準消費貸借契約と事業譲渡契約を締結し、XがYから本件事業を212万6428円で買い付けて譲渡代金債務を既存の借入債務と相殺し、YはXから600円/㎥で砂利等の購入がdけいる一方、YがXに対し本件事業に対する助言を委託して売り上げの3割に相当する報酬を支払い、本件事業によるXの利益が1億1150万円に達し、かつ、YのXに対する借入金その他の負債及び買戻代金(前記の譲渡代金に500万円を上乗せした金額)の支払が完了した時点で、YがXから本件事業を買い戻すことできるという合意。

● Xは、Yに対する破産手続開始の申立て。

XはYに対し、貸付元本と本件協定書に基づく顧問料のうち既に弁済期の到来した金額のほか、貸金の未払の利息及び遅延損害金の支払請求権を有し、Yは債務超過状態にあるとともに支払不能の状態にある。

Y:Xの申立てが、破産法30条1項2号の「不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。」にあたる⇒申立ての棄却を求めた

<判断>
Yの主張を入れ、申立てを棄却。

<解説>
破産手続開始の申立てが不当な目的でされたと認められる類型:
従来:
①債務者が、債権者の追及をかわし、時間稼ぎをした上で取り下げることを意図して行う申立てや
②債権者が、債務者を威嚇し、自己に有利な債権回収を行うことを専ら目的とする申立て

破産手続の開始を目的としない申立て
but
近年では倒産手続において、外形的には適法な手続開始の申立てがされ、申立人の意図する手続の進行も外形的には瑕疵のないものとみえるが、
実は、倒産手続開始により生じる効果の濫用を意図した申立てが問題。

本件:砂利採取事業の事業譲渡契約の効力をめぐる紛争を契機として、事業譲渡契約の履行をめぐるXが、破産手続開始決定を得ることでYの取締役らの抵抗を排除し、砂利採取事業の実質的な支配と利権を確保することを目的とした申立とみられる事案。

本決定:Xが破産手続によって実現しようとするこのような目的は、事業譲渡契約に基づく一方的で独占的な利益を実現しようとするもので、債権者平等原則のもと債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るという破産法の目的に反する不当な目的であると判断

判例時報2500

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ゴルフ練習場の敷地の賃貸借契約と借地借家法の適用(肯定事例)

名古屋高裁金沢支部R2.9.30

<事案>
Xら:本件土地の共有者
Y :ゴルフ練習場の経営等をする目的で設立された会社
XらとYとの間には本件土地にかかる土地賃貸借契約が締結され、Yは本件土地上に本件建物を建築、所有。
Xら:民法617条1項1号により解約申入れの日から1年を経過⇒本件賃貸借契約は終了⇒Yに対し、建物収去土地明渡請求訴訟を提起。
Y:本件賃貸借契約は建物所有を目的とするものであり、借地借家法の適用を受ける⇒解約申入れの日から1年後に終了するものではないとの抗弁。

<原判決>
「ゴルフ練習場として使用する目的で土地の賃貸借がされた場合には、たとえ当初からその土地上にゴルフ練習場の経営に必要な事務所用等の建物を築造、所有することが予想されたとしても、反対の特約がある等特段の事情のない限り、その土地の賃貸借は、(旧)借地法1条(現借地借家法2条1号)にいう「建物の所有を目的とする」賃貸借ということはできない」と判示した最高裁昭和42.12.5を引用しつつ、本件については、特段の事情あり⇒本件賃貸借契約について建物所有目的であり借地借家法の適用を受ける。

<判断>
本件建物の構造や規模、建築費用、本件建物の土地上の位置、本件賃貸借契約の契約上も本件建物所有を目的とすること及び借地借家法の適用が明示されている
昭和56年から昭和57年にかけて新築された時点で借地借家法2条1号にいう「建物」の実体を備えており、遅くとも本件賃貸借契約が締結された平成26年11月の時点においては、当事者間においても本件建物の所有を目的とすることが合意されていたといえる。

昭和42年最判にいう「反対の特約がある等特段の事情」があるといえ、借地借家法が適用される。

<解説>
土地の賃貸借が借地借家法の適用を受けるためには、建物所有を目的としたものでなければならず、その際、建物所有は、土地利用の主たる目的となっていなければならない(潮見)。

最高裁昭和49.10.25:
土地をバッティング練習場に利用することを目的として賃借し、営業上必要な切符売場、便所、物置、管理人室等の建物所有は、バッティング練習場として土地を利用するための従たる目的にすぎないものであり、また、打席等に設けられた屋根も単に来客の便宜のための施設であって、土地使用目的に従たるものにすぎない場合には、本件賃貸借契約は、(旧)借地法1条にいう建物の所有を目的とするものとはいえない。

最高裁昭和58.9.9:
契約当事者は単に自動車学校コースのみならず、自動車学校経営に必要な建物所有をも主たる目的として本件賃貸借契約を締結したことが明らかであり、かつ、自動車運転学校の運営上、運転技術の実地訓練のための教習コースとして相当規模の土地が必要であると同時に、交通法規等を教習するための校舎、事務室等の建物が不可欠であり、その両者が一体となってはじめて自動車学校経営の目的を達成しうる⇒自動車学校経営のための本件賃貸借は(旧)借地法1条にいわゆる建物の所有を目的とするものにあたる。

最高裁R3.1.28:
幼稚園の園舎敷地に隣接する土地をその運動場として使用するためにされた賃貸借は、園舎の所有それ自体のために使用されているものとはいえない⇒当該賃貸借は(旧)借地法1条にいう建物の所有を目的とするものとはいえない。

判例時報2500

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弁護人となろうとする者による接見の申出の事実を告げないまま任意の取調べを継続する捜査機関の措置が国賠法上違法とされた事例

東京高裁R3.6.16

<事案>
検察庁において任意の取調べを受けていた被疑者の妻からの依頼により、本件被疑者の弁護人となろうとする者となった被控訴人兼附帯控訴人(「被控訴人」)が、本件被疑者との接見を求めたにもかかわらずこれを速やかに許さなかった検察官の違法な措置により、精神的苦痛を被ったと主張し、控訴人兼附帯被控訴人(「控訴人」)である国にに対し、国賠法1条1項に基づき、慰謝料200万円及び遅延損害金の支払を求めた。

<争点>
①任意取調べ中の被疑者との接見に関する弁護士人固有の権利又は利益の有無
②検察官により措置の違法性の有無
③慰謝料の額

<原審>
取調べの性格上、特定の事項に係る質疑等のため一定の時間を要し、即時の中断が困難な場合があること等を考慮しても、社会通念上相当と認められる範囲を超えて弁護人等の来訪を被疑者に伝えず、その結果、速やかに弁護人等との面会が実現されなかった場合には、当該捜査機関の行為は、弁護人等の弁護活動を阻害するものとして違法と評価される。

①本件取調官において取り調べを終了し、自白調書を作成⇒少なくとも被控訴人の立場からすれば、取調べの終了前の接見等の機会を奪われたものに等しい
②捜査機関は、任意の取調べに際し、取調べの継続を理由として接見を拒むことはできない

本件検察官の措置は、社会通念上相当と認められる範囲を超え、国賠法1条1項の適用上違法。

慰謝料として10万円及びこれに対する不法行為日である令和1年11月27日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容。

<判断>
身体の拘束を受けていない段階にあっても、被疑者は、接見交通権に準じて、立会人なく接見する利益(「接見の利益」)を有するのであり、また、接見の相手方である弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護士人となろうとする者(「弁護人等」)も、固有の利益として接見の利益を有する。

捜査機関は、刑訴法198条1項に基づき、被疑者の任意の出頭を求め、これを取り調べるに当たり、被疑者と弁護人等との接見の利益をも十分に尊重しなければならない。

身体の拘束を受けていない被疑者の弁護人等が、任意の取調べを受けている被疑者との間で立会人のない接見の申出をした場合には、速やかにその申出があった事実を被疑者に告げて弁護人等と接見するか任意の取調べ継続するかを捜査機関において確認すべきであって、その事実を告げないまま任意の取調べを継続する任意の取調べを継続する捜査機関の措置は、弁護人等であることの事実確認のために必要な時間を要するなど特段の事情がない限り、被疑者の接見の利益を侵害するだけではなく、その弁護人等の固有の接見の利益も侵害するものとして、国賠法1条1項の適用上違法となる。

