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2020年4月14日 (火)

複数団体への分派と団体規制法上の更新決定の効力

東京高裁H31.2.28     
 
<事案>
Xは、Y(国、控訴人)に対し、
主位的に、本件更新決定がXに対しては存在しないことの確認を求め、
予備的に、本件更新決定のうちXを対象とする部分の取消しを求めた 
 
<判断>  
●団体規制法4条2項及び5条4項の解釈 
観察処分の対象となる「団体」について、
団体規制法4条2項は、「特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体」をいうと規定。
・・・
両集団を併せて1つの団体と認めることができる場合はもとより、
両集団の現状からは直ちに1つの団体と認めることができない場合であっても、各集団について観察処分の対象団体と同一性がある団体であると認められるときは、
各集団に対する観察処分の期間の更新決定は、各集団について団体規制法所定の期間の更新の要件を充たすものである限り、
各集団に対してその効力が及ぶ。
 
●本件における認定及び判断 
団体規制法4条2項にいう「団体」の要件である「多数人の継続的結合体」とは、2人以上の特定人からなり、その構成単位たる個人を離れて、結合体としての独自の意思を決定し得る組織体であって、社会的に相当の期間にわたって存続するものと解される。
・・・・

本件更新決定当時の状況において、XとAとの間に、多数人の継続的結合体としての関係があるとは認められる、両者が1つの団体であるとはいえない。

Xが観察処分の対象団体と同一性がある団体といえるかについて、
①設立経緯
②構成員
③組織形態
④活動
⑤その活動におけるオウム真理教の棄教及び哲学教室への改編の表明は、真にオウム真理教の教義を廃止し、大黒天等への帰依を教義としなくなったことを裏付けるものとは認められない。

本件更新決定時において、Xは観察処分の対象団体と同じ「特定の共同目的」を有し、同団体との同一性を有するものと認められる

本件更新決定のうちXに対する部分は適法。
 
<解説> 
本判決:
大体規制法4条2項にいう「団体」の要件である「多数人の継続的結合体」とは、2人以上の特定人からなり、その構成単位たる個人を離れて、結合体としての独自の意思を決定し得る組織体であって、社会的に相当の期間にわたって存続するものと解されるところ、
同法の規定の分離解釈及び趣旨・目的による目的的解釈により、観察処分の対象団体の後継団体と目される団体が複数の集団に分派ないし分裂した場合において、これらの集団を併せて1つの団体であると認めることができない場合であっても、各集団について観察処分の対象団体(オウム真理教)と同一性がある団体であると認められるときは、各集団に対する観察処分の期間の更新決定は、各集団について団体規制法所定の期間の更新の要件を充たすものである限り、各集団に対してその効力が及ぶと解するのが相当であるとの解釈。
Aから分派したXについて、その実態に照らし、XとAを1つの団体と認めることはできないが、オウム真理教と同一性のある団体であると認められ、本件更新決定の効力が及ぶ⇒本件更新決定を取り消した1審判決を取り消した。

判例時報2433

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