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2021年9月 1日 (水)

刑事事件におけるあおり運転による殺人罪での損害賠償命令に対する異議申立て⇒民事事件でも未必の故意認定

大阪地裁堺支部R2.7.30

<事案>
Yの運転する自動車がAの運転する自動二輪車に衝突し、Aが死亡
Yは、Aに対する殺人を公訴事実として起訴された。

Aの相続人であるXが、本件刑事事件の第1審において、Yを相手方として、不法行為に基づく損害賠償等の支払を求める損害賠償命令の申立て(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に不随する措置に関する法律23条)をし、同第1審が、Xの同申立てを認容する旨の裁判⇒Yが意義の申立て⇒同法34条1項より、訴えの提起があったものとみなされた事案

Xは、本件刑事損害賠償命令後に、自賠責保険金の支払を受けた⇒本件訴訟において請求額を一部減縮。

刑事事件 Yは、Aに対する殺人の公訴事実により起訴。
Yは、過失運転致死罪が成立するにとどまる旨主張して殺意を争ったが、
YのAに対する殺人の未必の故意を認定し、懲役16年の有罪判決。
その後、控訴棄却、上告棄却。

民事事件
● 争点は、本件衝突についてYに未必の故意が認められるか?
Xは、Yの過失による不法行為は主張しなかった。

● 判断:
不法行為における故意とは、自己の行為により一定の結果が発生すべきことを認識しながら、その結果の発生を認容し、その行為をあえて行なうことをいう。

本件衝突に係るYの走行態様等、
①Yが、後方から進路前方にA車両が割り込んできた後、ハイビームを複数回照射し、立て続けにクラクションを鳴らしたこと
②Yが、A車両が急加速した後にそれを追跡するように急加速し、A車両と同様のルートで車線変更したこと、
③A車両との車間距離が約10メートルになった地点に至って初めてブレーキをかけたが、ブレーキの程度は緩やかであったこと、
④本件衝突後、Yが軽い口調で「はい、終わりー。」と言ったこと

Yは、A車両に後方から追い抜かれてY車両の前方に割り込まれたことなどに立腹してA車両を高速で追跡し、Y車両をA車両と衝突させることを意図していたと認定し、本件衝突及びAの死亡の結果に対する未必の故意が認められると判断。

判例時報2485

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