本件控訴及び本件附帯控訴をいずれも棄却。

<規定>
憲法 第三四条[抑留・拘禁に対する保障]
何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

刑訴法 第三九条[被疑者・被告人との接見・授受]
身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

②前項の接見又は授受については、法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。

③検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。

<解説>
●接見交通権
最高裁昭和53.7.10(杉山事件判決):
「捜査のために必要があるとき」(刑訴法39条3項)という接見指定につき、「捜査の中断による支障が顕著な場合」をいう。
接見交通権は弁護人依頼権を保障する憲法34条に由来し、弁護人の援助を受けることができるための刑事事件手続上最も重要な基本的権利であり、弁護人からいえばその固有権の最も重要なものの1つである。

最高裁H11.3.24(安藤・斉藤事件判決):
憲法34条前段は弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障するもの
接見交通権は、同条の趣旨にのっとり、弁護人等から援助を受ける機会を確保する目的で設けられたもの⇒同条前段の保障に由来。

● 我が国の刑事事件手続:
当事者主義を基本としながら、捜査に関しては多分に糾問主義を残している。
被害者の供述を得ることにより事案の真相を明らかにすることが不可欠⇒被疑者は、捜査手続の当事者ではなく、取調べの客体として位置付けられている。

安藤・斉藤事件判決:
刑訴法39条3項の合憲性を判断する前提として、捜査権を行使するためには身体を拘束して被疑者を取調べる必要が生ずることもあるとした上、
接見交通権が憲法の保障に由来するからといって、これが刑罰権なしい捜査権に絶対的に優先するような性質のものいうことはできない

我が国では、捜査手続において糾問主義への親和性を残しつつも、当事者主義をできるだけ保障しようとする観点から、弁護人のいわば後見的役割が重視されきた
接見を通じた弁護人による援助が刑事事件手続上極めて重要なものとして位置付けられている。

●裁判例の状況
福岡高裁H5.11.16:
警察官が被疑者と弁護人となろうとする者との面会を許すなかった事案について、
刑訴法39条の趣旨は、被疑者が任意同行に引き続いて捜査機関から取調べを受けている場合においても基本的に変わるところはない。
捜査機関が、社会通念上相当と認められる限度を超えて、被疑者に対する面会申出に係る伝達を遅らせ又は伝達後被疑者の行動の自由に制約を加えたときは、弁護人等の弁護活動を阻害するものとして国賠法上違法となる。

その原審の福岡地裁H3.12.12:
被侵害利益又は権利につき、
福岡高裁:弁護人等の弁護活動
but
第1審判決:弁護権
~任意取調べ中の被疑者に対しても、刑訴法39条にいう接見交通権が保障される趣旨をいうもの。

●学説の状況
福岡高裁・第1審判決の結論支持。
but
A:任意取調べ中の被疑者についても刑訴法39条にいう接見交通権が保障される
a1:被疑者は、その法的地位に内在する包括的防御権によっていつでも弁護人による弁護を受ける権利を憲法上保障されており、憲法34条、刑訴法39条はこれを前提としつつ特に身柄拘束中の被疑者に関して接見交通権を確認するもの⇒任意出頭・取調べ中の被疑者も弁護人との接見交通権がある。

B:同条にいう接見交通権は保障されないものの、任意取調べ中の被疑者についても接見交通に準じた利益がある

●本判決の立場
接見交通権に準じてという表現
but
接見交通権を保障する刑訴法39条ではなく、弁護人選任権を保障する刑訴法30条を法解釈の出発点

本判決にいう接見の利益は、刑訴法39条にいう接見交通権とは別個の利益をいうものと解される。

本判決:
任意取調べ中の被疑者の接見の利益について、取調受忍義務があると解されている身柄拘束中の被疑者の接見交通権とは異なり、基本的に捜査の必要性を理由とした制約(刑訴法39条3項参照)をすることができないとする立場⇒刑訴法39条にいう接見交通権と法的性質を異にする。

福岡高裁判決・本件原判決:
被侵害利益を弁護人の弁護活動とした上で、接見の申出を伝えずに接見の利益を制約することが許容される時間につき、
福岡高裁判決:
任意捜査の性格上社会通念上相当と認められる限度を超える時間をいうもの
本件原判決:
取調べの性格上、特定の事項に係る質疑等のため一定の時間を要し、即時の中断が困難な場合があること等を考慮しても社会通念上相当と認められる範囲を超える時間をいう

学説でも角田:
任意の取調べといっても捜査機関が法律上の根拠に基づいて行うもの⇒取調べを続行するにつき合理的な理由が存するときは、取調べと面会の順序や時間に関する調整を図る協議を弁護人に対して求めることも許容される

刑訴法39条3項にいう接見指定類似の措置を許容する趣旨とも解される。
捜査の必要性から接見の利益を制限することを許容する趣旨をいうものとも解される。

本判決:
社会通念上相当という基準を採用せず、接見の利益の重要性に鑑み、行為規範としての予測可能性が高い基準を示すものとして、接見の利益を制約するに当たっては捜査の必要性を考慮することは基本的には許されず、捜査機関は、弁護人等であることの事実確認ができれば、直ちに接見の申出を被疑者に伝えなければならない法的義務を負う


刑事事件手続における弁護人の後見的役割の重要性は否定できない。
but
刑事事件手続における防御の主体は、あくまで被疑者等
弁護人は、被疑者等の防御を援助する地位にある

被疑者が接見の利益を自ら放棄した場合には、弁護人固有の接見の利益も消滅すると解すべき。

本判決:
被疑者が自白調書を作成された事情を考慮しても、当の本件被疑者ではなく、被控訴人個人の精神的苦痛を慰謝する額としては、原審が認定した10万円が相当であると判断。

判例時報2501

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空港で税関職員による(令状によらないない)スーツケースの解体の違法⇒証拠能力排除の事案

千葉地裁R2.6.19

<判断等>
● 警察官:(スーツケースの)解体検査については所持者の同意又は令状が必要であるとの見解の下、 本件では被告人から口頭の同意が得られていたと主張。
but

被告人(スロバキア共和国の国籍を有する者)は、同意書への署名を求められたのに対し「That's not OK.」と答えたと供述。
イギリス英語特有の発音⇒語尾の「OK」のみが耳に残るものであり、Aが正確に聞き取っていないとした。
②被告人が他の同意書には署名したのに、解体検査の同意書には署名しなかった。

Aにおいて被告人が口頭で同意したと認識したとしても、被告人の言動を全体として解釈すれば解体検査に同意しているとは判断できない。

● 結審後、検察官は弁論の再開を求め、関税法105条1項1号の「検査」には令状又は所持者の同意は不要である、国際郵便物の検査についての最高裁H28.12.9と同様に考えるべきと主張。
vs.
行政調査手続であっても、実力の行使にわたり、その強制が行政手続と密接に関連する場合には、裁判官の令状がなければ許されないものがあると解すべきであり、
検査が行われる状況ごとに、具体的に、
実力の行使の有無とこれによって害される個人の法益
刑事手続との関連性
解体検査の必要性・緊急性
保護されるべき公共の利益との権衡
などを考慮し、同意又は令状が必要な事案か否かを判断すべき。

本件:
解体検査で違法薬物が発見されれば所持者を現行犯逮捕するなど検査結果が刑事手続きにも用いられることを想定⇒刑事手続と密接に関連
解体検査は強度に財産権を侵害するもので、所持者の不利益は開披検査・捜索で受ける程度をはるかに上回る
所持者は手荷物検査に同席している⇒同意を求めることは可能であり、同意が得られない場合でも、検査が終了しなければその手荷物を持って出ることはできないと説得して、検査を拒否すると刑事罰(関税法114条の2)があることを伝えて間接的に強制し、なおも拒否する場合には、犯則調査に移行し令状を得て捜索差押を行うなどの手段がある⇒特段の事情がない限り、同意も令状もなく手荷物の解体検査を行うことは許されない。

そのいずれもないのに行われた解体検査は違法

違法性の程度について:
①エックス線検査で異影が見られたとしてもその部分に限定することなく、覚せい剤が見つかるまで徹底的に解体したのであって、税関職員においてスーツケースのどこに隠匿されているか明確な目当てがなかった
②スーツケースは原状回復が不可能なまでに解体された
③税関職員は検査拒否の効果を説明し、通訳人の到着を待って改めて被告人に署名を求めることもできたのであって、緊急を要する事情はなかった
被告人に検査開始の通告もせず、突如、解体検査を実施したもので、被告人の意思を抑圧するものであった
⑤被告人が2度署名拒否をしたのを一顧だにせず、結論を急いだもので、憲法35条や旅客の権利擁護に対する意識の乏しさが現れた

本件の解体検査には、憲法の趣旨からの逸脱の程度が重大で、令状主義の精神を没却するような重大な違法がある。

解体検査によって得られた覚醒剤及びその破砕物、洗浄液や、これらから派生した捜査報告書、鑑定書の証拠能力を否定。

<解説>
● 最高裁H28.12.9:
東京税関東京外郵出張所で郵便物の検査で、イランから送られてきた郵便物につき、輸入禁止品の有無を確認するため、外装箱を開披し、中にプラスチック製ボトルが入っていることを目視確認⇒TDS検査を行ったところ覚醒剤反応⇒ボトルを取り出し、蓋を開け、中に入っていた固形物を取り出し、その破砕片について試薬を用いて仮鑑定を行ったところ、陽性反応⇒分析部門の鑑定で覚醒剤であることが判明⇒差押許可状の発付を受けて郵便物を差し押さえた。
被告人:前記の郵便物検査は、郵便物を破壊し内容物を消費する行為で、プライバシー権、財産権を侵害するものであるところ、捜査を目的として、発送人・名宛人の同意なく、裁判官の発する令状もなく行われた⇒憲法35条が許容しない強制処分に当たる。.

