« 同性婚と国賠請求 | トップページ | 公認会計士協会による決定の開示の差止請求の事例 »

2021年9月23日 (木)

一部弁済と債務の承認による時効中断

最高裁R2.12.15

<事案>
Xが、Yに対し、平成16年(貸付け①)、平成17年(貸付け②)及び平成18年(貸付け③)に貸し付けられた貸金の返還を求めた事案。
Yは、平成20年に弁済を充当すべき債務を指定することなく一部弁済⇒この一部弁済により、平成17年及び平成18年の各貸付について、消滅時効が中断するか。

<原審>
本件弁済は法定充当(民法489条)により本件貸付①に係る債務に充当⇒Yは、本件弁済により、本件弁済が充当される債務についてのみ承認をした⇒本件債務②及び③について消滅時効は中断せず、時効消滅。

<判断>
同一の当事者間に数個の金銭消費貸借契約に基づく各元本債務が存在する場合において、借主が弁済を充当すべき債務を指定することなく前債務を完済にするのに足りない額の弁済⇒当該弁済は特段の事情のない限り、上記各元本債務の承認(民法147条3号)として消滅時効を中断する効力を有する。
本件弁済が、本件債務②③の承認としての効力を有しないと解すべき特段の事情はうかがわれず、本件弁済は、本件債務②③の承認として消滅時効を中断する効力を有する。

<解説>
時効中断事由である「承認」とは、
時効の利益を受ける当事者が、時効によって権利を失う者に対して、その権利の存在することを知っている旨を表示すること。

承認が時効中断とされた理由:
①相手方が権利存在の認識を表示したことを信頼⇒権利行使を怠ったことにならない(実体法的見方)。
②時効利益を受けるべき者が権利存在の認識を表示したことは権利存在の証拠になる(訴訟法的見方)。

承認の法律上の性質は、いわゆる観念の通知であって法律行為ではなく、中断しようとする効果意思は必要ない
法律上方式は要求されていない⇒法律行為の解釈に準じて、債務者の一定の態度が承認なるかどうかが決せられるべきことになる

大判昭和13.6.25
借主の態度をどのように評価するか(各元本債務の存在することを知っている旨を表示するものといえるか。)という問題であり、弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも弁済の充当の指定をしないときに、どの債務に弁済を充当するかという法定充当の問題とは別個の事柄
債務の承認が認められる債務と法定充当により充当される債務とは当然に一致するものとはいえず、本件の原審にように、法定充当により充当される債務についてのみ承認するものと解することはできない。

判例時報2487

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 同性婚と国賠請求 | トップページ | 公認会計士協会による決定の開示の差止請求の事例 »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 同性婚と国賠請求 | トップページ | 公認会計士協会による決定の開示の差止請求の事例 »