固定資産評価審査委員会の決定の取消訴訟において、同委員会による審査の際に主張しなかった事由を主張できるか?(肯定)
最高裁R1.7.16
<事案>
本件建物を所有しているXが、東京都知事によって決定され固定資産課税台帳に登録された本件建物の平成24年度の価格(「本件登録価格」)を不服⇒審査の申出⇒Y(東京都)を相手に、本件決定のうち事故が相当と主張する評価額を超える部分の取消しを求めた。
<事実>
東京都知事は、本件建物について、平成24年度の価格を6億8802万8700円と決定⇒Xは、本件委員会に対し、本件登録価格を不服として平成26年法律第69号による改正前の地税法432条1項の規定による審査の申出。
その際、本件建物の再建築費評点数の算定の基礎とされた主体構造部の鉄筋及びコンクリートの使用料に誤りがあるとの主張をしていなかった。
<原審>
固定資産課税台帳に登録された価格を不服として固定資産評価審査委員会に審査の申出をした者が、当該申出に対する同委員会の決定の取消訴訟において、同委員会による審査の際に主張しなかった事由を主張することは、同事由について審査を経ていない以上、そのことに正当な理由があると認められる特段の事情がない限り、地税法434条2項等の趣旨に反し、許されない。
⇒
本件主張追加に係る事由について本件委員会の審査決定を経ないことにつき正当な理由があるとは認められないから、原告の訴えのうち本件請求の趣旨変更に係る部分は、審査請求前置の要件を充足せず、不適法。
<判断>
審査申出人は、固定資産評価審査委員会による資産緒際に主張しなかった事由であっても、審査決定の取消訴訟におちて、その違法性を基礎付ける事由として、これを主張することが許される。
<解説>
地税法434条:
固定資産課税台帳に登録された価格に係る不服について、原処分に対する取消しの訴えを許容せず、採決の取消しの訴えのみを許容する裁決主義を採用。
裁決主義は、原処分に不服の場合でも、審査請求をし、その裁決の取消しを求めて訴訟を提起するほかない⇒審査請求前置主義の一態様。
取消訴訟と審査請求手続との関係:
最高裁昭和29.10.14:
行政事件特例法の時代の市議会議員選挙の無効裁決の取消しを求める事案において、選挙の効力に関する訴願で主張されていない事実でも、訴訟で当事者が主張した事実は選挙の効力に関する判決の基礎とすることができる旨を判示。
本件建物を所有しているXが、東京都知事によって決定され固定資産課税台帳に登録された本件建物の平成24年度の価格(「本件登録価格」)を不服⇒審査の申出⇒Y(東京都)を相手に、本件決定のうち事故が相当と主張する評価額を超える部分の取消しを求めた。
<事実>
東京都知事は、本件建物について、平成24年度の価格を6億8802万8700円と決定⇒Xは、本件委員会に対し、本件登録価格を不服として平成26年法律第69号による改正前の地税法432条1項の規定による審査の申出。
その際、本件建物の再建築費評点数の算定の基礎とされた主体構造部の鉄筋及びコンクリートの使用料に誤りがあるとの主張をしていなかった。
<原審>
固定資産課税台帳に登録された価格を不服として固定資産評価審査委員会に審査の申出をした者が、当該申出に対する同委員会の決定の取消訴訟において、同委員会による審査の際に主張しなかった事由を主張することは、同事由について審査を経ていない以上、そのことに正当な理由があると認められる特段の事情がない限り、地税法434条2項等の趣旨に反し、許されない。
⇒
本件主張追加に係る事由について本件委員会の審査決定を経ないことにつき正当な理由があるとは認められないから、原告の訴えのうち本件請求の趣旨変更に係る部分は、審査請求前置の要件を充足せず、不適法。
<判断>
審査申出人は、固定資産評価審査委員会による資産緒際に主張しなかった事由であっても、審査決定の取消訴訟におちて、その違法性を基礎付ける事由として、これを主張することが許される。
<解説>
地税法434条:
固定資産課税台帳に登録された価格に係る不服について、原処分に対する取消しの訴えを許容せず、採決の取消しの訴えのみを許容する裁決主義を採用。
裁決主義は、原処分に不服の場合でも、審査請求をし、その裁決の取消しを求めて訴訟を提起するほかない⇒審査請求前置主義の一態様。
取消訴訟と審査請求手続との関係:
最高裁昭和29.10.14:
行政事件特例法の時代の市議会議員選挙の無効裁決の取消しを求める事案において、選挙の効力に関する訴願で主張されていない事実でも、訴訟で当事者が主張した事実は選挙の効力に関する判決の基礎とすることができる旨を判示。
判例時報2433
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