最高裁:
関税法76条、105条1項の規定は、関税の公平確実な賦課徴収及び税関事務の適正円滑な処理という行政上の目的を、大量の郵便物について簡易迅速に実現するためのもので、税関職員が所定の検査の権限を行使するに際して、裁判官の令状を要せず、発送人・名宛人の承諾も必要とされていない。

行政手続が刑事責任追及を目的とするものではないとの理由のみで、手続における一切の強制が憲法35条の保障の枠外にあるとすることは相当ではない。
but
当該郵便物の検査は、刑事責任の追及を直接の目的とする手続ではなく、そのための資料取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものではない
国際郵便物に対する税関検査は国際社会で広く行われており、発送人・名宛人の有する国際郵便物の内容物に対するプライバシーへの期待はもともと低い
郵便物の提示を直接義務付けられているのは郵便物を占有している郵便事業株式会社であって、発送人・名宛人の占有状態を直接物理的に排除するものではない⇒その権利が制約される程度は相対的に低い、
税関検査の目的には高い公共性が認められ、大量の国際郵便につき適正迅速に検査を行って輸出入の可否を審査する必要があるところ、内容物の検査において発送人・名宛人の承諾を得なくとも、前記目的の実効性の確保のために必要かつ相当と認められる限度で検査方法が許容されることは不合理とはいえない

裁判官の令状を得ずに、発送人・名宛人の承諾を得ることなく、前記の郵便物検査を行うことは、前記の関税法の規定により許容されている。このように解しても憲法35条の法律に反しない。

判例時報2501

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2022年1月24日 (月)

電気通信事業者による送信者情報についての検証目的での提示義務(否定)

最高裁R3.3.18

<事案>
①相手方は、動画配信サービス等の提供に係るウェブサイトを開設しているところ、そこに設けられている問合せ用フォームを通じて、脅迫的表現を含む匿名の電子メールを受信
本件メールは、抗告人の管理する電気通信設備を用いて送信された

相手方は、本件メールの送信者に対する損害賠償請求訴訟を提起する予定であるとして、その送信者の氏名、住所等(「送信者情報」)が記録された電磁的記録媒体等につき、訴えの提起前における証拠保全として、検証の申出をするとともに、抗告人に対する検証物提示命令の申立てをした。

<原審>
電子通信事業従事者等に民訴法197条1項2号が類推適用される
本件メールが脅迫的表現を含むこと等⇒その送信者情報は保護に値する秘密に当たらず、抗告人は、本件記録媒体等を提示する義務を負う⇒本件申立てを認容すべき。

<判断>
電気通信事業に従事する者及びその職務を退いた者は、民訴法197条1項2号の類推適用により、職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて証言を拒むことができる
電気通信事業者は、その管理する電気通信設備を用いて送信された通信の送信者の特定に資する氏名、住所等の情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され、又は記録された文書又は準文書について、当該通信の内容にかかわらず、検証の目的として提示する義務を負わない
⇒原決定を破棄し、本件申立てを却下。

<規定>
民訴法 第一九七条
次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。
一 第百九十一条第一項の場合
二 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈禱とう若しくは祭祀しの職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合
三 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合
2前項の規定は、証人が黙秘の義務を免除された場合には、適用しない。

<解説>
●電気通信事業従事者等に民訴法197条1項2号が類推適用されるか
学説:
同号の趣旨については、医師、弁護士、宗教等の職の従事者等が依頼者等の秘密を保護するために法令上の守秘義務を課されていることに鑑みて、法定専門職従事者等に証言拒絶権を与えたもの。
個人の秘密を保護する趣旨から法令上の守秘義務を課されている者には同号が類推適用される

本決定:
電気通信事業者等につき、電気通信の利用者の秘密を取り扱うものであって、その秘密を保護するために電気通信事業法4条により守秘義務を課されている⇒民訴法197条1項2号が類推適用される。

●送信者情報が民訴法197条1項2号により証言拒絶の認められる「黙秘すべきもの」に当たるか

最高裁H16.11.26:
「黙秘すべきもの」とは、一般に知られていない事実のうち、法定専門職従事者等に職務の遂行を依頼した者が、これを秘匿することについて、単に主観的利益だけではなく、客観的にみて保護に値するような利益を有するものをいう。

原決定:
本件メールが脅迫的文言を含むこと等⇒その送信者情報の秘匿について客観的に保護に値するような利益がない。
vs.
送信者情報の秘匿について、通信の内容に応じて保護に値する利益の有無を個別に検討することが相当か否かは慎重な検討を要する。
憲法21条2項後段は「通信の秘密は、これを侵してはならない」

学説上
「通信の秘密」に通信内容のみならず送信者情報も含まれることに異論は見当たらず、
通信の秘密は、およそ通信は秘密なものとみなしての保障であり、実質的に保護に値する秘密性を有するか否かの視点とは無関係。
この解釈は、電気通信事業法4条の保護する「通信の秘密」に関しても同様に当てはまる。

本決定:
前記の解釈状況等を踏まえた上、
電気通信事業法4条が通信の秘密を保護する趣旨は、
表現の自由の保障を実効的なものとするとともに、プライバシーを保護することにあると解されることのほか、電気通信の利用者は、電気通信事業においてこのように通信の秘密が保護されているという信頼の下に通信を行っており、この信頼は社会的に保護の必要性が高い

電気通信の送信者は、当該通信の内容にかかわらず、送信者情報を秘匿することについて、単に主観的利益だけではなく、客観的にみて保護に値するような利益を有する。
本決定は、送信者情報が前記最高裁H16.11.26の示した要件を満たすか否かを検討する過程で「当該通信の内容にかかわらず」それが肯定されるとした。

●前記は、送信者情報について電気通信事業者等が証人尋問を受ける場合と、送信者情報が記載された文書等について電気通信事業者に対する検証物提示命令の申立てがされる場合とで異ならないとした上で、
電気通信事業者は、送信者情報が記載等された文書等について、検証の目的として提示する義務を負わない
その法的根拠の説明として、
①一般義務である検証物提示義務は正当な事由があれば免れると解した上、
証言拒絶事由又は文書提出拒絶事由に当たる事由があればその正当な事由があるとするもの
②民訴法197条1項2号が類推適用されるとするもの
③民訴法220条4号ハ前段が類推適用されるとするもの
が考えられるが、結論に違いはないため、本決定では明示せず。

● 平成14年施行の「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任制限法)4条は、特定電気通信の発信者情報の開示請求ができるとする
特定電気通信とは、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(ex.インターネット掲示板への投稿)であり、これに当たらない1対1の通信(ex.本件のよゆなメールの送信)については同条に基づく請求ができない

プロバイダ責任制限法の立法時:
通信の送信者情報は秘密が強く保障され、刑事手続の令状に基づく場合でなければ開示されないという解釈・運用がされていることを前提とした上で、
特定電気通信については、高度の伝播性による被害の著しい拡大性という特質があることを重視し、厳格な要件(権利侵害の明白性等の実体的要件と発信者の意思確認等の手続的要件)の下に、手続法上の権利ではなく実体法上の請求権として、発信者情報開示請求権を創設
原々決定や原決定のように、電気通信の送信者情報について当該通信の内容次第では検証物提示命令を発する余地があると解した場合、整合性に問題。

判例時報2500

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建材メーカーによる屋外の建設作業による石綿被害についての危険についての認識可能性 (否定事例)

