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2021年12月11日 (土)

被告人両名による、実子である被害者に対する、保護責任者遺棄致死の事案。

大阪高裁R3.4.19

<原審>
公訴事実どおりの各罪の成立を認めた。

<控訴>
訴訟手続きの法令違反
事実誤認
量刑不当等

<解説・判断>
●遺体写真の必要性、法的関連性、取調方法
遺体写真等の刺激証拠については、裁判員の精神的負担に配慮しその軽減を図る見地から、裁判所において、公判前整理手続で両当事者の意見を取し、要証事実との関係で証拠の必要不可欠性を検討し、裁判員に過度の精神的負担を与えず適正な判断が可能かを吟味し、代替手段の有無等も含めて採否を慎重に検討するといった運用。

行為責任の観点からの当該証拠の必要性
当該証拠が判断者による証明力の評価を誤らせる危険を有していないかという法律的関連性
の各吟味。

これが肯定

事案に応じ、写真のサイズ調整(縮小)、白黒化等の色調整、マスキング、イラスト化などの裁判員の負担を軽減する方法を工夫。

●要保護状況の認識
被害者の日々の様子を把握⇒るい瘦状態等の変化に気づきにくくなることが想定できる。
尚「ミオパチー事件」最高裁H30.3.19

●量刑
1審判決:本件の社会的類型を実子等に対する保護責任者遺棄致死事案⇒その量刑傾向中で上限に位置付けられる⇒懲役13年。

弁護人:精神疾患にり患した家族に対する不保護の事案に類似し、同情できる⇒量刑不当を主張。
vs.
判断:本件が被害者の尊厳を著しく損なう犯行で、結果も重大であるところ、被告人両名の責任避難を低下させる事情はない。

判例時報2496

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