厚生年金保険の被保険者であった養父と内縁関係にあった養子が遺族厚生年金の支給を受ける配偶者に当たるとされた事案
大阪地裁R2.3.5
<事案>
厚生年金保険の被保険者であった養父との間で内縁関係にあった養子が、厚年法に基づき遺族厚生年金の支給を受けることのできる配偶者に当たるかが争われた事案。
<判断>
養親子間で婚姻が禁止されるのは、社会倫理的考慮すなわち性愛の秩序と親子の秩序の混同防止という公益的要請を理由とするもの
⇒
当該養親子間の内縁関係の反倫理性、反公共性が婚姻法秩序維持等の観点から問題とする必要がない程度に著しく低いと認められる場合には、前記近親者間における婚姻を禁止すべき公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという厚年法の目的を優先させるべき特段の事情があるものというべきであり、
このような事情が認められる場合、前記内縁関係の当事者は厚年法3条2項にいう「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に該当すると解するのが相当。
XとAの内縁関係は、養子縁組をする以前から夫婦としての共同生活の実体を融資、その開始当初において何等の反倫理性、反公共性が認められず、
同じ氏を名乗って夫婦として生活したかったなどの理由から養子縁組をしてからも、その実体的な関係に何らの変化を生じることはなく、
周囲からも夫婦と認識されていた。
⇒
XとAの内縁関係にありながら養親子関係にあったという反倫理性、反公共性は、婚姻法秩序維持等の観点から問題とする必要がない程度に著しく低いと認められる。
<解説>
関連(最高裁)判例
判例時報2473
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