過失運転致死で回避可能性に疑い⇒無罪の事案
神戸地裁H30.10.24
<争点>
過失運転致死の関係で、被告人が前方等を注視していれば、被害者が路上に横臥していることを認識し、その上で事故回避できたか?
<主張>
検察官:
視認状況に関する実況見分の結果⇒事故地点の約48.2m手前で被害者の存在を発見できた⇒時速約45kmで走行していた被告人車両の停止距離が約17.5mないし約21.4m⇒十分事故を回避できた。
<判断>
●過失運転致死
検察官が指摘する実況見分は、前方に被害者に見立てた人形があると分かった上で、静止した状態で確認したもの
but
事故時は、被害者が横臥しているとは知らず時速約45kmで走行
⇒前提条件が異なっている。
<争点>
過失運転致死の関係で、被告人が前方等を注視していれば、被害者が路上に横臥していることを認識し、その上で事故回避できたか?
<主張>
検察官:
視認状況に関する実況見分の結果⇒事故地点の約48.2m手前で被害者の存在を発見できた⇒時速約45kmで走行していた被告人車両の停止距離が約17.5mないし約21.4m⇒十分事故を回避できた。
<判断>
●過失運転致死
検察官が指摘する実況見分は、前方に被害者に見立てた人形があると分かった上で、静止した状態で確認したもの
but
事故時は、被害者が横臥しているとは知らず時速約45kmで走行
⇒前提条件が異なっている。
事故当時の視認状況:
①被告人車両の前照灯の照射距離実験の結果、
➁現場付近の街頭の設置状況、
③事故直前に現場を通過した自動車のドライブレコーダーの映像、
④その自動車の運転手の証言等
⇒
被告人車両の前照灯の照射距離内に被害者が入らない限り、その存在を確認することはできなかった。
前照灯の照射距離:
対象物の存在を分かった上で静止した状態で確認したもの⇒実際の走行時とは条件が異なる。
⇒被告人車両の照射距離と停止距離との間に十分な余裕があることを要求。
⇒
被告人が前方を注視していたとしても、事故を回避できなかった疑いが残るとして、無罪。
●道交法違反
検察官:
①事故時に相当の衝撃があったこと、
➁被告人が事故時に急制動等の回避行動をとっていること等
⇒
被告人が人を轢過した可能性があると認識していたと推認できる。
vs.
事故現場の状況や被告人車両に装備されたABSフリーズデータ記録の解析等
⇒被告人が、事故時に人を轢過した可能性を認識していたと推認するに足りる事情はない。
判例時報2429
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