最高裁R3.5.17

<事案>
建設作業に従事し、石綿粉じんにばく露したことにより石綿関連疾患にり患したと主張する者又はその承継人である原告らが、
国に対し、石綿含有建材に関する規制権限の不行使が国賠法1条1項の適用上違法であると主張⇒同項に基づく損害賠償を求めるとともに、
建材メーカーらに対し、石綿含有建材に関する警告表示義務の違反があったと主張⇒不法行為に基づく損害賠償を求めた。

<争点>
建材メーカーが、昭和50年~平成2年(「本件期間」)に、屋外の建設現場における石綿含有建材の切断、設置等の作業に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識することができたか。

<原審>
建材メーカーは前記危険が生じていることを認識することが可能であった⇒一部認容

<判断>
建材メーカーは前記の認識が可能であったとはいえない⇒認容部分を破棄し、前記請求を棄却

<解説>
建材メーカーが危険を予見することができないのに警告表示義務を課すことはできない⇒建材メーカーが警告表示義務違反による不法行為責任を負うというためには、予見可能性が不可欠。

予見可能性の有無の判断の手掛かりになるのは、主に、
①就業場所における石綿粉じん濃度に係る本件期間当時の国の規制値等
②本件期間までに公表等がされていた石綿含有建材を使用する作業時における石綿粉じん濃度の測定結果等

● 原判決:
本件期間までに公表等がされた屋外建設作業に係る石綿粉じん濃度の測定結果には低い数値が示されているが、それらは限られた測定時間についてのもの⇒それらをもって屋外建設作業に従事する者の就業時間を通じた石綿粉じんへのばく露の状況を軽微なものと解することはできない。
vs.
屋外建設作業に従事する者の石綿粉じんばく露濃度は、石綿含有建材の切断作業中が最も高く、他の作業中はそれより低い
⇒前記の者の就業時間を通じた石綿粉じんばく露濃度の平均値は、前記測定結果より低くなるはず。

原判決:
屋内の作業場における石綿含有建材の切断等の作業に係る石綿粉じん濃度の測定結果には高い数値が示されているところ、石綿含有建材の切断作業の際に切断箇所に顔を近づけて作業をする
⇒作業場所が屋内が屋外かにより石綿粉じんにばく露する程度の差は大きくない
vs.
屋外の作業場においては、屋内の作業場と異なり、風等により自然に喚起がされ、石綿粉じん濃度が薄められるとうかがわれる⇒屋外建設作業に従事する者が、前記切断作業をする限られた時間に切断箇所に顔を近付けて作業をすることにより高い濃度の石綿粉じんにばく露する可能性があるとしても、就業時間を通じて屋内の作業場と同程度に高い濃度の石綿粉じんにばく露し続けるということはできない。

建材メーカーが屋外建設作業に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識することができたとはいえない。

判例時報2500

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2022年1月23日 (日)

同族会社の企業集団内の外国法人からの借入れの法人税法132条1項にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」該当性が問題となった事例

東京高裁R2.6.24

<事案>
● Aが直接的又は間接的な完全親子会社関係を有する会社からなる会社群(Aグループ)は、平成20年9月から平成21年7月にかけて、日本の関連会社の組織再編等を行うための計画(本件再編スキーム)に基づき、組織再編取引等を実行。


①Aグループに属する英国法人の設立した完全子会社が、音楽事業を目的とする合同会社であるXを設立(本件設立)。
②Xが前記①の完全子会社から295億円の追加出資を受ける(本件増資)。
Xが、Aグループにおける資金集中管理(CMS)の統括会社(CMS統括フランス法人)であるFから、866億6132万円を有利子無担保で借り受ける(本件借入れ)
④Xが、本件増資による出資金と本件借り入れの元金を原資として、Aグループに属するオランダ法人等から、B㈱及び㈱Cほか1社の全株式を買い取る(B㈱の株式の取得を「本件買収」という。)。
これらの買収に伴う財務関連取引により、B及びCの買収の代金に相当する金員が各売主からその親会社であるオランダ法人に貸し付けられ、当該オランダ法人のCMS統括フランス法人(Fほか1社)に対する債務の返済に充てられる。
⑤Xが、Bを吸収合併する(本件合併)。
⑥Xの完全子会社であるD合同会社が、C及び株式会社E(B(X)の子会社)を吸収合併。

法人税法2条10号の「同族会社」に当たるXは、平成20年12月期~平成24年12月期(本件各事業年度)に係る法人税の確定申告において、外国法人(F)からの本件借入れに係る支払利息(本件利息)の額を損金の額に算入して申告

麻布税務署長(処分行政庁)は、本件利息の損金算入はXの法人税の負担を不当に減少させるもの⇒法人税法132条1項に基づき、その原因となる行為を否認してXの所得金額を加算し、本件各事業年度に係る法人税の各j更正処分(本件各更正処分)等をした。

Xが、本件各更正処分等が違法な処分であるとして、Y(国)を相手に、本件各更正処分の取消しを求めた。

<争点>
本件組織再編取引等及びその一部である本件借入れが、法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(「不当性要件」に該当するか否か)

<原審>
・・・・Xは、本件借入れに基づきFに対して支払った本件利息の額を本件各事業年度における損金の額に算入したために、課税対象所得が減少し、その結果法人税の額が減少

不当性要件の該当性は、Xによる本件借入を対象として、その経済的合理性の有無を判断するのが相当

法人税法132条1項1号の趣旨⇒当該同族会社の行為又は計算が、同項柱書にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(不当性要件)に該当するか否かは、専ら経済的、実質的見地において、当該行為又は計算が純粋経済人として不自然、不合理なものと認められるか否か、すなわち経済的合理性を欠くか否かという客観的、合理的基準に従って判断すべき。
そして、同族会社の行為又は計算が経済的合理性を欠くか否かを判断するに当たっては、当該行為又は計算に係る諸事情や当該合同会社に係る諸事情等を総合的に考慮した上で、法人税の負担が減少するという利益を除けば当該行為又は計算によって得られる経済的利益がおよそないといえるか、あるいは、当該行為又は計算を行う必要性を全く欠いているといえるかなどの観点から検討すべき

①Xによる本件借入れが行われる原因となった、Aグループが設定した本件8つの目的は、日本の関連会社に係る資本関係の整理や、Aグループの財務態勢の強化(グループ内における負債の経済的負担の配分、為替リスクのヘッジに係るコストの軽減)等の観点からいずれも経済合理性を有するものであり、かつ、これらの目的を同時に達成しようとしたことも経済的合理性を有するもの
②本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等は、これらの目的を達成する手段として相当、
③本件組織再編取引等によるこれらの目的の達成はXにとっても経済的利益をもたらすものであったといえる一方、本件借入れがXに不当な経済的不利益をもたらすものであたっとはいえない。

Xによる本件借入れについては、法人税の負担が減少するという利益を除けばこれによって得られる経済的利益がおよそないとか、あるいは、これをおこなう必要性を全く欠いているなどとはいえない

専ら経済的、実質的見地において、純粋経済人として不自然、不合理なものとはいえず、経済的合理性を欠くものとは認められない。

<判断>
原審の判断を結論において是認。
・・・・同族会社が当該同族会社の株主等又はその関連会社からした金銭の無担保借入れが不当要件に該当するか否かについては、特に、前記のような借入れが当該同族会社の属する企業集団の再編等(企業再編等)の一環として行われた場合は、
当該借入れを伴う企業再編等が、通常は想定されない企業再編等の手順や方法に基づいていたり、実態とは乖離した形式を作出したりするなど、不自然なものであるかどうか
税負担の減少以外にそのような借入れを伴う企業再編等を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情も考慮した上で、当該借入れが経済的合理性を欠くか否かを判断すべき。

<解説>
● 法人税法132条は、一般に、多数の資本主によって構成されている非同族会社の場合には、利害関係者相互の牽制が作用⇒一部の資本主が会社の意思決定を任意に行う可能性は比較的少ない。
but
同族会社の場合には、会社の意思決定が一部の資本主の意図により左右⇒租税回避行為を容易になし得る⇒これを是正し、負担の適正化を図るためのもの。

●不当性要件:
行為・計算が経済的合理性を欠いている場合というように、純経済人の行為として不合理・不自然な行為・計算により法人税の負担を減少させたと認められるものとする見解(経済的合理性説)
行為・計算が経済的合理性を欠いている場合とは、それが異常ないし変則的で、租税回避以外に正当で合理的な理由ないし事業目的が存在しないと認められる場合のことであり、独立・対等で相互に特殊関係のない当事者間で行われている取引(アメリカ租税法でarm's length transaction(独立当事者取引)と呼ばれるもの)と異なっている取引には、それに当たると解すべき場合が多いであろう(金子)。

