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2021年10月20日 (水)

心房細動の判断についての医療過誤(肯定)

東京高裁R2.12.10

<事案>
心房細動に対するカテーテルアブレーション手術を実施中に急性心タンポナーデを発症した結果、低酸素脳症を起こして遷延性意識障害⇒入院治療継続したものの死亡。

配偶者Xが、本件病院を開設する医療法人Yに対し、本件手術に適合性がないのに実施した過失あがるとして
主位的に不法行為に基づき
予備的に診療契約上の債務不履行に基づき
損害賠償請求を求めた。

<主たる争点>
Z医師が本件患者には心房細動と診断できる所見がないのもかかわらず、本件手術を実施した過失があるか?

<原審>
請求を棄却。

<判断>
心房細動の確定判断が不適切であったかどうかについて鑑定⇒Z医師が、本件患者には心房細動と診断できる所見がないにもかかわらず、本件手術を実施したことに過失が認められる⇒Xの請求を一部認容。

①心房細動診断について、平成22年当時の医療水準としては、自然に発生した発作時における心電図を記録して心房細動を確認することが原則であったのに、
②Z医師が、このような確認しないままに心房細動であるとの確定判断
平成22年当時の医療水準に反したものであって、過失があった。

<解説>
医師の注意義務の基準:
最高裁昭和36.2.16:「最善の注意義務」と指摘。

その後の多数の判例:
「最善の注意義務」として、診療当時の臨床医学の実践における医療水準であることが示された。

近時の判例:
新規の治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており、当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には、特段の事情が存しない限り、右知見は右医療機関にとっての医療水準」(最高裁H7.6.9)

医師が医薬品を使用するに当たって右文書(能書)に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定される。(最高裁H8.1.23)

判例時報2490

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