障害等級の認定
大阪地裁R2.6.3
<事案>
Xは、平成17年4月19日にメンタルクリニックにおいて適応障害(抑うつ病)の診断(本件初診日)
初診日の1年6月後である障害認定日(国年法30条1項、厚年法47条1項)は平成18年10月19日(本件障害認定日)
Xは、平成17年11月5日に現住建造物放火の被疑事実で逮捕⇒平成24年5月24日の仮釈放まで、刑事施設に収容。
Xは、厚生労働大臣に対し、本件障害認定日を受給権の発生日とする障害基礎年金及び障害厚生年金の給付の裁定の請求⇒厚生労働大臣は、3級の障害厚生年金を支給する処分・一部の期間の年金につき時効消滅
⇒
Xは、社会保険審査官に審査請求。
⇒
社会保険審査官は、年金の時効消滅は否定したが、その余の原告の請求を棄却。
⇒
本件訴訟を提起。
<争点>
本件障害認定日におけるXの障害の状態が障害等級2級に当たるか
<判断>
Xの本件障害認定日における障害の程度が障害等級2級に該当。
・・・
Xの日常生活能力の判定を検討し、
①適切な食事、②身辺の清潔保持、③金銭管理と買い物、④通院と服薬、⑤他人との意思伝達及び対人関係、⑥身辺の安全保持及び危機対応、⑦社会性
を考慮すると、Xの障害の状態は障害等級2急に該当。
<解説>
国民年金・厚生年金保険精神の障害に係る等級判定ガイドラインは、
精神障害及び知的障害の認定において地域さによる不公平が生じないよう、
障害等級の判定時に用いる目安や考慮すべき事項の例等を示し、
これによって当該認定が「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」に基づき適正に行なわれるよう改善を図ることを目的として、公正労働省により策定されたもので、平成28年9月1日から実施。
Xの本件障害認定日及び裁定請求の後に同ガイドラインが定められた
but
同ガイドラインが新規請求時のみならず、
再認定時及び請求者から額の改定請求がなされたとき等にも用いられる
⇒
同ガイドラインに沿って総合的認定をするのが相当。
精神鑑定書、医師Nの意見書等をもとに同ガイドラインに沿って、「日常生活能力の判定」及び「日常生活能力の程度」を判定
⇒Xの障害等級を2級と判断。
判例時報2486
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