「租税回避以外に正当で合理的な理由ないし事業目的が存在しないと認められる」か否かについては、
A:租税回避以外の事業目的等が「存在するか否か」のみを判断する立場
B:行為・計算の異常性の程度との関係や、税負担の減少目的との主従関係等を考慮して、租税回避以外の事業目的等が「正当なものといえるか」どうかも判断する立場

最高裁昭和52.7.12:
問題とされた貸倒処理を「同族会社であるためにされた不自然不合理な租税負担の不当回避行為」として同条に基づき否認することができる旨を判示。

最高裁昭和53.421:
法人税法132条の合憲性に関し、同条は「原審が判示するような客観的、合理的基準に従って同族会社の行為計算を否認すべき権限を税務署長に与えているもの」と解される旨判示。

それ以後の下級審裁判例は、経済合理性説(専ら経済的・実質的見地において通常の経済人の行為又は計算として不合理、不自然なものである否か)によるものが大多数。

専ら経済的・実質的見地において通常の経済人の行為又は計算として不合理、不自然なものであるか否かは、
通常の場合(例えば、同業他社の取引例等)と比較してどの程度異常(又は変則的)であるかという点と、
その異常性を正当化するに足りる事情(租税回避以外の理由や事業目的)があるかという点
を総合的に判断しているものが多い。

●同族会社の属する企業集団の再編等の一環として行われた同族会社の借入れの不当性要件該当性については、経済的合理性説を前提として、当該借入れがなされた「文脈」の中で検証するという観点から、企業集団の再編等につき最高裁H28.2.29で判示された考慮事情の存否等をみた上、当該借入れ事態に関する事情と併せて考慮して検討するのが相当。

企業の再編に関しては、同族会社の行為計算否認規定(法人税法132条)と
組織再編成に係る行為計算否認規定(同法132条の2)の両者にわたり共通の判断枠組みを用いることとなる⇒法的安定性の観点からみて妥当。

●本判決:
不当性要件該当性の当てはめにおいて、
本編再編成等スキームに基づく本件組織再編成取引等につき、Xが主張する本件8つの目的を踏まえて、不自然なものとはいえず、税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するといえるかを検討

本件8つの目的を日本の関連会社の経営の合理性、事業会社グループ名地の外国法人の負債軽減、日本の関連会社の財務の合理化という観点から分析した上、本件8つの目的を同時に達成しようとしたものという観点からの結論を示している
その上で、

本件借入れの目的、金額、返済条件、無担保の理由、本件借入れ後の状況について経済的合理性を欠くものであるというべき事情の有無を個別具体的に検討し、これらの諸点を総合して、本件借入れが経済的合理性を欠くものであるか否かを評価

判例時報2500

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当選無効の決定の取消しを求める請求と当選人Zの当選無効を求める請求の主張する利益の共通性(否定)

最高裁R3.4.27

事案 申立人は、平成31年4月21日執行の新宿区議会議員選挙(本件選挙)において当選人とされた⇒選挙人からの異議の申出を受けた新宿区選挙管理委員会から、引き続き3か月以上新宿区の区域内に住所を有する者という被選挙権の要件を充たしていない⇒当選を無効とする決定(本件決定)⇒東京都選挙管理委員会に審査の申立て⇒これを棄却するとの裁決(本件裁決)

本件本案訴訟:
申立人が、東京都選挙管理委員会を相手に、
①本件裁決の取消し(請求1)
②本件決定の取消し(請求2)
に加え、
③本件選挙において当選人とされたAの当選を無効とすることを求める(請求3)

<本件>
申立人が、本案訴訟の訴え提起の手数料として、
訴訟の目的の価額320万円に応じた2万1000円を納めたが、
訴訟の目的の価額は正しくは160万円であり、これに応じた手数料の額は1万3000円⇒民訴費用法9条1項に基づき、8000円の還付を申し立てた。

<判断>
請求1及び2は、いずれも、認容されることにより、結局のところ抗告人(申立人)の当選を無効とする本件決定の効力を失わせることを目的とするもの。
but
請求3は、認容されることにより、抗告人とは別の当選人であるAの当選が無効とされる⇒請求1及び2と請求3とでは、それぞれ認容されることによって実現される状態が異なる。

請求1及び2と請求3とでは、訴えで主張する利益が共通であるということはできない

<規定>
民訴法 第八条(訴訟の目的の価額の算定)
裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の規定により管轄が訴訟の目的の価額により定まるときは、その価額は、訴えで主張する利益によって算定する。

2前項の価額を算定することができないとき、又は極めて困難であるときは、その価額は百四十万円を超えるものとみなす。

第九条(併合請求の場合の価額の算定)
一の訴えで数個の請求をする場合には、その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする。ただし、その訴えで主張する利益が各請求について共通である場合におけるその各請求については、この限りでない。

2果実、損害賠償、違約金又は費用の請求が訴訟の附帯の目的であるときは、その価額は、訴訟の目的の価額に算入しない。

<解説>
● 手数料は、訴額に応じて定まる。
訴額は、訴えで主張する利益によって算定する。
財産権上の請求でない請求に係る訴額⇒160万円とみなす。

手数料の額の算定の場面における民訴法8条1項の「訴えで主張する利益」は、財産権上の請求を念頭に置いたもの。
「訴訟の目的」とは訴訟の対象である権利又は法律関係すなわち訴訟物
「訴えで主張する利益」とは、原告が全部勝訴の判決を受けたとすれば、その判決によって直接受ける利益を客観的かつ金銭的に評価して得た額。
1つの訴えで数個の請求⇒その価額を合算したものを訴額とする。
その訴えで主張する利益が各請求について共通⇒その各請求については、この限りでない(民訴法9条1項)。

共通である場合:
代償請求の場合
数人の連帯債務者等に対する請求の場合
選択的併合の場合

非財産権上の請求についても、基本的に同様に考えてよい。
それぞれの請求が認められることによって実現する状態が同一のものと評価することができるような場合がこれに当たる。
「訴訟物」は、「原告の訴えによって特定され、裁判所の審判の対象となる権利関係」をいう。
取消訴訟においては、処分の違法性一般であるという見解が一般的。

● 公選法に定める当選争訟は、客観訴訟の一種である民衆訴訟(行訴法5条)であり、特別区議会議員選挙については、特別区選挙管理委員会に対する異議の申出、同決定についての都選挙管理委員会に対する審査申立てを経た上で、同裁決に対して訴えを提起。
原決定に対しては出訴を許さず、裁決に対してのみ出訴を許すとうい裁決主義が採用

これらの争訟においては、究極的には選挙会による当選人決定(公選法80条)が争われる。
当選争訟においては、争訟審理機関は、自ら当選人を決定し得る権限を有するものではない⇒異議審理庁は、当選無効の決定をし、又は選挙会の決定を取り消し得るにとどまり、積極的に当選人を確認することはできない。

● 当選争訟は、
①選挙会の決定手続の違法を争うもの
②得票数の多少を争うもの
③当選人たり得べき資格の認定を争うもの
に分類。

● 抗告代理人の抗告理由:
当選人決定を基準に訴額を定めるべきであり、当選人の数を基準とすべきではないところ、請求1~3の訴訟物は1個
vs.
民訴法 8条、9条の文言や立法趣旨

財産権上の請求については、
まずは訴額を「訴えで主張する利益」により算定し、
「一の訴えで数個の請求をする場合」には、多額のものではなく合算することとし、
③ただ、その訴えで主張する利益が共通である場合には合算しない。

訴訟物の個数をまず決定し、これに応じて訴額を算定し、訴え提起手数料を定めるという順序によらなければならないとはされていない。
「訴えで主張する利益」は、財産権上の請求について、原告が全部勝訴の判決を受けたとすれば、その判決によって直接受ける利益を客観的かつ金銭的に評価して得た額

処分権主義の下、原告が掲げる請求の趣旨によって定まるもの
条文上も、「訴訟物」という用語が使われてはおらず、「請求」とされている。
非財産権上の請求についても、訴えで主張する利益が共通であるか否かは、それぞれの請求が認められることによって実現する状態が同一のものと評価することができるかによって決することとなる、。


①請求1~3については、非財産上のもの⇒それぞれ訴えで主張する利益は160万円
合算するのが原則
申立人の当選の効力を争う請求1及び2と、申立人とは別の当選人の当選無効に関する請求3とでは、主張する利益が共通であるとはいえない
少なくとも、請求1及び2と請求3の訴額を合算した320万円が本件の訴額。


