銘菓の創業の表示等不正競争防止法と不正競争防止法
大阪高裁R3.3.11
<事案>
Xが、Yに対し、Yの表示等が、商品の品質を誤認させている⇒その差止め、廃棄及び損害賠償を求めた。
<争点>
①不正競争法2条1項14号(平成30年改正前のもの)(現20号)の規制対象の範囲
②Yの創業年や来歴に関する表示が、品質等誤認表示といえるか
③営業上の利益の侵害の有無並びにXに生じた損害の有無及び額
<規定>
第二条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
二十 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
<判断>
●争点①について
一審判決を一部引用し、立法過程における議論や、不正競争防止法違反が刑事罰の対象にもなる⇒安易な拡張解釈は相当でない⇒20号の列挙は限定列挙。
20号の定める「品質」「内容」に、これらの事項を間接的に示唆する表示が含まれる場合がありうるにしても、そのような表示については、具体的な取引の実情の下において、需要者が当該表示を商品の品質や内容等に関わるものと明確に認識し、それによって、20号所定の本来的な品質等表示と同程度に商品選択の重要な基準となるものである場合に、20号所定の規制の対象となる。
●争点②について
品質や内容の誤認を生じさせるためには、客観的事実として異なる品質や内容を需要者に認識させる必要があり、誤認の対象は客観的に真偽を検証、確定することが可能な事実であることが想定されている。
本件で問題とされた創業年や来歴については、客観的に真偽を検証、確定することが困難で、品質等を誤認させるとは認められない。
●争点③については、判断せず。
<解説>
類似の裁判例:
東京高裁H16.10.19:
ヤマダ電機対コジマ事件:価格に関する表示につき不正競争と認めなかった。
判例時報2491
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