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2021年8月10日 (火)

市が、土地を売却する際の、浸水被害状況等について情報開示・説明義務違反(肯定)


京都地裁R2.6.17

<事案>
被告(京都府福知山市)を事業主体とする土地区画整理事業又は非農用地造成事業により造成された土地を購入し、地上建物を建築等⇒台風の影響による降雨により自宅の床上浸水等の被害⇒被告に対し、土地の売主としての説明義務違反、地方公共団体としての情報提供義務違反があった⇒損害賠償を請求。

<判断>
被告から直接土地を買い受けた3名の原告らについて、
被告が当該土地を売却する際に、本件各土地に関するハザードマップの内容について説明し、被告が把握していた本件各土地に関する近時の浸水被害状況や今後浸水被害が発生する可能性に関する情報について開示し、説明すべき義務を怠った⇒請求を一部認容。

①宅地を購入しようとする者にとっては100年単位の情報だけではなく、近接した時期に発生した浸水被害の状況に関する情報も契約締結の可否を決定する上で重要な情報であるということができる
②買主の原告らは、いずれも自宅を建築する目的で本件各土地の購入を検討していた⇒本件各土地の安全性には強い関心を有しており、そのことは被告においても十分認識可能
原告らが過去の水害の際の本件各土地の浸水状況を認識していれば、本件各土地を購入しない選択をした可能性も相当程度あったといえる上、購入するにしても、土地のかさ上げや水害に対応する保険への加入など、相応の浸水被害対策を高じる可能性が高かった

本件各土地の売主である被告には、本件各土地の売買契約に附随する信義則上の義務として、本件各土地を売却する際に、本件各土地に関する本件ハザードマップの内容について説明するのみならず、被告において把握していた本件各土地に関する近時の浸水被害状況や今後浸水被害が発生する可能性に関する情報について開示し、説明すべき義務を負っていた。

平成16年の台風による浸水被害の状況や、平成16年の台風と同程度の降雨の際に本件各土地で浸水被害が発生する可能性について原告らに説明しなかった被告に、本件各土地の売買契約に附随する信義則上の義務違反があった。
but
X4については、被告の担当者から本件ハザードマップを示され、3~5メートルの浸水被害が生じる恐れがあるとされる地区にあることを認識しながら、それ以上、質問をしたり、自ら調査したりすることなく売買契約を締結したことなどの落ち度が認められる。
3割の過失相殺

<解説>
最高裁:契約事者の一方当事者が当該契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かの判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には、前記一方当事者は、相手方が当該契約を締結したことによって被った損害につき、不法行為による賠償責任を負うことがある。(最高裁H23.4.22等)

判例時報2481

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