本決定:訴訟物の個数について何ら触れずに結論に至っている。

訴額の算定にあたっては、必ずしも訴訟物の単複や個数を検討するよりも、訴額の算定に当たっては、請求の趣旨によって定まる、原告が全部勝訴の判決を受けた場合に実現する状態という観点から検討すれば足りるという考え方。

判例時報2500

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2022年1月 4日 (火)

署名偽造といえないとされた事案

京都地裁R2.6.25

<事案>
自宅で宅配荷物を受領する際、配達票の受取印欄に仮名で署名した行為⇒作成者と名義人の人格の同一性に齟齬をきたすものとはいえない⇒署名偽造に当たらない。

<判断>
署名の作成者が、自己を示す呼称として本名とは異なる呼称を用いて署名をした場合の私印(署名)偽造罪の成否については、本名を用いて署名しないことによって、社会通念上、作成者と名義人の人格の同一性に齟齬が来すか否かによって判断すべき。
①本件において、被告人Aからの「B」名義の物品の注文及び配達の依頼に基づき、H1店は、被告人方に居住する「B」宛てに当該物品を配送するよう宅配便業者に依頼⇒少なくとも宅配便の依頼者と受取人との間では「B」名の人格の同一性に齟齬はない
②配達員は、基本的には注文者の指定する住所をもとに、そこに居住する人物に当該荷物を届けて受取人の押印ないし署名を求め、署名作成者に身分証明を求めておらおらず、単に注文者の指定する人物であることが確認されればよい⇒その立場は依頼者であるH1店と同様に解してよいと認められる。

宅配便業者の配達員、依頼者と受取人の間では、「B」名の人格の同一性に齟齬はない。

本件において、被告人Aが「B」と配達票の受取印欄に署名し、本名を用いなかったことにより、社会通念上、作成者と名義人の人格の同一性に齟齬を来すものとはいえず、被告人が、刑法167条1項にいう「他人の署名を偽造した」とはいえない。
署名が偽造でない⇒偽造した署名を「使用」したともいえない。

<解説>
印章や署名は文書の作成に際して使用され、印章や署名の偽造も文書偽造の手段としてなされることが多く、その偽造は文書偽造に吸収される。
形態的には印章のようでも、極度に省略された文書として扱われることも多い。

署名の「偽造」についても、文書の「偽造」についての議論が妥当。

「偽造」の意義は、
A:作成名義の冒用
〇B:人格の同一性を偽る

通称や偽名を使用した場合、同姓同名の他人になりすました場合、肩書や資格を冒用した場合などの事例が問題。

本判決:
宅配荷物の配達票の受取印欄に記載される署名につき、本名に限定しないと関係者不利益が生ずることは考え難く、人格の同一性に齟齬が生ずるとはいえないと判断。

尚、警察官の取調べを受けた際に作成される供述調書の被疑者署名部分に、本名以外の名称を記載した場合に、偽造の成立を認める裁判例。

判例時報2494

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保護観察処分が正当とされた事例

東京高裁R2.11.20

<事案>
少年、路上において、被害者に対し、メリケンサックを装着した右手拳でその左側頭部を殴打し、被害者に全治10日間を要する左側頭部挫創の傷害を負わせた。

<原決定>
少年の非行の態様及び性格等⇒相当期間保護観察に付することが少年の健全な育成を期するために必要。

<判断>
①・・・報復感情を暴力によって満足させようとした少年の行動は社会的に許容し難く
②・・・少年の性向にも、思い込みが強く、対人関係を上下関係で考えるなどの問題性が認められ、
③・・・本件非行の態様は危険で、けがの程度も軽微とはいえず
④・・・少年は、審判期日において、事実を認めながら被害者に悪いとは一切思っていないとも述べており
このような本件非行の原因や少年の抱える問題性

客観的な視点が持てるように専門家から指導を受ける必要がある
少年を保護観察に付することが必要かつ相当である
という原決定の判断は正当。

<解説>
家裁が少年を保護処分(少年法24条1項)に付するための要件:
①審判条件が具備されていること
②非行事実
③要保護性
が必要。

本件は、③の問題

要保護性
犯罪的危険性
矯正可能性
保護相当性
の3つの要素からなる。

本決定:
動機、経緯等を含めた非行事実の内容及び少年の性格等の事実関係を把握した上で、非行の態様等の非行の内容に加え、
非行の原因となった少年の性向や問題性等を考慮して、
原決定が処遇選択における合理的裁量を逸脱していないかを審査し、非行の態様及び少年の性格等を考慮して少年を保護観察に付した原決定を是認。

判例時報2494

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2022年1月 3日 (月)

風営法の規制実現のための独禁法違反(共同の取引拒絶)が争われた事例

東京地裁R3.3.30

<事案>
パチンコホールの経営者であるXらは、パチンコ遊技機及びパチスロ遊技機の販売業者の事業団体であるYらが、組合員であるZ(販売業者)に対し、風営法施行規則の遊技機の出玉基準の改正により営業所に設置できないことになった遊技機を改正規則の付則で認められた経過措置期間経過前に撤去するというYらを含む業界関係団体の計画に従わないXらに対してパチンコホール営業者が中古遊戯機の設置に係る許認可の際に必要となる保証書作成等の業務の依頼を拒否するよう要請した行為が、独禁法8条5号が定める不公正な取引方法(独禁法2条9項1号イ所定の共同の取引拒絶)の勧奨行為に当たる⇒独禁法24条に基づき、当該行為の差し止めを求めた

<判断>
(1)経過措置期間中の旧規則機の撤去に関してされた行為であっても、経過措置期間中は、旧規則機の設置は風営法上違法と評価されるものではない⇒独禁法の適用は否定されない。
(2)ZがXに対して保証書作成及び打刻申請の対応をあらかじめ拒絶するという本件措置は、独禁法2条9項1号の「供給を拒絶」する行為に該当
(3)本件措置は、Zと他の遊技機販売業者との間で意思の連絡があるといえる⇒独禁法2条9項1号にいう「競争者と共同して」行っているものに当たる
(4)共同の取引拒絶においても、
①当該取引拒絶行為の目的の正当性及び
②当該取引拒絶行為の手段としての相当性
を総合的に考慮して「正当な理由」があるときは、「不公正な取引方法」に該当しない

①について:

法令上の設置期限より早く撤去させる本件撤去計画の推進は、合理的であり、本件措置が達成しようとする事項の公益性、重要性に照らせば、本件措置の目的には正当性がある。

②について:
本件措置は目的を達成するために必要かつ合理的な範囲にとどまるものであれば、手段としての相当性が認められると解されるところ、

・・・・
手段としての相当性も認められる。


不公正な取引法方法に当たらない。
(5)著しい損害(独禁法24条)及び
(6)保全の必要性も否定。

<解説>
● 風営法が客の射幸心を著しくそそるとして営業所に設置が許されなくなった旧規則機につき、Yらを含む業界関係団体が、経過措置期間経過前にこれを計画的に撤去するという計画(本件撤去計画)を立て、かつ、それに従わないパチンコホール営業所に設置するために風営法に基づく営業許可又は変更承認の申請をするのに必要となる保証書の作成等をしないように、傘下の組合員であるZに勧奨したことが独禁法上問題とされた。

●独禁法の適用の有無
独禁法と風営法(=自由な競争を否定)は、同じレベルにある法律で、両法が実質的に矛盾する結果をもたらすことのないように、両法を全体として合理的・整合的に解釈する必要

本決定:
経過措置期間中は、旧規則機の設置は風営法上違法と評価されるものではない⇒独禁法の適用は否定されない。

本件措置が風営法の法益実現を図るものであるという点を独禁法の適用の場面でどう位置付けるか?
独禁法2条9項1号イ所定の取引拒絶行為に該当する場合でも、正当な理由があるときは、「不公正な取引方法」に該当しないとして、
目的の正当性、手段の相当性(=目的を達成するために必要かつ合理的な範囲にとどまる)を審査。
経過措置期間経過後は設置が許されなくなる⇒経過措置期間経過後大量に廃棄を迫られるという風営法上の問題を考慮し、目的の正当性、手段の相当性を肯定。

●エアソフトガンについて安全性を目的に自主基準を設定し、自主基準を遵守しないアウトサイダーを共同の取引拒絶により排除したことが問題とされた事案で、自主基準の目的の正当性、内容の合理性は認めたが、実施方法の相当性を否定した裁判例。

道路運送法上刑罰をもって禁止されている低い料金になっていた状況において、事業者団体が適法な認可料金に近づけるために行われた運賃引き上げカルテルについて違法阻却が認められた公取委員会の審決例。

