« 均等侵害の成否の判断、特許法101条2号関係 | トップページ | 弁護人の裁定請求が棄却された事例 »

2021年8月13日 (金)

個人面談における上司による従業員に対する退職勧奨が違法⇒慰謝料20万円の事例

横浜地裁R2.3.24

<事案>
総合電機メーカーであるYにおいて勤務しているXが、Yに対し、
Yから違法な退職勧奨及びパワーハラスメントを受けたと主張⇒不法行為に基づき、慰謝料100万円及び遅延損害金の支払を求め
YによりXに対する違法かつ無効な査定が行なわれ、賃金が減額⇒雇用契約に基づく賃金支払請求権又は不法行為に基づき、違法勝無効な査定がなかった場合との差額の賃金及び賞与並びに遅延損害金の支払を求めた

<争点>
①Xに対する違法な退職勧奨・パワハラの有無及び慰謝料額
②Xに対する査定の違法性

<判断>
●争点①
①Aが行なった退職勧奨は、Xが明確に退職を拒否した後も、複数回の面談の場で行なわれている、
②各面談における干渉の態様自体も相当程度執拗である
③Xの自尊心を殊更傷付け困惑させる言動に及んでいる

労働者であるXの意思を不当に抑圧して精神的苦痛を与えるものといわざるを得ず、社会通念上相当と認められる範囲を逸脱した違法なもの
⇒慰謝料20万円を認容。

X主張:面談による退職勧奨とは別に、Xの会議運営に関する叱責のメールをAが会議出席者約30名にも同時送信したことなどが、違法なパワハラに当たる。
vs.
本判決:
部下を多数人の面前で叱責することにも類し、部下に対する指導に際しての冷静さや配慮が十分でない。
but
この事実だけで、Xに対する慰謝料の支払を要するほどの精神的苦痛が生じたとまでは認められない

●争点②
①評価基準に主観的な要素が含まれているからといって、直ちにこれを不公正で違法なものということはできない。
②上長1名のみによる恣意的な評価を許容するものであるとも認められない。

GPM評価制度そのものを不公正かつ違法な制度であるということはできない。

Xに対するGPM評価:
Yの裁量権を逸脱した違法な点は見当たらず、基本的にこのGPM評価に基づいてなされたものと考えられるXに対する査定にも、違法性を認めることはできない。

<解説>
使用者が従業員に対し退職勧奨を行うこと
その手段・方法が社会通念上相当と認められる範囲を逸脱しない限り、使用者による正当な業務行為であり、不法行為を構成するものではない。
一旦退職に応じない旨を示した従業員に対して説得を続けること自体もOK。
その際、使用者から見た当該従業員の能力に対する評価や、引き続き在職した場合の処遇の見通し等について言及することは、それが当該従業員にとって好ましくないものであったとしても、直ちには退職勧奨の違法性を基礎付けるものではない。
but
退職を説得する行為の態様や表現方法等によっては違法と判断されることもある

査定は、人事考課制度の枠内における使用者の裁量的判断に委ねられており、その裁量権を濫用したという場合でなければ、違法とはならないと解されている。

判例時報2481

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 均等侵害の成否の判断、特許法101条2号関係 | トップページ | 弁護人の裁定請求が棄却された事例 »

判例」カテゴリの記事

労働」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 均等侵害の成否の判断、特許法101条2号関係 | トップページ | 弁護人の裁定請求が棄却された事例 »