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2020年6月21日 (日)

屋台の道路占用許可の申請の不許可処分について、条例の定めと異なる取扱いをすることを認めるべき特段の事情があるとされた事例

福岡地裁R1.11.27    
 
<事案>
福岡市の、屋台営業の適正化を図るため、平成25年7月に福岡市屋台基本条例(「本件条例」)を制定(同年9月施行)⇒一部の屋台について営業を認めないという方針。
Xらは、「平成26年4月1日から平成29年3月31日までの間の占用許可に係る申請」と記載された申請書を提出し、道路占用許可を受け、その後数度の更新を経た後、平成28年に福岡市長に対して屋台営業候補者の公募への応募申請をし、平成29年3月に博多区長に対して道路占用許可の申請⇒福岡市長から本件各応募申請を却下する旨の処分を受けるとともに、博多区長から本件各許可申請を不許可とする旨の処分

Xらは、福岡市を相手に本件各不許可処分及び本件各却下処分の取消しを求めるとともに、Xらに対する道路占用許可処分の義務付けを求めた。
 
<規制> 
本件各不許可処分や本件各却下処分は本件条例に基づいて行なわれているが、同条例では、屋台営業に関する道路法32条1項の道路占用許可の要件を規定。

本件条例9条1項:
申請者(同条例10条1項に該当する場合を除く)が、同条例の施行の日において道路占用許可を受けていた屋台営業車の配置者又は又は直系血族に当たる者や公募により屋台営業候補者として認められた者で、同条例9条1項各号の条件を満たした場合には、道路占用許可を与えるものとする旨規定。

本件条例10条1項:
申請者のうち現に受けている道路占用許可の期間満了後も引き続き当該道路占用許可を受けた場所において道路占用許可を受けようとする者については、同項各号の条件を満たした場合には、道路占用許可を与える旨規定。
 
<主張>
本件各不許可処分の違法性(争点(1)):
①Xらは、本件条例10条1項に定める更新申請者に該当⇒同項に基づき道路占用許可をしなければならない。

②本件条例9条1項は、屋台営業候補者以外の申請者の資格を「屋台営業者の配偶者又は直系継続」に限定
but
このような限定は、憲法14条に反し、無効
⇒Xらは本件条例9条1項の要件を満たす。

③仮に本件条例が定める道路占用許可の要件を満たさないとしても、本件の個別的な事情⇒本件各不許可処分は裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したもの。

④本件各不許可処分は行手法に定められた手続を履践せずに行われた違法なもの。 
本件各却下処分の違法性(争点(2))について、手続上の問題点等を主張。
 
<判断> 
●争点(1) 
◎本件条例10条1項関係
本件条例では、更新申請者に該当するかどうかで、道路占用許可の要件について異なる定めを置いているが、Xらは、本件各許可申請時点において、道路占用許可を受けており、形式的には本件条例10条1項が定める更新申請を認めるべきであるように思われる
but
以下の判示より、博多区長が同項に基づき道路占用許可を行わなかったとしても、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はない

本件条例10条1項は、道路占用許可申請のうち期間更新の申請については、原則としてその申請を認めることを前提に、これを拒否すべき「特別の理由」を類型化して明示する趣旨のものであり、その法的性質は、期間更新の申請に係る審査基準に相当するもの。

同項の定め(審査基準)と異なる取扱いは、裁量権の行使における公正かつ平等な取扱いの要請や基準の内容に係る相手方の信頼の保護等の観点から、同項の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるものとして、違法。
but
平成26年許可に至る一連の経緯やそれに係る申請書に平成29年3月31日までという期間が記載されていたこと等

Xらと博多区長との間で、同年4月1日以降の道路の占用については、本件条例10条1項に基づく期間更新の許可はおこわないことが共通の前提ないし約束事とされていた⇒本件各許可申請につき同項の適用があるとしても、前記の事情の下では、同項の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がある

◎その他のXらの主張についても、
本件条例は憲法14条に違反するものではなく、
本件の個別的な事情を踏まえても、本件各不許可処分に裁量権の範囲を逸脱又はその濫用はなく、手続違反も認められない。 
 
●争点(2)
本件公募の手続に一部不適切な点があったことは認めつつ、
本件公募のうちXらに関係する選定手続については、違法は点が認められない
⇒本件各却下処分は適法。 
 
<解説>
平等原則や相手方の信頼保護
⇒審査基準の定めと異なる取扱いをするためには、それを認める合理的な理由が必要とされている。
最高裁H27.3.3:
処分基準の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り、そのような取扱いは裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たる。 
判例時報2441

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