判例時報2494

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福島第一原発についての損害賠償責任

福島地裁郡山支部R3.7.30

<事案>
本件津波による福岡第一原発の爆発事故により帰宅困難区域となった津島地区の住民640人(原告ら)が、被告国及び被告東電に対し、
①平穏に生活する権利、不動産所有権若しくは入相的な利用権又は不法行為に基づく妨害排除請求権(妨害予防請求権)に基づき、津島地区全域の放射線量を毎時0.046マイクロシーベルトに至るまで低下させる義務のあることを確認するとともに、
津島地区全域の放射線量を毎時0.23マイクロシーベルトに至るまで低下させることを求めるとともに、
②被告国に対しては、国賠法1条1項に基づき、被告東電に対しては、主位的には民法709条に、予備的には原賠法3条1項に基づき、
総額約251億円の損害賠償を求めた。

<争点>
①被告国及び被告東電に対し、津島地区全域の放射線量を低下させる義務のあることの確認を求める訴え及び、放射線量を低下させることを求める訴えの適否
②被告国の損害賠償責任の有無
③被告らが原告らに賠償すべき原告らの損害額

<判断>
争点①について、
原告らが被告らに対し、津島地区全域について、放射線量を低下させる義務のあることの確認を求める請求を棄却
放射線量を低下させることを求める訴えを却下

争点②について
被告国の責任を認め、本件事故と相当因果関係のある限度で原告らの被告に対する請求を認容。
被告東電については、原賠法3条1項に基づく請求を認容。

<解説>
●原状回復請求(争点①)
福島地裁H29.10.10
仙台高裁R2.9.30:
請求の特定性を欠くことを理由に訴えを却下。

給付訴訟における請求の趣旨は、強制執行が可能な程度に特定され、明確化される必要がある。
but
侵害結果を生じさせている発生源である放射性物質による汚染状況の詳細は不明。
原告らの旧居住地における空間線量率を原告らの請求の趣旨のレベルまで低下させるための作為の具体的な内容を被告らが認識することは不可能。
⇒実現可能な義務の具体的内容が合理的に限定されていない。

本判決:
原告らの給付請求は、特定を欠くと言わざるを得ない⇒訴訟要件を欠き、不適法。
被告らが放射線量を低下させる義務を負うことの確認請求を棄却。

①原告らの有する不動産所有権等の権利が津島地区全域に及ぶと解することはできない
②被告東電が飛散した放射性物質を支配し、これを除去し得る権限を有しているとみることはできない

●被告国の責任(争点②)
国の責任の有無については裁判例が分かれている。
大臣が規制権限を行使しなかったことが、大臣に付与された権限の性質等に照らし、その許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、前記権限の不行使は、国賠法1条1項の適用上違法となる(最高裁H7.6.23)。

本判決:
原子力発電所の管理監督については専門性が高く、技術基準適合命令を発するか否かについて経済産業大臣に裁量が認められている
but
経済産業大臣に規制権限が与えられているのは、原子力発電所が高度の危険性を有していることに鑑み、原子力災害を防止し、賀引力発電所の周辺住民の安全等を確保するため。
⇒その裁量は必ずしも広範なものとはいえず、経済産業大臣としては、福島第一原発で津波対策が適切に講じられているか否かについて厳格な観点から判断すべきであった

経済産業大臣が、平成18年までに福島第一原発について発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令4条1項の基準を満たしていないことを理由に技術基準適合命令を発しなかったことは、法の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、著しく合理性を欠くものであり、国賠法1条1項の適用上違法。

国の責任を否定した東京高裁R3.1.21:
地震調査研究推進本部地震調査委員会が、平成14年に公表した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(長期評価)の知見には、種々の異論や信頼性に疑義を生じさせる事情が存在⇒経済産業大臣に直ちに対策のための規制権限の行使を義務付けるだけの科学的、専門技術的な見地からの合理性を有する知見であると認めることは困難。

長期評価の知見により想定される津波に対して防潮堤等の設置や建屋等の水密化の措置を講じることによって本件事故の発生を回避できたものとは認められない。

本判決:
長期評価が公表⇒被告国には、福島県沖の海溝寄りの領域において津波地震が発生する可能性や、発生した場合の福島第一原発への影響の有無等について調査をする義務が生じたにもかかわらず、被告国は、調査を行わず、前記義務に違反。

安全停止系保護のための水密化や、安全停止系が設置された建屋の水密化のための対策を本件津波が到来するまでに講じていれば、本件事故を回避できた。

●原告らに支払われるべき慰謝料額(争点③)
被告東電は、平成25年12月26日に原子力損害賠償紛争審査会が策定したいわゆる中間指針第4次追補を受けて、
期間困難区域の住民に支払う慰謝料について、
①平成23年3月11日から平成24年5月まで月額10万円として150万円
②平成24年6月から平成29年5月までの5年分として600万円、
③帰還困難慰謝料700万円
の合計1450万円を基本的に支払う方針。
but
仙台高裁R2.3.12:
帰還困難区域の避難者の慰謝料額を1600万円
(①避難を余儀なくされた慰謝料150万円、②避難生活の継続による慰謝料850万円、③故郷の喪失による慰謝料600万円)と定めた。

本判決:これらの裁判例を踏襲し、帰還困難区域の避難者であるXらの慰謝料を1600万円と定め、被告らに対し、既払額1450万円を控除した150万円に弁護士費用15万円を加えた165万円を基本額として原告らに支払うよう命じている。

本判決:
本件事故の発生につき、被告東電の側に故意に匹敵するような重大な過失があったとは認められず、被告東電の悪質性を慰謝料の増額事由とすることはできない。
but
津島地区に居住する原告らが抱く被ばくの影響に対する不安は、慰謝料の算定に当たって考慮すべきであると説示。

判例時報2499

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2022年1月 2日 (日)

前訴での主張(相手が法定相続分割合で債務を負う)が後訴(遺言が有効であることの確認)提起を信義則違反とするかが争われた事案

最高裁R3.4.16

<事案>
● Xが、Yに対し、両名の母であるAを遺言者とする遺言(Xに財産全部を相続させるという内容のもの)が有効であることの確認を求めた事案。

● 前訴:
Y:Aの死後、Xに対し、YがAの遺産を法定相続分の割合により相続した⇒Aの死後にXが払い戻したA名義の預金の返還、Aの生前にAからXに所有権移転登記がされた不動産についてその登記の抹消登記手続等を求める訴え。
X:Yに対し、XがAの医療費等を立て替えており、YがAの立替金債務を法定相続分の割合により相続した⇒その支払を求める反訴。
X:Aとの売買等により不動産を取得したものであり、生前にAから与えられた権限に基づき預金の払戻をしたなどと主張し、前件本訴に係る請求を争うとともに、Aが本件遺言をしたと主張。
but
第1審裁判所が当事者の主張した書面には、Xの本件遺言に関する主張は記載せず。

Y:Xに対し、本件遺言が有効である旨主張するのであれば、Xの前件反訴における主張と矛盾⇒これらの主張の位置づけについて明らかにするよう述べたX:前件本訴に係る請求が本件遺言が無効であることを前提としたものであったため、これに対応して前件反訴を提起したにすぎず、主位的には本件遺言が有効であると主張するものと回答
前件では、YがAの遺産について相続分を有することは争いがないものとされ、本件遺言の有効性については判断されなかった。

<原審>
XがYに対して本件遺言が有効であることの確認を求めることは、YがAの遺産について相続分を有することが前訴で決着し、Xにより今後本件遺言が有効であると主張されることはないであろうとのYの合理的な信頼を裏切るものである上、Xが前訴においてYがAの債務を相続したと主張して前件反訴を提起していたことと矛盾
⇒本件訴えの提起は信義則に反するとして、訴えを却下すべきものとした。

<判断>
前訴判決においては、本件遺言の有効性について判断されることはなかった
前件本訴に係る請求は、Aの遺産の一部を問題とするものにすぎず、本件訴えは、前件本訴とは訴訟によって実現される利益を異にする
前訴において、Xは、本件遺言が有効であると主張していたのであり、前件反訴に関しては本件遺言が無効であることを前提とする前件本訴に対応して提起したにすぎない旨述べていた⇒Yの決着済みとの信頼は合理的なものとはいえない

Xは前件反訴において敗訴し、何ら利益を得ていない⇒本件訴えにおいて本件遺言が有効であるとの確認がされたとしても、前件反訴の結果と矛盾する利益を得ることにはならない。

