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2021年8月31日 (火)

温泉権

東京高裁R1.10.30

<事案>
Yが所有する本件土地には、2つの温泉が存在。
これらの温泉について温泉権を有していると主張するXが、Yに対し、Xが本件各温泉権を有することの確認を求めるとともに、Yによる温泉の無断使用を理由とする不法行為に基づき、損害賠償を求めた。

<原審>
Xの本件各温泉権取得の対抗要件(明認方法)とYの本件土地所有権取得の対抗要件(移転登記)の具備の有無及び先後の問題から検討⇒Xの対抗要件具備の事実が認められない(併せてYは配信的悪意者には当たらない)⇒Xの請求を棄却。

<判断>
Xが主張する温泉権は、土地所有権とは別の独立した物権として成立していない
⇒対抗要件の具備の有無及びその先後の争点については判断するまでもなく、Xの請求は全部棄却。

<解説>
● 温泉権(温泉を支配する権利):
①温泉を湯口から直接採取する場合~温泉専用権、湯口権、源泉権
②湯口から引湯する場合~分湯権、引湯権

温泉権:民法典に規定がなく、慣習を法源とする慣習法上の権利。
湯口権が温泉地所有権とは独立した地方慣習法による物権的権利(最高裁)

● 本判決:
温泉権が慣習法上の物権として認められる場合があることは肯定しつつ、
そのような慣習法上の物権が認められてきたのは、明治時代の民法施行前から利用されてきた歴史の古い温泉について、社会経済の実態に即した紛争解決を図るための緊急避難的な措置であったと位置付け。

近代的な高度技術を用いて何十メートルも地下を掘削して新たに湧出させた温泉については、原則として慣習法上の物権としての温泉権が成立することを否定。

←債権的法律関係として構成すれば足りる。

● 温泉権については、土地所有権とは別個独立の物権であるとするが、
人工掘削によって成立する近代法的な温泉権に関しては、その権利性を認める根拠について、慣習法ではなく、温泉掘削に多額の資本が投下され、温泉自体に高額の商品価値が認められることなど、その経済的価値から必然的に発生する物権であるとする見解(川島等)。

判例時報2485

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