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2020年6月28日 (日)

盗撮者による二次的製造行為による製造と児童買春法7条5項の児童ポルノ製造罪の成否(肯定)

最高裁R1.11.12

<事案>
①露店風呂に入浴中の児童らの全裸姿態をビデオカメラで盗撮し、その動画データをビデオカメラで盗撮し、その動画データをビデオカメラの記録媒体等に記録した者が、後日、その電磁的記録を別の記録媒体である外付けハードディスクに記録して児童ポルノを製造⇒児童買春法7条5項所定の児童ポルノ製造の事案


<解説・判断>
● 児童買春法7条5項の製造罪(「5項製造罪」)は、平成26年7月15日施行の改正法によって新設されたもので、盗撮により児童ポルノを製造する行為を処罰するというもの。
「ひそかに・・・児童の姿態を写真等に描写することにより」という手段の限定⇒盗撮により製造した児童ポルノを基にして、その電磁的記録を他の記録媒体へ記録保存する二次的製造行為については「ひそかに・・・製造した」ものとはいえずに5項製造罪は成立しないのではないか?
● 5項製造罪と同じように製造手段が限定されている児童買春法7条4項の製造罪(児童に全裸姿態等をとらせ、これを記録媒体等に描写することにより児童ポルノを製造する罪(「4項製造罪」))においても、本件と同様、二次的製造行為について同罪が成立するか否かという問題があり、
4項製造罪に関与する立法関与者の見解解説では、複製は除外されるとの見解が示されていた。
but
最高裁H18.2.20は、
「法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ、これを電磁的記録にかかる記録媒体に記録した者が、当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は、法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たる」として、3項(4項)製造罪の成立を認める判断。

● 5項製造罪において、
立法関与者の解説:
5項製造罪は手段の限定がされている⇒盗撮により製造された児童ポルノを後に複製する行為は、基本的に本条項の処罰対象ではないと考えられる。
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撮影者本人による「製造」として予定される一連の行為まもでが5項製造罪の対象から除外されるものではない。

判断:
「ひそかに児童ポルノ法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が、当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為は、同法7条5項の児童ポルノ製造罪に当たる」

平成18年判例と同様、盗撮をして製造を行った者が、その電磁的記録を別の記録媒体に複写するなどして二次的製造行為に及んだ場合には、「ひそかに児童の姿態を描写することにより児童ポルノを製造した」と法的に評価できるとして、5項製造罪の成立を認めたもの。

判例時報2441

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