本件訴えの提起が信義則に反するとはいえない。

<解説>
● 信義則違反による後訴の請求又は主張の遮断:
①権利失効(紛争の蒸し返しの禁止)の法理
②矛盾挙動禁止の法理

● 権利失効の法理:
確定判決の理由中で判断された事項等について、勝訴当事者に、既に前訴で決着がついたとの正当な信頼が生じた場合に、その理由中の判断に拘束力を認め、敗訴当事者がこれに抵触する攻撃防御方法等を提出し得ない原則。

最高裁昭和51.9.30:
後訴は実質的には紛争の蒸し返し⇒信義則により後訴を遮断。

権利失効の法理:
適時における権利行使懈怠の結果、相手方にもはや権利行使た許されないとの正当な信頼が生じた場合に、その信頼を保護しようとするもの⇒その前提として、その相手方の信頼が法的保護に値するといえる必要があり、また、それ以前の段階で権利行使すべきことが規範的に要求されていなければならない

既判力主文の判断に限り生ずるとされ(民訴法114条1項)、訴訟物を異にする請求及びそれを基礎付ける主張については、前訴判決によって何ら影響を受けないことが保障されている
相手方の決着済みとの信頼には客観的合理性が欠如している。

当事者(特に被告)には、当面勝訴するのに最も効率的な防御方法のみを提出し、少ない労力で勝訴判決を得ることが許されてしかるべきであり、他の防御方法をも提出しておかないと、後訴において失権してしまうとするのは、自由な訴訟活動についての利益を奪うとともに、当事者に対する不意打ちになるおそれがある。

権利失効の法理の適用にあたっては、考慮すべき諸事情の類型化
A:
①その判断が前訴における主要な争点についてされたものであること
②前訴・後訴が社会関係の次元における同一紛争関係から生じたもの
拘束を受ける当事者がその争点についての判断を上訴によって争いえる可能性を有していたこと
④個々の事案の具体的事情
を総合的に判断し、
ある争点につき決着済みとの合理的信頼が成立し得ないといえる事情がないこと
を要件とする見解。

B:
①前訴と後訴の実質的同一性
前訴における請求又は主張の提出可能性
紛争解決についての相手方の信頼
前訴における審理の程度
主張などの遮断を正当化するその他の事情
を総合的に考慮する見解。
拘束的効果の認められる争点をどのレベル(先決的法律関係の存否、法律行為の有効・無効、主要事実の存否等)で捉えるかは、当事者が前訴でどのレベルに焦点を合わせて攻撃防御を展開していたといえるかを判断することになる。

ex.
請求原因が所有権の存否からなる事案において、
所有権喪失の抗弁として売買契約の締結が前訴で主張された場合、
下位の争点である売買契約の解除や無効事由の再抗弁が主張されなった場合

前訴での攻防の対象が売買契約の効力そのものであったとみられる限り、後訴で前記再抗弁についての主張が遮断されることがあり得る。

本件:
YがAの遺産について相続分を有するかについては、前訴において攻防の対象とされていなかったと認められる。
前訴・後訴の係争利益の均衡・異同は、攻防の密度に影響し得る⇒権利失効の法理の適用に当たり考慮されるべき事情。

本判決:
以上の事情のほか、前訴における諸事情を考慮し、YがAの遺産について相続分を有することについて前訴で決着したとのYの信頼は合理的なものであるとはいえないと判断。

●矛盾挙動禁止の法理:
前訴における主張が認められて勝訴した当事者が、それと矛盾する主張をして前訴で得たのと両立し得ない利益を得ようとすることを禁止する原則。

Xは、前件反訴においては、立替払の事実が認められないとして請求を棄却され、敗訴している。
⇒本件遺言が有効であることが確認されたとしても、前訴で得た利益と両立し得ない利益を二重に取得することにはならない⇒矛盾挙動禁止の法理の適用の前提を欠く。

判例時報2499

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2022年1月 1日 (土)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律による、職業活動の自由への消極目的規制の合憲性判定基準

最高裁R3.3.18

<事案>
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律36条の6第1項、3項:
薬局開設者又は店舗販売業者において、要指導医薬品(法4条5項3号)の販売又は授与をする場合には、
薬剤師に対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を行わせなければならず、これができないときは要指導医薬品の販売又は授与をしてはならない旨を規定。

本件:店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による医薬品の販売をインターネットを通じて行う会社が、本件各規定は憲法22条1項に違反するなどと主張して、
国を相手に、
要指導医薬品として指定された製剤の一部につき、前記方法による医薬品の販売をすることができる権利ないし地位を有することの確認等を求めた。

<解説>
薬事法は従前:
一般用医薬品をリスクに応じて3つに区分
第1類医薬品:その販売等に際し、薬剤師をして、その適正な使用のために必要な情報を提供させなければならない。
第2類医薬品:その販売等に際し、薬剤師又は登録販売者をして、その適正な使用のために必要な情報を提供させるよう努めなければならない。

薬事法施行規則は、前記医薬品につき、薬剤師等に、対面で販売等をしなければならない旨の規定を設け、もって郵便等販売が禁止。


最高裁H25.1.11:
前記薬事法施行規則の規定が、一般用医薬品のうち第1類医薬品及び第2類医薬品につき、店舗販売業者による店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による販売又は授与を一律に禁止することとなる限度において、薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効。


薬事法が改正され、従前の一般用医薬品が、一般用医薬品と要指導医薬品に区分された。
法4条5項3号イからニまでに掲げる医薬品で、その適正な使用のために薬剤師の対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する要指導医薬品については、その販売又は授与するに際し、薬剤師に対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない旨規定。

最高裁H25.1.11:省令の規定が法律の委任の範囲内であるか否かが問題
本件:前記の薬事法の改正により設けられた法律の規定である本件各規定が違憲無効であるかが問題

<判断>
薬局等の適正配置規制に関する当時の薬事法6条2項、4項が憲法22条1項に違反する旨の判断をした薬事法距離制限事件最高裁判決を参照した上、
本件各規定による規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度に照らすと、本件各規定による規制に必要性と合理性があるとした判断が、立法府の合理的裁量の範囲を超えるものであるということはできない

本件各規定が憲法22条1項に違反するものということはできない。

<規定>
憲法 第二二条[居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由]
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

<解説>
● 憲法22条1項の職業選択の自由:
広く一般に、いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含するもの。
狭義の職業選択の自由(職業の開始・継続・廃止の自由)だけでなく、職業活動の自由(選択した職業活動の内容、態様の自由)も含む。

● 経済的事由の制約を伴う規制立法の憲法適合性:薬事法距離制限事件最高裁判決(最高裁昭和50.4.30):
これらの規制措置が憲法22条1項にいう公共の福祉のために要求されるものとして是認されるかどうかは、これを一律に論ずることができず、具体的な規制措置について、規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度を検討し、
これらを比較考量したうえで慎重に決定されなければならない。

右のような検討と考量をするのは、第一次的には立法府の権限と責務
⇒裁判所としては、規制の目的が公共の福祉に合致するものと認められる以上、そのための規制措置の具体的内容及びその必要性と合理性については、立法府の判断がその合理的裁量の範囲にとどまる限り、立法政策上の問題としてその判断を尊重すべき
but
右の合理的裁量の範囲については、事の性質上おのずから広狭がありえる
⇒裁判所は、具体的な規制の目的、対象、方法等の性質と内容に照らして、これを決すべき。

利益衡量論を基礎とした上で、前記の諸事情を比較考量して立法府の判断がその合理的裁量の範囲内にあるか否かを判断する枠組み。

一般に許可制は単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて、狭義における職業の選択の自由そのものに制約を課するもので、職業の自由に対する強力な制限
⇒その合憲性を肯定しうるためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、また、それが社会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置ではなく、自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的、警察的措置である場合には、許可制に比べて職業の自由に対するより緩やかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によっては右の目的を十分に達成することができないと認められることを要する。

消極目的規制についての厳格な合理性の基準を示したものであり、
小売市場事件最高裁判決が、積極目的規制についてはは明白の原則によることを示したものであるという理解と併せて、いわゆる規制目的二分論によるものであると理解。
vs.
最高裁は、特に許可制の下におけるいわゆる消極目的規制である場合には、他の規制措置では目的を達成することができないものであることを要するとしたものであって、
消極目的規制であることのみをもって、厳格な合理性の基準により合憲性を判断すべきとするものではない。

● 本判決:
本件における立法府の裁量の幅については、
本件各規定による規制は、消極的、警察的措置と評価し得るものであることを前提としつつ、
職業活動の自由に一定の制約を課すにとどまる
⇒直ちに狭くなるものではないと解している。

判例時報2499

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