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2020年4月15日 (水)

救急活動記録票に記載された情報と非公開事由(利益侵害情報)

大阪高裁R1.5.16   

<事案>
大阪府高槻市の住民(X)が、高槻市消防長に対し、高槻市情報公開条例(「本件条例」)に基づき、消防隊員が個々の救急活動に係る情報を所定の書式に入力して作成した電磁的記録である平成23年度分から平成29年度分までの救急活動記録票(本件記録)の公開を請求⇒全部を公開しない旨の決定⇒高槻市(Y)に対し、救急活動記録票のうち傷病者の氏名、生年月日、住所、傷病名などの項目を除いた部分に対する非公開決定の取消しを求めた。
 
<条例> 
個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報を照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)(=個人識別情報)
又は
特定の個人を識別することはできないが、公開することにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの(=利益侵害情報)
を原則として非公開。 
 
<原審>
救急隊が出場した場所が記載された情報⇒個人識別情報に該当。
それ以外:
個人識別情報には該当しない
but
傷病者の具体的な症状や応急措置、救急活動の事実経過のまとめや自己評価等の内容が記載された情報は個人の人格に密接に関連するものであって、公開することにより個人の権利利益を害するおそれがあり、利益侵害情報に該当
これらを除いた部分について非公開処分を取り消し、その余を棄却。 
   
Yが原判決のうち敗訴部分を不服として控訴。
 
<判断>
傷病者が搬送された医療機関名や診療科目の記載された部分と傷病者が受けた応急措置の内容が記載された部分は、利益侵害情報に該当⇒当該部分について原判決を取り消した上、Xの請求を棄却し、その余の控訴を棄却。 
判例時報2433

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