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2021年10月30日 (土)

国際裁判管轄の合意

東京高裁R2.7.22

<事案>
XがYに不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求⇒
Y:本邦裁判所に管轄がない旨の本案前の主張。

XY間の基本契約における本件条項に、
カリフォルニア州に所在する連邦又は州の裁判所を専属的管轄裁判所とする旨の合意。
紛争について別の書面による契約が適用されない限り、紛争が本契約に起因もしくは関連して生じているかどうかにかかわらず、本条の条件が適用される。」との規定。

<原審>
中間判決において、
国際裁判管轄の合意について、平成23年法律第36号施行前であっても、条理上、一定の法律関係に関して定められたものである必要がある。
本件条項の国際裁判管轄の合意が、その対象とする訴えについて、当事者間の訴えであるというほかに何らの限定も付しておらず、一定の法律関係に基づく訴えについて定められたものと認められない。
⇒無効であり、Yの本案前の主張には理由がない。

<判断>
本件訴えは不適法⇒訴えを却下。
国際裁判管轄の合意は、一定の法律関係に基づく訴えとして特定されなければ、無効
契約は、当事者の予測可能性を踏まえながら合理的な意思を尊重して解釈すべきであり、必要性がある限度で合意を無効としたり改変して解釈することができる
本件条項は、少なくとも基本契約に起因して又は関連して生じた紛争については、カリフォルニア州の裁判所に専属的合意管轄を定めるものと解釈することは、当事者の意思に反するものではない
その旨の合意は、一定の要件を満たし、有効である。

<解説>
国際裁判管轄の合意について
ある訴訟事件についてのわが国の裁判権を排除し、特定の外国の裁判所だけを第一審の管轄裁判所と指定する旨の国際的専属的裁判管轄の合意は、
当該事件がわが国の裁判権に専属的に服するものではなく
指定された外国の裁判所が、その外国法上、当該事件につき管轄権を有すること
の2個の要件をみたす限り、わが国の国際民訴法上、原則として有効。
(最高裁昭和50.11.28)

平成23年法律第36号による改正後の民訴法3条の7第2項:
第三条の七(管轄権に関する合意)
当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に訴えを提起することができるかについて定めることができる。
2 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。

管轄合意については、管轄を新たに設定するもの⇒一定の法律関係に基づく訴えとして特定される必要がある。
本件では広汎な定めとなっていて、必ずしも「一定の法律関係に基づく訴え」に関する条項とは言い難い。
but
本判決:
当事者の合理的意思を尊重して解釈すべき⇒基本契約に起因又は関連して生じた紛争については、一定性の要件を充たすとして、国際裁判管轄の合意を有効とした。

判例時報2491

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