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2021年10月 1日 (金)

別れさせ工作委託契約と公序良俗違反(否定)

大阪地裁H30.8.29

<事案>
本訴:
別れさせ工作委託契約に基づき、残金70万円及び遅延損害金支払を求めた。

反訴:
本件契約及びこれに附随する調査委託契約が公序良俗に反し無効⇒不当利得返還請求権に基づき、本件契約等に基づいてYが支払った60万8000円及び遅延損害金の支払を求めた。
本件契約の関係者は、いずれも独身で、本件契約の目的を達成するために関係者の意思に反して肉体関係を持つことが提示されたことはなく、実際に肉体関係が結ばれたこともなかった。

<判断>
本件契約等が公序良俗に反するか否かについて、本件契約等の目的達成のために想定されていた方法は、人倫に反し関係者らの人格、尊厳を傷付ける方法や、関係者の意思に反してでも接触を図るような方法であったとは認められず、また、
実際に実行された方法も、工作員女性が対象男性と食事をするなどというものであった

本件契約等においては、関係者らの自由な意思決定の範囲で行うことが想定されていたといえ、契約締結時の状況に照らしても、本件契約等が公序良俗に反するとまではいえない。

<解説>
●判例:
人倫に反する行為、例えば、婚姻秩序・性道徳に反する行為は無効。
but
個別事案に無効か否かの線引きは微妙な場合もある。
ex.
配偶者のある者の婚姻予約及びその維持を目的とする扶養料給付の契約無効とされた事例。
不倫関係にある女性に対する包括遺贈一定の事情の下で無効でないとされた事例。

近時の学説:
憲法の規定の趣旨を踏まえながら、公序の内容を類型的に考察する傾向にある。

●本件:委任契約の目的となっている「別れさせ工作」が、交際に関する個人の自由(人格的自由、生命・身体の自由等)を不当に害しないかが問題。

個々の契約内容・契約締結過程に即して具体的に検討されるべき問題。

●改正後の民法90条:
「事項を目的とする」が削除。

法律行為の内容だけでなく法律行為が行われる過程その他の事情も広く考慮して無効とするか否かが判断されるという裁判実務の判断枠組みを明らかにしたもの。

判例時報2487

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